【完結】親の理想は都合の良い令嬢~愛されることを諦めて毒親から逃げたら幸せになれました。後悔はしません。

涼石

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① 何もしてないのに、お姉さまは私を嫌う。(エミリア=クルード)

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アリシア姉さまは、私が嫌い・・・


正確に言えば、私を含めた家族三人のことが嫌いなんだと思う。

なんでだろう?

お父様とお母さまを嫌うのは、わかるの。
だって、お父様はすぐに怒鳴るし、お母さまもお姉さまを暗い部屋に閉じ込めたりするし。

二人揃うと、お姉さまに「お前のため」とか「お前のせい」とか言いながら叱ってばかり。

けれど、私を嫌う理由がわからない。



・・・。




それなのに、嫌われるのは理不尽だと思う。

私が、二人から可愛がられているから、それが羨ましいとかなの?

お姉さまは、二人を怒らせる天才だけど、私はお姉さまのように怒られたことは一度もないもの。

いつも余計なことを、お姉さまが言って、二人の神経を逆なでするのが良くないと思うの。

そういうところ、ダメだなって思うわ。

だから、ずっと思っていたの。

この家で、アリシアお姉さまに優しくしてあげなくちゃって。



お姉さまって、すごく可哀そうなんですもの。








ある日。


全員が席に着くと、いつものように食事が始まった。

この時間は、お父様が手掛けているお仕事の相手の悪口とか、自慢話とかが、ほとんど。
それに相槌うちながら、お父様をほめて食事をするのがいつもの風景。

「・・・・というわけで大きな利益が動くわけだ。どうだ?アリシア」

お父様がお姉さまに、話を振る。

すごいなーって、褒めてほしいんだろうなーお父様は。

お姉さまは首を少し傾げて、大きな瞳をお父様に向ける。

「それだと、周りから大きな反感を買って、とても危険だと思います・・・。」
「なんだと・・・」

お父様のこめかみがぴくッと動く。


お姉さま、そこは「すごいですね。さすがお父様!」って言うのが正解です。


お父様が他の方に反感を買うことは分かるのに、なぜ、お父様の反感を自分が買うことは分からないの?

「ねえねえ、お父様、そんなにいっぱいお金が入るなら、新しいドレスがほしいですわ。だめでしょうか?」
「そうだな。そろそろエミリアの成長に合わせて新しいドレスを作るか。おばあ様も紫色の服が良く似合ったから、エミリアにも似合うと思うぞ」

お父様は、機嫌よさげに言った。

えー、紫色のドレスはさすがに年配色だと思うの。
しかも流行から外れてるし。

「おばあ様と一緒なんて嬉しい。でも、この前見たすごくかわいいデザインで水色の服も捨てがたいし・・・それも良くて迷っちゃいます」

上目遣いで、本気で悩むフリをすると、お父様の機嫌がかなり良くなる。

おばあ様は、私が産まれる直前に亡くなったったのだけど、私とよく似ていらしたんですって。

お母さまの話によると、おばあ様は女伯爵だったの。
お父様に、すごく優しくて、甘い方だったって聞いたわ。

溺愛する末っ子のお父様と結婚したお母さまを、すっごく嫌って意地悪がすごかったのですって。
あまりにつらくて、お父様におばあ様にされたことを話したら、すごく叱られたらしいわ。

それ以来、お父様におばあ様のことは、何も言えなくなったっていまだに愚痴るの。

王都から、ここへ引っ越しした時、お母さまへの嫌がらせが増えたみたいだけど、生活を助けていただいていたから、さらに何も言えなくなったみたい。

内緒ってことで、お姉さまと二人に話してくださったのだけど・・・。

そんなおばあ様に似ているって、お父様とお母さまに言われると、すごく複雑な気持ち。

「それじゃ、2着買うか。」

そう言って、お母さまを見る。

「紫は・・・大人びた色ですし、小さいこの子にはまだ早いと思いますわ。」
「は?私の意見に反対するのか?」

お父様の声が低くなる。

お母さまがびくりと身を震わせる。

私がお父様を怒らせないようにしようとする努力を、どうしてみんな台無しにするのかなぁ?

「お父様、私、大人になっちゃうの?・・・まだ、お父様の子どもでいたいなぁ」
「そうか、それなら仕方ないな」

お父様のそばにいってそう言うと、お父様が頭を撫でてくださる。

お母さまが、明らかにほっとした表情を浮かべていた。

結局、小物で紫のものを身に着けることにして、私の好きな色のドレスを買うことになった。

その様子を、お姉さまは冷めた目でみていた。

「明日の準備をしなければいけませんので、お先に失礼します」

そう言って、先に食事を終えたお姉さまは自分の部屋に戻った。

「なんなんだ、あいつは。家族といたいと思わないのか?」
「そうですわね。何を考えているのかわかりません。
もう少し、笑顔で食事をしてくれればいいのですけど」
「エミリアを少しは見習えばいいのにな。
あれでは嫁の貰い手などないぞ。」

私と比べるのはかわいそうだわ。
お姉さまだって、わざとお父様を怒らせたいわけじゃないのに。

その後は、いつものようにお姉さまの悪口大会だった。

この時だけは、お母さまもずいぶん饒舌になるの。

にこにこしながら、私は二人の話を聞いているフリをする。




ねぇ、お姉さま?。
私、けっこうがんばって、お姉さまをお父様から助けてあげたのよ?


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