不可思議カフェ百鬼夜行は満員御礼

一花カナウ

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音楽・不可思議カフェ百鬼夜行の業務“外”日誌・2

絶対音感がないと出られない部屋・承

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 そもそもの発端は、一つの依頼だった。
 眼帯をつけた青年が俺たちの働く喫茶店に顔を出した。店内に客がいないタイミングでいつも現れる彼は、今回は何も持たずに姿を見せた。

「また依頼か?」

 俺がうんざりした気持ちで尋ねると、彼は頷いた。

「ちょっと厄介な案件でね。百目鬼(どうめき)くんはいるかい?」
「おや、ここのところよく来るねえ」

 依頼を聞く前にサクッと断って帰らせてしまおうと思ったのに、運が悪いのかはたまた良いのか、店長がスタッフルームから出てきてしまった。

「いま、時間はあるかい?」
「ああ、構わないよ」

 店長がご機嫌に眼帯の青年を案内する。ついでとばかりに俺も呼ばれてしまった。
 ボックス席に店長と俺が並んで座り、正面には憂鬱そうな面持ちの眼帯の青年が腰を下ろした。

「僕のところのスタッフが、次々と奇妙な部屋に連れ込まれてしまってね」
「行方不明かい?」
「スタッフたちは戻ってきてはいるが、ずいぶんとやつれた顔をしていて。しばらく休暇を取ることになってしまった」

 青年の説明に、店長はふむと頷く。

「一人は頭痛がする、耳鳴りがひどいと訴えて、もう一人はしばらく楽譜は見たくないと訴えて、さらに一人はガード下でしばらく過ごしたいと言い出した」
「おや、静かな場所に行きたいという話ではないようだね」

 店長の指摘に、彼は深く頷いた。

「彼らが捕まってしまったという場所に僕も乗り込んでみたのだが、あいにく怪異現象には遭遇できなくてね。部屋には電源の入っていないスピーカーと譜面、ほかは紙とペンがあるだけだった。こんな感じだよ」

 そう告げるなり、彼は携帯端末を取り出して画像を表示させる。
 彼が行ったという怪異現象が起きる部屋の写真らしい。先ほど説明されたものが確かに置いてある。物置部屋にしているのか、ほかにはギターとベース、キーボード、ドラムセットらしきものが一部カバーをかけられた状態で置かれていた。
 部屋は六畳はないだろう。窓は細く小さな換気用のもので、人が出入りできるほど大きくはない。照明は天井の中央に一つ、出入り口のドアの横に一つあるようだ。

「見たところ、怪異現象に縁があるようには感じられないね」
「僕もそんな印象だった」
「これは現場を見たほうが早いかもしれないな。なにもないなら何もないで、おまじないのつもりでお札の一つでも貼り付けておこうか」
「それは助かるよ。ひとつ、頼めるかい?」
「君の頼みだ、引き受けよう」

 そんな感じで店長が安請け合いをして、俺も巻き込まれ、今に至る。
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