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第7話 世界最強の女
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それから1時間後、部屋をノックする音で目が覚めた。
「寝ちゃったのか……入ってくれ」
そう言うとアリアが部屋へ入って来た。
ちょうど一時間ぴったりの時間だ。
「私をお呼びだと伺いましたが……」
「ああ、とりあえず、座ってくれ」
「いえ、私は旦那様のメイドですから、このままで」
「いいから、座れって」
半ば強引にアリアをベッドから少し離れた所にあるソファーに座らせた。
「これは、答えたく無ければ答え無くていい。アリア、元Sランク冒険者だったんだろ? それが何故メイドになったんだ?」
樹はきっと、複雑な事情があるのではないかと考えていた。
「それは……」
アリアは少し俯いた。
「いや、言いたくないならいいんだ。聞いて悪かったな」
「いえ、言います。その、飽きたんです。冒険者」
「はい!?」
アリアの口からでた予想外の言葉に樹は言葉を詰まらせた。
「え、どういうこと」
「その、私、元々、料理とか家事全般が好きで、料理スキルもレベルMaxにしていたんです。冒険者も飽きてきたということを陛下に相談したら護衛兼メイドをやらないかと言って頂けたのです」
「なるほどな。じゃあ、アリアは何で冒険者になったんだ?」
樹としてはごく普通に出てきた疑問だった。
「それは、冒険者が最も稼げる職業だと言われていたからです。ここからは私の過去のことを少し話させて頂きます。少し長くなるのでお茶でも入れましょう」
そう言ってアリアは席を立ち、紅茶を入れて戻ってきた。
「お待たせ致しました」
「ああ、ありがとうね」
「では、話させて頂きますね」
アリアは幼い頃に冒険者をしていた父を亡くした。
ダンジョンに潜ると言ったアリアの父は一ヶ月経っても帰ってくることは無かった。
ギルドはアリアの父は死亡したものだとみなしたそうだ。
そこからアリアは母親の手一つで育てられてきた。
しかし、17歳の時、母親は病に倒れた。
その治療費にはかなりの高額だった。
その費用を稼ぐため、アリアは冒険者への道を選んだ。
父親があんなことになり、母は反対したが、アリアの決意は変わらなかった。
凄腕冒険者だった父の血を受け継いだアリアはみるみるうちにランクを上げていき、気付いたころにはソロで最高うランクのSランク冒険者にまで成り上がった。
女性冒険者としては最速だったそうだ。
しかし、アリアの母は彼女が19になった頃にこの世を去った。
それを機に、冒険者を飽きたと言って王宮直属のメイドに転職したそうだ。
「そうだったんだな。話してくれてありがとう」
「いえ、もう、昔のことですから」
そう言ってアリアは微笑んだ。
「なあ、アリア、もう一度冒険者をやってみる気はないか?」
「え!?」
「アリアの事情は分かっているから無理にとは言わないが、俺とパーティを組んで欲しい」
そう言って樹は頭を下げた。
「ちょ、ちょっと、とりあえず頭上げてくださいよ。で、でも、私は樹様のメイドですし……」
「その辺は俺が何とかする。陛下にも話は通してある」
「樹様がそこまでおっしゃるのなら、少し考えさせてもらってもいいですか?」
「もちろんだ。ゆっくり考えてくれ」
「ありがとうございます」
話終えるとアリアは樹に一礼して部屋を後にした。
「寝ちゃったのか……入ってくれ」
そう言うとアリアが部屋へ入って来た。
ちょうど一時間ぴったりの時間だ。
「私をお呼びだと伺いましたが……」
「ああ、とりあえず、座ってくれ」
「いえ、私は旦那様のメイドですから、このままで」
「いいから、座れって」
半ば強引にアリアをベッドから少し離れた所にあるソファーに座らせた。
「これは、答えたく無ければ答え無くていい。アリア、元Sランク冒険者だったんだろ? それが何故メイドになったんだ?」
樹はきっと、複雑な事情があるのではないかと考えていた。
「それは……」
アリアは少し俯いた。
「いや、言いたくないならいいんだ。聞いて悪かったな」
「いえ、言います。その、飽きたんです。冒険者」
「はい!?」
アリアの口からでた予想外の言葉に樹は言葉を詰まらせた。
「え、どういうこと」
「その、私、元々、料理とか家事全般が好きで、料理スキルもレベルMaxにしていたんです。冒険者も飽きてきたということを陛下に相談したら護衛兼メイドをやらないかと言って頂けたのです」
「なるほどな。じゃあ、アリアは何で冒険者になったんだ?」
樹としてはごく普通に出てきた疑問だった。
「それは、冒険者が最も稼げる職業だと言われていたからです。ここからは私の過去のことを少し話させて頂きます。少し長くなるのでお茶でも入れましょう」
そう言ってアリアは席を立ち、紅茶を入れて戻ってきた。
「お待たせ致しました」
「ああ、ありがとうね」
「では、話させて頂きますね」
アリアは幼い頃に冒険者をしていた父を亡くした。
ダンジョンに潜ると言ったアリアの父は一ヶ月経っても帰ってくることは無かった。
ギルドはアリアの父は死亡したものだとみなしたそうだ。
そこからアリアは母親の手一つで育てられてきた。
しかし、17歳の時、母親は病に倒れた。
その治療費にはかなりの高額だった。
その費用を稼ぐため、アリアは冒険者への道を選んだ。
父親があんなことになり、母は反対したが、アリアの決意は変わらなかった。
凄腕冒険者だった父の血を受け継いだアリアはみるみるうちにランクを上げていき、気付いたころにはソロで最高うランクのSランク冒険者にまで成り上がった。
女性冒険者としては最速だったそうだ。
しかし、アリアの母は彼女が19になった頃にこの世を去った。
それを機に、冒険者を飽きたと言って王宮直属のメイドに転職したそうだ。
「そうだったんだな。話してくれてありがとう」
「いえ、もう、昔のことですから」
そう言ってアリアは微笑んだ。
「なあ、アリア、もう一度冒険者をやってみる気はないか?」
「え!?」
「アリアの事情は分かっているから無理にとは言わないが、俺とパーティを組んで欲しい」
そう言って樹は頭を下げた。
「ちょ、ちょっと、とりあえず頭上げてくださいよ。で、でも、私は樹様のメイドですし……」
「その辺は俺が何とかする。陛下にも話は通してある」
「樹様がそこまでおっしゃるのなら、少し考えさせてもらってもいいですか?」
「もちろんだ。ゆっくり考えてくれ」
「ありがとうございます」
話終えるとアリアは樹に一礼して部屋を後にした。
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