【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。

秋月一花

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5章:エピローグへの足音

エピローグへの足音 3-1

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 イレインの目が大きく見開かれる。

「ど、どういう意味でしょう、エルヴィス陛下。エルヴィス陛下を支え続けたわたくしをお見捨てになるつもりですの!?」

 カッと顔を赤らめて、イレインが抗議の声を上げる。アナベルは、その様子をただ黙って見ていた。

「支え続けた……? 王妃という立場を利用して、散々と悪行をしてきたことを、支え続けた、だと……?」

 エルヴィスが地の底に響くような低い声を出した。ビクッとイレインの肩が震えるのを見て、アナベルは目元を細める。

「まさか本当に、全部自分の思い通りになると思ったの?」

 くすっと笑われて、イレインはアナベルを睨みつけた。

「そんなこと、まかり通るはずないじゃなぁい?」

 こてんと首を傾げて、アナベルは美しく微笑んだ。そして、そのままイレインに一歩ずつ近づいていく。

 イレインはじりじりと後ろに下がり、近くにいる人たちに対して、「私を守りなさい!」と叫んだ。

 だが、イレインの言葉を聞き入れる人は誰ひとりとしていなかった。

「言ったでしょう、王妃サマ。あんたの天下は今日で終わりだって。こっちはいろいろと証拠を集めたんだから。王妃サマが嬉々として拷問している場面もあるわよ?」

 オーブで記録出来た、イレインの悪行は数多くあった。

 イレインは知らない。そんなものが自分の住んでいる宮殿にまで置いてあったことを。

 さらに、国王からの『贈り物』として、指定の場所に置かれていたことを。

 追い詰められたイレインは、ぐっと唇を噛み締める。

「あらぁ? そんなに唇を噛んだら、血が出ちゃいますよぉ?」

 アナベルが挑発するように軽い口調で言えば、イレインは「うるさい!」と叫んだ。

 会場内は戸惑っている人が多かったが、段々とイレインの不利を受け入れているようだった。

「そんな口調で! いやしい踊り子が私に声を掛けるな!」
「まだ、それを言うの? ほんっとうに、残念な人ねぇ……」

 ナイフの切っ先を向けたまま、アナベルは呆れたように息を吐いて頬に手を添えた。

「王妃イレイン、あなたがおとっていると思う人に、自分の存在をおびやかされる気分はどう?」

 アナベルの問いに、イレインは答えない。ただ、彼女のことを睨むだけだった。

「ふふ、残念だわ。出会い方が違えば、もっとあなたを苦しめられたのかもしれないのに。本当に残念だわ」

 そういって、アナベルはタンッと床を蹴ってイレインに向かい突進する。

「きゃぁああッ!」

 ドン、と体当たりをすると、イレインが倒れた。

 しかし、アナベルの持っているナイフには血がついてなかった。

「……本当に殺すわけないじゃない。あなたの罪をすべて裁くまで、生かしておくに決まっているでしょう?」

 そういって、アナベルは冷たい視線でイレインを見下みおろした。
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