49 / 70
2章:異存
再会
しおりを挟む
まさか姿が変わるとは思わず、見慣れない紬の姿に呆然としている架瑠。
紬は彼を守るようにその背を向け、大きな刀を構える。
「その刀は……?」
「焔刃。俺の武器だ」
かなりの大きさの刀だ。今の紬と同じくらいの大きさ。元の紬も身長が高かったが、今のほうが一回りほど大きく感じた。
黒板の血文字が『ジャマヲスルナ!!』と拡大された。血文字から次々と人間の手が飛び出し、ぐねぐねと動いて架瑠を狙う。
「させるかっ!」
ブン、と焔刃を振り回す。刃は黒い金属のような質感に覆われ、先端から紅蓮の炎がしたたり落ちていた。
まるで血のように赤い火花が床に落ち、ジュッと焦げる音が響く。
どす黒い血でできた人間の手は、焔刃に焼かれては元に戻る。部室に閉じ込められるたびに、紬の炎で黒板を焼いて帰っていたからか、この怪異に彼の炎がなかなか通じないようだ。
(このままじゃ……)
紬の背中を見つめながら、架瑠はゆっくりと立ち上がる。絞められていた喉元をそっと撫で、なにかを探るように辺りを見渡す。
このままでは紬の力を無駄に使ってしまう。この姿がいつまで持つかわからない。
もしかしたら、途中で紬の力が尽きてしまうかもしれない。そこまで考えて、架瑠はぐっと拳を握り、目を閉じた。
(なにか、解決の糸口があれば――……!)
架瑠の身体が、淡く光る。その光はまばゆく、部室全体――いや、部室を通り越して校舎に広がる。
その瞬間、チリン、と鈴のような音が架瑠たちの耳に届いた。
部室の隙間から、冷気が入り込み、扉が一瞬で氷漬けになったのを見て、紬がふっと表情を緩める。
さらに扉は冷気に耐えきれなくなったのか、バァンと大きな音を立てて吹き飛ぶ。その音にビクッと肩を揺らして、架瑠は目を開けた。
「――あらあら、まさかこんなふうに再会するとはね」
さらりと銀色の長い髪が流れ、空色の大きな瞳で架瑠と紬を視界に入れる。
彼女の後ろには、茉莉と佑心がひょこりと顔を見せたことに、架瑠は安堵したように息を吐いた。
「こいつを倒せばいいのよね?」
「ああ、きっとキミたちなら倒せるだろう」
「えっと、あの、あの人は、誰ですか……?」
銀華は佑心に声をかけ、彼は大きくうなずいた。茉莉は見慣れない紬の姿に首を傾げる。
「九鬼紬くんだろう?」
「えっ!?」
佑心はすぐに紬だと気付いたようで、茉莉に伝える。彼女は大きく目を見開いて、紬のことをじっと見つめた。
「とりあえず、この気持ち悪い手をどうにかしないとね」
銀華の手に、冷気が集まる。
「こゆき、わたしのサポートを」
「うん、まかせてっ」
銀華の肩から、手のひらよりも少し大きな狐のような生き物が姿を見せた。
ふわふわの白い毛皮に、狐のような耳の先は氷の結晶があり、そこからチリンと鈴のような音が鳴った。大きくて丸い青い瞳に瞳孔は、目の前の人間の手を獲物と思ったのかすぅと細くなる。
ピョン、と彼女の肩から床に着地し、長い尻尾を左右に振ると、冷たい霧が漂う。
ふと銀華の手に視線を移すと、大きな扇子が握られていた。
紬は彼を守るようにその背を向け、大きな刀を構える。
「その刀は……?」
「焔刃。俺の武器だ」
かなりの大きさの刀だ。今の紬と同じくらいの大きさ。元の紬も身長が高かったが、今のほうが一回りほど大きく感じた。
黒板の血文字が『ジャマヲスルナ!!』と拡大された。血文字から次々と人間の手が飛び出し、ぐねぐねと動いて架瑠を狙う。
「させるかっ!」
ブン、と焔刃を振り回す。刃は黒い金属のような質感に覆われ、先端から紅蓮の炎がしたたり落ちていた。
まるで血のように赤い火花が床に落ち、ジュッと焦げる音が響く。
どす黒い血でできた人間の手は、焔刃に焼かれては元に戻る。部室に閉じ込められるたびに、紬の炎で黒板を焼いて帰っていたからか、この怪異に彼の炎がなかなか通じないようだ。
(このままじゃ……)
紬の背中を見つめながら、架瑠はゆっくりと立ち上がる。絞められていた喉元をそっと撫で、なにかを探るように辺りを見渡す。
このままでは紬の力を無駄に使ってしまう。この姿がいつまで持つかわからない。
もしかしたら、途中で紬の力が尽きてしまうかもしれない。そこまで考えて、架瑠はぐっと拳を握り、目を閉じた。
(なにか、解決の糸口があれば――……!)
架瑠の身体が、淡く光る。その光はまばゆく、部室全体――いや、部室を通り越して校舎に広がる。
その瞬間、チリン、と鈴のような音が架瑠たちの耳に届いた。
部室の隙間から、冷気が入り込み、扉が一瞬で氷漬けになったのを見て、紬がふっと表情を緩める。
さらに扉は冷気に耐えきれなくなったのか、バァンと大きな音を立てて吹き飛ぶ。その音にビクッと肩を揺らして、架瑠は目を開けた。
「――あらあら、まさかこんなふうに再会するとはね」
さらりと銀色の長い髪が流れ、空色の大きな瞳で架瑠と紬を視界に入れる。
彼女の後ろには、茉莉と佑心がひょこりと顔を見せたことに、架瑠は安堵したように息を吐いた。
「こいつを倒せばいいのよね?」
「ああ、きっとキミたちなら倒せるだろう」
「えっと、あの、あの人は、誰ですか……?」
銀華は佑心に声をかけ、彼は大きくうなずいた。茉莉は見慣れない紬の姿に首を傾げる。
「九鬼紬くんだろう?」
「えっ!?」
佑心はすぐに紬だと気付いたようで、茉莉に伝える。彼女は大きく目を見開いて、紬のことをじっと見つめた。
「とりあえず、この気持ち悪い手をどうにかしないとね」
銀華の手に、冷気が集まる。
「こゆき、わたしのサポートを」
「うん、まかせてっ」
銀華の肩から、手のひらよりも少し大きな狐のような生き物が姿を見せた。
ふわふわの白い毛皮に、狐のような耳の先は氷の結晶があり、そこからチリンと鈴のような音が鳴った。大きくて丸い青い瞳に瞳孔は、目の前の人間の手を獲物と思ったのかすぅと細くなる。
ピョン、と彼女の肩から床に着地し、長い尻尾を左右に振ると、冷たい霧が漂う。
ふと銀華の手に視線を移すと、大きな扇子が握られていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる