86 / 158
第84話 作戦会議
しおりを挟む
白の聖王国初めての勝利の夜、レリアナの部屋に、ティセ、フィーユ、キッド、ルイセが集まっていた。
とはいえ、初勝利を祝うために集ったわけではない。
今回の勝利でいくらか勢力範囲を押し返すことができたが、まだまだ聖王国の奪われた領地は大きい。大事なのはここからだった。
「レリアナ様、戦場で見せた金色の輝きをここで再現できますか?」
キッドの問いかけに、対面に座るレリアナは申し訳なさそうな顔で首を横に振る。
「戦いが終わってから何度も試したんですけど……1回も出せていません。そもそもあの時、どうやってあんな光が出せたのか自分でもわからないんです……」
先代聖王と同じ力を使いこなせれば、聖王としての存在価値をレリアナは自分でも認めることができる。戦いが終わると同時に消えてしまった黄金の輝きを、誰かに言われるまでもなく、レリアナは再び出そうとすでにいやというほど試していた。
「キッド君、レリアナ様のあの光はなんだったんですか?」
キッドの隣に座るルイセがキッドへと顔を向ける。先代聖王のことについて知らないルイセにとっては、あのレリアナの輝きは初めて見るものだった。
「あれは霊子の輝きだ。目に見えないはずの霊子が、人の目に見えるほどに色濃く発現したものだ」
「霊子がそんなふうになることがあるんですか?」
魔導士としての資質を持つルイセは、霊子にも精通している。その彼女の常識に照らしてみれば、霊子が目に見えるなど考えられないことだった。
「普通ならあり得ないな。少なくとも人間には無理だ。もしもできるとすれば、竜王のような人を超えた存在くらいだ。けど、神の啓示を受けたレリアナ様に竜王の霊子が宿るとは思えない。だから、レリアナ様にあんな霊子の力を与える存在があるとすれば、それは神――そういうことですよね、レリアナ様?」
キッドは改めて顔をレリアナに向けるが、彼女は素直にうなずけない。彼女自身、いや、彼女だけでなく先代聖王や、白の聖王国の人間も、あの霊子の正体については推測するだけで、真実は誰も知らなかった。
「……多分、そういうことだと思います。私にもよくはわからないのですが」
レリアナの反応に、キッドは驚きに一瞬目を大きく開く。
「もしかして、聖王国の人達も神の霊子を宿す方法についてわかってないんですか?」
「……はい。お恥ずかしながら」
キッドは、他国には伏せているものの、聖王国の人間は聖王の輝く霊子については、それがどういった存在によるものなのか、そしてどうやって発現させるのか知っているものだと思っていた。少なくとも、聖王には代々伝えられているのだろうと考えていた。
だが、目の前のレリアナが嘘をついているようには見えない。
キッドは、聖王をはじめとした聖王国の人間も、自分と同程度の理解しかしていないのだということを初めて知った。
「だとしたら、レリアナ様が再現できないというのも納得ができますね」
「……すみません」
下級貴族の時の癖がいまだ抜けないレリアナは、聖王としてはあり得ないことだが、素直に謝ってしまう。この場に聖王国の重鎮でもいれば、そんな反応をする聖王レリアナに慌てふためいただろうが、彼女の人となりをよく知っているティセやフィーユは何も言わずにスルーしていた。むしろキッドの方が慌ててしまう。
「いえ、レリアナ様が謝るようなことではありませんよ!」
キッドの様子に、申し訳なさそうにしていたレリアナが少し微笑んだ。
だが、謝罪する必要はないかもしれないが、あの力をレリアナが自由に使えないという事実は、聖王国軍の戦略に関しては重要な問題だった。
状況を冷静に捉えているルイセが口を開く。
「キッド君、そうなると、聖王国軍としては手痛いですね。あの力を持ったレリアナ様が聖騎士団と共にいれば、青の導士は海王波斬撃を簡単には撃てなくなったでしょうに、力が使えないとなればそうもいかなくなりますね」
自身だけでなく、周囲にいる者への海王波斬撃のダメージまでもを減じたあの聖王の黄金の霊子、それがあるかないかの差はあまりにも大きい。
そのことはレリアナ達もわかっていたのだろう、レリアナ、ティセ、フィーユの3人もついうつむいてしまう。
しかし、キッドはそうではなかった。彼だけが見えているものがあるのだろう、しっかりと顔を上げている。
「……いや、そうとは言い切れない」
「そうなんですか?」
キッドの対面のレリアナが顔を上げた。
「レリアナ様があの力を自由に出せないことを知っているのは、ここにいる者だけですよね?」
「ええ。情けないので誰にも話していません」
「なら、ここにいる5人だけの秘密にしてください。そうすれば、このことを敵に知られることもありません」
「敵に知られてなくても、実際に力が使えないのでは同じじゃないの?」
フィーユが顔を上げ、素直な疑問を呈してくる。
「敵にとっては同じじゃないんだよ。金の輝きをまとっていなくても、レリアナ様がそこにいれば、いざとなったらまたあの力を使われると思って、青の導士は迂闊に海王波斬撃を撃てなくなる」
キッドはフィーユのまっすぐで大きな黒い瞳を見ながら、力強く断言した。
「なぜそう言い切れるの? 今度は通用するかもしれないと思って試しに撃ってくる可能性もあるんじゃないかしら? もしそうなったらレリアナ様に被害が及んでしまう。そうなるなら、私はレリアナ様が聖騎士達と一緒に前に出るのは認められないわ」
キッドに厳しい目を向けてきたのはティセだった。彼女にとってはレリアナの身の安全が何より重要だ。万が一にも海王波斬撃を撃たれてしまっては、今のレリアナではその直撃を受けることになる。その可能性があるならティセとしてはレリアナが聖騎士団と共に前に出ることを認めるわけにはいかなかった。
「海王波斬撃が撃てるのは一度きり。しかも、一度撃てば魔力はほぼ枯渇する。そんな状況では、確実にダメージを与えられるという確信がない限り、俺なら撃ちはしない」
「キッドはそうかもしれないけど、青の導士も同じとは限らないでしょ?」
「いや、間違いなくルブルックもそう考える」
ティセの疑問は当然のものに思えたが、キッドは確信をもって答えていた。
「なぜそう言い切れるの? キッドだって青の導士を見たのは今日の戦いが初めてなんでしょ?」
「確かに見たのは初めてだが、それでわかることもある。ほかの魔導士ならばこんな断言はできないだろうが、あのルブルックという男なら間違いなく俺と同じ考えをする。……俺にはそれがわかる」
キッドがルブルックと目を合わせたのは短い時間のことだ。しかし、それで十分だった。それだけで相手が自分と同じ種類の人間だとキッドにはわかった。そして、同じ道を歩むことはできず、どこかで決着を付けねばならない相手だとも。
とはいえ、特別な魔導士同士のその感覚が、ほかの者に理解できるはずもなく、ティセは得心がいかない表情のままだった。。
「そんな確かな根拠のない話では納得できないわ」
ティセは頑として譲らない様子だったが、そこにレリアナが割って入る。
「私はキッドの言うことを信じます。張りぼてでも、私がいることで海王波斬撃を撃たせずに済むのなら、私は聖騎士達と共に戦います」
「レリアナ様!? そんな危険なこと、認めるわけにはいきません!」
「ティセ、これは聖王である私の意思です」
レリアナから真摯な瞳を向けられてはティセも折れるしかなかった。
「……レリアナ様、わかりました」
レリアナのおかげでなんとかティセを説得できたが、前にでるレリアナが危険なことはキッドも十分認識していた。注意しなければならないのは、海王波斬撃だけではない。
だからキッドは、目の前の三人、ティセ、レリアナ、フィーユの三人の顔を順に見て、口を開く。
「とはいえ、海王波斬撃が飛んでこないからと言って油断はできません。この状況ならば、青の導士はレリアナ様を狙ってきます。レリアナ様がいるから海王波斬撃を撃てないのなら、それを排除するまで、奴ならそう考えます。だから、フィーユとティセには、レリアナ様のそばについて、しっかりと守ってもらわなければならない」
「わかったよ、キッド!」
「それはもちろんそのつもりだけど……あなたはどうするの?」
ティセに問われて、キッドは背筋を正して、一息つく。
「ルブルックの取る戦略は二つ。一つはレリアナ様を排除して、海王波斬撃を撃てる状況を作ること。そして、もう一つは、こちらの竜王破斬撃を撃てないようにすること。レリアナ様を討てずとも、こちらの竜王破斬撃をなくせれば、青の王国軍にとってはイーブンの状況となる。ルブルックはレリアナ様ともう一人、俺のことを必ず狙ってくる。だから、俺とルイセは別行動を取り、奴を迎え撃つつもりだ」
ルブルックとの対決を言い切るキッドを、フィーユが心配そうな目を向けてきた。
「でも、キッド。青の導士には、魔法を封じる結界領域があるんだよ。その領域の中でも使える魔導砲を持つ青の導士を相手に、魔導士が戦うのは危険だと思う」
「確かに何も知らない状況で戦ってたのなら、かなり危なかっただろうな。だけど、フィーのおかげで俺は相手の手の内を知っている。だから、大丈夫、任せてくれ」
「でも……」
実際にルブルックと戦ったフィーユはそれでもまだ不安な顔のままだった。
「フィーさん、大丈夫です。キッド君には私がついています。誰にも傷付けさせはしません」
「ルイセさん……」
自分の命さえ懸けるとルイセのまっすぐな瞳は言っていた。その目で見つめられては、フィーユはもうそれ以上何も言えなくなる。
そのルイセは、対面に座るフィーユの方を向いているため、隣にいるキッドには彼女がどんな目をしているのか見えてはない。
(ミュウの時もそうだけど、ルイセにもこんなこと言われるなんて、俺って相当頼りないのだろうか?)
だから、ルイセがどれほどの想いをしているのかも気づかずに、キッドはそんなことを考えていた。
とはいえ、初勝利を祝うために集ったわけではない。
今回の勝利でいくらか勢力範囲を押し返すことができたが、まだまだ聖王国の奪われた領地は大きい。大事なのはここからだった。
「レリアナ様、戦場で見せた金色の輝きをここで再現できますか?」
キッドの問いかけに、対面に座るレリアナは申し訳なさそうな顔で首を横に振る。
「戦いが終わってから何度も試したんですけど……1回も出せていません。そもそもあの時、どうやってあんな光が出せたのか自分でもわからないんです……」
先代聖王と同じ力を使いこなせれば、聖王としての存在価値をレリアナは自分でも認めることができる。戦いが終わると同時に消えてしまった黄金の輝きを、誰かに言われるまでもなく、レリアナは再び出そうとすでにいやというほど試していた。
「キッド君、レリアナ様のあの光はなんだったんですか?」
キッドの隣に座るルイセがキッドへと顔を向ける。先代聖王のことについて知らないルイセにとっては、あのレリアナの輝きは初めて見るものだった。
「あれは霊子の輝きだ。目に見えないはずの霊子が、人の目に見えるほどに色濃く発現したものだ」
「霊子がそんなふうになることがあるんですか?」
魔導士としての資質を持つルイセは、霊子にも精通している。その彼女の常識に照らしてみれば、霊子が目に見えるなど考えられないことだった。
「普通ならあり得ないな。少なくとも人間には無理だ。もしもできるとすれば、竜王のような人を超えた存在くらいだ。けど、神の啓示を受けたレリアナ様に竜王の霊子が宿るとは思えない。だから、レリアナ様にあんな霊子の力を与える存在があるとすれば、それは神――そういうことですよね、レリアナ様?」
キッドは改めて顔をレリアナに向けるが、彼女は素直にうなずけない。彼女自身、いや、彼女だけでなく先代聖王や、白の聖王国の人間も、あの霊子の正体については推測するだけで、真実は誰も知らなかった。
「……多分、そういうことだと思います。私にもよくはわからないのですが」
レリアナの反応に、キッドは驚きに一瞬目を大きく開く。
「もしかして、聖王国の人達も神の霊子を宿す方法についてわかってないんですか?」
「……はい。お恥ずかしながら」
キッドは、他国には伏せているものの、聖王国の人間は聖王の輝く霊子については、それがどういった存在によるものなのか、そしてどうやって発現させるのか知っているものだと思っていた。少なくとも、聖王には代々伝えられているのだろうと考えていた。
だが、目の前のレリアナが嘘をついているようには見えない。
キッドは、聖王をはじめとした聖王国の人間も、自分と同程度の理解しかしていないのだということを初めて知った。
「だとしたら、レリアナ様が再現できないというのも納得ができますね」
「……すみません」
下級貴族の時の癖がいまだ抜けないレリアナは、聖王としてはあり得ないことだが、素直に謝ってしまう。この場に聖王国の重鎮でもいれば、そんな反応をする聖王レリアナに慌てふためいただろうが、彼女の人となりをよく知っているティセやフィーユは何も言わずにスルーしていた。むしろキッドの方が慌ててしまう。
「いえ、レリアナ様が謝るようなことではありませんよ!」
キッドの様子に、申し訳なさそうにしていたレリアナが少し微笑んだ。
だが、謝罪する必要はないかもしれないが、あの力をレリアナが自由に使えないという事実は、聖王国軍の戦略に関しては重要な問題だった。
状況を冷静に捉えているルイセが口を開く。
「キッド君、そうなると、聖王国軍としては手痛いですね。あの力を持ったレリアナ様が聖騎士団と共にいれば、青の導士は海王波斬撃を簡単には撃てなくなったでしょうに、力が使えないとなればそうもいかなくなりますね」
自身だけでなく、周囲にいる者への海王波斬撃のダメージまでもを減じたあの聖王の黄金の霊子、それがあるかないかの差はあまりにも大きい。
そのことはレリアナ達もわかっていたのだろう、レリアナ、ティセ、フィーユの3人もついうつむいてしまう。
しかし、キッドはそうではなかった。彼だけが見えているものがあるのだろう、しっかりと顔を上げている。
「……いや、そうとは言い切れない」
「そうなんですか?」
キッドの対面のレリアナが顔を上げた。
「レリアナ様があの力を自由に出せないことを知っているのは、ここにいる者だけですよね?」
「ええ。情けないので誰にも話していません」
「なら、ここにいる5人だけの秘密にしてください。そうすれば、このことを敵に知られることもありません」
「敵に知られてなくても、実際に力が使えないのでは同じじゃないの?」
フィーユが顔を上げ、素直な疑問を呈してくる。
「敵にとっては同じじゃないんだよ。金の輝きをまとっていなくても、レリアナ様がそこにいれば、いざとなったらまたあの力を使われると思って、青の導士は迂闊に海王波斬撃を撃てなくなる」
キッドはフィーユのまっすぐで大きな黒い瞳を見ながら、力強く断言した。
「なぜそう言い切れるの? 今度は通用するかもしれないと思って試しに撃ってくる可能性もあるんじゃないかしら? もしそうなったらレリアナ様に被害が及んでしまう。そうなるなら、私はレリアナ様が聖騎士達と一緒に前に出るのは認められないわ」
キッドに厳しい目を向けてきたのはティセだった。彼女にとってはレリアナの身の安全が何より重要だ。万が一にも海王波斬撃を撃たれてしまっては、今のレリアナではその直撃を受けることになる。その可能性があるならティセとしてはレリアナが聖騎士団と共に前に出ることを認めるわけにはいかなかった。
「海王波斬撃が撃てるのは一度きり。しかも、一度撃てば魔力はほぼ枯渇する。そんな状況では、確実にダメージを与えられるという確信がない限り、俺なら撃ちはしない」
「キッドはそうかもしれないけど、青の導士も同じとは限らないでしょ?」
「いや、間違いなくルブルックもそう考える」
ティセの疑問は当然のものに思えたが、キッドは確信をもって答えていた。
「なぜそう言い切れるの? キッドだって青の導士を見たのは今日の戦いが初めてなんでしょ?」
「確かに見たのは初めてだが、それでわかることもある。ほかの魔導士ならばこんな断言はできないだろうが、あのルブルックという男なら間違いなく俺と同じ考えをする。……俺にはそれがわかる」
キッドがルブルックと目を合わせたのは短い時間のことだ。しかし、それで十分だった。それだけで相手が自分と同じ種類の人間だとキッドにはわかった。そして、同じ道を歩むことはできず、どこかで決着を付けねばならない相手だとも。
とはいえ、特別な魔導士同士のその感覚が、ほかの者に理解できるはずもなく、ティセは得心がいかない表情のままだった。。
「そんな確かな根拠のない話では納得できないわ」
ティセは頑として譲らない様子だったが、そこにレリアナが割って入る。
「私はキッドの言うことを信じます。張りぼてでも、私がいることで海王波斬撃を撃たせずに済むのなら、私は聖騎士達と共に戦います」
「レリアナ様!? そんな危険なこと、認めるわけにはいきません!」
「ティセ、これは聖王である私の意思です」
レリアナから真摯な瞳を向けられてはティセも折れるしかなかった。
「……レリアナ様、わかりました」
レリアナのおかげでなんとかティセを説得できたが、前にでるレリアナが危険なことはキッドも十分認識していた。注意しなければならないのは、海王波斬撃だけではない。
だからキッドは、目の前の三人、ティセ、レリアナ、フィーユの三人の顔を順に見て、口を開く。
「とはいえ、海王波斬撃が飛んでこないからと言って油断はできません。この状況ならば、青の導士はレリアナ様を狙ってきます。レリアナ様がいるから海王波斬撃を撃てないのなら、それを排除するまで、奴ならそう考えます。だから、フィーユとティセには、レリアナ様のそばについて、しっかりと守ってもらわなければならない」
「わかったよ、キッド!」
「それはもちろんそのつもりだけど……あなたはどうするの?」
ティセに問われて、キッドは背筋を正して、一息つく。
「ルブルックの取る戦略は二つ。一つはレリアナ様を排除して、海王波斬撃を撃てる状況を作ること。そして、もう一つは、こちらの竜王破斬撃を撃てないようにすること。レリアナ様を討てずとも、こちらの竜王破斬撃をなくせれば、青の王国軍にとってはイーブンの状況となる。ルブルックはレリアナ様ともう一人、俺のことを必ず狙ってくる。だから、俺とルイセは別行動を取り、奴を迎え撃つつもりだ」
ルブルックとの対決を言い切るキッドを、フィーユが心配そうな目を向けてきた。
「でも、キッド。青の導士には、魔法を封じる結界領域があるんだよ。その領域の中でも使える魔導砲を持つ青の導士を相手に、魔導士が戦うのは危険だと思う」
「確かに何も知らない状況で戦ってたのなら、かなり危なかっただろうな。だけど、フィーのおかげで俺は相手の手の内を知っている。だから、大丈夫、任せてくれ」
「でも……」
実際にルブルックと戦ったフィーユはそれでもまだ不安な顔のままだった。
「フィーさん、大丈夫です。キッド君には私がついています。誰にも傷付けさせはしません」
「ルイセさん……」
自分の命さえ懸けるとルイセのまっすぐな瞳は言っていた。その目で見つめられては、フィーユはもうそれ以上何も言えなくなる。
そのルイセは、対面に座るフィーユの方を向いているため、隣にいるキッドには彼女がどんな目をしているのか見えてはない。
(ミュウの時もそうだけど、ルイセにもこんなこと言われるなんて、俺って相当頼りないのだろうか?)
だから、ルイセがどれほどの想いをしているのかも気づかずに、キッドはそんなことを考えていた。
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~
夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。
「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。
だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに!
サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。
だが、ある日突然――運命は動き出す。
フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。
「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。
死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。
この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。
孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。
そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる