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神さま(?)拾いました【本編完結】
39.御守りのゆくえ
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遅い昼食を終えた頃、一件のメッセージが飛んできた。アニキからだ。その直後に父からもメッセージが届いて、離島から無事に脱出したことを知った。元気そうでなによりである。
「――御守り、アニキ経由でいただけることになりましたよ。一週間くらいはかかりそうですけど」
「そう。向こうも大変だっただろうねえ」
「何かご存知なんですか?」
「知っているというか、今朝ここにきた怪異の本体があるところに行っていたんだろうって思って」
あ、そこが繋がるのか……
裏で糸を引いているやつが出てくれば離島から出られるという話だったと記憶しているが、それがあの燕尾服の怪異関連だったということか。遠方で面倒ごとに巻き込まれていたらしかった。
詳しくは落ち着いてから連絡をすると書いてあったので、そのうち電話がかかるだろう。お疲れ様である。
「いよいよこれで怪異まわりは安全になったかな」
神様さんがほっとしたような顔をした。気に掛けてくれていたようだ。
「ところで、御守りとお札が揃うまではこちらにいるって話でしたけど、どこかにいく予定でもあるんですか?」
「ううん? アテはないよ」
「じゃあどうしてそんな話を?」
「区切りをつけるならそこかなって思っただけさ。他の理由はない」
昼食の片付けを終えて、彼はさらりと答えた。ちょっと様子がおかしい。
「んー、父がここに来るかもしれないと警戒したからではないんですか?」
「まあ……それはちょっとある。梓くん相手のようにはいかないだろうなあって思ってたから」
そう呟くように告げて、彼らしくない苦虫を噛み潰したような顔をした。
「神様さんは昔、幼い私に会ったことがあるっておっしゃっていましたが、父にも会っています?」
そう切り出せば、彼はあからさまに震えた。意外な反応。
「あはは……正直に話すとね、会ったことはあるよ」
「どうして怯えているんです? 父の話をしたとき、そこまで反応しなかったじゃないですか」
「あれから思い出したことが、ちょっと、うん……」
どうにかこの話題を回避したいという顔をしている。意図的に嘘はつけない体質だというのだから、的確な質問をぶつければいろいろ聞き出せそうではある。
私は頭を巡らせた。
「――神様さんは、私を口説こうとしているのが見つかって、封じられていたんじゃないですか? それこそ……私の御守りに」
行方不明になった私の御守り。梅の花があしらわれた、ちょっと年季の入った見た目の御守り。どこに行くにも持ち歩くように言われて、なくさないように大事にしてきたものだ。
それがあの夜を境に消えてしまった。およそ落としたりしないだろう場所にしまっていたのに。
私が問えば、彼は目をまんまるにした。
「そう……だとしたら?」
「あ、いえ。どうもしませんよ。効果絶大な御守りだったから、ひょっとしたらと思っただけです」
独特の気配を放っていたので、御守りを持っている間は生命の危機に至りそうな危ない怪異との遭遇はなかった。何が入っているのか聞くことがなかったから素直に持ち歩いていただけのこと。
これ以上は追及しないと意思表示をすれば、彼は嬉しそうに笑った。
「ふふ。そうだね。ずっと、君のそばにいたよ。制限を受けていたから、全部を思い出せるわけではないけど、僕は君を守っていたんだ」
制限と答えているが、おそらく封印されていたのだろう。父は怪異を封じる秘技を身につけている。
「次の御守り、中身は何ですかね」
「僕の神通力を込められる仕様だとありがたいなあ」
なるほど。そういうことも可能ではあるのか。
我が家特製の御守りである。怪異を遠ざけるために何か特別な術が施されている……らしい。
「――もしも、神様さんが思っているようなものだったら」
「うん?」
「父からの許可が出ているってことでしょうから、延長しませんか?」
「延長?」
「私のそばにいること」
「え?」
ここで驚かれるとは思わなかった。私は慌てて首を横に振る。
「あ、無理には引き止めませんよ」
「引き止めてよ」
「私に好きな人ができるまで、という条件を課します」
「うん、それで充分さ」
神様さんは上機嫌だ。
「君は僕を手放さないだろうからね」
「未来はわからないですよ」
「ふふ。手放す気が起きないように頑張るよ」
頑張るところが違うんじゃないかなんて思いつつも、喜ぶ神様さんを見ていたらどうでもよくなってしまったのだった。
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