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16章 聖王国 後編
263、比類なき力
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オディウムはジロジロとレッドを見定める。
容姿、体躯、持ち物や服の細部、魔力量まで事細かに。
その後、青筋を立てて奥歯を噛みしめた。
「この俺様をこんな軟弱野郎に渡すってのかよ? 冗談じゃねぇっ!!」
暴れまわりそうなほどにがなり立てるオディウムであったが、体に巻き付けられた鎖が体を揺する動きに反応してほんのり光る。
「あれが神具でございます。あれらは3つの鎖からなっておりまして、第1の鎖『レージングル』、第2の鎖『ドローミ』、第3の鎖『グレイプニル』という名前がついております」
「第一の鎖が? レージ……ん?」
「ああ。覚えなくても大丈夫でございます。ただオディウムでは破れないと考えていただけたらそれで……」
──バギンッ
モラクスが大丈夫であるといった傍からいきなり1本目の鎖が千切れ飛ぶ。ティオたちが鎖の破片を気にしながらモラクスに問う。
「い、今壊れないって……!?」
「申し訳ございません。オディウムの力が強く、神具であろうとも破壊してしまうのでございます。ですがご安心ください。今しがた千切れた鎖は元よりあまり頑丈ではありません。その代わりと言っては何ですが自己修復機能を持ち合わせておりますので、あれは千切れても問題ございません」
「2本目が千切れたらどうするのっ?!」
「まずありえませんが、もしもの時は3本目があります。こちらは神すらも拘束する神具。これを前にすればオディウムではどうすることも出来ません」
第1の鎖はオディウムにとって無限再生する見せかけの鎖でしかない。しかしモラクスの言葉が本当なら、第2、第3の鎖は別格ということになる。安心出来るかはさておき。
「要するに鎖を手綱代わりに使ってオディウムを調教すれば良いんでしょ?」
「なっ!? ひ、引き取ってくださるのですか?!」
「レッドっ!! あんたふざけてんじゃ……っ!!」
シルニカが詰め寄るのに目を逸らし、頭を掻きながらも判断を変えたりはしない。
「だ、だってここに来た理由が比類なき力だし? オディウムがそうだって言うなら手に入れなきゃダメでしょ?」
「もうそのラインを軽く飛び越えてんのよっ! こいつは外に出しちゃダメな類の奴なのっ!!」
「えぇ~……」
レッドはオディウムを見る。
「はっ!! 俺様が怖いか? 当然だなっ! お前ら程度では俺様をどうこうすることなど不可能っ! 調教だと? いい加減なことを言うんじゃないっ!」
ガハハッと笑うオディウムだが、モラクスは平然とレッドに鎖を差し出す。
「どうぞレッド=カーマインさん。こちらを使用すればオディウムを操ることが可能でございます」
「え? あ、どうも」
「あっ!! コラっ!! お前何渡してんだっ!! ふざけんじゃねぇっ!!」
焦ったオディウムは動けない自分の代わりにミノタウロスを10体召喚し、取引の邪魔をするよう差し向ける。
「やれやれ……レッド=カーマインさん。力の差というものを教えてやってください」
「俺っすか?」
ミノタウロスは目を血走らせ死に物狂いで突撃してくるが、レッドとモラクスの手前のところでパンッと弾けるようにバラバラになり、レッドたちの背後に肉塊がバラバラと散らばった。
ミノタウロスを倒す様を見たティオとリディアは目を丸くしていた。モラクスとシルニカは当然といった表情を浮かべている。
「何っ!? 新手の防御魔法かっ?! いや、魔力を感じなかったぞっ?! いったいどういうことだこれはっ!!」
「現実逃避ですか? あなたの動体視力ならレッド=カーマインさんの動きが良く見えたはずです。それとも油断しすぎでよく見ていなかったですか?」
「くっ!? あり得んっ!! 俺様が作り出した兵士だぞっ!?」
「私も狼狽えましたとも。ダンジョン内に居る全ミノタウロスが滅ぼされる勢いでしたから。やはり多少は残しておかないと見栄えというものがありますから」
「俺様の兵士はトロフィーではなぁいっ!!」
オディウムは懲りずにミノタウロスを差し向けるも結果は同じ。またもレッドの剣に阻まれる。
「あ、すいません。この部屋が汚れちゃいますよね……?」
「構いませんよ。すぐに掃除いたしますのでどうぞお構いなく」
レッドのあまりの速度に目を見張るオディウム。ティオとリディアも自身の動体視力を用いてレッドの動きを観測しようとしたが、予備動作の段階でレッドの体が消失したように見えなくなり、次の瞬間にはミノタウロスの肉片とレッドが剣を振り終わった姿が現れる。
「チッ……人間の癖になかなか動けるじゃねぇか。褒めてやるよ……」
「え? ど、どうも」
「嘘だよバーカっ! 褒めるわけねぇだろっ!」
「……なんだこいつ」
イラついたレッドは剣を構えそうになったが、モラクスが前に出て制止する。
「お待ちくださいレッド=カーマインさん。こいつはこういう性格なのでございます。どうぞ、この鎖を使ってオディウムを躾けてやってください」
パッと手渡された鎖。レッドは剣を仕舞って鎖をジッと見る。
「これを……どうすれば?」
「操るのです。声に出して命令するのも良いですし、念じて操るのも良いでしょう。しかしやはり最初は慣れるためにも命令をしてやるのがよろしいかと思います」
「例えば?」
「そうですね。見上げるのも首が痛くなってしまいますし、まずは我々くらい小さくしてみては如何でございましょう?」
モラクスの提案で早速命令を下そうとするが、オディウムは首にかかった鎖を外そうと必死になる。
「ざっけんなっ!! 誰が小さくなってやるもんかっ!!」
「よーし、オディウム。小さくなれ」
レッドが鎖を握りながら発した言葉にオディウムは苦しみ始めた。すると10mを超える体躯が小さくなっていき、3mの大きさにまで縮んだ。
「おお! 本当に小さくなった!」
「言った通りですね。しかしここまで従順になるとは……私が同じように握っていたとしてもひと回り小さくなるくらいが限度でございましょう。もしかするとこの鎖に縛られた者の気持ちに左右されるのかもしれません」
「……それって、どういう意味です?」
「格付けが完了したのではないかということです。本来は相手の動きを封じるのに適した鎖でございますが、その副次的効果で言うことを聞かせられる能力があるのではないかと考えておりました。概ね正しい推測であったと思いますが、私の時とレッド=カーマインさんの時とで明らかに違う反応をしているのでございます。ミノタウロスを一瞬で屠ったあの剣技にオディウムも脱帽だったのではないかと……」
モラクスの言う通りオディウムはレッドに逆らうことが出来ない。自分は信じたくなくとも、無意識下では屈服しているのではないかと肝が冷える思いでいた。
『格付けですか。所詮は獣ですねぇ。この私アイアンメイデンとは明らかに違いますが、同じ鎖の友として仲良く致しましょう。ね、オディウムさん』
「あんだ? この棺桶。冗談は存在だけにしろよ」
『……口の減らない方ですねぇ。ツノに思考回路全部持っていかれているのではないですか?』
アイアンメイデンはピリッと張り付いた空気で話しかけるが、オディウムは無視してレッドの側による。
「なぁおいレッド。こう言うのやめようぜ。調教だの躾だの変態かっての! 第一、俺様は男だ。女ならともかく、俺様を調教したところで旨味なんぞないだろう?」
「うん。……とりあえず『無限の軍勢』だっけ? シルニカさんたちが怖がっているからあのスキル禁止ね。あと俺の仲間に暴力振るうことも禁止」
「ちょっ、待……俺様の話を聞いてないのか? こいつを外してくれよ。な?」
「オディウム。まず俺の話を聞くんだ」
鎖の効果でオディウムはスキル『無限の軍勢』とレッドの仲間への暴力を封じられる。ようやく安全となったところでホッとしてシルニカたちが近づいてきた。
「ったく、あんたは人の話を聞かないんだから……」
「あ、あはは。まぁでもレッドさんの言ったことも大事ですよ。確かに私たちは『巨万の富と比類なき力』を求めてダンジョンに入ったんですから」
「これでピラミッド攻略ですね」
『私は気に入りませんよ。あんな奴と一緒なんてっ!』
目の前でほんわかムードのレッドたちを前に怒りを覚えるオディウムだったが、鎖の効果で全く手が出せない。青筋だけを増やしているとモラクスが声をかけてきた。
「オディウム。私はお前を上手く導くことが出来ませんでした。出来れば手ずから矯正したいですが、私では荷が重かったと言わざるを得ません。ワガママいっぱい育ててしまった私の不徳の致所。心苦しいですが、レッド=カーマインさんの元で自分を見直してきなさい」
「モラクス。俺様に近寄るとはバカな奴だ。お前はレッドの仲間じゃねぇ。積年の恨みを今ここで……っ!!」
しかしオディウムは拳を振るうことが出来ない。体が石のように硬くなっているのだ。鎖が光っているのを見れば、鎖の効果範囲に該当することが分かった。
「な、レッド=カーマインさん。私を仲間と思ってくださるのですか?」
「え? それはそうですよ。オディウムを俺に譲渡してくれたんですからもう仲間でしょう?」
モラクスは鼻頭を熱くしながら、ニコリと笑った。
「是非またいらして下さい。いつでも歓迎いたします」
良い雰囲気だが、オディウムだけは納得いかない。怒りで沸騰しそうな頭を抱えて転げ回る。
そんなオディウムを無視してシルニカが疑問を口にする。
「そういえば『巨万の富』の方はどうなるの?」
「そちらもご用意がありますが、何分多いので持ち帰るのは困難でしょう?」
「あ、じゃあ少しだけもらって帰るわ」
「結構ですよ。どうぞこちらに」
シルニカが宝石を幾らかもらい、ダンジョンを後にすることになった。
「私の魔法でポータルを開きますのでダンジョンの1階まで一気に移動していただけます。皆様、息子をよろしくお願いいたします」
容姿、体躯、持ち物や服の細部、魔力量まで事細かに。
その後、青筋を立てて奥歯を噛みしめた。
「この俺様をこんな軟弱野郎に渡すってのかよ? 冗談じゃねぇっ!!」
暴れまわりそうなほどにがなり立てるオディウムであったが、体に巻き付けられた鎖が体を揺する動きに反応してほんのり光る。
「あれが神具でございます。あれらは3つの鎖からなっておりまして、第1の鎖『レージングル』、第2の鎖『ドローミ』、第3の鎖『グレイプニル』という名前がついております」
「第一の鎖が? レージ……ん?」
「ああ。覚えなくても大丈夫でございます。ただオディウムでは破れないと考えていただけたらそれで……」
──バギンッ
モラクスが大丈夫であるといった傍からいきなり1本目の鎖が千切れ飛ぶ。ティオたちが鎖の破片を気にしながらモラクスに問う。
「い、今壊れないって……!?」
「申し訳ございません。オディウムの力が強く、神具であろうとも破壊してしまうのでございます。ですがご安心ください。今しがた千切れた鎖は元よりあまり頑丈ではありません。その代わりと言っては何ですが自己修復機能を持ち合わせておりますので、あれは千切れても問題ございません」
「2本目が千切れたらどうするのっ?!」
「まずありえませんが、もしもの時は3本目があります。こちらは神すらも拘束する神具。これを前にすればオディウムではどうすることも出来ません」
第1の鎖はオディウムにとって無限再生する見せかけの鎖でしかない。しかしモラクスの言葉が本当なら、第2、第3の鎖は別格ということになる。安心出来るかはさておき。
「要するに鎖を手綱代わりに使ってオディウムを調教すれば良いんでしょ?」
「なっ!? ひ、引き取ってくださるのですか?!」
「レッドっ!! あんたふざけてんじゃ……っ!!」
シルニカが詰め寄るのに目を逸らし、頭を掻きながらも判断を変えたりはしない。
「だ、だってここに来た理由が比類なき力だし? オディウムがそうだって言うなら手に入れなきゃダメでしょ?」
「もうそのラインを軽く飛び越えてんのよっ! こいつは外に出しちゃダメな類の奴なのっ!!」
「えぇ~……」
レッドはオディウムを見る。
「はっ!! 俺様が怖いか? 当然だなっ! お前ら程度では俺様をどうこうすることなど不可能っ! 調教だと? いい加減なことを言うんじゃないっ!」
ガハハッと笑うオディウムだが、モラクスは平然とレッドに鎖を差し出す。
「どうぞレッド=カーマインさん。こちらを使用すればオディウムを操ることが可能でございます」
「え? あ、どうも」
「あっ!! コラっ!! お前何渡してんだっ!! ふざけんじゃねぇっ!!」
焦ったオディウムは動けない自分の代わりにミノタウロスを10体召喚し、取引の邪魔をするよう差し向ける。
「やれやれ……レッド=カーマインさん。力の差というものを教えてやってください」
「俺っすか?」
ミノタウロスは目を血走らせ死に物狂いで突撃してくるが、レッドとモラクスの手前のところでパンッと弾けるようにバラバラになり、レッドたちの背後に肉塊がバラバラと散らばった。
ミノタウロスを倒す様を見たティオとリディアは目を丸くしていた。モラクスとシルニカは当然といった表情を浮かべている。
「何っ!? 新手の防御魔法かっ?! いや、魔力を感じなかったぞっ?! いったいどういうことだこれはっ!!」
「現実逃避ですか? あなたの動体視力ならレッド=カーマインさんの動きが良く見えたはずです。それとも油断しすぎでよく見ていなかったですか?」
「くっ!? あり得んっ!! 俺様が作り出した兵士だぞっ!?」
「私も狼狽えましたとも。ダンジョン内に居る全ミノタウロスが滅ぼされる勢いでしたから。やはり多少は残しておかないと見栄えというものがありますから」
「俺様の兵士はトロフィーではなぁいっ!!」
オディウムは懲りずにミノタウロスを差し向けるも結果は同じ。またもレッドの剣に阻まれる。
「あ、すいません。この部屋が汚れちゃいますよね……?」
「構いませんよ。すぐに掃除いたしますのでどうぞお構いなく」
レッドのあまりの速度に目を見張るオディウム。ティオとリディアも自身の動体視力を用いてレッドの動きを観測しようとしたが、予備動作の段階でレッドの体が消失したように見えなくなり、次の瞬間にはミノタウロスの肉片とレッドが剣を振り終わった姿が現れる。
「チッ……人間の癖になかなか動けるじゃねぇか。褒めてやるよ……」
「え? ど、どうも」
「嘘だよバーカっ! 褒めるわけねぇだろっ!」
「……なんだこいつ」
イラついたレッドは剣を構えそうになったが、モラクスが前に出て制止する。
「お待ちくださいレッド=カーマインさん。こいつはこういう性格なのでございます。どうぞ、この鎖を使ってオディウムを躾けてやってください」
パッと手渡された鎖。レッドは剣を仕舞って鎖をジッと見る。
「これを……どうすれば?」
「操るのです。声に出して命令するのも良いですし、念じて操るのも良いでしょう。しかしやはり最初は慣れるためにも命令をしてやるのがよろしいかと思います」
「例えば?」
「そうですね。見上げるのも首が痛くなってしまいますし、まずは我々くらい小さくしてみては如何でございましょう?」
モラクスの提案で早速命令を下そうとするが、オディウムは首にかかった鎖を外そうと必死になる。
「ざっけんなっ!! 誰が小さくなってやるもんかっ!!」
「よーし、オディウム。小さくなれ」
レッドが鎖を握りながら発した言葉にオディウムは苦しみ始めた。すると10mを超える体躯が小さくなっていき、3mの大きさにまで縮んだ。
「おお! 本当に小さくなった!」
「言った通りですね。しかしここまで従順になるとは……私が同じように握っていたとしてもひと回り小さくなるくらいが限度でございましょう。もしかするとこの鎖に縛られた者の気持ちに左右されるのかもしれません」
「……それって、どういう意味です?」
「格付けが完了したのではないかということです。本来は相手の動きを封じるのに適した鎖でございますが、その副次的効果で言うことを聞かせられる能力があるのではないかと考えておりました。概ね正しい推測であったと思いますが、私の時とレッド=カーマインさんの時とで明らかに違う反応をしているのでございます。ミノタウロスを一瞬で屠ったあの剣技にオディウムも脱帽だったのではないかと……」
モラクスの言う通りオディウムはレッドに逆らうことが出来ない。自分は信じたくなくとも、無意識下では屈服しているのではないかと肝が冷える思いでいた。
『格付けですか。所詮は獣ですねぇ。この私アイアンメイデンとは明らかに違いますが、同じ鎖の友として仲良く致しましょう。ね、オディウムさん』
「あんだ? この棺桶。冗談は存在だけにしろよ」
『……口の減らない方ですねぇ。ツノに思考回路全部持っていかれているのではないですか?』
アイアンメイデンはピリッと張り付いた空気で話しかけるが、オディウムは無視してレッドの側による。
「なぁおいレッド。こう言うのやめようぜ。調教だの躾だの変態かっての! 第一、俺様は男だ。女ならともかく、俺様を調教したところで旨味なんぞないだろう?」
「うん。……とりあえず『無限の軍勢』だっけ? シルニカさんたちが怖がっているからあのスキル禁止ね。あと俺の仲間に暴力振るうことも禁止」
「ちょっ、待……俺様の話を聞いてないのか? こいつを外してくれよ。な?」
「オディウム。まず俺の話を聞くんだ」
鎖の効果でオディウムはスキル『無限の軍勢』とレッドの仲間への暴力を封じられる。ようやく安全となったところでホッとしてシルニカたちが近づいてきた。
「ったく、あんたは人の話を聞かないんだから……」
「あ、あはは。まぁでもレッドさんの言ったことも大事ですよ。確かに私たちは『巨万の富と比類なき力』を求めてダンジョンに入ったんですから」
「これでピラミッド攻略ですね」
『私は気に入りませんよ。あんな奴と一緒なんてっ!』
目の前でほんわかムードのレッドたちを前に怒りを覚えるオディウムだったが、鎖の効果で全く手が出せない。青筋だけを増やしているとモラクスが声をかけてきた。
「オディウム。私はお前を上手く導くことが出来ませんでした。出来れば手ずから矯正したいですが、私では荷が重かったと言わざるを得ません。ワガママいっぱい育ててしまった私の不徳の致所。心苦しいですが、レッド=カーマインさんの元で自分を見直してきなさい」
「モラクス。俺様に近寄るとはバカな奴だ。お前はレッドの仲間じゃねぇ。積年の恨みを今ここで……っ!!」
しかしオディウムは拳を振るうことが出来ない。体が石のように硬くなっているのだ。鎖が光っているのを見れば、鎖の効果範囲に該当することが分かった。
「な、レッド=カーマインさん。私を仲間と思ってくださるのですか?」
「え? それはそうですよ。オディウムを俺に譲渡してくれたんですからもう仲間でしょう?」
モラクスは鼻頭を熱くしながら、ニコリと笑った。
「是非またいらして下さい。いつでも歓迎いたします」
良い雰囲気だが、オディウムだけは納得いかない。怒りで沸騰しそうな頭を抱えて転げ回る。
そんなオディウムを無視してシルニカが疑問を口にする。
「そういえば『巨万の富』の方はどうなるの?」
「そちらもご用意がありますが、何分多いので持ち帰るのは困難でしょう?」
「あ、じゃあ少しだけもらって帰るわ」
「結構ですよ。どうぞこちらに」
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