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オメガの自覚
お宅訪問
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「うわ、凄い家。」
俺は金持ちの家があるとすれば、こんな家だろうとイメージする屋敷の前に立っていた。高井の家も代々続くお屋敷だけど、こっちは何ていうか成金ぽい?
洋風の尖った飾りのついた青銅色の屋根に覆われたレンガ造りの横広がりのお屋敷は、瀟洒な門扉の奥で奥行きのある庭を構えて透けて見えていた。
叶斗がインターホンの液晶に顔を寄せると、ピッと電子音がして、勝手用なのだろうが普通の家の扉より大きな鉄のドアの施錠が解除されたようだった。叶斗はどうぞと言いながら扉の中へと俺たちを案内した。
目の前には普通の家には絶対無いだろう噴水が水音を立てていて、俺は思わず笑ってしまった。天然石の石が敷き詰められた左側には、何台分かわからない大きな車庫から、外車や高級車が数台停まっているのが見えた。
丁度その時玄関がガチャリと開いた。
「おかえりなさい、叶斗。いらっしゃい、皆さん。よくいらっしゃいましたね。」
そう言ってにこやかに俺たちに笑顔を向けるのは、何処かで見たような綺麗な女性だった。
「ただいま、母さん。学校から連絡した、東と、高井。ね、ジョンはどこ?」
俺たちが挨拶している途中に、ひと吠えして美しい犬が顔をみせた。美しい黒光りする艶のある筋肉質な身体を叶斗に向かって持ち上げた。叶斗は首を大袈裟に撫で回して、ピンと立った耳の間をひと撫でした。
「…ドーベルマン。」
叶斗は思わず呟いた俺の顔を面白そうに見ると、ジョンの首輪に手を掛け何か命じて、俺たちを手招きした。大人しく座っているドーベルマンは賢そうだったけれど、それ以上に怖い。俺はもっとモフモフのフレンドリーな犬を予想してただけに、何だか騙された気分だった。
「ジョンは訓練されているから、俺の客にむやみに噛んだりしないよ。凄い賢いんだ。ほら、まずは挨拶かな。」
そう言って、叶斗は俺を後ろから抱き込むと言った。
「ジョンに俺と仲良しの所をまず見せるんだ。それから、そっと横から拳を出して…。」
俺は叶斗にされるがまま、操り人形の様にジョンの前に拳を突き出した。ジョンはクンクンと匂いを嗅いでいたけれど、直ぐにキューンと甘える様な声を出した。
「まぁ、ジョンは東さんが好きみたいね。ふふ。」
俺たちの様子を見ていた叶斗の母親が、少し驚いた様に目を見張った。そうしてる間に高井がさっさとジョンと仲良くなって撫で回していた。俺は叶斗と高井を交互に見て言った。
「高井は叶斗に抱っこされてないのに…。」
高井は俺を呆れた様に見て言った。
「お前チョロいな。別に抱っこされなくても叶斗と一緒に居たら警戒しないって。それにアルファは動物には強いんだ。」
俺は耳元でクスクス笑う叶斗から逃れようとしたけれど、思いの外強い叶斗の腕の力に諦めて、目の前の美しいジョンを見つめてため息をついて呟いた。
「…お前もグルだったのか?ジョン。」
俺は金持ちの家があるとすれば、こんな家だろうとイメージする屋敷の前に立っていた。高井の家も代々続くお屋敷だけど、こっちは何ていうか成金ぽい?
洋風の尖った飾りのついた青銅色の屋根に覆われたレンガ造りの横広がりのお屋敷は、瀟洒な門扉の奥で奥行きのある庭を構えて透けて見えていた。
叶斗がインターホンの液晶に顔を寄せると、ピッと電子音がして、勝手用なのだろうが普通の家の扉より大きな鉄のドアの施錠が解除されたようだった。叶斗はどうぞと言いながら扉の中へと俺たちを案内した。
目の前には普通の家には絶対無いだろう噴水が水音を立てていて、俺は思わず笑ってしまった。天然石の石が敷き詰められた左側には、何台分かわからない大きな車庫から、外車や高級車が数台停まっているのが見えた。
丁度その時玄関がガチャリと開いた。
「おかえりなさい、叶斗。いらっしゃい、皆さん。よくいらっしゃいましたね。」
そう言ってにこやかに俺たちに笑顔を向けるのは、何処かで見たような綺麗な女性だった。
「ただいま、母さん。学校から連絡した、東と、高井。ね、ジョンはどこ?」
俺たちが挨拶している途中に、ひと吠えして美しい犬が顔をみせた。美しい黒光りする艶のある筋肉質な身体を叶斗に向かって持ち上げた。叶斗は首を大袈裟に撫で回して、ピンと立った耳の間をひと撫でした。
「…ドーベルマン。」
叶斗は思わず呟いた俺の顔を面白そうに見ると、ジョンの首輪に手を掛け何か命じて、俺たちを手招きした。大人しく座っているドーベルマンは賢そうだったけれど、それ以上に怖い。俺はもっとモフモフのフレンドリーな犬を予想してただけに、何だか騙された気分だった。
「ジョンは訓練されているから、俺の客にむやみに噛んだりしないよ。凄い賢いんだ。ほら、まずは挨拶かな。」
そう言って、叶斗は俺を後ろから抱き込むと言った。
「ジョンに俺と仲良しの所をまず見せるんだ。それから、そっと横から拳を出して…。」
俺は叶斗にされるがまま、操り人形の様にジョンの前に拳を突き出した。ジョンはクンクンと匂いを嗅いでいたけれど、直ぐにキューンと甘える様な声を出した。
「まぁ、ジョンは東さんが好きみたいね。ふふ。」
俺たちの様子を見ていた叶斗の母親が、少し驚いた様に目を見張った。そうしてる間に高井がさっさとジョンと仲良くなって撫で回していた。俺は叶斗と高井を交互に見て言った。
「高井は叶斗に抱っこされてないのに…。」
高井は俺を呆れた様に見て言った。
「お前チョロいな。別に抱っこされなくても叶斗と一緒に居たら警戒しないって。それにアルファは動物には強いんだ。」
俺は耳元でクスクス笑う叶斗から逃れようとしたけれど、思いの外強い叶斗の腕の力に諦めて、目の前の美しいジョンを見つめてため息をついて呟いた。
「…お前もグルだったのか?ジョン。」
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