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1章:踊り子 アナベル
踊り子 アナベル 5-1
しおりを挟む「記憶喪失の女の子かー。親戚とか思い出せないか?」
アナベルはクレマンの言葉に首を左右に振った。親戚もなにも、あの村のことしか知らないのだから。
「そっかぁ……」
「ねえ座長。この子、行く場所がないなら、あたしたちの一座に加えようよ。あたしねぇ、前から可愛い女の子が欲しかったんだぁ」
「簡単に言うなよ、ミシェル。はぁ、まったく。とりあえず、今日はここで野宿だ。準備しな、野郎ども!」
「あれ、良いんすか、いつもならもう少し歩くのに」
「良いんだよ。オレがそう言っているんだから」
「やったー! 確かこの近くに湖あったよね。みんなー、水浴びの時間だよ!」
きゃあきゃあと女性たちの歓喜の声が聞こえた。男性たちがテントを張っている中、女性たちはタオルと着替えを持って湖へ向かう。アナベルもミシェルに連れられて湖に来た。
「……湖に入るの? 冷たいのに?」
「ふっふっふ、湖の一部をお湯に変えてしまうのさ。まぁ、見ててごらん?」
服を脱いで全裸になった女性たちを見ると、アナベルは顔を赤らめた。恥じらうことなく堂々としているのを見て、動揺している自分のほうがおかしいのかな? とぐるぐる考え込む。
「いやぁ、魔法って便利だねぇ」
魔法でどんどんと、なにかが出来上がっていく。女性たちが協力して、湖の一部を魔法で区切ったようだ。そして、ミシェルが近付いて、そっと湖の表面に触れると――湯気が立ち込めた。
「えっ!?」
「さすがミシェル! さぁ、みんなで入るわよ!」
「やったぁ!」
「ミシェル最高ーっ!」
「はいはい、しっかり温まるんだよ!」
女性たちはとてもはしゃいでいた。
ミシェルの手によってアナベルも服を剥がれて、お湯に浸かることになった。
「……あれ?」
アナベルが自分の身体を見て思わずと言うように声を上げた。それに気付いたミシェルが、「どうかした?」と声を掛けて来る。
「傷がない……?」
「ああ、回復魔法を掛けたからね。回復魔法を掛けても丸一日は目覚めなかったから、よっぽど疲れていたんだろうねぇ……」
よしよし、と頭を撫でられたアナベルは、他の人たちからも同情の視線を受けていることに気付いて、周りを見渡す。そしてミシェルにぎゅっと抱き着いた。
「おや、どうしたの?」
「……どうしてみんな、アナベルを見るの?」
「ん~、そりゃあ拾った女の子が目を覚ませばねぇ……。でも、そうね。いきなりこんなにたくさんの人たちに見られたら怖いよね、ごめんごめん。……そんなわけだから、お前たちはこっちを見ないであっちを見てなさいな」
「えーっ、ミシェルだけ可愛い子を独り占めなんて、ずるいわよぉ」
「そうよ、私たちだって仲良くしたいわぁ」
ミシェルの言葉に女性たちは唇を尖らせて文句を口にする。ミシェルはそんな彼女たちとの会話を楽しそうに交わしていた。
アナベルは女性たちに髪を洗われたり、顔を洗われたり、身体を洗われたりしてピカピカに綺麗になった。
「……あらぁ、これは……とっても可愛いわぁ……」
「本当、まるで天使のようね」
「うーん、これは将来絶対に綺麗になるわよぉ」
と、マジマジ見られて身体を隠すように縮こまる。
「ねえ、ミシェル、水浴びもしていい?」
「気をつけるならね」
「わかってるわ。ふふ、水浴びも気持ち良いのよねぇ」
楽し気に女性たちは湖の水に触れたり、寒くなったらお湯に戻ったりと自由に楽しんでいた。
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