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第2章 色んな種族さん!こんにちは〜材料集め編ー空色の革布〜
間話 ツバルの過去
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――――――――――――
間話 ツバルの過去
※ツバルside
――――――――――――
コンテスト開催が正式に決まった、その日の夜。部屋の灯りを落とし、僕は一人、窓辺に立っていた。
「今年の開催場所は……ブルガリ海岸……」
ぽつりと呟いた瞬間、胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。
「……僕の、故郷だ」
続けて思い浮かんだ名前に、息が詰まった。
「そして、海上レストラン《アサナ》は……アイツの……」
――そこまで言って、もう耐えられなかった。鍵をかけていた記憶が、堰を切ったように溢れ出す。
◆
僕は、ブルガリ海岸を治める貴族、ターバン家に生まれた。
生まれる前から、僕の価値は決められていた。
「女の子でなければならない」
理由は単純だ。 白鮫一族――ブルガリ海岸の実権を握る名家に、娘を嫁がせるため。
政略。権力。地位。 それらを得るための“駒”。
そして僕は、まだ産声も上げていない段階で、白鮫の魚人・シャーガスとの婚約者として名を刻まれていた。
だが――生まれてきた僕は、男だった。
本来なら、そこで婚約は白紙になる。 この世界では、同性同士の婚約は禁止されているからだ。
……普通なら。
ツバル父「この子を、女性として育てよう!」
父の声は、今でも耳にこびりついている。
ツバル父「服も作法も女物にすれば、ツバル自身が“女”だと認識するはずだ。」
母も、楽しそうにうなずいた。
ツバル母「そうね。顔も可愛いし、小柄だもの。この子のためよ!性別変換のお呪いを使えば……16年後には、本当の女の子になれるわ」
“この子のため”。
その言葉が、どれほど残酷だったか、あの人たちは気づいていない。
シャーガス父「交渉成立ですな」
シャーガスの父が満足げに笑う。
シャーガス父「末永く、よろしく頼みますぞ。ターバン夫妻」
その隣で、シャーガスの母だけが、言葉を失っていた。
シャーガス母「…………」 (この三人……正気なの……?普通は婚約破棄でしょう…同意もなく、子供の性別を変えるなんて……)
けれど、彼女の疑問は、誰にも届かなかった。
そうして―― 僕の“女性化”は、当然のように始まった。
男として生まれた僕は、抵抗した。 泣いて、叫んで、嫌だと訴えた。
でも、逆らうたびに―― 殴られ、叩かれ、食事を与えられず、暗い部屋に閉じ込められた。だから、従うしかなかった。
「……スカートなんて、履きたくない」
「“私”だなんて、言いたくない」
鏡に映る自分が、どんどん分からなくなる。
「自分を偽るのは……こんなにも、苦しいのに……」
いつ終わるのかも分からない地獄。 逃げ場は、どこにもなかった。
嫌々ながらドレスを纏い、 貴族女性としての作法を叩き込まれる日々。
そして、僕が10歳になった年。 ターバン家主催の舞踏会で、ついに“婚約者”と顔を合わせることになった。
シャーガス「へぇ……これが、俺の婚約者か」
低く、湿った声。
シャーガス「ちんまりしてて、可愛いな。六年後が、楽しみだな」
目の前に立つ、白い鱗を持つ魚人。 シャーガス。
「……は、初めまして……」 震える声で、頭を下げる。
「ツバル・ターバンです……」
手も、足も、止まらないほど震えていた。
――その瞬間、僕は理解した。
逃げられない。
同じ性別。 相手は僕を気に入った。
両家は、この関係を“成功”と呼んでいる。
あと、六年。
六年後、僕は“女”として完成し、シャーガスと結婚する。
……そう、決められていた。
◆
「……ブルガリ海岸……」
現実に戻り、僕は小さく息を吐いた。
ニャリンガさんの笑顔が、脳裏をよぎる。
彼女を守りたいと思う気持ちの奥に、こんな過去が、ずっと眠っていた。
――だからこそ。
もう、誰にも、奪わせない。 僕の人生は僕のものだ。今回のコンテストで優勝して、呪を解いてもらう。
そして…ニャリンガさんに…。
僕は、拳を静かに握りしめた。
コンテストまで―― そして、シャーガスと再び向き合うまで。
もう、僕は逃げない。
間話 ツバルの過去
※ツバルside
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コンテスト開催が正式に決まった、その日の夜。部屋の灯りを落とし、僕は一人、窓辺に立っていた。
「今年の開催場所は……ブルガリ海岸……」
ぽつりと呟いた瞬間、胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。
「……僕の、故郷だ」
続けて思い浮かんだ名前に、息が詰まった。
「そして、海上レストラン《アサナ》は……アイツの……」
――そこまで言って、もう耐えられなかった。鍵をかけていた記憶が、堰を切ったように溢れ出す。
◆
僕は、ブルガリ海岸を治める貴族、ターバン家に生まれた。
生まれる前から、僕の価値は決められていた。
「女の子でなければならない」
理由は単純だ。 白鮫一族――ブルガリ海岸の実権を握る名家に、娘を嫁がせるため。
政略。権力。地位。 それらを得るための“駒”。
そして僕は、まだ産声も上げていない段階で、白鮫の魚人・シャーガスとの婚約者として名を刻まれていた。
だが――生まれてきた僕は、男だった。
本来なら、そこで婚約は白紙になる。 この世界では、同性同士の婚約は禁止されているからだ。
……普通なら。
ツバル父「この子を、女性として育てよう!」
父の声は、今でも耳にこびりついている。
ツバル父「服も作法も女物にすれば、ツバル自身が“女”だと認識するはずだ。」
母も、楽しそうにうなずいた。
ツバル母「そうね。顔も可愛いし、小柄だもの。この子のためよ!性別変換のお呪いを使えば……16年後には、本当の女の子になれるわ」
“この子のため”。
その言葉が、どれほど残酷だったか、あの人たちは気づいていない。
シャーガス父「交渉成立ですな」
シャーガスの父が満足げに笑う。
シャーガス父「末永く、よろしく頼みますぞ。ターバン夫妻」
その隣で、シャーガスの母だけが、言葉を失っていた。
シャーガス母「…………」 (この三人……正気なの……?普通は婚約破棄でしょう…同意もなく、子供の性別を変えるなんて……)
けれど、彼女の疑問は、誰にも届かなかった。
そうして―― 僕の“女性化”は、当然のように始まった。
男として生まれた僕は、抵抗した。 泣いて、叫んで、嫌だと訴えた。
でも、逆らうたびに―― 殴られ、叩かれ、食事を与えられず、暗い部屋に閉じ込められた。だから、従うしかなかった。
「……スカートなんて、履きたくない」
「“私”だなんて、言いたくない」
鏡に映る自分が、どんどん分からなくなる。
「自分を偽るのは……こんなにも、苦しいのに……」
いつ終わるのかも分からない地獄。 逃げ場は、どこにもなかった。
嫌々ながらドレスを纏い、 貴族女性としての作法を叩き込まれる日々。
そして、僕が10歳になった年。 ターバン家主催の舞踏会で、ついに“婚約者”と顔を合わせることになった。
シャーガス「へぇ……これが、俺の婚約者か」
低く、湿った声。
シャーガス「ちんまりしてて、可愛いな。六年後が、楽しみだな」
目の前に立つ、白い鱗を持つ魚人。 シャーガス。
「……は、初めまして……」 震える声で、頭を下げる。
「ツバル・ターバンです……」
手も、足も、止まらないほど震えていた。
――その瞬間、僕は理解した。
逃げられない。
同じ性別。 相手は僕を気に入った。
両家は、この関係を“成功”と呼んでいる。
あと、六年。
六年後、僕は“女”として完成し、シャーガスと結婚する。
……そう、決められていた。
◆
「……ブルガリ海岸……」
現実に戻り、僕は小さく息を吐いた。
ニャリンガさんの笑顔が、脳裏をよぎる。
彼女を守りたいと思う気持ちの奥に、こんな過去が、ずっと眠っていた。
――だからこそ。
もう、誰にも、奪わせない。 僕の人生は僕のものだ。今回のコンテストで優勝して、呪を解いてもらう。
そして…ニャリンガさんに…。
僕は、拳を静かに握りしめた。
コンテストまで―― そして、シャーガスと再び向き合うまで。
もう、僕は逃げない。
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ご返信ありがとうございます。さっそくネタバレのイラストも探してみます。
こもれび様
この作品をお読みいただき、ありがとうございます!ツバルの過去は中々ヘビー級です。書いてる作者も「うっ」としながら、続きを書いてます。
引き続きよろしくお願いいたします。
それと1つネタバレです。現在のツバルは呪われた姿です。本来の姿はこの小説の何処かにイラストで描いています!