「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸

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8章

82、アルカナ

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「来るぞ!!」

 レッドがミルレースに問答を仕掛けられている時、戦車ザ・チャリオットがライトたちと接敵していた。レッドが難なく避けた巨大サーベルがライトに振り下ろされる。
 雷のごとき速度で迫りくる巨大な金属の板にライトはロングソードを這わせ、相手の威力に身を任せて吹き飛ばされる。避けるのが間に合わないと悟った時の苦肉の策で、吹き飛ばされることで攻撃を回避。衝撃がライトの体力を削るも致命傷は免れる。
 身を翻して着地の体勢を取るもそこは毒の瘴気が渦巻く危険地帯。雷撃も合わさり、入った瞬間に体が痺れてジワジワと命を奪う。

 ──バッ

 毒の瘴気に触れる直前、ライトの体が浮き上がる。横からオリーがライトの体を抱えるように救い出した。地面に転がるように着地すると、すぐさま身を起こしてオリーを見る。

「ありがとうオリーさん!助かった!!」
「礼なら後にしろ!」

 オリーが睨んだ先には上半身が異様に発達したヤギの角を持つ悪魔。ちょうちんアンコウのような凶悪な顔。3本指の太すぎる腕。申し訳程度に付いた脚にはバンビのように細く、足先は蹄。背中には鴉を思わせる漆黒の羽が生えている。
 ミルレースが追加で出した悪魔ザ・デビルザ・タワーを拠点とし、無数に湧き出る戦闘員。戦車ザ・チャリオットが大きすぎるので目の届かない細かい部分を悪魔が担う。

「うわぁぁぁっ!!」

 ライトたちの背後で相変わらず平伏していた子爵バイカウント男爵バロンは、悪魔ザ・デビルに襲われて血を流していた。悪魔ザ・デビルの1体1体がかなりの強さを誇り、子爵バイカウントでさえ、苦戦しているのが目に入った。だがライトは臆することはない。

「閃光烈刃!!」

 ライトは迫り来る悪魔ザ・デビル剣士セイバーの技の派生形を見舞う。一刀両断された悪魔ザ・デビルは真っ二つに左右に別れ、ライトの背後に肉塊となって着地した。直後ゴキッと骨を砕く音が聞こえる。チラリと視線を送ればオリーが正拳突きで悪魔ザ・デビルの顔面を陥没させ、絶命に導いていた。

(やれる!2人なら!)

 2人が倒した2体は塔から生産される悪魔ザ・デビルのほんの一部に過ぎないが、片や一撃で斬り伏せ、片や拳で一発で沈黙させられるなら、体力の保つ限り勝つことは容易。ただし必殺の剣技を使う必要があるため、オリーよりも消耗が激しいことは目に見えている。そして更なる問題は戦車ザ・チャリオットだ。
 現在は2人とも悪魔ザ・デビルかまけっきりで先の一撃を避けた以上の接触が出来ていない。この状態でいつまた攻撃がやって来るかも気掛かりだった。しかしその時は訪れない。

 ガィィィンッ

 金属の巨獣にグルガンの一撃が入った。サーベルとハルバートの合間を縫って胸部に拳を叩き込んだのだ。戦車ザ・チャリオットは持っている武器の間合いを見極められ、密着され一方的に攻撃を受ける。

(流石に硬いか……)

 グルガンの拳では有効打になり得ないことを悟った次の瞬間、強力な斥力せきりょくが発生してグルガンを吹き飛ばした。衝撃波程度なら踏ん張ることが出来るだろうと考えていたが、磁石同士の反発のように接近を遮断されてしまった。グルガンにしてみても斥力は予想外だった。

(こうも簡単に吹き飛ばされるとは……しかしあの反発を使用したタイミングを考えれば、常時使用出来るものではない。死角をカバーするための一時的な防御能力と見てまず間違いないだろう。ライトにサーベルを振り下ろしたどさくさまぎれの魔法攻撃が無効化されたことから、奴には物理中心で攻撃する必要がある。それも我が拳以上の威力のな……)

 どれほど硬い金属であるか不明な以上、牙や爪ではこちらにダメージが入る。となれば素手以外の攻撃方法を取る必要がある。敵の戦力と弱点を分析していると、戦車ザ・チャリオットの脇にある砲塔からビームが放たれる。とっさに飛行魔法を使用し、紙一重で躱しながらグルガンは中空から剣を2本取り出した。

「……出し惜しみしている場合ではないなっ!!」



 レッドの背後で戦車ザ・チャリオット悪魔ザ・デビルがライトたちと戦いを始めた。金属同士がぶつかる音が響いてくる。レッドはその音を聞きながら息を吸った。

「俺は仲間を守る。お前の言う通りそれだけは曲げるつもりはない」
「ならば何故私と戦うのです?背後の敵を放置して……グルガンに言われたからですか?」
「いろいろ出したのはお前だミルレース。魔法使いの魔法は大元を叩けば消える。だから俺はみんなのために戦うんだ」
「はんっ!動揺する姿が見られず残念ですが、私もそろそろあなたとの関係を終わらせたいと考えておりました。ただレッド、そうは言っても感謝はしています。月並みですが、世界を私と共に取りませんか?」

 ミルレースはなおもレッドを惑わそうとする。しかしレッドは口を噤んで剣を構えた。

「……もはや問答は無用ですか。ストレングス

 ミルレースは赤いオーラを纏い、魔力と身体能力の底上げを図る。魔法使いの使用する身体能力の底上げなど比にならないレベルでぐんぐん上昇する。

運命の輪ホイール・オブ・フォーチュン

 続いて発動させた力はミルレースの周りに輪っかを作り、そのまま体に吸収した。どんな効力を持つかは分かっていないが、きっとろくでもない物に決まっている。

「うふふっ……良いのですかレッド?準備をする私を邪魔しなくても……」
「え?あ、もういいの?まだ話し中かと思ってた……」
「……ふざけていますね。ふぅ……なるほど。これがあなたを前にした愚劣な魔族の気持ちということですか……魔術師ザ・マジシャン

 ミルレースの周りに6つ三角錐のクリスタルが出現した。赤、青、黄、緑、紫、白のそれぞれの色を持ち、多種多様な属性エレメントを保有する力の源。

「……なんか、ゴージャスだな」
「その余裕もここまでですよ?」
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