-RINNE-ボーイズラブ恋愛シミュレーション人狼『輪廻』

TERRA

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恋愛シミュレーション人狼RINNE

CHAPTER9桃瀬/RINNE

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日曜の夜。寮の自室は、いつも以上に静まり返っていた。
蛍光灯の白い光は頼りなく、カーテンの隙間から差し込む月明かりと混じり合い、薄い影を壁に投げている。

輪廻はベッドの端に座り、桃瀬と向かい合っていた。
理由の分からない違和感が胸の奥で膨らみ、息苦しさに似た圧迫感を与えていた。
なのに、不思議と桃瀬から目を逸らせない。

「リンネ……。」

桃瀬が囁くように名前を呼ぶ。
その声音は甘やかに響くはずなのに、耳の奥でひやりとした残響を残す。
彼は顔を近づけ、ふっと微笑んだ。

「えっ……?」

動けないまま、輪廻はその距離を受け入れるしかなかった。
触れた唇の感触に心臓が大きく跳ね、思考が真っ白になる。

「あっ……ごめん。嫌だった?」

桃瀬が小さく問いかける。
だが、その瞳には不安よりも、何か確かめるような冷ややかさが潜んでいた。

「いや、そうじゃなくて……あれ?ここって……。」

輪廻は混乱のまま部屋を見回す。
見慣れたはずの自室が、どこか別物に見えた。

「ふふ、寝ぼけてる?ほら、おいでよ。一緒に寝よ?」

桃瀬は柔らかく微笑み、手を差し伸べる。
その仕草に導かれるように輪廻はベッドに横たわり、まぶたが重く沈んでいく。

「……確かに、すごく眠い……。」

自分の声が遠のいていくのを感じながら、輪廻は闇に飲み込まれた。


目を開けると、そこは見知らぬ暗い部屋だった。
窓もなく、天井の裸電球が微かな光を落とすだけ。
手足を縛られ、椅子に固定されている。
息を荒げながら必死に身を捩るが、縄は冷たく肌に食い込み、自由を奪っていた。

「はっ……なんだ、ここは……?」

乾いた声が喉から漏れる。

その時、ギィ……と重たい扉が開き、桃瀬が入ってきた。
彼の顔には見慣れた笑みが貼り付いているはずだったが、その目は氷のように冷たかった。

「桃瀬……?これ、何……それにここって……。」

震える声で問いかける。

「分かんない?ここは僕の秘密の場所だよ。」

淡々と返される声に、背筋が冷たくなる。

「え……?でも、こんなことしてる場合じゃ……。」

必死に訴える輪廻を、桃瀬は首をかしげて見下ろした。

「こんなこと?」

口元だけを歪め、楽しむように近づいてくる。

「みんなが危険なんだ!こんなことしてる場合じゃないんだって!」

声を張り上げるが、返ってきたのは低く乾いた呟きだった。

「そうだね……でも、リンネがいなきゃこんなことにはならなかった。」

その言葉は刃物のように胸を刺した。
輪廻は息を詰め、言葉を失ったまま桃瀬を見つめ返すしかなかった。

桃瀬は無表情のまま一瞥し、扉を閉めて出て行った。


冷たい水を浴びせられ、輪廻は跳ねるように目を覚ました。
全身を濡らし震える視界の先に、バケツを持った桃瀬が立っていた。

「桃瀬……やめてよ……。」

かすれる声で訴える。

「明日のバス事故を止めたいんでしょ?」

冷え切った声が返る。

「そうだ……みんなを助けないと……。」

必死に縋るように言葉を紡ぐ。

「なら、僕ら二人はここにいれば安心だね。」

桃瀬は微笑んだ。
その笑みは温もりの仮面を被った冷酷さに満ちていた。

異様な違和感を覚え、その目を凝視する。

「みんな、リンネリンネリンネって……。だから、みんなしねばいい。」

囁くように吐かれる言葉に、血の気が引いた。

「桃瀬……何を言ってるんだ……。」

声が震える。

「お前はその後で、僕が殺してあげる。」

淡々と告げられた未来に、底知れぬ恐怖が胸を押し潰す。
輪廻は言葉を失い、ただ縛られたまま震えていた。


翌日。
暗い部屋の中でテレビが無機質な声を響かせる。
ニュースキャスターの口調は抑揚なく、ただ淡々と悲劇を告げていた。

「漢義学園の生徒を乗せたバスが横転し、全員が死亡した模様です……。」

画面には瓦礫と化したバスと、覆い尽くす闇。
輪廻はその映像を直視できず、力なく目を閉じた。


瞬間、視界は暗転する。
またあの、冷たいメニュー画面。

「またこれか……。」

輪廻は深いため息を落とす。
「CHAPTER9CLEAR」の文字が無感情に浮かび、その下には「推理パート」の選択肢。

「何だ、この世界……。くそ、止められなかった……。」

拳を握りしめ、唇を噛む。
絶望と怒り、そして理解できない不条理が心を裂いていく。

だが、画面は容赦なく白い光を放ち、次のチャプターへと誘う。

そして輪廻は抗えないまま、その光に飲み込まれていった。

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