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17章 龍球王国 前編
298、勝ち取れ
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「ほぅ? なんとなんとっ。あの浮島の主を倒して回っていると? これは驚いたっ!」
カッカと笑うホウヨクと口に手を添えて上品に笑うアゲハ。それが冗談めかしていることに気付くのにそう時間は掛からない。初めて聞いたモミジとて笑って済ませたい話だった。
和やかな雰囲気を醸し出すオオトリ兄妹と違い、グルガンは恐ろしく真面目にホウヨクを見据える。
「信じられないのも無理はない。相手は今まで見たこともない技術と力を持った超常の存在。異世界から異世界を何不自由なく渡り歩く本物の侵略者なのだからな。支配した世界も数知れん。しかし、であるからこそ貴公らに力をお貸し願いたいと考えている」
「面白いことを言われる客人だ。仮にその話を信じたとして、わたくしに何を求める? 財力か? 戦力か?」
「圧倒的に後者だ。むしろそれ以外必要ない」
「ほぅ? それはそれは願っても無き事……。実はわたくしどもはあの浮島に難儀していてな。何か手はないものかと頭を悩ませていたのだ。皆は動かぬ敵に対して後の先の姿勢を崩さぬが、わたくしとしては先手必勝をモットーとしている。1人で乗り込むなど論外なれど、共に戦ってくれる味方がいれば心強い……がっ!」
ホウヨクは上座からドンッと飛び上がるように立ち上がった。
「その前にあなた方のお力を拝見したい。わたくしよりも上、もしくは匹敵する実力であるなら喜んでこの話、承諾致しましょう」
「その巨躯でその運動神経。まさに理想の武人。その賭けに乗らない手はないが、断っておくことが1つ……」
「どうぞっ」
「浮島の主は味方に引き入れるつもりでいる。本当の敵はこの大陸の中枢に陣取るデザイアだからな。今回貴公が我らの仲間入りを果たしたとしても、にわかに攻めるような真似はしないと断っておく」
「はぁーっはっはっはぁっ!! 刃を交える前からもう勝利したつもりとはっ!! 豪気なことだな客人っ!!」
「グルガンと」
「これは失礼したグルガン殿っ!! 道場を用意してあるっ! やるならばそこで剣を交えようっ!!」
ホウヨクに案内され、敷地内に建てられた立派な道場に入る。草履を脱ぎ、道場に一礼して入るホウヨクを真似してレッドとグルガンも靴を脱いでから一礼して足を踏み入れた。
「飽くまで試し合い。されどわたくしは手を抜くつもりはないっ!」
壁に飾るように置かれていた槍のように長い柄の武器を、自由自在に振り回しながら重さを感じさせることなくピタッと止めて見せた。止めた瞬間に発生した衝撃波が突風となって押し寄せ、道場全体をガタガタと揺らす。
「ふっ……安心してくれ。刃引きはしてある」
「無駄だろ」
「兄様、人を殺す気ですか?」
アキマサとアゲハに立て続けに突っ込まれてホウヨクはしゅんっとした。モミジも呆れ気味に肩を竦めたが、グルガンとレッドは平気そうな顔をしている。
「行けるか? レッド」
「あ、俺っすか? はい」
話の流れからそのままグルガンが試合するのかと思っていたが、スルッとレッドに任せて来た。しかし得意分野で分けるという前提なら納得のいく采配である。レッドは文句一つなく前に出る。
「俺にもその刃引きした武器を貸してもらえますか?」
「ん?……ふっふっふっ。ならばそこの壁に掛かっている武器をどれでも取るが良い。2本でも3本でも好きなだけな」
「あ、じゃあ1本だけ……」
レッドは何本か手に取って握りを確認すると、一番違和感ない握りの刃引きされた直刀を使用することにした。
「君はレッドくんだったな。よろしくっ」
「あ、はい。よろしくお願いします。ホウヨクさん」
レッドはペコっと頭を下げた。ホウヨクは謙虚な姿勢のレッドに好感を持つ。
「なかなかの好青年だっ! 気に入ったぞっ!」
「……レッド。分かっていると思うが、ブルックたちを相手にしている感じで頼むぞ。怪我はさせないようにな」
レッドはグルガンの呟く声に頷く。モミジはたまたま近くに居たためにその声が聞こえていた。
「……この国1番の実力者と名高い方です。舐めてかかると死にますよ?」
「案ずるな。なんらか間違いが生じればすぐに我が対処しよう」
「横入りってことですか? あの風圧を感じなかったのですか?……かなり自信があるようですが、あの腕力の前には無意味ですよ?」
「横入りの必要はない。レッドは上手くやってくれるだろうし、試合形式で今のところ事故はないからな」
「……なるほど。お互い譲る気はないということですね。どうなるか見てみましょうか」
モミジは肩を怒らせ、感情の高ぶりを抑えられないのかフンッと鼻を鳴らして腕を組んだ。
「ははっ悪いな。うちの弟子は意固地なとこがあるからよ。つってもレッドで勝てるのか?」
「もちろん。それで次は誰だ? ホウヨク殿で終わりということはないだろう?」
「おいおい、マジかよ。もう次の話をするのか? そいつはちょっと舐めすぎだぜ」
「……ふむ。それもそうだな。それではゆっくり見学するとしよう」
少し気が早ったグルガンはモミジと同じように腕を組んで落ち着くことにした。
「いくぞレッドくんっ!! ──紅逸刀流ホウヨク=オオトリっ!! 参るっ!!」
カッカと笑うホウヨクと口に手を添えて上品に笑うアゲハ。それが冗談めかしていることに気付くのにそう時間は掛からない。初めて聞いたモミジとて笑って済ませたい話だった。
和やかな雰囲気を醸し出すオオトリ兄妹と違い、グルガンは恐ろしく真面目にホウヨクを見据える。
「信じられないのも無理はない。相手は今まで見たこともない技術と力を持った超常の存在。異世界から異世界を何不自由なく渡り歩く本物の侵略者なのだからな。支配した世界も数知れん。しかし、であるからこそ貴公らに力をお貸し願いたいと考えている」
「面白いことを言われる客人だ。仮にその話を信じたとして、わたくしに何を求める? 財力か? 戦力か?」
「圧倒的に後者だ。むしろそれ以外必要ない」
「ほぅ? それはそれは願っても無き事……。実はわたくしどもはあの浮島に難儀していてな。何か手はないものかと頭を悩ませていたのだ。皆は動かぬ敵に対して後の先の姿勢を崩さぬが、わたくしとしては先手必勝をモットーとしている。1人で乗り込むなど論外なれど、共に戦ってくれる味方がいれば心強い……がっ!」
ホウヨクは上座からドンッと飛び上がるように立ち上がった。
「その前にあなた方のお力を拝見したい。わたくしよりも上、もしくは匹敵する実力であるなら喜んでこの話、承諾致しましょう」
「その巨躯でその運動神経。まさに理想の武人。その賭けに乗らない手はないが、断っておくことが1つ……」
「どうぞっ」
「浮島の主は味方に引き入れるつもりでいる。本当の敵はこの大陸の中枢に陣取るデザイアだからな。今回貴公が我らの仲間入りを果たしたとしても、にわかに攻めるような真似はしないと断っておく」
「はぁーっはっはっはぁっ!! 刃を交える前からもう勝利したつもりとはっ!! 豪気なことだな客人っ!!」
「グルガンと」
「これは失礼したグルガン殿っ!! 道場を用意してあるっ! やるならばそこで剣を交えようっ!!」
ホウヨクに案内され、敷地内に建てられた立派な道場に入る。草履を脱ぎ、道場に一礼して入るホウヨクを真似してレッドとグルガンも靴を脱いでから一礼して足を踏み入れた。
「飽くまで試し合い。されどわたくしは手を抜くつもりはないっ!」
壁に飾るように置かれていた槍のように長い柄の武器を、自由自在に振り回しながら重さを感じさせることなくピタッと止めて見せた。止めた瞬間に発生した衝撃波が突風となって押し寄せ、道場全体をガタガタと揺らす。
「ふっ……安心してくれ。刃引きはしてある」
「無駄だろ」
「兄様、人を殺す気ですか?」
アキマサとアゲハに立て続けに突っ込まれてホウヨクはしゅんっとした。モミジも呆れ気味に肩を竦めたが、グルガンとレッドは平気そうな顔をしている。
「行けるか? レッド」
「あ、俺っすか? はい」
話の流れからそのままグルガンが試合するのかと思っていたが、スルッとレッドに任せて来た。しかし得意分野で分けるという前提なら納得のいく采配である。レッドは文句一つなく前に出る。
「俺にもその刃引きした武器を貸してもらえますか?」
「ん?……ふっふっふっ。ならばそこの壁に掛かっている武器をどれでも取るが良い。2本でも3本でも好きなだけな」
「あ、じゃあ1本だけ……」
レッドは何本か手に取って握りを確認すると、一番違和感ない握りの刃引きされた直刀を使用することにした。
「君はレッドくんだったな。よろしくっ」
「あ、はい。よろしくお願いします。ホウヨクさん」
レッドはペコっと頭を下げた。ホウヨクは謙虚な姿勢のレッドに好感を持つ。
「なかなかの好青年だっ! 気に入ったぞっ!」
「……レッド。分かっていると思うが、ブルックたちを相手にしている感じで頼むぞ。怪我はさせないようにな」
レッドはグルガンの呟く声に頷く。モミジはたまたま近くに居たためにその声が聞こえていた。
「……この国1番の実力者と名高い方です。舐めてかかると死にますよ?」
「案ずるな。なんらか間違いが生じればすぐに我が対処しよう」
「横入りってことですか? あの風圧を感じなかったのですか?……かなり自信があるようですが、あの腕力の前には無意味ですよ?」
「横入りの必要はない。レッドは上手くやってくれるだろうし、試合形式で今のところ事故はないからな」
「……なるほど。お互い譲る気はないということですね。どうなるか見てみましょうか」
モミジは肩を怒らせ、感情の高ぶりを抑えられないのかフンッと鼻を鳴らして腕を組んだ。
「ははっ悪いな。うちの弟子は意固地なとこがあるからよ。つってもレッドで勝てるのか?」
「もちろん。それで次は誰だ? ホウヨク殿で終わりということはないだろう?」
「おいおい、マジかよ。もう次の話をするのか? そいつはちょっと舐めすぎだぜ」
「……ふむ。それもそうだな。それではゆっくり見学するとしよう」
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