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#38 解放 ※
しおりを挟む今回、R18の回です。 ご注意ください。
――――――――――――――――――――――――――――――
神子様の匂いで胸が満たされる。
少し興奮した様子の神子様は早めの鼓動を刻んで少し息づかいも乱れている。
それに気づいてしまうと、俺はこの状況に焦り始める。
「…ミラン…」
震える声が頭上から降ってくる。
抱き直すように細い指先が俺の頭部を撫で、髪を梳いた。
…マズい。このままでは俺は…。
立ち上がろうとして背を伸ばしかけたとき、神子様の両手に頬を挟まれて見つめられる。
どくり、と心臓が跳ねた。
濡れたように、ランプの光を反射する黒い瞳が、長いまつげに少しだけ翳るのを息を呑んで見入ってしまう。
気がついたときには顔が近づき、柔らかな感触に唇が覆われた。
まるで熟した果物でも食べるように、大きな口を開けて俺の唇全体を食み、呆然としている俺の隙間から舌を忍び込ませてきた。
ほんのりとさっきのワインの味がする。
角度を変えて深く口づけ、俺の舌を掬い上げようと触れてきたのを感じたとき、もはや、本能的にその動きに応じ、覆い被さるように背を伸ばして神子様の体を抱きしめた。
あとはもうダメだった。
夢中で神子様の口腔内を貪った。
神子様の少し薄めの舌を絡め取って吸い、歯列も上顎も下顎の隙間も舐め回して溢れてくる神子様の唾液を啜った。
自制心なんて働かなかった。
乾ききった獣がやっと泉にたどり着いたみたいに、もっと、もっと、と水分を求めた。
背中や肩や腰を乱暴に撫で回しながら。
かなり荒々しかったのだと思う。
神子様の掌に、肩を何度か叩かれて我に返った。
名残惜しく少しだけ離れる。
途端に脱力し、苦しそうに呼吸を繰り返す神子様を見て、慌てて平謝りに謝った。
ううん、と緩くかぶりを振りながら息を整えつつも、その両腕は俺の首に回されたままだ。
至近距離で目が合う。僅かに笑みを湛えている。
思わず呼吸が止まる。その抗いがたい妖しさに。
「ミランってさ…」
吐息のかかる距離で囁く。
「…俺で…勃つんだ」
俺の体の変化が神子様の脚に当たっていたのだ。
「…あっ、も、申し訳ありません!いつもは、何とか…押さえ込んできたのですが…。今のは、もうどうにも……」
「押さえ込んでたの?」
「…だ、だって…それじゃあ…陛下と同じじゃないかと…」
「同じじゃないってば!」
そう言いながら、また顔が近づきもう一度唇を重ねた。
今度は先ほどとは違い、少しずつ相手の反応を見ながら、探すように確かめるように。
途中唇から離れ、顔のあちこちや髪や耳などに愛撫していると「部屋に行く?」と訊かれた。無論、その意味が分からないわけじゃない。
俺はハイと大きく頷いて立ち上がり、神子様を抱き上げかけたが、その手は神子様に制された。
「じゃあ先に行ってて。準備したら行くから」
「……準備?」
一瞬俺は意味が分からなかった。
恥じらって曖昧に応える神子様の様子から、まさか、という思いがよぎる。
「…陛下との時は、いつもご自分で?」
「そりゃそうだよ。だってまさか、そんなこと陛下にはさせられないだろ?侍従の人にもそう指導されたよ?」
神子様は元の世界では女性としか経験が無い。
つまり、初めての男が陛下だったのだ。
それなのに、ずっと神子様自身に準備を?
そう思ったら、何故か無性に腹立たしくなった。
有無を言わさず、俺は神子様を抱き上げて階段を上る。
「え、ちょっ……、ミ、ミラン?」
「大丈夫です。俺がやります」
「えぇっ、いいよ、自分でやるよ。やだ。下ろして」
「痛くなんてしません。大丈夫ですから」
いや、そうじゃなくって…とか何とかもごもご言っていたけれど譲らなかった。
「…や、やだ、あっ…や、やっぱり自分で…やめっ…ミランッ」
吸い付くような白い肌に、時折やわく歯を立てながら、抵抗して閉じようとする体を曝いて秘部をゆっくりと解していくと、白いシーツの上に艶やかな黒髪が乱れる。
それがもう堪らなくて、俺の熱が更に昂ぶってしまう。
はやく…。早く、欲しい。
そんな気持ちを必死に押さえ込んで「痛いですか?」と訊ねると、かぶりを振る。
「うぅん…痛くは…。でも…あっ、な、何だか、変で…、どうして…あっ、あ…、全然違うッ!やだ!全然違うッ!!や、やめて、ダメ、そこ、ダメ…」
徐々にもがきや強ばりが小刻みになってくる。
声が吐息混じりに濡れてくる。
解しながら前の方も握り、緩急付けて責め立てながら、あちこちを唇や舌で愛撫する。
手の甲で口許を隠し、目元や耳を染め上げて、何かを堪えるようにかぶりを振る様も、時折細く目を開けて濡れた瞳で縋るように俺を見上げるのも、その表情を見ているだけでイッてしまいそうだった。
そのうちに、もう言葉ではなく甘い喘ぎになって来た頃、神子様自らが腰を揺らして、誘い込むように俺の指を締め付けてきた。
俺はそれを合図のように自分自身の先端を押し当て「入っていいですか」と訊く。
おそらくそれはただの儀式で、ダメだと言われても突き進んだろうし、それを望まれているというのは分かっていた。
神子様は何度か頷くような仕草をして、切れ切れの息の中で「来て」と言った。
中に入ってからは最初こそ、痛がっていないだろうか、動いても大丈夫だろうかという気配りも出来ていたのだが、妖しく蠢き収縮を繰り返すソコに、もう意識を何度か持って行かれそうになり、終いにはもう無我夢中で貪り、打ち付け、抉り、揺さぶっていた。
抱きながら何度か、これは現実なのだろうかと思った。
本当にこの腕の中で甘く乱れるこの人は、焦がれて焦がれて、でも決して手を出してはいけないと思って堪え続けてきた、その人なのだろうかと。
都合の良い俺の夢で、目が覚めたら、惨めに下着を汚しているだけの朝を迎えるのではないかと、そんな自嘲にも似た不安が更に渇望を後押しして自制心を奪った。
昇りつめ、狂気に似た熱を吐き出した後、神子様の上に倒れ込み、撫で回すように掻き抱きながら、「好きです。好きなんです」と涙や涎でぐちゃぐちゃになりながら訴えていた。
神子様の甘い呻きと断続的な痙攣を感じながら。
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