-RINNE-ボーイズラブ恋愛シミュレーション人狼『輪廻』

TERRA

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恋愛シミュレーション人狼RINNE

CHAPTER3紫苑/RINNE

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夕方の保健室。
窓際のカーテンは薄橙に染まり、外から差し込む残照が静かに室内を包んでいた。
ランプの灯りが心もとない影を落とし、薬品の匂いと消毒液の冷たい香りが漂う。

ベッドに横たわる輪廻は、体の熱っぽさに抗えず、うとうとと浅い眠りに沈んでいた。

「ん……んん……」

寝ぼけ声を洩らしながら薄く瞼を開くと、視界いっぱいに端正な顔立ちが映り込んだ。
涼しげな紫苑の瞳が、至近距離からじっと覗き込んでいる。

「……っ!」

胸が跳ね上がる。
息が喉に詰まる。
目の前にあるのは、生徒が憧れる教師の横顔。
普段よりも近い距離にいるだけで、妙に熱を帯びるのを感じた。

「おはよう。ずいぶん気持ちよさそうに寝ていたね。」

穏やかな声が耳朶を撫でる。
紫苑は柔らかく微笑むと、脚を組み直しながら椅子に腰かけた。
その仕草には自然な優雅さがあった。

「うわっ……!」
飛び起きた輪廻は慌てて体を起こし、鼓動の早さを隠すように咳払いをする。

「ふふ。そんなに元気なら、ただのサボりかな?」

紫苑の冗談めいた言葉に、輪廻は一瞬むっとしたものの、その微笑にすぐに力が抜けた。
大人の余裕にからかわれている気がして、逆らえない。

やがて紫苑が、ベッド脇に置かれたスマホを指先で示す。
「さっきからずっと光ってるよ。確認した方がいいんじゃない?」

輪廻は慌てて手を伸ばし、メッセージを確認した。父からだった。

《仕事で迎えに行けなくなった。悪いがバスかタクシーで帰ってきなさい》

「……そんな……もうバスの時間、終わってるのに……」

落胆が喉を詰まらせる。
紫苑は眉を寄せ、輪廻をじっと見つめた。

「迎えが来ないんだね。しかもこの山奥じゃ、タクシーで帰るにも……」
「……はい。どうしよう……」

すでに週末の外泊許可は取ってしまった。
うつむいた輪廻の声は、心細さに震えていた。

紫苑は少しの間黙り、やがて静かに口を開いた。
「もしよければ、僕が送っていこうか?」

その言葉に、胸が一気に温かくなる。
冗談ではなく、本気の声音。
輪廻は一瞬戸惑ったが、その頼もしさに小さく頷いた。

――車内。

夜の道路を滑るように走る車。
低く流れる心地良い旋律が静寂に溶けていった。
紫苑はハンドルを握りながら横顔を見せる。
その横顔はランプの光を受けて陰影を増し、どこか艶めいて見えた。

「君の家は随分遠いんだね。今度はバスの時間に気をつけるんだよ。」

冗談めかした声に、輪廻は唇を尖らせた。
「すみません……父も急な仕事で……。しかも……鍵持ってないのに、父は深夜まで帰れないって……」

画面に浮かぶ新たなメッセージ。
読んだ瞬間、胸の奥が冷たくなった。

「そうか……」
紫苑は低く呟く。
片手でハンドルを操りながら、真剣な眼差しをこちらに向けた。
「なら、今夜は僕の家に来るといい。こんな辺鄙な場所で独りで夜を明かすのは危険だ。」

――助け舟。
その響きに、輪廻の心臓は跳ねる。
大人に導かれるような安心感と、同時に抗いがたい緊張感。

「先生、いつもこんなふうに生徒を助けているんですか?」

輪廻は、照れ隠しに視線を逸らして問いかけた。
紫苑は微笑む。
「助けるというより……当たり前の事だろう? 放っておけないだけさ。僕の前で困っている君を、見過ごせるわけがない。」

――その声音に、なぜだか胸の奥が熱く疼いた。

途中、輪廻が「飲み物を」と口にすると、紫苑はすぐに車を停めた。

コンビニの前。
紫苑が車で待つ中、輪廻はスマホを操作しながら歩いていた。
その時、背後から声がかかる。

「なあ、兄ちゃん。ちょっといい話があるんだけど」

数人の男がニヤつきながら近づいてくる。
夜の街灯の下、彼らの影が不気味に伸びた。

「え……?あの、急いでるんで……」

輪廻は後ずさりし、声が震えた。心臓が早鐘を打つ。

男の一人が肩を掴もうとした瞬間――

「彼に何か用ですか?」

低く冷たい声が空気を裂いた。
振り向けば、紫苑がそこに立っていた。

月明かりを背に受けるその姿は、どこか神秘的で、普段の穏やかさとは別の鋭い威圧感を帯びていた。

「ちっ、なんだお前……!」

狼狽する男たちに、一歩、紫苑が近づく。
その瞳は氷のように冷たく、しかし輪廻を守るための強い光を宿していた。

「君達こそ何の用かな。……これ以上彼に近づくなら、容赦はしないよ。」

その一言に、男たちは顔を引きつらせ、罵声を残して去っていった。

輪廻は震えたまま立ち尽くしていた。
紫苑が差し伸べる大きな手。
その温かさに触れた途端、全身の力が抜けてしまう。

「……怖かったね。もう大丈夫。」

優しく抱き寄せられる。
体温の差に頬が熱を帯び、心臓が壊れそうなほど脈打った。

――先生の腕の中。
その現実に、輪廻は混乱しながらも抗えず、ただ身を委ねた。

やがて紫苑の家で休むことになり、静かな部屋に身を落ち着けようとした瞬間。

視界が暗転する。
無機質なメニュー画面が浮かび、「CHAPTER3 CLEAR」の文字が刻まれる。

「……またか……」

輪廻は息を吐き、画面に並んだキーワードを見つめた。

紫苑
コンビニ
校外学習

「……紫苑先生。でも、これがどう繋がるんだ?」

疑問を抱えたまま、白い光が画面を満たしていく。
唇を噛み締め、次のチャプターへと進む選択肢を押した。
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