158 / 277
第158話 トラップ
しおりを挟む
たいして広くない縦長の隠し部屋を進む足音が、静寂に吸い込まれるように響く。
俺は奥へと歩を進め、ぽつんと佇む宝箱の前で立ち止まった。
この手の宝箱には罠が仕掛けられていることが多い。もし俺がサブ職業にシーフや探検家あたりを選んでいれば、罠の有無を事前に調べることもできたはずだ。しかし、今日はゴーレム狩りが目的。そんな便利スキルを持ち合わせているはずもない。
とはいえ、この部屋自体が隠し部屋であることを考えれば、さらに宝箱に罠を仕掛ける可能性は低い。普通、罠を設置するなら、もっと目立つ場所に置かれた宝箱のほうが効果的だからだ。
俺は膝を折り、宝箱に手をかけた。
「トラップが怖くて冒険者なんてやってられるかってなもんだよな」
独りごちて気合を入れ、一気に蓋を開ける。
「さあ、どんなお宝が入っているのかな――あれ?」
期待に胸を膨らませながら中を覗き込んだが、残念ながら中は空っぽだった。
そして、拍子抜けする俺の前に、無情なメッセージが現れる。
【宝箱にはトラップが仕掛けられていた】
【スキル封印状態になった】
……やられた。
手の込んだ隠し部屋を作った上で、わざわざダミーの宝箱にトラップを仕掛けるなんて、運営の性格の悪さが滲み出ている。
だが、ここに俺しかいないのは幸運だった。この手のトラップは、近くにいるパーティメンバーも一緒に食らうことが多い。スキル封印は時間が経てば自然に回復するし、ミコトさんなら状態異常の解除もできる。彼女が巻き込まれていないのなら、たいした問題にはならない。
「……ミコトさんのところへ行くか」
ため息をついて立ち上がり、踵を返した。
「……あれ?」
俺が上に引き上げたはずの壁が、いつの間にか静かに閉じていた。重厚な灰色の壁が、まるで最初からあったかのように無機質な圧迫感を放ち、出口を完全に塞いでいる。
「いつの間に……」
一見したところ、こちら側の壁には、手を差し込む穴がない。中に入ったら、こちら側からは開けられない仕組みか?
閉じ込められたかもしれないが、俺に焦りはない。パーティメンバーは外にいる。パーティチャットで連絡を取れば、向こう側から開けてもらえばいいだけの話だ。
「……くだらない仕掛けだな」
そうつぶやいて肩をすくめた。その時――
ゴゴゴコゴ……
鈍い振動音が空間を震わせる。聞き覚えのある、壁のせり上がる音だ。
だが、俺が入ってきた入り口の壁は、変わらず静止したまま。そもそも、音は、入り口方向ではなく、奥側から聞こえる。
何が起こっているのか確認するため再び前を向くと――宝箱の向こうの壁がゆっくりとせり上がっていた。
――もしかしてこの奥に更なる隠し部屋か?
しぼんでいた期待が、また膨らみ始める。
身を屈めて、上がった壁の下から向こう側を覗き込むと、暗闇の中で鈍く光る金属の輝きが目に飛び込んできた。
これは……銀や金ではない。この輝きは――ミスリル!
ミスリルは、銀よりも軽くて固く、金よりも美しい、至高の金属だ。それが大量に手に入るとなれば、一攫千金のチャンスだ。
「ダミー宝箱と見せかけて、実はこんな財宝を用意しているなんて、運営も憎い演出をしてくれるじゃないか!」
先ほどまで浮かんでいた運営への恨みはどこへやら、興奮と期待が胸を高鳴らせる。
俺は壁が上がり切るのを今か今かと待ちわびた。
しかし――
「あれ……?」
徐々に壁が上がり、姿を現していくそれが、俺の期待したものではないことに気づく。
最初は二本のミスリルの柱が立っているのだと思った。
だが、それは柱ではなく、明らかに二本の足だった。当然、足の先には胴があり――
「ミスリルゴーレム!?」
壁の向こうは狭い部屋。そこに鎮座する、一体の巨大なミスリルゴーレム。
ミスリルゴーレムを倒せば、ミスリル素材が手に入る。しかし、ミスリルゴーレムはレアポップなので、鉱山に入ってから一度も出会えていなかった。出てきてくれとは願っていたが、こんな状態で対峙することになるなんて、間違っても望んじゃいなかった。
そして、こんな形で姿を見せたということは、このままじっとしていてくれるはずもなく――
「やっぱりそうなるよな!」
壁が完全に上がり切った瞬間、それまで時間が止まったかのように微動だにしなかったミスリルゴーレムが動き出した。その動きは、完全に俺を排除すべき標的と定めたものだ。
「スキル封印状態で閉じ込めたうえに、ミスリルゴーレムをけしかけるとか……どんな嫌がらせだよ!」
戦うなんて論外だ。料理スキルが使えるのならまだしも、スキル封印状態でこいつとタイマン勝負をするなんて自殺行為に等しい。
俺は即座に踵を返し、入ってきた壁の方へと駆け出した。
だが――
「くそっ! 開かない!」
壁を押し、引き、手を滑らせながら持ち上げようとするが、まるでびくともしない。穴や突起、隠しスイッチのようなものも見当たらない。
その間にも、背後からは重厚な足音が着実に迫ってくる。振り返らずともわかる。あの巨体が、確実にこちらに向かっているのだ。
まずい! 死ぬって、こんなの!
「おーい! 誰かそっちにいないのか!」
壁に向かって大声で呼びかける。
二度の壁が開く音は、きっとみんなのところまで届いているはずだ。ならば、異変を察知して戻ってきている可能性は十分にある。
…………。
残念ながら返事はない。
「おーい! クマサン! ミコトさん! メイ!」
もう一度声を上げるが、壁の向こうからは何の反応もなかった。
そんな俺に影が差す。
おそるおそる振り向けば――ミスリルゴーレムが、銀よりも艶やかに輝くその太い腕を高く振り上げていた。
――ヤバイ!
俺は反射的に防御態勢を取る。
【ミスリルゴーレムの攻撃 ショウにダメージ65】
防御はした。だが、それでも骨まで響くような衝撃が身体を揺らし、容赦ないダメージが襲いかかってきた。
相手がアイアンゴーレム程度なら、レベル差でどうにかなったかもしれない。だが、目の前にいるのはゴーレムの中でも最上級クラスのミスリルゴーレム。今の俺のレベルでも、一人でやり合える相手じゃない。防御で大幅にダメージを軽減させたはずなのに、体力ゲージを大きく削られた。
そもそも、タイマンでの防御は単なる延命措置でしかない。このままでは俺の先にあるのは確実な死だけだった。
一人では勝てない――ならば、俺にできることは一つだ。
「みんな、ミスリルゴーレムに襲われている! 助けてくれ!」
慌ててパーティチャットで仲間達に救援を求めた。
『ショウ、姿が見えないぞ! どこにいるんだ!?』
『ダメージを受けてるじゃないですか! まずは逃げてください!』
『もう、何をやってるんだか……』
心配するような、呆れたような、それぞれの仲間の声が返ってくる。
どうやらクマサン達も戻ってきて、俺を探してくれているようだった。
「さっきゴールドゴーレムを倒したところの近くだ! 隠し部屋でミスリルゴーレムに襲われている! 逃げ場がないんだ!」
『隠し部屋!? そんなの見当たらないぞ!?』
「トラップが発動して、壁が勝手に下りて閉じ込められた! 近くの壁に手を差し込める穴がある! そこに手を入れて持ち上げれば、隠し部屋が出てくるはずだ!」
『どこも似たような壁ばかりだぞ! そう言われても簡単に見つからない!』
仲間達は確かに近くまで来ている。だが、俺が見つけた穴を発見できずにいるようだった。
無理もない。俺だって偶然見つけたものだ。意識して探そうとしても、あれを簡単に見つけるのは容易じゃないかもしれない。
――ガシッ
【ミスリルゴーレムの攻撃 ショウにダメージ68】
亀のように身をすくめて防御する俺に、ミスリルゴーレムの容赦ない拳が振り下ろされる。
くそっ! このままじゃ本当にやばい……! 一旦回復アイテムで時間を稼いで――
「――あ」
アイテムを使おうとした瞬間、俺は最悪の事実を思い出した。
「……狂気の仮面を装備したままだった」
自重気味につぶやく。
そう、この白い仮面をつけている限り、通常攻撃もアイテムの使用もできない。そういえば、鉱山に入る前に装備してからずっと付けっぱなしだった。
防御だけはできるのがせめてもの救いだが、スキル封印を食らっている今、俺にできることは本当になにもない。
「ひぃー! 仮面のせいで回復もできない! みんな、助けてくれぇ!」
声を張り上げる。
できることがあるとすれば、仲間を信じることだけだった。俺の体力が尽きる前に、みんなが隠し部屋の壁を開けてくれる、と。
その時だった。
『あったぞ、ショウ!』
――――!
クマサンの声に心が震える。ありがたい!
「ナイス、クマサン! そこに手を入れて、上に持ち上げれば壁がせり上がるんだ!」
『わかった!』
これでようやく助かる――そう思えば、目の前で拳を振り上げるミスリルゴーレムの存在すら怖くはなくなる。
【ミスリルゴーレムの攻撃 ショウにダメージ66】
大丈夫。俺の体力はまだある。
クマサンがすぐにでも壁を開け、ゴーレムのターゲットを取ってくれる。
…………。
だが、いくら待っても、背後の壁は微動だにしなかった。
「クマサン、どうしたんだ!?」
『……ショウ、この壁、ピクリとも動かないぞ! 本当にこの壁が開くのか?』
冗談を言っている声ではなかった。その声には焦りが滲んでいた。
そんなはずはない。俺の力で簡単に開いたんだ。クマサンの力で開かない理由がない。
あるとすれば――このミスリルゴーレムを倒さないとここから出られない仕掛け。そんな考えが脳裏をよぎった。
……あー、これはマジで死んだかも。
俺は奥へと歩を進め、ぽつんと佇む宝箱の前で立ち止まった。
この手の宝箱には罠が仕掛けられていることが多い。もし俺がサブ職業にシーフや探検家あたりを選んでいれば、罠の有無を事前に調べることもできたはずだ。しかし、今日はゴーレム狩りが目的。そんな便利スキルを持ち合わせているはずもない。
とはいえ、この部屋自体が隠し部屋であることを考えれば、さらに宝箱に罠を仕掛ける可能性は低い。普通、罠を設置するなら、もっと目立つ場所に置かれた宝箱のほうが効果的だからだ。
俺は膝を折り、宝箱に手をかけた。
「トラップが怖くて冒険者なんてやってられるかってなもんだよな」
独りごちて気合を入れ、一気に蓋を開ける。
「さあ、どんなお宝が入っているのかな――あれ?」
期待に胸を膨らませながら中を覗き込んだが、残念ながら中は空っぽだった。
そして、拍子抜けする俺の前に、無情なメッセージが現れる。
【宝箱にはトラップが仕掛けられていた】
【スキル封印状態になった】
……やられた。
手の込んだ隠し部屋を作った上で、わざわざダミーの宝箱にトラップを仕掛けるなんて、運営の性格の悪さが滲み出ている。
だが、ここに俺しかいないのは幸運だった。この手のトラップは、近くにいるパーティメンバーも一緒に食らうことが多い。スキル封印は時間が経てば自然に回復するし、ミコトさんなら状態異常の解除もできる。彼女が巻き込まれていないのなら、たいした問題にはならない。
「……ミコトさんのところへ行くか」
ため息をついて立ち上がり、踵を返した。
「……あれ?」
俺が上に引き上げたはずの壁が、いつの間にか静かに閉じていた。重厚な灰色の壁が、まるで最初からあったかのように無機質な圧迫感を放ち、出口を完全に塞いでいる。
「いつの間に……」
一見したところ、こちら側の壁には、手を差し込む穴がない。中に入ったら、こちら側からは開けられない仕組みか?
閉じ込められたかもしれないが、俺に焦りはない。パーティメンバーは外にいる。パーティチャットで連絡を取れば、向こう側から開けてもらえばいいだけの話だ。
「……くだらない仕掛けだな」
そうつぶやいて肩をすくめた。その時――
ゴゴゴコゴ……
鈍い振動音が空間を震わせる。聞き覚えのある、壁のせり上がる音だ。
だが、俺が入ってきた入り口の壁は、変わらず静止したまま。そもそも、音は、入り口方向ではなく、奥側から聞こえる。
何が起こっているのか確認するため再び前を向くと――宝箱の向こうの壁がゆっくりとせり上がっていた。
――もしかしてこの奥に更なる隠し部屋か?
しぼんでいた期待が、また膨らみ始める。
身を屈めて、上がった壁の下から向こう側を覗き込むと、暗闇の中で鈍く光る金属の輝きが目に飛び込んできた。
これは……銀や金ではない。この輝きは――ミスリル!
ミスリルは、銀よりも軽くて固く、金よりも美しい、至高の金属だ。それが大量に手に入るとなれば、一攫千金のチャンスだ。
「ダミー宝箱と見せかけて、実はこんな財宝を用意しているなんて、運営も憎い演出をしてくれるじゃないか!」
先ほどまで浮かんでいた運営への恨みはどこへやら、興奮と期待が胸を高鳴らせる。
俺は壁が上がり切るのを今か今かと待ちわびた。
しかし――
「あれ……?」
徐々に壁が上がり、姿を現していくそれが、俺の期待したものではないことに気づく。
最初は二本のミスリルの柱が立っているのだと思った。
だが、それは柱ではなく、明らかに二本の足だった。当然、足の先には胴があり――
「ミスリルゴーレム!?」
壁の向こうは狭い部屋。そこに鎮座する、一体の巨大なミスリルゴーレム。
ミスリルゴーレムを倒せば、ミスリル素材が手に入る。しかし、ミスリルゴーレムはレアポップなので、鉱山に入ってから一度も出会えていなかった。出てきてくれとは願っていたが、こんな状態で対峙することになるなんて、間違っても望んじゃいなかった。
そして、こんな形で姿を見せたということは、このままじっとしていてくれるはずもなく――
「やっぱりそうなるよな!」
壁が完全に上がり切った瞬間、それまで時間が止まったかのように微動だにしなかったミスリルゴーレムが動き出した。その動きは、完全に俺を排除すべき標的と定めたものだ。
「スキル封印状態で閉じ込めたうえに、ミスリルゴーレムをけしかけるとか……どんな嫌がらせだよ!」
戦うなんて論外だ。料理スキルが使えるのならまだしも、スキル封印状態でこいつとタイマン勝負をするなんて自殺行為に等しい。
俺は即座に踵を返し、入ってきた壁の方へと駆け出した。
だが――
「くそっ! 開かない!」
壁を押し、引き、手を滑らせながら持ち上げようとするが、まるでびくともしない。穴や突起、隠しスイッチのようなものも見当たらない。
その間にも、背後からは重厚な足音が着実に迫ってくる。振り返らずともわかる。あの巨体が、確実にこちらに向かっているのだ。
まずい! 死ぬって、こんなの!
「おーい! 誰かそっちにいないのか!」
壁に向かって大声で呼びかける。
二度の壁が開く音は、きっとみんなのところまで届いているはずだ。ならば、異変を察知して戻ってきている可能性は十分にある。
…………。
残念ながら返事はない。
「おーい! クマサン! ミコトさん! メイ!」
もう一度声を上げるが、壁の向こうからは何の反応もなかった。
そんな俺に影が差す。
おそるおそる振り向けば――ミスリルゴーレムが、銀よりも艶やかに輝くその太い腕を高く振り上げていた。
――ヤバイ!
俺は反射的に防御態勢を取る。
【ミスリルゴーレムの攻撃 ショウにダメージ65】
防御はした。だが、それでも骨まで響くような衝撃が身体を揺らし、容赦ないダメージが襲いかかってきた。
相手がアイアンゴーレム程度なら、レベル差でどうにかなったかもしれない。だが、目の前にいるのはゴーレムの中でも最上級クラスのミスリルゴーレム。今の俺のレベルでも、一人でやり合える相手じゃない。防御で大幅にダメージを軽減させたはずなのに、体力ゲージを大きく削られた。
そもそも、タイマンでの防御は単なる延命措置でしかない。このままでは俺の先にあるのは確実な死だけだった。
一人では勝てない――ならば、俺にできることは一つだ。
「みんな、ミスリルゴーレムに襲われている! 助けてくれ!」
慌ててパーティチャットで仲間達に救援を求めた。
『ショウ、姿が見えないぞ! どこにいるんだ!?』
『ダメージを受けてるじゃないですか! まずは逃げてください!』
『もう、何をやってるんだか……』
心配するような、呆れたような、それぞれの仲間の声が返ってくる。
どうやらクマサン達も戻ってきて、俺を探してくれているようだった。
「さっきゴールドゴーレムを倒したところの近くだ! 隠し部屋でミスリルゴーレムに襲われている! 逃げ場がないんだ!」
『隠し部屋!? そんなの見当たらないぞ!?』
「トラップが発動して、壁が勝手に下りて閉じ込められた! 近くの壁に手を差し込める穴がある! そこに手を入れて持ち上げれば、隠し部屋が出てくるはずだ!」
『どこも似たような壁ばかりだぞ! そう言われても簡単に見つからない!』
仲間達は確かに近くまで来ている。だが、俺が見つけた穴を発見できずにいるようだった。
無理もない。俺だって偶然見つけたものだ。意識して探そうとしても、あれを簡単に見つけるのは容易じゃないかもしれない。
――ガシッ
【ミスリルゴーレムの攻撃 ショウにダメージ68】
亀のように身をすくめて防御する俺に、ミスリルゴーレムの容赦ない拳が振り下ろされる。
くそっ! このままじゃ本当にやばい……! 一旦回復アイテムで時間を稼いで――
「――あ」
アイテムを使おうとした瞬間、俺は最悪の事実を思い出した。
「……狂気の仮面を装備したままだった」
自重気味につぶやく。
そう、この白い仮面をつけている限り、通常攻撃もアイテムの使用もできない。そういえば、鉱山に入る前に装備してからずっと付けっぱなしだった。
防御だけはできるのがせめてもの救いだが、スキル封印を食らっている今、俺にできることは本当になにもない。
「ひぃー! 仮面のせいで回復もできない! みんな、助けてくれぇ!」
声を張り上げる。
できることがあるとすれば、仲間を信じることだけだった。俺の体力が尽きる前に、みんなが隠し部屋の壁を開けてくれる、と。
その時だった。
『あったぞ、ショウ!』
――――!
クマサンの声に心が震える。ありがたい!
「ナイス、クマサン! そこに手を入れて、上に持ち上げれば壁がせり上がるんだ!」
『わかった!』
これでようやく助かる――そう思えば、目の前で拳を振り上げるミスリルゴーレムの存在すら怖くはなくなる。
【ミスリルゴーレムの攻撃 ショウにダメージ66】
大丈夫。俺の体力はまだある。
クマサンがすぐにでも壁を開け、ゴーレムのターゲットを取ってくれる。
…………。
だが、いくら待っても、背後の壁は微動だにしなかった。
「クマサン、どうしたんだ!?」
『……ショウ、この壁、ピクリとも動かないぞ! 本当にこの壁が開くのか?』
冗談を言っている声ではなかった。その声には焦りが滲んでいた。
そんなはずはない。俺の力で簡単に開いたんだ。クマサンの力で開かない理由がない。
あるとすれば――このミスリルゴーレムを倒さないとここから出られない仕掛け。そんな考えが脳裏をよぎった。
……あー、これはマジで死んだかも。
20
あなたにおすすめの小説
国を追放された魔導士の俺。他国の王女から軍師になってくれと頼まれたから、伝説級の女暗殺者と女騎士を仲間にして国を救います。
グミ食べたい
ファンタジー
かつて「緑の公国」で英雄と称された若き魔導士キッド。しかし、権謀術数渦巻く宮廷の陰謀により、彼はすべてを奪われ、国を追放されることとなる。それから二年――彼は山奥に身を潜め、己の才を封じて静かに生きていた。
だが、その平穏は、一人の少女の訪れによって破られる。
「キッド様、どうかそのお力で我が国を救ってください!」
現れたのは、「紺の王国」の若き王女ルルー。迫りくる滅亡の危機に抗うため、彼女は最後の希望としてキッドを頼り、軍師としての助力を求めてきたのだった。
かつて忠誠を誓った国に裏切られ、すべてを失ったキッドは、王族や貴族の争いに関わることを拒む。しかし、何度断られても諦めず、必死に懇願するルルーの純粋な信念と覚悟が、彼の凍りついた時間を再び動かしていく。
――俺にはまだ、戦う理由があるのかもしれない。
やがてキッドは決意する。軍師として戦場に舞い戻り、知略と魔法を尽くして、この小さな王女を救うことを。
だが、「紺の王国」は周囲を強大な国家に囲まれた小国。隣国「紫の王国」は侵略の機をうかがい、かつてキッドを追放した「緑の公国」は彼を取り戻そうと画策する。そして、最大の脅威は、圧倒的な軍事力を誇る「黒の帝国」。その影はすでに、紺の王国の目前に迫っていた。
絶望的な状況の中、キッドはかつて敵として刃を交えた伝説の女暗殺者、共に戦った誇り高き女騎士、そして王女ルルーの力を借りて、立ち向かう。
兵力差は歴然、それでも彼は諦めない。知力と魔法を武器に、わずかな希望を手繰り寄せていく。
これは、戦場を駆ける軍師と、彼を支える三人の女性たちが織りなす壮絶な戦記。
覇権を争う群雄割拠の世界で、仲間と共に生き抜く物語。
命を賭けた戦いの果てに、キッドが選ぶ未来とは――?
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜
2nd kanta
ファンタジー
愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。
人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。
そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。
しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~
夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。
「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。
だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに!
サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる