-RINNE-ボーイズラブ恋愛シミュレーション人狼『輪廻』

TERRA

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恋愛シミュレーション人狼RINNE

CHAPTER4緑/RINNE

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夕方の漢義学園。
山の斜面に建つ白い学舎と寮は、沈みゆく陽を受けて金色に縁取られていた。

輪廻は屋上の柵にもたれ、風に吹かれながら空をぼんやりと眺めていた。
遠くの街が早くも灯をともして、宵闇にちらちらと宝石のような光を散らしている。
その景色はどこか懐かしく、同時に「ここが日常の外にある世界」であることを思い出させた。

ふと背後に気配を感じ、振り返る。
少し離れた場所に緑が立っていた。
「……緑?」
呼びかけても、緑は答えない。
ただ、何か言いたげな表情を浮かべて躊躇し、結局そのまま背を向けて階段を下りていった。
残された輪廻は、その背中を見送りながら、胸の奥に小さな違和感を覚える。

夜。
輪廻は空腹を抱えたまま寮の廊下を歩いていた。
夕食を逃したことを思い出し、購買に立ち寄ったのだ。

購買の前には、夜更けまで起きている生徒たちがちらほらと集まっている。
ジャージ姿でカップ麺を抱えた者、ジュース片手におしゃべりをする者。
まるで小さな夜市のように、そこだけが賑やかだった。

輪廻も棚からカップ麺をひとつ取った。
だがすぐに困った顔になる。
(……部屋にお湯なんてないんだよな)
二人部屋の寮にキッチンはなく、湯を沸かす道具もない。
手にしたカップ麺が急に重たく思え、ため息がもれた。
「給湯室なんて……なかったよなぁ?」

その時、隣から声がかかる。
「困ってるなら……俺んとこ来る?」
驚いて顔を向けると、そこには緑が立っていた。
少し気恥ずかしそうに笑っている。
「独り言聞こえてたよ。お湯ないんだろ?ウチの部屋、ケトルならあるしさ。今夜はルームメイトも外泊だし……。」

緑の言葉に甘え、夜の寮の廊下を並んで歩く。
窓の外には、山あいの闇と、その下で瞬く街の灯り。
遠くの部屋からは笑い声やギターの音が漏れていて、それぞれの小さな夜更かしが、ひとつの校舎にぎゅっと詰め込まれていた。
そんな空気が妙に秘密めいて、輪廻の胸はくすぐられる。


緑の部屋に入ると、机の上には教科書の山とスポーツバッグが散らかっていた。
「悪りっ、片付いてなくて。」
緑は照れ笑いをしながらカップ麺に湯を注ぎ、湯気がふわりと立ちのぼる。
深夜に食べる背徳感と、温かな匂い。輪廻は小さな幸福に頬を緩めた。

二人で机を挟んで麺をすする。
自然と会話が始まったが、途中で緑がふいに声を低くする。
「……でさ、あの転校生ってどういう奴なんだよ。」

「転校生って……葵のこと?」
輪廻は箸を止めて聞き返す。

「そうだよ! なんでそんなに仲良くしてんの? いつも一緒だし……俺のことなんか忘れてんじゃないのかよ!」
不満が混じる声に、輪廻は目を瞬かせる。

(……これって、嫉妬してる?)
心の中で戸惑いながらも、小型犬のようにうるさくまくしたてる緑に、思わず口元が緩んだ。

「おい、なんで笑ってんだよ! 別にそういうんじゃないし!」
慌てて否定する緑の耳が赤い。
輪廻は笑いをこらえきれず、麺をすすってごまかした。

食べ終えた輪廻は礼を言って部屋を出る。
「お湯ありがとう。また今度遊びに来てもいい?」
「……あ、あぁ。いつでも来いよ。」
緑の照れた声が、背中に残った。


翌日、ランドリールームで緑と再会する。
部活帰りらしい緑はタオルを肩に掛け、少し疲れた様子だった。

「緑、お疲れ様。練習どうだった?」
輪廻が声をかけると、彼は息をつき、笑った。
「まあまあかなぁ。でも……部活より、こうしてリンネと話してる方が楽しいよ。」

その時、葵の声が入口から響いた。
「おーい、リンネ! ちょっといいか?」
明るい声に、緑の表情が一瞬で曇る。葵を睨むように視線を向け、輪廻に問いかけた。
「……だめ。リンネは俺と一緒にいるんだよな?」

気まずい沈黙が流れる。
「あ、うん……ごめんね葵。また後で話そ?」
葵は軽く肩をすくめて立ち去り、緑はようやく息を吐いた。
「……ごめん。つい、アイツにムカついちゃって。」
「気にしないで。大丈夫だか、。」
輪廻の笑みが、その棘を少しやわらげた。


その夜。
遅い時間に大浴場へ向かった輪廻は、幸運にも貸切の静けさを得ていた。
天井の高い空間に湯気がゆらめき、湯の音だけが響いている。
都会の喧騒から切り離された山上の寮で、この場所だけが別世界のようだった。

肩まで湯に浸かり、心がほどけかけたその時――扉が開く音。
「お、また会った。なんか今日はよく会う気がする。」
緑が入ってきた。

「確かに。てか、この時間に貸し切り状態ってラッキーだよね。」
湯気の向こうで笑う輪廻に、緑は真剣な眼差しを返す。

湯に身を沈めながら、緑はぽつりと告げた。
「てか最近、距離を置こうとしてたんだけどさ。……でも、アイツに盗られるくらいなら、もう……」

輪廻の手を、緑の手がそっと掴む。
「緑……?」
戸惑う声に、真剣な告白が重なる。
「好きなんだけど。……俺とアイツ、どっちがいいのか教えてくれよ。」

湯気の中、視線が絡み合う。心臓の鼓動がやけに大きく響く。

――その瞬間、視界が暗転した。
無機質なメニュー画面が浮かび上がり、冷たい文字が現れる。

《CHAPTER4 CLEAR》
《推理パートに進みます》

「またか……」
輪廻は深いため息をついた。

「推理……緑も関係あるのか?」
眉をひそめながら画面を見つめ、次の選択肢に指を伸ばした。
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