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17章 龍球王国 前編
295、観光も兼ねて
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グルガンとアキマサの秘密の話し合いの後、しばらくして魔導戦艦がやって来た。
やはり国の中には船を置く場所がなかったため、外に置くことになる。魔導戦艦の中に留まることになったのはルイベリアとルイベリアがメンテナンスのために連れて来たスタッフとオリー、そしてヴォジャノーイの数名。
ルイベリアのスタッフも龍球王国に降りたがったが、全員は無理だったためにジャンケンで別れることになった。
「僕は良いよ。だって別に興味ないし」
「私はレッドと共に居たいが、船を降りるわけにはいかない。操舵士だからな」
「朕は外に出るのが怖いでおじゃるっ! 絶対降りないでおじゃるっ!」
と言うことだったので船の護衛役をヴォジャノーイに任せて、降りられるメンバーはリクゴウの屋敷を拠点に着物を借りて龍球王国内を散策することになった。
「あぁ~っ……お布団気持ちいい~っ」
久々に戦艦から出たというのにすぐ部屋に籠もって寝てしまう怠惰なスロウも居たが、いつも通りなのでその部屋内に能力を発動させる形で置いていくことになった。使用人にはご飯を廊下に置くだけで部屋には入らないように注意を呼びかけることで、スロウのニート生活がスタートした。
万が一の天使対策にアリーシャとフィアゼスが残ることになった。というのもアリーシャは特に街に興味はなく、かといって魔導戦艦に残るのはもしもの時に対応が後手になってしまうので、屋敷に籠ることで移動時間の短縮を図ったのだ。
フィアゼスはアリーシャの側を離れようとしないので一緒に屋敷に残ることになる。
「まさか七元徳どころか諸教派の切り札まで連れ出してくるとは……浮島なんてもんが漂ってるくらいだし、世界の危機ってのが真実味を帯びて来たってもんだな。実感はねぇけど」
アキマサは腕を組んで感心したような顔を見せた。
魔導戦艦から降りて来た面子を見てレッドは疑問に思う。
「あれ? ドラグロスが居ないみたいだけど?」
「奴なら早速グレゴールに会いに行ったぞ。俺に任せろと張り切っていた」
「頼むならみんなで行った方がいいと思ったんだけどな。仲間になってもらうならそういう行動というか、筋? て言うの? を通しておきたいというか……」
レッドがモゴモゴとグルガンに話していると、背後からアキマサが肩を組んできた。
「おぉ~っ『筋』かぁ。いいことを言うねぇレッドはっ」
「え? えへっ。そ、そうですかね?」
「俺たちアマツカグラの人間は仁義や人情を重んじる。レッドのそういう精神は仲間を集める良い要因になる。有名人たちに囲まれても平気そうだしなぁ。人望が厚いのは筋を通せる強い精神力と求心力が関係してんのかもなぁ」
「つ、強い精神力っ?!……いや、お、俺は……」
レッドが萎縮すると、グルガンが目で訴える。アキマサはバツが悪そうな顔をしながら数回頷いた。
「あ~……まぁ、それは置いといて。実はグルガンと話し合って俺もあんたらの件に一枚噛むことにしたんだ。つまり今後は俺も仲間だってこと。気安くアキマサって呼び捨てしてくれても良いんだぜ?」
「あ、いや……アキマサさんで、お願いします」
「そっか、了解。じゃそいつは後々の楽しみってことで取って置くとしよう。ところでさっきも言った通り、ここを拠点にしていくらでも居て良いって言ったが、一つ条件があってな。なに、大したことじゃないんだが、俺の知り合いに挨拶することが条件だ」
「挨拶ですか?」
「そうだ。顔見せ程度にな。大人数で行くのは迷惑になるからチームリーダーのレッドとグルガンは参加してくれ。後は街を散策するなり、寝るなりお好きにどうぞ」
他のメンバーは四つ折りの地図を手渡された。パンフレットのようにどこに何があるのか書いていて、且つ行ってはいけない場所にバツ印を描いていた。観光するには打って付けのアイテムである。
みんなどこを回ろうかと楽しい会話が聞こえてくる。殺伐とした戦いの中の一時的な休暇。
レッドは息抜きにも全力な彼らの会話に混ざりたい気もしたが、この仕事をしないとみんなに迷惑が掛かると考えグッと我慢した。
ライトはそんなレッドを見て心を痛めた。
「……すまないレッド。俺も挨拶回りに参加したかったが、ハルたちが一緒に回って欲しいというんだ。戦いが長引いて構ってあげられなかったし、今回は少し余裕もあると思って……」
「あ、ぜ、全然大丈夫ですよっ。挨拶くらい俺に任せてください。実はここに来るまでにチンピラに絡まれたんです。どれだけ良い国と言っても絶対安全というわけでもないので、彼女たちを守ってあげて下さい」
「本当にすまない。埋め合わせはいつか必ず……」
頭を下げるライトの肩をディロンが小突く。
「何が埋め合わせだ。オメーは女どもと乳繰り合ってな。その挨拶回りって奴は俺が参加するぜっ」
「おい、ふざけているのか? ダメに決まっているだろっ。貴様が要人に会うことが出来るのは全てが終わった後か、関係修復の必要がない時くらいだ。貴様は俺たちと一緒に街の散策に行くぞ。ウルラドリスやフローラたちも待ってるんだからな」
「くそがっ! 散策なんてつまんねぇよっ!」
わがままを言い出すディロンをライトは引き摺るように連れて行った。
それを苦笑いで見ていたアキマサはフンッと鼻を鳴らし、レッドに向き直る。
「……気を取り直して挨拶回りに行くかぁ。っとその前に、2人には着物を着てもらうぜ。念のためにな」
アキマサはレッドとグルガンの普段着を考慮して甚平、袴、作務衣を用意した。レッドは作務衣に身を包み、グルガンは袴を着こなす。
「よしっ! モミジっ! お前もついて来いっ!」
「え? あたしも行くの?」
アキマサは屋敷のことを使用人に任せ、モミジとレッド、グルガンを連れて屋敷を出立した。
やはり国の中には船を置く場所がなかったため、外に置くことになる。魔導戦艦の中に留まることになったのはルイベリアとルイベリアがメンテナンスのために連れて来たスタッフとオリー、そしてヴォジャノーイの数名。
ルイベリアのスタッフも龍球王国に降りたがったが、全員は無理だったためにジャンケンで別れることになった。
「僕は良いよ。だって別に興味ないし」
「私はレッドと共に居たいが、船を降りるわけにはいかない。操舵士だからな」
「朕は外に出るのが怖いでおじゃるっ! 絶対降りないでおじゃるっ!」
と言うことだったので船の護衛役をヴォジャノーイに任せて、降りられるメンバーはリクゴウの屋敷を拠点に着物を借りて龍球王国内を散策することになった。
「あぁ~っ……お布団気持ちいい~っ」
久々に戦艦から出たというのにすぐ部屋に籠もって寝てしまう怠惰なスロウも居たが、いつも通りなのでその部屋内に能力を発動させる形で置いていくことになった。使用人にはご飯を廊下に置くだけで部屋には入らないように注意を呼びかけることで、スロウのニート生活がスタートした。
万が一の天使対策にアリーシャとフィアゼスが残ることになった。というのもアリーシャは特に街に興味はなく、かといって魔導戦艦に残るのはもしもの時に対応が後手になってしまうので、屋敷に籠ることで移動時間の短縮を図ったのだ。
フィアゼスはアリーシャの側を離れようとしないので一緒に屋敷に残ることになる。
「まさか七元徳どころか諸教派の切り札まで連れ出してくるとは……浮島なんてもんが漂ってるくらいだし、世界の危機ってのが真実味を帯びて来たってもんだな。実感はねぇけど」
アキマサは腕を組んで感心したような顔を見せた。
魔導戦艦から降りて来た面子を見てレッドは疑問に思う。
「あれ? ドラグロスが居ないみたいだけど?」
「奴なら早速グレゴールに会いに行ったぞ。俺に任せろと張り切っていた」
「頼むならみんなで行った方がいいと思ったんだけどな。仲間になってもらうならそういう行動というか、筋? て言うの? を通しておきたいというか……」
レッドがモゴモゴとグルガンに話していると、背後からアキマサが肩を組んできた。
「おぉ~っ『筋』かぁ。いいことを言うねぇレッドはっ」
「え? えへっ。そ、そうですかね?」
「俺たちアマツカグラの人間は仁義や人情を重んじる。レッドのそういう精神は仲間を集める良い要因になる。有名人たちに囲まれても平気そうだしなぁ。人望が厚いのは筋を通せる強い精神力と求心力が関係してんのかもなぁ」
「つ、強い精神力っ?!……いや、お、俺は……」
レッドが萎縮すると、グルガンが目で訴える。アキマサはバツが悪そうな顔をしながら数回頷いた。
「あ~……まぁ、それは置いといて。実はグルガンと話し合って俺もあんたらの件に一枚噛むことにしたんだ。つまり今後は俺も仲間だってこと。気安くアキマサって呼び捨てしてくれても良いんだぜ?」
「あ、いや……アキマサさんで、お願いします」
「そっか、了解。じゃそいつは後々の楽しみってことで取って置くとしよう。ところでさっきも言った通り、ここを拠点にしていくらでも居て良いって言ったが、一つ条件があってな。なに、大したことじゃないんだが、俺の知り合いに挨拶することが条件だ」
「挨拶ですか?」
「そうだ。顔見せ程度にな。大人数で行くのは迷惑になるからチームリーダーのレッドとグルガンは参加してくれ。後は街を散策するなり、寝るなりお好きにどうぞ」
他のメンバーは四つ折りの地図を手渡された。パンフレットのようにどこに何があるのか書いていて、且つ行ってはいけない場所にバツ印を描いていた。観光するには打って付けのアイテムである。
みんなどこを回ろうかと楽しい会話が聞こえてくる。殺伐とした戦いの中の一時的な休暇。
レッドは息抜きにも全力な彼らの会話に混ざりたい気もしたが、この仕事をしないとみんなに迷惑が掛かると考えグッと我慢した。
ライトはそんなレッドを見て心を痛めた。
「……すまないレッド。俺も挨拶回りに参加したかったが、ハルたちが一緒に回って欲しいというんだ。戦いが長引いて構ってあげられなかったし、今回は少し余裕もあると思って……」
「あ、ぜ、全然大丈夫ですよっ。挨拶くらい俺に任せてください。実はここに来るまでにチンピラに絡まれたんです。どれだけ良い国と言っても絶対安全というわけでもないので、彼女たちを守ってあげて下さい」
「本当にすまない。埋め合わせはいつか必ず……」
頭を下げるライトの肩をディロンが小突く。
「何が埋め合わせだ。オメーは女どもと乳繰り合ってな。その挨拶回りって奴は俺が参加するぜっ」
「おい、ふざけているのか? ダメに決まっているだろっ。貴様が要人に会うことが出来るのは全てが終わった後か、関係修復の必要がない時くらいだ。貴様は俺たちと一緒に街の散策に行くぞ。ウルラドリスやフローラたちも待ってるんだからな」
「くそがっ! 散策なんてつまんねぇよっ!」
わがままを言い出すディロンをライトは引き摺るように連れて行った。
それを苦笑いで見ていたアキマサはフンッと鼻を鳴らし、レッドに向き直る。
「……気を取り直して挨拶回りに行くかぁ。っとその前に、2人には着物を着てもらうぜ。念のためにな」
アキマサはレッドとグルガンの普段着を考慮して甚平、袴、作務衣を用意した。レッドは作務衣に身を包み、グルガンは袴を着こなす。
「よしっ! モミジっ! お前もついて来いっ!」
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