二人のアルファは変異Ωを逃さない!

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
176 / 197
番を持ってるΩです

朝のルーティーン

しおりを挟む
「叶斗ぉ~?先行くよ。」

マンションの奥へ声を掛けると、叶斗が制服のジャケットを羽織りながら慌ただしく玄関に出てきた。俺はニヤリと笑うと無情にも重い玄関扉を閉めて共用廊下を歩き出した。

ガチャンと大きな音を立ててから電子音がピッと鳴って、情けない声で俺の名前を呼びながら叶斗が隣に並んだ。すかさず手を繋いでくるのが叶斗らしいと言えばそうだ。


「岳は大事な番に塩対応過ぎない?」

口を尖らせて文句を言う叶斗を睨みつけて、俺はエレベーターボタンを押した。

「お前は髪に時間かけ過ぎなんだって。男なんだから手櫛で良いだろ?あんまり決めると、余計な奴らがお前の事好きになるかもしれないし。」

エレベーターに乗り込んだ叶斗が、繋いだ俺の手に唇を当ててうっとりとした眼差しで言った。

「はぁ、岳の独占欲も悪く無いけど、何か急にこうキャラが変わると俺もついていけないって言うか、戸惑うなぁ。嬉しいけどさ。」


俺は肩をすくめて叶斗をエレベーターの壁際に追い詰めると、唇を触れる瞬間まで近寄って囁いた。

「自分のものは大事にする主義だからさ。あんまりカッコいいと余計な虫が付くじゃん?」

叶斗が俺に唇をつける前に開いたエレベーターの扉からさっさと歩き出して、欲求不満顔の叶斗を盗み見た。ふふ、分かりやすくてほんと可愛い奴。

気を逸らしたいのか、叶斗が俺に尋ねてきた。


「新は言ってた通り、朝イチで出掛けたの?」

俺は肩をすくめて、駅前の高校までのバス乗り場へと足を向けた。

「ああ、なんかとんでも無く早い時間に出て行った気がする。俺もちょっと時間見なかったし。高井家の後継者は色々あるみたいだね。俺も週末実家に戻って山駆けしたいな。最近あの空気に触れてないから身体の中が淀んでる気がして。皆で行かない?」

叶斗は眉を顰めて考え込みながら、バスのステップに足を掛けて言った。

「あー、結構しんどいんだよな。て言うか受験生が怪我したらヤバいじゃん。岳は推薦決まったから良いだろうけど、俺は統一試験も受けるからね?まじで岳が名門の名京大学の推薦取ったからさ、俺本気出さないとヤバいのよ。」


俺はバランスの良い叶斗の後ろ姿を眺めながら口を尖らせた。

「何言ってんだか。楽勝な癖に。ま、叶斗もたまには本気出したほうが良いかもね。新はああ見えて要領が良いからさ、置いてかれるぞ?」

叶斗の後を進みながら後ろの席目指して歩いて行くと、乗車してる一般人や同じ高校の生徒が見ないふりして俺たちを見るのを感じる。それは俺がΩだと言う眼差しというよりは、物珍しい番を見る視線の様な気がした。


俺たちが番った事はすっかり有名になっていた。高校生で番うのもセンセーショナルだったし、一人のΩに3人のアルファもそうだし、なんと言ってもその中の一人が有名人の灰原さんというのも大きい。

高校では俺たちがどうなるのかと固唾を飲んで見守っていた生徒たちが、その思いもしなかった結果で随分びっくりした様だった。勿論相変わらず口の軽い相川が簡単にそこら辺を教えてくれたんだけどな。


「俺はマジで殺し合いが起きるんじゃ無いかって思ってたんだよ。大沢と高井の東の奪い合いでさ。良かったよ、東が特殊なタイプで。でもまさかグレイ企画の若き風雲児、灰原社長まで番にしちゃうとかほんとびっくりしたよ。俺さ、お前とは一生友達だからな?な?」

そう言って、ゲスい笑みを浮かべてゴマをする相川に思わず笑いが止まらなかったのはしょうがないよな。まぁ相川の場合、結構な率で本気っぽいけどな。

しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。 そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。 だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。 二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。 ─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。 受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。 拗らせ両片想いの大人の恋(?) オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。 Rシーンは※つけます。 1話1,000~2,000字程度です。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

愛させてよΩ様

ななな
BL
帝国の王子[α]×公爵家の長男[Ω] この国の貴族は大体がαかΩ。 商人上がりの貴族はβもいるけど。 でも、αばかりじゃ優秀なαが産まれることはない。 だから、Ωだけの一族が一定数いる。 僕はαの両親の元に生まれ、αだと信じてやまなかったのにΩだった。 長男なのに家を継げないから婿入りしないといけないんだけど、公爵家にΩが生まれること自体滅多にない。 しかも、僕の一家はこの国の三大公爵家。 王族は現在αしかいないため、身分が一番高いΩは僕ということになる。 つまり、自動的に王族の王太子殿下の婚約者になってしまうのだ...。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...