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閑話 シャル、樹との出会い
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私は今日も薄暗い部屋に閉じ込められている。
両耳は無くなり、片目も見えない、足は動かない。
まさに絶望的な状況だった。
「私を買う人なんて居ない。ここで一生過ごすことになるんだろうな」
そう思っていたらシャルだったが、そこに一筋の光が差し込んだ。
「珍しいな。この部屋まで見にくるお客さんなんて」
そのお客さんは冒険者風の装いだが、纏っている雰囲気が違う。
そんじょそこらの冒険者じゃない。
相当強い事を、シャルは素人ながらに感じた。
「この子にする。いくらだ?」
男の人はそう言った。
その声に思わず顔を上げた。
片目しか見えないのでよくわからないが、スタイルがいい顔立ちが整っている男だった。
「私を買ってくれるの? でも、また酷い目に遭うんじゃ……」
シャルのこの想いは早々に打ち砕かれる事になる。
「綾瀬樹だ。よろしくな」
そう言うと樹さんは右手を差し出した。
「シャルです。よろしくお願いします」
そう言ってシャルは樹の手を握り返した。
自分の屋敷に向かうという彼。
シャルは早く歩く事が出来ない。
「絶対怒られる」
そう思ったシャルだったが、樹さんは気にする様子もなかった。
「気にするな。ゆっくりいこうぜ」
そう言って肩を貸してくれた。
その時、確信した。
「とてもいい人に拾ってもらえた」
しかし、シャルは樹が自分を選んだ理由が分からなかった。
「ここが僕の屋敷だ」
そこは貴族街の一等地だという事はシャルにも分かった。
『やっぱり、この人只者じゃない』
そう心の中で思った。
「まず、君の怪我を治す」
樹さんは自身に満ちた顔で言った。
ここは樹さんを信じようと思った。
『ハイヒール』
上級の回復魔法をいとも簡単に使い、私の怪我を治してしまった。
正直、信じられなかった。
この怪我とは一生付き合っていかなければならないと思っていたからだ。
「そして、俺がなんで君を買ったかと言うと、称号に気になったからだ」
樹さんは私を選んだ理由を説明してくれた。
「私の称号ですか?」
「ああ、俺は他人のステータスを鑑定する事ができる」
「じゃあ、あれも」
「ああ、見させてもらった。何があったんだ?」
樹さんは優しく聞いてくれた。
「実は、」
シャルは境遇をポツポツと話し始めた。
それを樹さん含め、使用人の方々真剣に聞いてくれていた。
「なるほどな。その組織に敵を討ちたいか?」
話終わった私に樹さんはそう尋ねた。
そんなのもちろんしたいに決まっている。
「でも、わたしにそんな力は……」
「力ならいくらでも貸してやる。お前を強くしてやる」
樹さんは真剣な目をして言った。
「したいです!」
シャルに迷いは無かった。
「よく言った。その手で大きな敵に立ち向かえるように強くなれ」
そう言って私の頭を撫ででくれた。
それから、稽古をつけてくれたり、奴隷の私に冒険者資格を取れるように国を動かしたりした。
近くで見ていたからこそわかる。
この男はとんでもない。
だからこそ、
『この人にずっとついて行きたい』
そう、心の中で思った。
両耳は無くなり、片目も見えない、足は動かない。
まさに絶望的な状況だった。
「私を買う人なんて居ない。ここで一生過ごすことになるんだろうな」
そう思っていたらシャルだったが、そこに一筋の光が差し込んだ。
「珍しいな。この部屋まで見にくるお客さんなんて」
そのお客さんは冒険者風の装いだが、纏っている雰囲気が違う。
そんじょそこらの冒険者じゃない。
相当強い事を、シャルは素人ながらに感じた。
「この子にする。いくらだ?」
男の人はそう言った。
その声に思わず顔を上げた。
片目しか見えないのでよくわからないが、スタイルがいい顔立ちが整っている男だった。
「私を買ってくれるの? でも、また酷い目に遭うんじゃ……」
シャルのこの想いは早々に打ち砕かれる事になる。
「綾瀬樹だ。よろしくな」
そう言うと樹さんは右手を差し出した。
「シャルです。よろしくお願いします」
そう言ってシャルは樹の手を握り返した。
自分の屋敷に向かうという彼。
シャルは早く歩く事が出来ない。
「絶対怒られる」
そう思ったシャルだったが、樹さんは気にする様子もなかった。
「気にするな。ゆっくりいこうぜ」
そう言って肩を貸してくれた。
その時、確信した。
「とてもいい人に拾ってもらえた」
しかし、シャルは樹が自分を選んだ理由が分からなかった。
「ここが僕の屋敷だ」
そこは貴族街の一等地だという事はシャルにも分かった。
『やっぱり、この人只者じゃない』
そう心の中で思った。
「まず、君の怪我を治す」
樹さんは自身に満ちた顔で言った。
ここは樹さんを信じようと思った。
『ハイヒール』
上級の回復魔法をいとも簡単に使い、私の怪我を治してしまった。
正直、信じられなかった。
この怪我とは一生付き合っていかなければならないと思っていたからだ。
「そして、俺がなんで君を買ったかと言うと、称号に気になったからだ」
樹さんは私を選んだ理由を説明してくれた。
「私の称号ですか?」
「ああ、俺は他人のステータスを鑑定する事ができる」
「じゃあ、あれも」
「ああ、見させてもらった。何があったんだ?」
樹さんは優しく聞いてくれた。
「実は、」
シャルは境遇をポツポツと話し始めた。
それを樹さん含め、使用人の方々真剣に聞いてくれていた。
「なるほどな。その組織に敵を討ちたいか?」
話終わった私に樹さんはそう尋ねた。
そんなのもちろんしたいに決まっている。
「でも、わたしにそんな力は……」
「力ならいくらでも貸してやる。お前を強くしてやる」
樹さんは真剣な目をして言った。
「したいです!」
シャルに迷いは無かった。
「よく言った。その手で大きな敵に立ち向かえるように強くなれ」
そう言って私の頭を撫ででくれた。
それから、稽古をつけてくれたり、奴隷の私に冒険者資格を取れるように国を動かしたりした。
近くで見ていたからこそわかる。
この男はとんでもない。
だからこそ、
『この人にずっとついて行きたい』
そう、心の中で思った。
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