最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

文字の大きさ
121 / 132

第118話 組織の制圧許可

しおりを挟む
 空が夕焼けに染まる頃、樹とアリアは屋敷に向かって歩いていた。

「明日、組織の制圧に行こう。早い方がいいだろう」
「そうですね。異論はありません」

 樹たちの中では制圧のプランは決まっていた。

「ちょっと、先に帰っててくれるか? 俺は王宮に寄ってから帰るから」
「分かりました。お気をつけて」

 王都の繁華街を少し外れた所で樹はアリアと別れた。
その足で、歩いて5分とかからない場所に位置する王宮へと向かう。

「陛下と会えるか?」

 樹は騎士に尋ねた。

「あ、樹さん、ご苦労様です! すぐ確認します」

 騎士は奥へと行き、何やら手続きをしている。
数分で騎士は戻ってきた。

「お待たせしました。すぐにお会いになるそうです」
「ありがとう」

 樹は王宮のメイドに応接間へと通された。

「待たせたな」

 そこで10分ほど待つと陛下が入ってきた。

「いえ、こちらこそ急にすみません」
「いや、構わない。気にするな」
「ありがとうございます。それで、先日の依頼の件ですが」

 樹は早速、本題を切り出した。

「おう、何か掴めたかね?」
「はい。例の組織から少女たちを買っている風俗店舗をギルドから教えてもらいました」
「ほう、それで?」
「ほとんどが営業停止処分になっていましたが、何店舗から営業している店舗がありましたので、アリアと一緒に乗り込みました」

 陛下は顎に手を置き、樹の報告を聞いていた。

「その店舗のオーナーから組織の情報を聞き出しました。これがその詳細です」

 オーナーから貰った紙を、机の上に置いた。

「この短時間でここまで辿り着くとは、流石だな。王室としては面子もあるから、あまり手荒な真似は出来ないのだよ」
「誰も、脅して手に入れたとは言って無いじゃないですか」
「お前さんの事だから、多少の手荒な真似はしたのだろう?」

 陛下は疑うような目を樹に向けて来た。

「まぁ、否定はしませんが」
「やっぱりな」

 陛下は今更、樹が何をしても驚かないといった感じである。

「それで、制圧の許可を頂けないでしょうか?」
「うむ、これだけ証拠があるなら問題無いだろう。制圧を許可する」
「手荒な真似は?」
「必要に応じて、武力の行使も認める」
「承知しました。ありがとうございます。では、私はこれで」

 そう言って、樹は席を立った。

「ああ、お疲れさん。よろしく頼むぞ」
「はい」

 樹は王宮を後にすると自分の屋敷へと歩いた。

「ただいまー」

 樹は屋敷の玄関を開いた。

「おかえりなさいませ」

 セザールとアリアが出迎えてくれた。

「あ、アリアちょっと来てくれ」

 リビングにアリアを呼ぶと対面に座らせた。

「組織の制圧許可がでた。明日、許可状を受け取ったらその足で行こうと思う。いいか?」
「承知しました。異論はありません」
「ありがとう。今日もちゃんと休んでくれ」
「はい」

 こうして、樹たちは制圧の日程を決めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...