最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

文字の大きさ
111 / 132

第108話 樹たちの慰安旅行①

しおりを挟む
 あれから時の流れは早いもので旅行に出発する当日となった。

「皆んな荷物はまとめたかー?」
「はーい」
「私たちも問題ありません」
「バッチリだぜマスター!」

 忘れ物がない事を確認すると転移魔法の準備を進めた。

「すまんのぅ、ワシらまで誘ってもらって」

 クリストフ夫妻もこの慰安旅行に誘っていたのだ。
クリストフさんたちはあらかじめ、転移魔法で王都まで来てもらっていた。

「いえ、気にしないでください。いつもお世話になってますから。それに、カミーユさんは温泉好きでしたよね?」
「ええ、大好きですわ。誘ってくれてありがとうね」

 カミーユは優しく笑った。

「それでは、準備も整った事ですし、早速行きましょう。外に書いてある魔法陣の上に乗ってください」

 皆んな、荷物はマジックバックに入れている為、そこまで大きくは無い。

「おぉ、転移魔法陣か。こんなに大きいのは初めて見るわい」

 クリストフはどこか興奮していた。

「これだけの魔法陣を展開するにはかなりの魔力が必要ですから、普通は不可能なんですけどね。あの人なら不可能も可能にしちゃうんですよね」

 ミアが呆れながら口にした。

「はいはい、皆さん乗ってください」

 樹は皆んなが乗った事を確認すると一気に魔法へ魔力を流した。
魔法陣は白く光りを上げると体から移動するような感覚を覚える。
次の瞬間、樹たちは温泉街へと転移していた。

「多少の誤差はあったけど、成功だな」
「この程度の誤差で収めるとは、大したもんだわい」

 クリストフは感心している。

 温泉街『ヒンセン』

 あちこちから湯気が漂っている。

「ここが、ウェールズ王国の温泉街なのね」
「俺も初めてだがな」
「私も執事を始めてからは遠出はしておりませんでしたので新鮮ですね」
「とりあえず、宿を予約してありますので行きましょうか」

 樹たち一行は歩いて数分の所にある宿へと向かった。
宿の前まで着き、暖簾を潜る。

「ようこそ、おいで下さいました」
「綾瀬樹で予約しているのですが」
「綾瀬様ですね。お待ちしておりました。ご案内致します」

 アリア、ミア、シャルが同室。
アルマ、ナナが同室。
セザールとディルクが同室。
クリストフとカミーユが同室。
樹は1人でもいいかと考えていたが、シルフィルが離れるとマナの維持が困難という事で渋々同室を許可した。

「掛け流しの大浴場の温泉と各部屋にも温泉がございます。また、近くにもいくつか温泉が湧いておりますのでご自由にお入り頂けます。それぞれ効能も違いますので分からないことがございましたらお声掛け下さいませ」

 宿の女将さんが言った。

「マスター、温泉入り放題だぞ! 一緒に入ろう!」
「だから、一緒には入らないって言っとるだろが」

 樹とシルフィルのジャレ合いには周りも慣れてきたのであろう。

「混浴もございますよ?」

 宿の女将は悪戯っぽく微笑んだ。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...