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第21話 護衛の開始
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平穏な一週間が終わり、護衛開始の当日になった。
「じゃあ、セザール、後のことはよろしく頼む」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「行ってきます」
「行って参ります」
樹とアリアは屋敷を出ると王宮へと向かった。
王宮に着くといつものように応接間に通された。
いつもと一つ違うところは公爵様の隣に十代前半と思われる少女が座っていることだ。
「お待たせしました」
樹たちは向かいの席に腰を下ろした。
「いや、時間通りだから気にするでない」
「ありがとうございます。そちらのお嬢様が公爵様のご息女ですね」
樹が陛下に問いかけた。
「ああ、私の可愛い姪だ。しっかり守ってくれたまえ」
「あ、あの、公爵家が長女エリーヌでございます。よろしくお願い致します」
エリーヌは立ち上がり、スカートの裾をつまみ、綺麗に一礼した。
「あ、ああ、よろしく頼む」
「よ、よろしくお願いします」
樹とアリアも頭を下げた。
「じゃあ、早速出発しましょうか」
「ああ、表に王宮騎士団も待たせてあるからな。よろしく頼んだ」
公爵様が頭を下げた。
「お任せください。お嬢さんには刺客の爪の先でも触れさせませんのでご安心を」
「ははは、お前さんが言うと説得力が違うな」
公爵様が豪快に笑った。
それから皆、王宮の外に出ると、馬車が二台と騎士団が待っていた。
「樹さんとアリアさんですね。騎士団長のオーバンと申します。よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
樹とアリアは騎士団長と握手を交わした。
「じゃあ、早速だが、騎士団からは先導に3名、前を走る馬車に5名、後ろの馬車はオーバンが乗ってくれ。エリーヌと俺とアリアも後ろの馬車に乗る。よろしく頼む」
樹がそれぞれ指示を出した。
ここから隣街までは丸一日ほどかかる。
そこまでエリーヌを守り抜くことが今回の任務だ。
そして、全員の準備が整った。
「じゃあ、行ってきます」
陛下と公爵様に挨拶をすると馬車は出発した。
先導の馬に続いて、二台の馬車が続けて走る。
その馬車には公爵家の家紋が描かれており、手を出せる者も少ないだろう。
ちなみに、前を走る馬車には綾瀬の家紋が入っている。
これは見る人が見たら抑止力になるからという、陛下の提案であった。
「樹さんたちも護衛任務を受けて下さるのですね」
エリーヌに話しかけられた。
「俺たちも王家から直々の依頼じゃ断れないし、事情も事情だしな」
「樹さんたちが守ってくださるのなら安心ですね」
そう言ってエリーヌは微笑んだ。
それから三時間ほど経過したが、特に問題無く進んでいた。
「このまま、何事もないといいですがね」
「そう願いたいよね」
アリアとそんなことを話していた束の間、樹の索敵魔法に複数の敵意を持った人物が引っかかった。
「樹さま、これは……!」
「アリアも気づいたか。刺客だなこりゃ」
二人は目の色が変わった。
「おい、馬車を止めてくれ。襲撃だ」
樹の言葉で馬車が止まった。
「樹さん、敵なんてどこにもいませんが」
「この先300メートルほど先で待ち伏せしている」
「そ、そんなことまでわかるんですか!?」
「まあな。ちょっくらご挨拶と行きましょうか」
樹とアリアは黒い笑みを浮かべた。
「じゃあ、セザール、後のことはよろしく頼む」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「行ってきます」
「行って参ります」
樹とアリアは屋敷を出ると王宮へと向かった。
王宮に着くといつものように応接間に通された。
いつもと一つ違うところは公爵様の隣に十代前半と思われる少女が座っていることだ。
「お待たせしました」
樹たちは向かいの席に腰を下ろした。
「いや、時間通りだから気にするでない」
「ありがとうございます。そちらのお嬢様が公爵様のご息女ですね」
樹が陛下に問いかけた。
「ああ、私の可愛い姪だ。しっかり守ってくれたまえ」
「あ、あの、公爵家が長女エリーヌでございます。よろしくお願い致します」
エリーヌは立ち上がり、スカートの裾をつまみ、綺麗に一礼した。
「あ、ああ、よろしく頼む」
「よ、よろしくお願いします」
樹とアリアも頭を下げた。
「じゃあ、早速出発しましょうか」
「ああ、表に王宮騎士団も待たせてあるからな。よろしく頼んだ」
公爵様が頭を下げた。
「お任せください。お嬢さんには刺客の爪の先でも触れさせませんのでご安心を」
「ははは、お前さんが言うと説得力が違うな」
公爵様が豪快に笑った。
それから皆、王宮の外に出ると、馬車が二台と騎士団が待っていた。
「樹さんとアリアさんですね。騎士団長のオーバンと申します。よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
樹とアリアは騎士団長と握手を交わした。
「じゃあ、早速だが、騎士団からは先導に3名、前を走る馬車に5名、後ろの馬車はオーバンが乗ってくれ。エリーヌと俺とアリアも後ろの馬車に乗る。よろしく頼む」
樹がそれぞれ指示を出した。
ここから隣街までは丸一日ほどかかる。
そこまでエリーヌを守り抜くことが今回の任務だ。
そして、全員の準備が整った。
「じゃあ、行ってきます」
陛下と公爵様に挨拶をすると馬車は出発した。
先導の馬に続いて、二台の馬車が続けて走る。
その馬車には公爵家の家紋が描かれており、手を出せる者も少ないだろう。
ちなみに、前を走る馬車には綾瀬の家紋が入っている。
これは見る人が見たら抑止力になるからという、陛下の提案であった。
「樹さんたちも護衛任務を受けて下さるのですね」
エリーヌに話しかけられた。
「俺たちも王家から直々の依頼じゃ断れないし、事情も事情だしな」
「樹さんたちが守ってくださるのなら安心ですね」
そう言ってエリーヌは微笑んだ。
それから三時間ほど経過したが、特に問題無く進んでいた。
「このまま、何事もないといいですがね」
「そう願いたいよね」
アリアとそんなことを話していた束の間、樹の索敵魔法に複数の敵意を持った人物が引っかかった。
「樹さま、これは……!」
「アリアも気づいたか。刺客だなこりゃ」
二人は目の色が変わった。
「おい、馬車を止めてくれ。襲撃だ」
樹の言葉で馬車が止まった。
「樹さん、敵なんてどこにもいませんが」
「この先300メートルほど先で待ち伏せしている」
「そ、そんなことまでわかるんですか!?」
「まあな。ちょっくらご挨拶と行きましょうか」
樹とアリアは黒い笑みを浮かべた。
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