-RINNE-ボーイズラブ恋愛シミュレーション人狼『輪廻』

TERRA

文字の大きさ
17 / 51
恋愛シミュレーション人狼RINNE

CHAPTER15輪廻/RINNE

しおりを挟む
輪廻が目を覚ますと、視界いっぱいに無機質なメニュー画面が広がっていた。
それはただのゲーム画面のはずなのに、背筋を凍らせるような冷たい圧迫感があった。

白地に浮かぶ淡々とした文字。

「キャラクター選択画面。」

「――あの日に戻り、事件の原因となった人狼を告発してください。」

「やり直し不可。」

「クリア後、データは消去されます。」

モニターのような光が輪廻の頬を照らす。
画面は規則正しく点滅し、そのたびに鼓動が一拍ごと削られていくように感じられた。

並べられた名前が七つ。

黒野、葵、桃瀬、赤塚、緑、真黄、紫苑。

どの名前も、輪廻にとっては顔と記憶を伴う重たい選択肢だった。

「事故の犯人は、幼馴染みの葵……。だけど、元々は赤塚が始めたことで、友人や先生たちは黙認していた。でも、全ての原因は……。」

唇を噛みながら、輪廻は震える指で文字をなぞった。
誰かを選ぶということは、誰かを切り捨てることだ。
しかし、あの日をやり直すには――決断が必要だった。

「……他人を変えたいなら、まず自分が変わらないと。じゃなきゃ、世界は変わらない。」

頭の奥に誰かの声が残響する。
輪廻はその言葉に息を呑み、握りしめた拳に力を込めた。

「……そうだ、俺が変わるんだ。」

深い決意を込めて呟くと、輪廻は「黒野」の名に指先を伸ばした。

瞬間、眩しい光が全画面を飲み込み、世界が反転する。

――気がつくと、輪廻は歪んだ自室に立っていた。
壁は波打ち、時計の針は逆回転を繰り返し、空気は鉛のように重たい。

床に膝を抱えて座り込む黒野の姿。
傍らには割れたメガネと、再生されたままのスマホ。そこに映っているのは、あの忌まわしい動画だった。

(これが……あの日の俺……。)

輪廻の胸を締めつけるような痛み。

黒野は震える手で睡眠薬の瓶を握りしめ、かすれた声を漏らす。
「……もう、無理だよ……。」

――場面が切り替わる。

漢義学園の保健室。
窓ガラスは粉々に砕け、棚は荒らされ、薬品のいくつかが消えている。
そこに残された痕跡が、黒野の行動の重さを物語っていた。

(これも……俺が……。)
輪廻の声は罪悪感に濁り、喉に張り付いた。

――再び場面が揺らぐ。

学園の屋上。
冷たい風が吹きすさぶ中、葵が緊張に震える声で告白する。

「ホント?俺なんかで、いいの?」
黒野の問いは切実で、震えていた。

「っ……俺も、好きっ。ずっと、好きだった。でも……言えなくて……。」
黒野は涙をにじませ、唇を震わせて言葉を紡ぐ。

だがその直後、カメラを持った赤塚の取り巻きたちが現れ、「ドッキリ大成功」と書かれた紙を掲げた。

「残念、罰ゲームだって。だよな?葵くん?」
赤塚が冷たい笑みを浮かべる。

「だっ……違っ……!」
葵は必死に否定するが、黒野はその場を飛び出し、崩れるように屋上を去っていった。

葵は赤塚に詰め寄る。
「お前、何してんだよ!誰がこんなことしろって言った!」

「罰ゲームなんだから、撮らなきゃ意味ないだろ。」
赤塚の声は冷酷なまでに平坦だった。

――再び場面が反転する。

輪廻は自室に戻っていた。
睡眠薬を手にした黒野。その震える横顔に、扉を蹴破るような音が重なる。

「黒野!話がある。って……おい、何してるんだよ!」

葵が駆け込んでくる。
彼は黒野の手から睡眠薬を奪い取ると、そのまま強く抱きしめた。

「さっきの、嘘じゃない。俺、好きだよ……。」

「……でも、あんな動画が……。」
黒野は涙を溢れさせ、葵の胸に言葉を落とした。

「あんな奴らも、あんな動画も、俺がどうにかするから。だから、こんなことするな。」
葵の声は真剣で、揺るぎなかった。

黒野は涙を流しながら、震える腕で葵に抱きついた。
その姿は壊れそうで、同時に必死に生きようとする人間の温度を宿していた。

――輪廻はその光景を見届ける。

全身が柔らかな光に包まれ、周囲の世界が徐々に明るさを取り戻していく。
重苦しい闇は後退し、代わりに穏やかな空気が広がった。

(これで……良かったんだよな……。)

安堵に微笑みながら、輪廻はそっと瞳を閉じる。

やがて画面には「トゥルーエンド」の文字が浮かび上がり、長く続いた物語は静かに幕を下ろした。

――その結末が救済なのか、それとも別の罠なのか。
答えを知る者は、もういなかった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

紳士オークの保護的な溺愛

こむぎこ7g
BL
■ 世界と舞台の概要 ここはオークの国「トールキン」。 魔法、冒険者、ギルド、ダンジョン、獣人やドラゴンが存在する、いわゆる“典型的な異世界”だが、この国の特徴はオークが長命で、理知的な文明社会を築いていることにある。 トールキンのオークたちは、 灰色がかった緑や青の肌 鋭く澄んだ眼差し 鍛え上げられた筋骨隆々の体躯 を持ち、外見こそ威圧的だが、礼節と合理性を重んじる国民性をしている。 異世界から来る存在は非常に珍しい。 しかしオークは千年を生きる種族ゆえ、**長い歴史の中で「時折起こる出来事」**として、記録にも記憶にも残されてきた。 ⸻ ■ ガスパールというオーク ガスパールは、この国でも名の知れた貴族家系の三男として生まれた。 薄く灰を帯びた緑の肌、 赤い虹彩に金色の瞳孔という、どこか神話的な目。 分厚い肩と胸板、鍛え抜かれた腹筋は鎧に覆われずとも堅牢で、 銀色に輝く胸当てと腰当てには、代々受け継がれてきた宝石が嵌め込まれている。 ざらついた低音の声だが、語調は穏やかで、 貴族らしい品と、年齢を重ねた余裕がにじむ話し方をする。 ● 彼の性格 • 極めて面倒見がよく、観察力が高い • 感情を声高に表に出さないが、内側は情に厚い • 責任を引き受けることを当然のように思っている • 自分が誰かに寄りかかることだけは、少し苦手 どこか「自分は脇役でいい」と思っている節があり、それが彼の誠実さと同時に、不器用さでもあった。 ⸻ ■ 過去と喪失 ――愛したオーク ガスパールはかつて、平民出身のオーク男性と結ばれていた。 家柄も立場も違う相手だったが、 彼はその伴侶の、 不器用な優しさ 朝食を焦がしてしまうところ 眠る前に必ず手を探してくる癖 を、何よりも大切にしていた。 しかし、その伴侶はすでにこの世を去っている。 現在ガスパールが暮らしているのは、 貴族街から少し離れた、二階建ての小さな屋敷。 華美ではないが、掃除が行き届き、静かな温もりのある家だ。 彼は今も毎日のように墓参りを欠かさない。 それは悲嘆というより、対話に近い行為だった。 ⸻ ■ 現在の生活 ガスパールは現在、 街の流通を取り仕切る代表的な役職に就いている。 多忙な職務の合間にも、 洗濯、掃除、料理 帳簿の整理 屋敷の修繕 をすべて自分でこなす。 仕事、家事、墓参り。 規則正しく、静かな日々。 ――あなたが現れるまでは。

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!

中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。 無表情・無駄のない所作・隙のない資料―― 完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。 けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。 イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。 毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、 凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。 「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」 戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。 けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、 どこか“計算”を感じ始めていて……? 狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ 業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!

聞いてた話と何か違う!

きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。 生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!? 聞いてた話と何か違うんですけど! ※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。 他のサイトにも投稿しています。

君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル
BL
【完結】 ある日、亮太が友人から聞かされたのは、話したこともないクラスメイトの礼央が亮太を嫌っているという話だった。 けど、話してみると違和感がある。 これは、嫌っているっていうより……。 どうやら、れおくんは、俺のことが好きらしい。 ほのぼの青春BLです。 ◇◇◇◇◇ 全100話+あとがき ◇◇◇◇◇

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

処理中です...