268 / 354
16章 聖王国 後編
268、探り合い
しおりを挟む
アリーシャは逃げる魔王の背中を追っていた。
ヴァイザーがグルガンに集中し始めた時、主人の目を盗んで逃走を図ったのだ。
「まったく見苦しいことですねぇ。ねぇ、アリーシャさん」
背後で戦っていたはずのフィアゼスがいつの間にか並走している。
「──もう片付いたのですね」
「ええ、恙無く。あとは4体ですか。2体ずつ倒せば丁度半分ですねぇ」
フィアゼスは嬉しそうにくつくつと笑っている。何がそんなにも面白いのか分からなかったが、アリーシャはフィアゼスの笑っている様を無視することにした。
「──そうですね。お願い出来ますか?」
「もちろんですよアリーシャさん。私に任せておけば万事解決致しましょう」
10体中互いに5体倒せば均等に分けられる。この男はそれを狙っている。アリーシャと『半分こ』したい一心で立ち回っているのだ。
わざわざアリーシャが倒した数を確認してから仕掛けるだけの余裕まで見せていた。実力を見せつけるような挑発にも似た行為だが、アリーシャは気にしていない。
──異世界の魔王、恐るるに足らず。
魔王と言えども実力はピンからキリ。探せばアリーシャやフィアゼスと互角以上に渡り合える実力を持ったものも出てくるかもしれないが、ヴァイザーの部下はハッキリ言ってそれほどではない。
中堅よりやや上といった実力者揃いなのだが、それではこの世界の剣神クラスには遠く及ばないのだ。
因みにエデンズガーデンに先遣隊として送られたヴォジャノーイ、アナンシ、サラマンドラの3魔将の実力は、強すぎもせず弱すぎもしない丁度中堅どころである。
魔王たちは恐怖していた。
散々異世界を旅させられたが、これほど追い詰められたのは今回が初めてだからだ。
デザイアの支配に屈し、無理やり連れ回されたとしても本来の実力に支障はない。
とどのつまりは今居るこの世界が渡って来たこれまでの世界と自分の世界とを比較しても、力の水準が高いことの証左となる。
デザイアの侵攻を皮切りに尊厳が踏みにじられ続けた魔王たちは、最後の希望であった自分たちの命の火も消えそうな状況にある。
(嫌だっ! 死にたくないっ!!)
であれば命を懸けて戦う時ではないだろうか。向かってくる敵に自慢の能力を振りかざし、取られる前に取る。
先ほどヴァイザーが彼らに命令した際、アリーシャとフィアゼスは攻撃の手を止めて防御に回った。何も出来ずに殺されていった間抜けな魔王たちに比べれば善戦していたと思える状況。
だからこそ逃げた。攻撃を受けきられ、かすり傷一つ負わない2人を見て気付いてしまった。
2人は魔王たちが何をしてくるのか観察していたのだ。
どんな力を使ってくるのか余興感覚で見られているような圧倒的な戦力差を目の当たりにすれば、誰だって逃げ出す。
なりふり構わず逃げ出せば呆れて追わない選択を取るかもしれないと考えての行動だったが、アリーシャは何が来ても対処出来るように若干間合いを開けて付いてくるし、フィアゼスもアリーシャを抜かさないように並走して付いてくる。
振り切れないことを悟った4体は、近くで戦っているはずの魔王たちの元に向かっていた。ほんの少しでも心に余裕を求めての行動だったが、これは完全に裏目に出る。
──ガサッ
木々の葉っぱを散らしながら飛び出す影。前方からやって来たのは全身が鱗で覆われたドラゴノイド。
魔道具『竜之禍玉』を使用したディロンが空気を切り裂きながらやって来たのだ。
急な出現に面食らったが、前方の敵は背後から追ってくるアリーシャたちと比べれば倒せそうだった。
「退けっ!! 雑魚がぁっ!!」
「オメーが雑魚だコラァっ!!」
──スパァンッ
ディロンのアッパーカットは敵の防御を貫き、そのまま頭蓋骨ごと粉砕した。
頭が消滅し、墜落する肉塊。しかしそれを目で追っている場合ではない。次が来ている。
「よせっ!! 来るなぁっ!!」
ディロンの後を追いかけるように刀を抜いたライトが目を光らせた。
「──葬刃っ!」
放たれた瞬間に終わりが見える冥府への誘い。
ガルムとの壮絶な戦いの末に手にした最強の斬撃は2体の魔王を一瞬で真っ二つにした。
「へぁっ?!」
すっ頓狂な声を上げたのはフィアゼス。
当然だろう。アリーシャの剣は既に最後の1体を細切れに切り刻んでいたのだから。
「そんなぁっ! そんなぁっ!?」
アリーシャとしては多く倒そうが、横取りされようが些細な問題ではない。しかしフィアゼスにとっては重大な問題である。せっかくの『半分こ』はお預けとなった。
ガクッと項垂れるフィアゼスを放っておいて、地面へと着地した3人は健闘をたたえ合う。
「やるじゃねぇか嬢ちゃん。見た目以上の強さを持っているみてぇだな」
「──いえ、それほどでもありません。あなた方もかなりのお力を有しておいでですね。特に刀のあなたは……」
「俺もまだ途上だ。世界にはまだまだ上がいる」
ライトは納刀し、キョロキョロと辺りを見渡した。ディロンも忙しなく首を動かす。
「──何かお探しですか?」
「おう、ちょっとな。あ、そうだ。オメーらこの辺ででっけぇ腕の魔族見なかったか? 顎が突き出たアホっぽい奴」
「──いいえ。見ていません」
「そうか~……逃がしちまったんだよなぁ。野郎をぶっ殺さねぇと奥歯に物が挟まった気分だ。スッキリしねぇぜ」
頭をボリボリ掻くディロンの言葉にフィアゼスが反応した。
「ん何ですってっ!? どこに居るのですかそいつはっ?! 私が殺して辻褄を合わせねばっ!」
「おいコラ。俺の獲物だぜ。おめーにはやらねぇよ」
「早い者勝ちですねぇっ!!」
走り出そうとするフィアゼスにアリーシャは声をかけた。
「──ダメですよ。グルガンさんの元に戻らねばなりませんから」
「そ、そんなぁ……!」
「──良かったらお2人とも一緒に行きますか?」
「えっ?! アリーシャさん? それはどうかと……」
アリーシャの言葉に2人は顔を見合わせる。
「手持ち無沙汰だったんだ。一緒に行こう」
「ま、しゃあねーか。俺もあの野郎は諦めるぜ」
ライトとディロンが加わり、グルガンの元に戻ることになった。加勢が決まった時、フィアゼスはぶつぶつとアリーシャに聞こえないくらいの小さな声で文句を垂れていた。
*
「儂のこの能力は両手合わせて20種の多様な力を持っておる。この宝珠は見ての通り儂の意識に合わせて自動的に動くいわば第三の手。儂の背負うこのエネルギーの輪も儂のこの目も、全てが破格の力を有しておる」
ヴァイザーは吹っ切れたようにベラベラと解説し始めた。グルガンは止めることなく聞いている。
「ふふふっ。突然儂が何を言い出したかと困惑しとるのじゃろうが、これは全て事実を述べておる。儂はデザイアを抜けば誰よりも多種多様な力を持つ魔神。誰よりも単純なのはドラグロスじゃろうが、あやつはもう良い。死んだ者になど興味はないからのぅ」
「確かに技が豊富なようだが、それで?」
「つまりは儂をどれほど翻弄しようとて無意味ということじゃ。儂が真の実力を発揮すれば何も出来ぬまま死ぬ。じゃが、儂とて神と信仰されし者。そう簡単に本気を出せばその名誉も地に落ちよう」
「なるほど。何を言い出すかと思えば言い訳か。我に接近されたのが余程堪えたらしい」
グルガンは腕を組んでため息をつく。
「勘違いするな。儂がこうしておぬしに教えてやっとるのは愉悦からじゃて。絶望する前にほんのちょっぴりエッセンスを加えて諦めを加速させるためのな。宣言しておこう。おぬしは儂の前に跪き、何も出来ぬ悔しさ、未熟、無力を抱えて死んでいくとなぁ」
「語彙力はあるようだが、能力の開示は終わりか?」
「ふふっ。開示したことを間抜けと思っているようじゃが、それは違う。例えば儂が言った全てのどれくらいが本当でどれくらいが嘘かおぬしに見破れるかな?」
「煙に巻こうというのか? ならば我からも1つ。貴公の保有する戦力は全て葬られた。今し方報告が入ってな、これから貴公を包囲する。我と貴公では戦力に差があっても、数の暴力に貴公はどれだけ耐えられる?」
グルガンの言葉にヴァイザーは表情には出さないように周りの気配を探る。確かに部下の気配がない。
「……ふっ。数を誇るでないわ。儂は単身でもおぬしらになら勝てるわい」
「先に数を持ち出したのはそちらだがな」
ヴァイザーは苛立ちから白いガントレットをかざした。
「バカがっ!! 魔王なんぞ飾りよっ!! 儂の部下はこいつで足りとるっ!!──王冠」
ヴァイザーの声と共に現れたのはとんでもない怪物だった。
ヴァイザーがグルガンに集中し始めた時、主人の目を盗んで逃走を図ったのだ。
「まったく見苦しいことですねぇ。ねぇ、アリーシャさん」
背後で戦っていたはずのフィアゼスがいつの間にか並走している。
「──もう片付いたのですね」
「ええ、恙無く。あとは4体ですか。2体ずつ倒せば丁度半分ですねぇ」
フィアゼスは嬉しそうにくつくつと笑っている。何がそんなにも面白いのか分からなかったが、アリーシャはフィアゼスの笑っている様を無視することにした。
「──そうですね。お願い出来ますか?」
「もちろんですよアリーシャさん。私に任せておけば万事解決致しましょう」
10体中互いに5体倒せば均等に分けられる。この男はそれを狙っている。アリーシャと『半分こ』したい一心で立ち回っているのだ。
わざわざアリーシャが倒した数を確認してから仕掛けるだけの余裕まで見せていた。実力を見せつけるような挑発にも似た行為だが、アリーシャは気にしていない。
──異世界の魔王、恐るるに足らず。
魔王と言えども実力はピンからキリ。探せばアリーシャやフィアゼスと互角以上に渡り合える実力を持ったものも出てくるかもしれないが、ヴァイザーの部下はハッキリ言ってそれほどではない。
中堅よりやや上といった実力者揃いなのだが、それではこの世界の剣神クラスには遠く及ばないのだ。
因みにエデンズガーデンに先遣隊として送られたヴォジャノーイ、アナンシ、サラマンドラの3魔将の実力は、強すぎもせず弱すぎもしない丁度中堅どころである。
魔王たちは恐怖していた。
散々異世界を旅させられたが、これほど追い詰められたのは今回が初めてだからだ。
デザイアの支配に屈し、無理やり連れ回されたとしても本来の実力に支障はない。
とどのつまりは今居るこの世界が渡って来たこれまでの世界と自分の世界とを比較しても、力の水準が高いことの証左となる。
デザイアの侵攻を皮切りに尊厳が踏みにじられ続けた魔王たちは、最後の希望であった自分たちの命の火も消えそうな状況にある。
(嫌だっ! 死にたくないっ!!)
であれば命を懸けて戦う時ではないだろうか。向かってくる敵に自慢の能力を振りかざし、取られる前に取る。
先ほどヴァイザーが彼らに命令した際、アリーシャとフィアゼスは攻撃の手を止めて防御に回った。何も出来ずに殺されていった間抜けな魔王たちに比べれば善戦していたと思える状況。
だからこそ逃げた。攻撃を受けきられ、かすり傷一つ負わない2人を見て気付いてしまった。
2人は魔王たちが何をしてくるのか観察していたのだ。
どんな力を使ってくるのか余興感覚で見られているような圧倒的な戦力差を目の当たりにすれば、誰だって逃げ出す。
なりふり構わず逃げ出せば呆れて追わない選択を取るかもしれないと考えての行動だったが、アリーシャは何が来ても対処出来るように若干間合いを開けて付いてくるし、フィアゼスもアリーシャを抜かさないように並走して付いてくる。
振り切れないことを悟った4体は、近くで戦っているはずの魔王たちの元に向かっていた。ほんの少しでも心に余裕を求めての行動だったが、これは完全に裏目に出る。
──ガサッ
木々の葉っぱを散らしながら飛び出す影。前方からやって来たのは全身が鱗で覆われたドラゴノイド。
魔道具『竜之禍玉』を使用したディロンが空気を切り裂きながらやって来たのだ。
急な出現に面食らったが、前方の敵は背後から追ってくるアリーシャたちと比べれば倒せそうだった。
「退けっ!! 雑魚がぁっ!!」
「オメーが雑魚だコラァっ!!」
──スパァンッ
ディロンのアッパーカットは敵の防御を貫き、そのまま頭蓋骨ごと粉砕した。
頭が消滅し、墜落する肉塊。しかしそれを目で追っている場合ではない。次が来ている。
「よせっ!! 来るなぁっ!!」
ディロンの後を追いかけるように刀を抜いたライトが目を光らせた。
「──葬刃っ!」
放たれた瞬間に終わりが見える冥府への誘い。
ガルムとの壮絶な戦いの末に手にした最強の斬撃は2体の魔王を一瞬で真っ二つにした。
「へぁっ?!」
すっ頓狂な声を上げたのはフィアゼス。
当然だろう。アリーシャの剣は既に最後の1体を細切れに切り刻んでいたのだから。
「そんなぁっ! そんなぁっ!?」
アリーシャとしては多く倒そうが、横取りされようが些細な問題ではない。しかしフィアゼスにとっては重大な問題である。せっかくの『半分こ』はお預けとなった。
ガクッと項垂れるフィアゼスを放っておいて、地面へと着地した3人は健闘をたたえ合う。
「やるじゃねぇか嬢ちゃん。見た目以上の強さを持っているみてぇだな」
「──いえ、それほどでもありません。あなた方もかなりのお力を有しておいでですね。特に刀のあなたは……」
「俺もまだ途上だ。世界にはまだまだ上がいる」
ライトは納刀し、キョロキョロと辺りを見渡した。ディロンも忙しなく首を動かす。
「──何かお探しですか?」
「おう、ちょっとな。あ、そうだ。オメーらこの辺ででっけぇ腕の魔族見なかったか? 顎が突き出たアホっぽい奴」
「──いいえ。見ていません」
「そうか~……逃がしちまったんだよなぁ。野郎をぶっ殺さねぇと奥歯に物が挟まった気分だ。スッキリしねぇぜ」
頭をボリボリ掻くディロンの言葉にフィアゼスが反応した。
「ん何ですってっ!? どこに居るのですかそいつはっ?! 私が殺して辻褄を合わせねばっ!」
「おいコラ。俺の獲物だぜ。おめーにはやらねぇよ」
「早い者勝ちですねぇっ!!」
走り出そうとするフィアゼスにアリーシャは声をかけた。
「──ダメですよ。グルガンさんの元に戻らねばなりませんから」
「そ、そんなぁ……!」
「──良かったらお2人とも一緒に行きますか?」
「えっ?! アリーシャさん? それはどうかと……」
アリーシャの言葉に2人は顔を見合わせる。
「手持ち無沙汰だったんだ。一緒に行こう」
「ま、しゃあねーか。俺もあの野郎は諦めるぜ」
ライトとディロンが加わり、グルガンの元に戻ることになった。加勢が決まった時、フィアゼスはぶつぶつとアリーシャに聞こえないくらいの小さな声で文句を垂れていた。
*
「儂のこの能力は両手合わせて20種の多様な力を持っておる。この宝珠は見ての通り儂の意識に合わせて自動的に動くいわば第三の手。儂の背負うこのエネルギーの輪も儂のこの目も、全てが破格の力を有しておる」
ヴァイザーは吹っ切れたようにベラベラと解説し始めた。グルガンは止めることなく聞いている。
「ふふふっ。突然儂が何を言い出したかと困惑しとるのじゃろうが、これは全て事実を述べておる。儂はデザイアを抜けば誰よりも多種多様な力を持つ魔神。誰よりも単純なのはドラグロスじゃろうが、あやつはもう良い。死んだ者になど興味はないからのぅ」
「確かに技が豊富なようだが、それで?」
「つまりは儂をどれほど翻弄しようとて無意味ということじゃ。儂が真の実力を発揮すれば何も出来ぬまま死ぬ。じゃが、儂とて神と信仰されし者。そう簡単に本気を出せばその名誉も地に落ちよう」
「なるほど。何を言い出すかと思えば言い訳か。我に接近されたのが余程堪えたらしい」
グルガンは腕を組んでため息をつく。
「勘違いするな。儂がこうしておぬしに教えてやっとるのは愉悦からじゃて。絶望する前にほんのちょっぴりエッセンスを加えて諦めを加速させるためのな。宣言しておこう。おぬしは儂の前に跪き、何も出来ぬ悔しさ、未熟、無力を抱えて死んでいくとなぁ」
「語彙力はあるようだが、能力の開示は終わりか?」
「ふふっ。開示したことを間抜けと思っているようじゃが、それは違う。例えば儂が言った全てのどれくらいが本当でどれくらいが嘘かおぬしに見破れるかな?」
「煙に巻こうというのか? ならば我からも1つ。貴公の保有する戦力は全て葬られた。今し方報告が入ってな、これから貴公を包囲する。我と貴公では戦力に差があっても、数の暴力に貴公はどれだけ耐えられる?」
グルガンの言葉にヴァイザーは表情には出さないように周りの気配を探る。確かに部下の気配がない。
「……ふっ。数を誇るでないわ。儂は単身でもおぬしらになら勝てるわい」
「先に数を持ち出したのはそちらだがな」
ヴァイザーは苛立ちから白いガントレットをかざした。
「バカがっ!! 魔王なんぞ飾りよっ!! 儂の部下はこいつで足りとるっ!!──王冠」
ヴァイザーの声と共に現れたのはとんでもない怪物だった。
10
あなたにおすすめの小説
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。
永礼 経
ファンタジー
特性「本の虫」を選んで転生し、3度目の人生を歩むことになったキール・ヴァイス。
17歳を迎えた彼は王立大学へ進学。
その書庫「王立大学書庫」で、一冊の不思議な本と出会う。
その本こそ、『真魔術式総覧』。
かつて、大魔導士ロバート・エルダー・ボウンが記した書であった。
伝説の大魔導士の手による書物を手にしたキールは、現在では失われたボウン独自の魔術式を身に付けていくとともに、
自身の生前の記憶や前々世の自分との邂逅を果たしながら、仲間たちと共に、様々な試練を乗り越えてゆく。
彼の周囲に続々と集まってくる様々な人々との関わり合いを経て、ただの素人魔術師は伝説の大魔導士への道を歩む。
魔法戦あり、恋愛要素?ありの冒険譚です。
【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる