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神さま(?)拾いました【本編完結】
27.旧知の仲ですかね?
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「ところで、お父さんは元気かい? まだ戻らないの?」
「連絡はない」
神様さんが話題を変えてきた。アニキの返答はそっけない。
ってか、まだ連絡がつかないのか……
丸一日連絡がつかないくらいなら度々あったはずだが、父はなにをやっているんだろう。予定どおりではあるようだけども。
「離島に呼ばれているんだっけ」
「ああ」
「それも、今回の件と関係している」
「そうなのか?」
話題へのアニキの食いつきがいい。父の行方と状況についてやきもきしていたからだろう。
「裏で糸を引いているヤツを引っ張り出せれば、明らかになるさ。全部仕組まれていたことだと思う」
「その言いっぷりだと、目星が付いているってことか」
「ちなみに真犯人は僕だ、という展開はないよ。向こうにとって想定外だったのが僕の存在だろうからね」
真犯人が神様さんだったら笑えないわ。
私は聞きながら思わず苦笑する。
「だが、貴方が弓弦のそばにずっといることは知られていたんじゃないのか? 弓弦の特性を知っている相手であれば、当然気配でわかるだろうし」
その指摘はもっともだ。私は神様さんの返事を待つ。
「想定よりもずっと強い状態で僕が呼ばれちゃったから、慌てたんじゃないかな」
「強い?」
「この僕は不完全なんだけど、不完全な代わりに特化した部分もあるわけで。初手でやらかしちゃったんだよねえ」
あ。
彼の発言を聞いて、記憶に跳んだときに神様さんと会う直前で戻ってきてしまった理由を察する。あのあと、神様さんにとって何か不都合なことが起こってしまったのだ。
「何やったんだよ」
アニキの低められた声には、わずかに畏れの感情が滲む。
神様さんは明るく笑った。
「殺生しなかっただけ、よかったよねえ」
「あー、それ以上は聞かないでおくわ」
「ふふ。梓くんのそういう物わかりのいい人間を演じるところ、昔っからすごく好きだよ」
「好かれていることを突っぱねたりはしないが、義理の弟になるのは認めたくない」
好感触の今なら言質が取れそうだと匂わせる感じで神様さんが褒めれば、アニキの返事はそっけなかった。神様さんはふむと唸る。
「昔からそうだよねえ。あのときの契りはずっと有効なんだから、いい加減に諦めようよ。神様っていうものは執念深いんだ……なあんてね。執念深いのは君たちと僕らの時間の流れが違うから、君らからは執念深いように見えるだけだと思うよ。僕にとっては、ほんの少し前なだけなんだから」
「へいへい、そうですかー」
相手をしないということを表明するかのようなアニキの発言。神様さんに合わせたらのせられるだけだとわかっているからだろう。
だとすると、アニキと神様さんは旧知の仲であるという予想が正しいことの証左になる気がした。
「僕は弓弦ちゃんを連れ去ったりしないよ。天寿をまっとうさせるために彼女のそばにいるんだから。弓弦ちゃん、梓くんのことをすごく大事にしているからね。引き離して悲しませるようなことはしないよ」
カタンという小さな音。
「ただし、君が弓弦ちゃんを泣かせるなら、そのときは手段を選ばないけどねえ」
「いちいち脅すなよ」
何かを払い除けたようなパシッという音。扉の陰にいるから見えないけれど、神様さんとアニキは近くにいるのだな。
「君はそのほうが言うことを聞いてくれるでしょ?」
「癪に触るなあ、その言い方」
「その割には苛立っていないじゃないか」
神様さんの言うとおりだ。アニキは不満げな口調でありながらもイライラしている様子はない。不思議と落ち着いている。
「貴方のそれは昔っからですからねえ」
「あはは。大人になったからか、僕のあしらい方も様になってきた」
本心を明かさないうわべの会話。腹の探り合いの色が濃い。
「記憶が不完全ってのも、どこまでが本当なんだかな」
「思い出しにくい部分があるっていうのが正確だよねえ。まあ、些細なことだよ」
「ほんと、どうだか」
「――それで弓弦ちゃん。服はそこに置いてあるから着替えて出ておいでよ」
「……はい?」
急に話を振られてびっくりした。思わず返事をしてしまったし。
そこにあると言われてよく確認すると、自動洗濯乾燥機の上に畳まれた部屋着が置かれているのが目に入る。
「ふふ。盗み聞きはよくないよ」
「そういうつもりはなかったんですよぉ」
一体いつから気づいていたのだろう。さっさと着替えると、私は脱衣所からダイニングキッチンに出たのだった。
「連絡はない」
神様さんが話題を変えてきた。アニキの返答はそっけない。
ってか、まだ連絡がつかないのか……
丸一日連絡がつかないくらいなら度々あったはずだが、父はなにをやっているんだろう。予定どおりではあるようだけども。
「離島に呼ばれているんだっけ」
「ああ」
「それも、今回の件と関係している」
「そうなのか?」
話題へのアニキの食いつきがいい。父の行方と状況についてやきもきしていたからだろう。
「裏で糸を引いているヤツを引っ張り出せれば、明らかになるさ。全部仕組まれていたことだと思う」
「その言いっぷりだと、目星が付いているってことか」
「ちなみに真犯人は僕だ、という展開はないよ。向こうにとって想定外だったのが僕の存在だろうからね」
真犯人が神様さんだったら笑えないわ。
私は聞きながら思わず苦笑する。
「だが、貴方が弓弦のそばにずっといることは知られていたんじゃないのか? 弓弦の特性を知っている相手であれば、当然気配でわかるだろうし」
その指摘はもっともだ。私は神様さんの返事を待つ。
「想定よりもずっと強い状態で僕が呼ばれちゃったから、慌てたんじゃないかな」
「強い?」
「この僕は不完全なんだけど、不完全な代わりに特化した部分もあるわけで。初手でやらかしちゃったんだよねえ」
あ。
彼の発言を聞いて、記憶に跳んだときに神様さんと会う直前で戻ってきてしまった理由を察する。あのあと、神様さんにとって何か不都合なことが起こってしまったのだ。
「何やったんだよ」
アニキの低められた声には、わずかに畏れの感情が滲む。
神様さんは明るく笑った。
「殺生しなかっただけ、よかったよねえ」
「あー、それ以上は聞かないでおくわ」
「ふふ。梓くんのそういう物わかりのいい人間を演じるところ、昔っからすごく好きだよ」
「好かれていることを突っぱねたりはしないが、義理の弟になるのは認めたくない」
好感触の今なら言質が取れそうだと匂わせる感じで神様さんが褒めれば、アニキの返事はそっけなかった。神様さんはふむと唸る。
「昔からそうだよねえ。あのときの契りはずっと有効なんだから、いい加減に諦めようよ。神様っていうものは執念深いんだ……なあんてね。執念深いのは君たちと僕らの時間の流れが違うから、君らからは執念深いように見えるだけだと思うよ。僕にとっては、ほんの少し前なだけなんだから」
「へいへい、そうですかー」
相手をしないということを表明するかのようなアニキの発言。神様さんに合わせたらのせられるだけだとわかっているからだろう。
だとすると、アニキと神様さんは旧知の仲であるという予想が正しいことの証左になる気がした。
「僕は弓弦ちゃんを連れ去ったりしないよ。天寿をまっとうさせるために彼女のそばにいるんだから。弓弦ちゃん、梓くんのことをすごく大事にしているからね。引き離して悲しませるようなことはしないよ」
カタンという小さな音。
「ただし、君が弓弦ちゃんを泣かせるなら、そのときは手段を選ばないけどねえ」
「いちいち脅すなよ」
何かを払い除けたようなパシッという音。扉の陰にいるから見えないけれど、神様さんとアニキは近くにいるのだな。
「君はそのほうが言うことを聞いてくれるでしょ?」
「癪に触るなあ、その言い方」
「その割には苛立っていないじゃないか」
神様さんの言うとおりだ。アニキは不満げな口調でありながらもイライラしている様子はない。不思議と落ち着いている。
「貴方のそれは昔っからですからねえ」
「あはは。大人になったからか、僕のあしらい方も様になってきた」
本心を明かさないうわべの会話。腹の探り合いの色が濃い。
「記憶が不完全ってのも、どこまでが本当なんだかな」
「思い出しにくい部分があるっていうのが正確だよねえ。まあ、些細なことだよ」
「ほんと、どうだか」
「――それで弓弦ちゃん。服はそこに置いてあるから着替えて出ておいでよ」
「……はい?」
急に話を振られてびっくりした。思わず返事をしてしまったし。
そこにあると言われてよく確認すると、自動洗濯乾燥機の上に畳まれた部屋着が置かれているのが目に入る。
「ふふ。盗み聞きはよくないよ」
「そういうつもりはなかったんですよぉ」
一体いつから気づいていたのだろう。さっさと着替えると、私は脱衣所からダイニングキッチンに出たのだった。
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