75 / 197
帰ってきた日常
部屋に篭ればやっぱり
しおりを挟む
新の珍しい姿を見た後は、離れに移動した。久しぶりに来た別宅の新の部屋は和洋折衷の洒落た部屋だ。以前ここでうっかり眠りこけて、新を襲った記憶が浮かんできて何となく居心地が悪くなった。
そんな俺には構わずに、叶斗は物珍しげに部屋のあちこちを眺めて言った。
「へぇ、何か陰陽道の家って感じだな。庭もすげぇけど、日本人て感じでこれはこれで落ち着くな。」
俺たちは居候だけどなと、新は笑った。そう言えば新は、東京に住んでたんだと思い出して尋ねた。
「新はこっちに来る前は東京住みだっただろ?家はまだあっちにあるのか?」
新はミニ冷蔵庫から三人分の炭酸を出しながら頷いて言った。
「ああ、住んでたマンションならそのままだ。一軒家に住んでたんだけど、親が離婚してから結構便の良い駅に引っ越したんだ。父さんが向こうでやってた仕事、まだ一部やってるから時々使ってるみたいだ。俺も夏休みになったら大学見学も兼ねて泊まりに行くと思う。…岳も一緒に行くか?」
俺は急に自分に話題が移って、キョトンとしてしまった。確かに俺たちは高3で進学先もそろそろ本気で考えなくちゃいけない。俺は地元の国立大学に行くことしか考えてなかったから、そう新に聞かれて、一瞬言葉を失った。
「え~ずるい!新様、俺様も泊めてよ。」
叶斗がクネクネしながら新に迫っているのを、俺は笑いながらも時間の経過を感じていた。俺は新学期早々、変異Ω騒動で日々を追われてきたきたけれど、そればかりじゃいられないって。
「俺の第一志望は地元だけどな…。まぁ東京の大学も一応視野には入れないといけないし。その時はよろしく。」
すると新はニンマリと笑って、俺を抱き寄せて言った。
「ああ、よろしくされる。岳と二人だけでマンション住みか。何か滾る…。」
俺は身の危険を察知して仰け反ったけれど、ガタイの良い新に叶うわけなくて、あっという間に口を塞がれてしまっていた。自分でもアレだけど、俺はアルファの、こいつらにキスされると途端に抗う気力が失われてしまう。
口内を這い回る甘い新の舌に、俺は無意識に縋り付いていて、喉から出る甘える様なうめき声に少しだけ我に返った。
「何で…。急にキスとか。」
すると新は甘やかす様な柔らかな低い声で囁いた。
「濡れない様に、時々練習しなくちゃ…。だろ?」
俺は、自分でもそんなのが、ていの良い言い訳だって分かってたけど、新のくれる甘いキスがほしくて目を閉じて言った。
「そうだな…。練習しなくちゃ。」
そんな俺たちを呆れ顔で叶斗が見てたのは、全然気が付かなかった。
そんな俺には構わずに、叶斗は物珍しげに部屋のあちこちを眺めて言った。
「へぇ、何か陰陽道の家って感じだな。庭もすげぇけど、日本人て感じでこれはこれで落ち着くな。」
俺たちは居候だけどなと、新は笑った。そう言えば新は、東京に住んでたんだと思い出して尋ねた。
「新はこっちに来る前は東京住みだっただろ?家はまだあっちにあるのか?」
新はミニ冷蔵庫から三人分の炭酸を出しながら頷いて言った。
「ああ、住んでたマンションならそのままだ。一軒家に住んでたんだけど、親が離婚してから結構便の良い駅に引っ越したんだ。父さんが向こうでやってた仕事、まだ一部やってるから時々使ってるみたいだ。俺も夏休みになったら大学見学も兼ねて泊まりに行くと思う。…岳も一緒に行くか?」
俺は急に自分に話題が移って、キョトンとしてしまった。確かに俺たちは高3で進学先もそろそろ本気で考えなくちゃいけない。俺は地元の国立大学に行くことしか考えてなかったから、そう新に聞かれて、一瞬言葉を失った。
「え~ずるい!新様、俺様も泊めてよ。」
叶斗がクネクネしながら新に迫っているのを、俺は笑いながらも時間の経過を感じていた。俺は新学期早々、変異Ω騒動で日々を追われてきたきたけれど、そればかりじゃいられないって。
「俺の第一志望は地元だけどな…。まぁ東京の大学も一応視野には入れないといけないし。その時はよろしく。」
すると新はニンマリと笑って、俺を抱き寄せて言った。
「ああ、よろしくされる。岳と二人だけでマンション住みか。何か滾る…。」
俺は身の危険を察知して仰け反ったけれど、ガタイの良い新に叶うわけなくて、あっという間に口を塞がれてしまっていた。自分でもアレだけど、俺はアルファの、こいつらにキスされると途端に抗う気力が失われてしまう。
口内を這い回る甘い新の舌に、俺は無意識に縋り付いていて、喉から出る甘える様なうめき声に少しだけ我に返った。
「何で…。急にキスとか。」
すると新は甘やかす様な柔らかな低い声で囁いた。
「濡れない様に、時々練習しなくちゃ…。だろ?」
俺は、自分でもそんなのが、ていの良い言い訳だって分かってたけど、新のくれる甘いキスがほしくて目を閉じて言った。
「そうだな…。練習しなくちゃ。」
そんな俺たちを呆れ顔で叶斗が見てたのは、全然気が付かなかった。
36
あなたにおすすめの小説
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
エリートαとして追放されましたが、実は抑制剤で隠されたΩでした。辺境で出会った無骨な農夫は訳あり最強αで、私の運命の番らしいです。
水凪しおん
BL
エリートαとして完璧な人生を歩むはずだった公爵令息アレクシス。しかし、身に覚えのない罪で婚約者である王子から婚約破棄と国外追放を宣告される。すべてを奪われ、魔獣が跋扈する辺境の地に捨てられた彼を待っていたのは、絶望と死の淵だった。
雨に打たれ、泥にまみれたプライドも砕け散ったその時、彼を救ったのは一人の無骨な男、カイ。ぶっきらぼうだが温かいスープを差し出す彼との出会いが、アレクシスの運命を根底から覆していく。
畑を耕し、土に触れる日々の中で、アレクシスは自らの体に隠された大きな秘密と、抗いがたい魂の引力に気づき始める。
――これは、偽りのαとして生きてきた青年が、運命の番と出会い、本当の自分を取り戻す物語。追放から始まる、愛と再生の成り上がりファンタジー。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです
まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。
そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。
だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。
二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。
─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。
受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。
拗らせ両片想いの大人の恋(?)
オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。
Rシーンは※つけます。
1話1,000~2,000字程度です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる