二人のアルファは変異Ωを逃さない!

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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灰原さん

憐憫

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俺に振り向いてもらえないのは、過去の自分のせいかもしれないといじける灰原さんに、俺は少し笑ってそっと唇を押し当てた。そんな風に子供っぽい灰原さんは、いつもの大人な灰原さんと違って妙に可愛い。

「上位アルファも、変異オメガも何だか生きにくいですよね。灰原さんなんてこの世の春みたいな顔をして、オメガにブルってるなんてさ。そんな灰原さんは嫌いじゃないですよ。

俺は強いだけのアルファはムカつくから、そんな風にしてると絆されるな。でももしかしたら、それが灰原さんの手なのかもしれない。そうか、俺を騙そうとしたんですね?」


そう分析して灰原さんを見上げると、灰原さんは困ったように俺を見つめた。

「…岳君はなかなかどうして良い性格してるよね。ふ、ふふふ。参ったな。岳君のようなオメガには会ったことがないし、私の攻略も手詰まりなんだよ。心を見せてもそうやって疑われるなんてね、ははは、新鮮だ。」

俺は何だか意味不明な事を言って笑い出した灰原さんに呆れて、ふいっとジャグジーから出ようと立ち上がった。ふと視線を感じて灰原さん見下ろすと、そこにはさっきまで楽しげに笑っていた灰原さんは影を潜めて、情欲を滲ませた眼差しで俺を見つめるアルファの男がいた。


俺は思わず息を呑んで、誤魔化すように言った。

「あんまり浸かってたらふやけそう。俺、出ますよ。」

するとザブリとお湯を撒き散らして、灰原さんが俺から目を逸らさずに立ち上がると俺の耳元で囁いた。

「…サンプルはまだ完全じゃないよ。私の本気を見せてあげる約束だろう?」

途端に灰原さんのフェロモンにブワリと包まれて、俺は自分の奥が疼くのを感じた。灰原さんはゆっくりと真綿で締めつけるように、俺をじわじわと攻略している気がしてならない。

気がついた時には繭の中で、俺は何処にも逃げ道を見出せないんだ。でも、今はまだ時々吐き出す美しい糸に所々絡ませられているくらいで、いつでも断ち切って逃げだせるはずだ。


俺はニヤリと笑うと灰原さんに向き合って、形が良いのに案外器用な唇を指先でなぞって言った。

「そうですね。まだ眠るには早いし。サンプルがまだあるなら、俺に見せてよ、灰原さん。」

クラクラする様なフェロモンを感じて、俺は膝がガクリと揺れた。咄嗟に抱えられて、灰原さんは少し赤らんだ顔で俺に言った。

「ほんと、岳君は煽るのが上手い。手のひらの上で踊らされてる気分だよ。」

そう言って微笑むと、俺を抱き寄せて唇を覆った。ああ、甘くて美味しいな。灰原さんも…。





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