-RINNE-ボーイズラブ恋愛シミュレーション人狼『輪廻』

TERRA

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恋愛シミュレーション人狼RINNE

CHAPTER14黒野/RINNE

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輪廻が目を覚ますと、再び歪んだ世界に立っていた。

漢義学園の廊下は輪郭が揺らぎ、壁の色は水に滲んだ絵のように不安定に溶けている。
蛍光灯は規則を失ったようにちらつき、点滅の間隔ごとに影が異様に伸び縮みした。
まるでこの世界自体が呼吸しているかのように、廊下全体が脈打っていた。

耳元に、軋むような不快な音がした。
トイレの扉が、ゆっくりと、何度も開閉を繰り返している。
乾いた蝶番の悲鳴のような音。
輪廻が息を呑んだその直後、中から押し殺した叫び声が響いた。

「やめて……!」

心臓が強く跳ねる。
輪廻は無意識のうちに扉の方へ視線を向ける。

その瞬間、世界の像が鮮明になり、場面が切り替わる。
そこには黒野が押さえつけられていた。

赤塚が冷ややかな笑みを浮かべ、黒野に挑発するように身をかがめる。
黒野は必死に抵抗しようとしているが、肩を押さえつけられ、身動きがとれない。

その横には緑が立っていた。
彼の目は揺れ、しかし一歩も動けず、ただ視線を逸らしていた。

「何だよ?嫌なら嫌ってちゃんと言えよ。」
赤塚の声は冷たい刃のようで、黒野の息を削いでいく。

緑が小さな声で呟く。
「……もうやめようよ……。」

「何だよ、緑。お前も仲間だろ?面白いじゃないか。」
赤塚が皮肉げに笑い、黒野の髪を乱暴に掴んだ。

輪廻は思わず手を伸ばした。
しかし、指先は虚空を掴むだけで、誰にも触れられない。
歪む世界は彼を無力化し、傍観者に縛り付ける。

――場面がまた揺れる。

次に輪廻が立っていたのは黒野の寮の自室だった。
机の上には散らばった教科書、そして震える手でスマホを握りしめる黒野の姿。

彼の目は赤く充血し、瞼の下に深い影が落ちていた。
画面には赤塚の仕掛けた動画が映し出され、冷たい光で黒野の頬を照らしている。

「……こんなの、無理だよ……。」
黒野は震える声で呟く。

輪廻の胸を痛みが締め付ける。

「……本気で好きだったから……。だから……。」
黒野の目が涙で濡れる。
その「好き」の対象が誰なのか、輪廻には分かってしまった。
けれど声は届かない。
ただ、目の前で彼が崩れていくのを見守るしかなかった。

突然、扉が開き、葵が駆け込んできた。
「黒野……!話がある。って……おい、大丈夫か?」

黒野はぐったりと床に倒れ込み、葵はすぐに駆け寄って彼を抱き起こす。
「誰か!救急車を呼んでくれ!」
葵の必死の叫びが、寮の壁に反響する。

――場面がまた変わる。

救急車に運ばれた後の廊下で、葵は怒りを抑えきれず赤塚に掴みかかった。
「お前のせいだ……全部、お前のせいだ!」

赤塚は冷静を装い、薄笑いを浮かべた。
「俺のせい?あいつに告白したのはお前だろうが。」

「そんなこと……あんな動画なんて……!」
葵の声が震え、拳が赤塚の胸ぐらを揺らす。

「証拠がなきゃ誰も信じないだろ?」
赤塚の声は冷淡で、廊下の空気をさらに冷たくした。

桃瀬が慌てて葵を止めに入るが、その手は震えている。
場の緊張は鋭い刃物のように張り詰めていた。

――さらに場面が揺れる。

葵の部屋。
パソコンの画面にはバスの設計図が映し出されていた。
葵は涙を浮かべながら、深く俯いている。

「俺のせいだ……俺が全部……。」
その声は掠れ、崩れそうに脆い。

輪廻は必死に叫ぶ。
「葵……やめて……!」

しかし声は届かない。

その時、葵が振り向き、何かに気づいたように呟いた。
「……黒野?」
彼の目が虚空を探す。
輪廻はそこにいるのに、触れることはできなかった。

――場面は再び揺らぐ。

病院のベッド。
黒野が静かに横たわっている。
心拍モニターの音が不規則に弱まり、やがて線は静止し、冷たい沈黙が訪れた。

輪廻の頬を涙が伝う。

――突然、視界が暗転する。

無機質なメニュー画面。
どこからともなく、不気味なナビゲーションの声が響いた。

「やぁ、愉しんでもらえたかな?」

輪廻は激しい嫌悪感に駆られ、画面を睨みつける。
「……何を……どうしてこんな……。」

「さぁ、そろそろ時間だ。答えは見つかったかな?」

声は淡々と、しかし残酷に追い詰める。

輪廻は涙に滲む視界の中で、次のチャプターの選択肢に手を伸ばした。
その先に待つ真実は、きっと今までよりも深く、暗い。

――それでも、進むしかない。

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