オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

再会

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 まさか姿が変わるとは思わず、見慣れないつむぎの姿に呆然としている架瑠かける

 紬は彼を守るようにその背を向け、大きな刀を構える。

「その刀は……?」
焔刃えんじん。俺の武器だ」

 かなりの大きさの刀だ。今の紬と同じくらいの大きさ。元の紬も身長が高かったが、今のほうが一回りほど大きく感じた。

 黒板の血文字が『ジャマヲスルナ!!』と拡大された。血文字から次々と人間の手が飛び出し、ぐねぐねと動いて架瑠を狙う。

「させるかっ!」

 ブン、と焔刃を振り回す。刃は黒い金属のような質感に覆われ、先端から紅蓮の炎がしたたり落ちていた。

 まるで血のように赤い火花が床に落ち、ジュッと焦げる音が響く。

 どす黒い血でできた人間の手は、焔刃に焼かれては元に戻る。部室に閉じ込められるたびに、紬の炎で黒板を焼いて帰っていたからか、この怪異に彼の炎がなかなか通じないようだ。

(このままじゃ……)

 紬の背中を見つめながら、架瑠はゆっくりと立ち上がる。絞められていた喉元をそっと撫で、なにかを探るように辺りを見渡す。

 このままでは紬の力を無駄に使ってしまう。この姿がいつまで持つかわからない。

 もしかしたら、途中で紬の力が尽きてしまうかもしれない。そこまで考えて、架瑠はぐっと拳を握り、目を閉じた。

(なにか、解決の糸口があれば――……!)

 架瑠の身体が、淡く光る。その光はまばゆく、部室全体――いや、部室を通り越して校舎に広がる。

 その瞬間、チリン、と鈴のような音が架瑠たちの耳に届いた。

 部室の隙間から、冷気が入り込み、扉が一瞬で氷漬けになったのを見て、紬がふっと表情を緩める。

 さらに扉は冷気に耐えきれなくなったのか、バァンと大きな音を立てて吹き飛ぶ。その音にビクッと肩を揺らして、架瑠は目を開けた。

「――あらあら、まさかこんなふうに再会するとはね」

 さらりと銀色の長い髪が流れ、空色の大きな瞳で架瑠と紬を視界に入れる。

 彼女の後ろには、茉莉まつり佑心うみがひょこりと顔を見せたことに、架瑠は安堵したように息を吐いた。

「こいつを倒せばいいのよね?」
「ああ、きっとキミたちなら倒せるだろう」
「えっと、あの、あの人は、誰ですか……?」

 銀華ぎんかは佑心に声をかけ、彼は大きくうなずいた。茉莉は見慣れない紬の姿に首を傾げる。

九鬼くき紬くんだろう?」
「えっ!?」

 佑心はすぐに紬だと気付いたようで、茉莉に伝える。彼女は大きく目を見開いて、紬のことをじっと見つめた。

「とりあえず、この気持ち悪い手をどうにかしないとね」

 銀華の手に、冷気が集まる。

「こゆき、わたしのサポートを」
「うん、まかせてっ」

 銀華の肩から、手のひらよりも少し大きな狐のような生き物が姿を見せた。

 ふわふわの白い毛皮に、狐のような耳の先は氷の結晶があり、そこからチリンと鈴のような音が鳴った。大きくて丸い青い瞳に瞳孔は、目の前の人間ヒトの手を獲物と思ったのかすぅと細くなる。

 ピョン、と彼女の肩から床に着地し、長い尻尾を左右に振ると、冷たい霧が漂う。

 ふと銀華の手に視線を移すと、大きな扇子が握られていた。
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