134 / 354
11章 新たなる敵
134、侵略者
しおりを挟む
神とは世界に影響を与えるものの称号である。
世界を創造するもの、世界を破壊するもの、世界を変えるもの、世界を守るもの。
この中の一つに該当しようものなら規模に関わらず神として君臨出来る。
影響力は絶大であり、誰もが敬い尊ぶ。
皆、神であるその名を刻み、その存在を崇め、その力に傅く。
*
──異世界『エデンズガーデン』──
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
中でも魔物と呼ばれる猛獣は人間を積極的に襲う外敵であり、人々は武器や魔法を用いて自分の身を守る必要があった。
長い歴史の中、街は平和に暮らせるように魔力で結界が張られ、外敵を防ぐことに成功。
住む場所の確保を終えた人々は、今度は逆に魔物を狩る側となり、魔物からはぎ取れる毛や皮、牙や骨などが加工され市販されることになる。
街の外も危ないのだが、特に危険地帯と言われる『ダンジョン』は別格で、鍛え上げられた冒険者でも死ぬ可能性が高い。それゆえ希少な素材やお宝に囲まれ、多くの富をもたらし、人々の生活になくてはならない金の鉱脈だった。
ダンジョンを攻略し、ダンジョンに眠るお宝を探るために結成された組織を冒険者ギルドと呼ぶ。
そこに所属する冒険者たちは気の合う仲間と共にチームを立ち上げ、より安全により多くの素材や宝を持ち帰る。
冒険者たちがダンジョン攻略に勤しむ中、『ビフレスト』から追放された物語の主人公『レッド=カーマイン』は、たまたま手に入れた『女神の欠片』とそこから現れた意識体である『女神ミルレース』の懇願により、女神復活の旅に出ることとなった。
紆余曲折あって仲間を手に入れ、ダンジョンを支配する敵『皇魔貴族』との激闘の果てについにミルレースの封印を解く。
だがミルレースは最強にして最悪の存在であり、何物も生み出さず、何物にも執着しない破壊神だった。
レッドはミルレースの暴虐を止めるべく立ちはだかり、仲間の協力もあってミルレースを倒した。
世界に平和をもたらしたと同時に人族からのレッドに対する蔑みの声は鳴りを潜め、人族はおろか皇魔貴族にも認められる英雄へと昇華した。
激戦を駆け抜けて日常へと戻ったレッドは仲間と共に仕事をする傍ら、皇魔貴族から爵位と領土を与えられ、順風満帆な人生に足を踏み入れる。
その時に異変が起こった。
突如空間を割って三体の怪物が姿を現したのだ。
謎の勢力の侵攻。
世界はミルレースを超える未曽有の危機を迎えることとなる──。
*
どこからともなく現れた怪物たちに対抗すべく手分けすることになったレッドたち。
グルガンは真っ先に自領を守りにシャングリラ方面に向かい、ライトとディロンたちは辺境に飛んだ怪物を追いかけ、最後にレッドたちは海に飛び込んだ怪物を追うこととなった。
「怪物かぁ……どんなんだろう? あんまり強くないと良いけどなぁ……」
レッドはぼんやり空を眺めながら呟く。
「確かにその通りだ。先に飛び出したグルガンやライトたちが心配になるな」
「ま、まぁそれもあるけどさ。俺たちだけで大丈夫かなって思うところも……あったり?」
「ん? 何が心配なんだ? レッドなら心配することは何もないだろう?」
オリー=ハルコンは長い髪を耳にかけながら当然といった顔でレッドに疑問をぶつける。レッドが困った顔をした直後、スロウ=オルベリウスは目を輝かせた。
「えぇ~? レッドってそんなに強いの~? えっへへっ!頼りにしてるよ~」
「ちょっ……スロウさんまで……困ったなぁ……」
レッドは後頭部を掻きながら焦りを抑えられない。期待してくれるのは嬉しいことだが、過度な期待はプレッシャーとなってレッドに襲いかかる。
戦い以外はからっきしダメなレッドだが、得意なはずの剣を自分の身の丈以上に褒められるとたまったものではない。
「おい……こっちだレッド=カーマイン……何を遊んでいる……ボーッとしていないで遅れずについてこい……」
「あ、はい……」
そこに追い討ちをかけるように皇魔貴族のナンバー3とも目されるレイラ=伯爵=ロータスから叱責を受けた。
海を目指す一行。レッドは方向音痴ゆえに道なき道を歩けば明後日の方角に歩いていってしまう。それを見越してレッドの仲間であるライト=クローラーから事前に案内役をつけるようにお願いされていた。
部下のデーモンにでも案内させようと思っていたロータスだったが、支配者であるアルルート=女王=フィニアスの命令により、レッドの案内役に抜擢される。
ロータスは面倒事を押し付けられた苛立ちや、先日まで敵だった奴らへの警戒心から余裕がなくなっていた。
そのピリピリした空気に当てられたレッドは頭を下げて怒られないようにビクビクしている。
「おいロータス。そんな言い方はないだろう。レッドに対して失礼だぞ」
「……私は伯爵だ。お前こそ男爵の従者のくせに偉そうな奴だ……」
「ケンカはダメだよ~」
「その通り。喧嘩している場合じゃないでしょ。これは姫様が正しいな」
「そうだそうだっ!姫様は正しいんだぞ!」
「チッ……」
オリーの苦言とロータスの喧嘩腰をスロウとスロウのマフラー兼従者の極戒双縄がなだめる。
ロータスが強い口調で牽制しているのは未だレッドが怖いからだ。強いがゆえに側にいたらいつ殺されるかもしれぬ恐怖に怯えなければならない。ロータスに警戒されてしゅんっとしているところを見れば急に斬ってくるような無茶はしないと何となく思えるが、まだレッドの性格を把握し切れていないので油断は出来ない。
(……だが頼れるのもこいつだけだ……もしもやってきた化け物が3体ともフィニアス以上の力を持っていたら……そう考えるとここ以外は足止め程度にしかならないかもしれないな……レッドなら確実に倒せるとして、グルガンは危なくなったら逃げて情報を持って帰ってくると思う。後の人間は……死ぬだろうな……)
頭で状況を整理しながら冷静に分析する。とりあえず各個撃破を狙っていくしかないだろう。無理は禁物だ。
(……万が一にも女神以上なら?……その時は世界の滅亡だろうか……?)
詮無い事を考えながらもロータスは自分に出来ることに従事する。たとえ世界が滅亡することになったとしても、抗わずに死んでいくなど絶対にお断りである。
とはいえ命がけになるのは最後の最後で良いという気持ちもある。
情けない話だが、弱い気持ちに押しつぶされそうな今こそ、レッドという規格外の存在に頼る他ないのだ。
*
3魔将の内、海に飛び込んだ怪物は海の支配者を探して方々を泳ぎ回っていた。
だが、ただだだっ広い海を泳ぎ回っても見つかるはずもない。そこで怪物は海の魔物に対し片っ端から攻撃を仕掛けた。
生態系が破壊され、海の秩序が著しく乱れたのを悟った支配者たる2名。怪物を倒すべく立ち上がった水の精霊王と水竜王。
最も得意とする海域に怪物をおびき寄せ、水竜たちと共に攻撃を仕掛けたが──。
「ふぉーっふぉっふぉっふぉっ!なんともか弱き攻撃でおじゃるなぁ。そんなことでは朕を倒すことなど永久に不可能でおじゃる」
怪物は雅な口調で煽りながら海の軍勢を相手に一歩も引くことなく勝利を収める。
怪物の力は水を操る力であり、その力は同じく水を操る水帝と水竜王の力の上位互換。最も得意な攻撃が封じられている上に、接近戦や魔法攻撃も怪物に劣る。唯一勝っているのは数だけだが、強力な個体の前に勝率は無いに等しい。
その上で怪物も召喚魔法を用いて戦力を増強し、数だけの海の魔物を蹴散らしてしまう。
最終的には水帝も水竜王も敗北を喫した。
海の支配者たる2人は怪物に囚われ、海の魔物たちは異世界の怪物に屈してしまった。
「ここから朕の覇業が始まるでおじゃる!手始めに浜辺を制圧して海路を完全に遮断するでおじゃるよ!」
怪物の召喚獣は命令に従い、すぐさま行動を開始した。
「ふぉーっふぉっふぉっ!この世界は朕のものでおじゃる!そなたたちは朕の趣味ではないがこの海の元支配者だったことを認め、朕のお嫁さんにしてやっても良いでおじゃるよ? この世界の第一王妃、第二王妃は早いもの順でおじゃる」
「くっ……誰がお前のような豚などとっ!辱めるくらいならいっそ殺せっ!」
水で作られた牢獄の中でも水竜王は気高く吠える。水帝は縮こまって声を出さない。
「勇ましい限りでおじゃるなぁ……無理にとは言わないでおじゃる。先も言ったが朕の趣味ではないので別に良いでおじゃるよ? でももし、妃になりたいというのであれば……この先何があっても命は保証するでおじゃる」
「うるさいっ!貴様のような豚の子を孕みたいと思うか!? 間違っても妾に手を出そうなんて思わないことだ!いっそ殺せっ!!」
「話の通じないおバカは嫌いでおじゃる。そっちはどうでおじゃる?」
「こなたも彼女に賛成よ。力で女をねじ伏せ、その身を差し出せなど蛮族の所業。こなたはそなたのような不細工であろうとも、ときめくことが出来るならば一生添い遂げることも考えよう。しかしながらこなたをよりによって水牢に閉じ込めるなど……まるで手足を押さえつけて無防備にした女に無抵抗だからと嘯き手籠めにするかのような悪辣な行為。これではときめきようがない。許されざる暴挙よな」
「おじゃ? 言いがかりも甚だしい。2人がかりで朕の能力をねじ伏せられれば簡単に出てこられるでおじゃる。さらに選択肢もつけてやってるでおじゃるよ? 出血大サービスといって過言ではない状況にケチをつけるとは贅沢な話でおじゃる。……まぁまぁ、目的が達成した時までは生かしてやるでおじゃるよ。その間よぉく考えるでおじゃるな」
怪物は唸る水竜王と斜に構える水帝を放置し、水で作った玉座に座る。
召喚獣が世界全土で暴れるさまを幻視しながら1人ほくそ笑んだ。
世界を創造するもの、世界を破壊するもの、世界を変えるもの、世界を守るもの。
この中の一つに該当しようものなら規模に関わらず神として君臨出来る。
影響力は絶大であり、誰もが敬い尊ぶ。
皆、神であるその名を刻み、その存在を崇め、その力に傅く。
*
──異世界『エデンズガーデン』──
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
中でも魔物と呼ばれる猛獣は人間を積極的に襲う外敵であり、人々は武器や魔法を用いて自分の身を守る必要があった。
長い歴史の中、街は平和に暮らせるように魔力で結界が張られ、外敵を防ぐことに成功。
住む場所の確保を終えた人々は、今度は逆に魔物を狩る側となり、魔物からはぎ取れる毛や皮、牙や骨などが加工され市販されることになる。
街の外も危ないのだが、特に危険地帯と言われる『ダンジョン』は別格で、鍛え上げられた冒険者でも死ぬ可能性が高い。それゆえ希少な素材やお宝に囲まれ、多くの富をもたらし、人々の生活になくてはならない金の鉱脈だった。
ダンジョンを攻略し、ダンジョンに眠るお宝を探るために結成された組織を冒険者ギルドと呼ぶ。
そこに所属する冒険者たちは気の合う仲間と共にチームを立ち上げ、より安全により多くの素材や宝を持ち帰る。
冒険者たちがダンジョン攻略に勤しむ中、『ビフレスト』から追放された物語の主人公『レッド=カーマイン』は、たまたま手に入れた『女神の欠片』とそこから現れた意識体である『女神ミルレース』の懇願により、女神復活の旅に出ることとなった。
紆余曲折あって仲間を手に入れ、ダンジョンを支配する敵『皇魔貴族』との激闘の果てについにミルレースの封印を解く。
だがミルレースは最強にして最悪の存在であり、何物も生み出さず、何物にも執着しない破壊神だった。
レッドはミルレースの暴虐を止めるべく立ちはだかり、仲間の協力もあってミルレースを倒した。
世界に平和をもたらしたと同時に人族からのレッドに対する蔑みの声は鳴りを潜め、人族はおろか皇魔貴族にも認められる英雄へと昇華した。
激戦を駆け抜けて日常へと戻ったレッドは仲間と共に仕事をする傍ら、皇魔貴族から爵位と領土を与えられ、順風満帆な人生に足を踏み入れる。
その時に異変が起こった。
突如空間を割って三体の怪物が姿を現したのだ。
謎の勢力の侵攻。
世界はミルレースを超える未曽有の危機を迎えることとなる──。
*
どこからともなく現れた怪物たちに対抗すべく手分けすることになったレッドたち。
グルガンは真っ先に自領を守りにシャングリラ方面に向かい、ライトとディロンたちは辺境に飛んだ怪物を追いかけ、最後にレッドたちは海に飛び込んだ怪物を追うこととなった。
「怪物かぁ……どんなんだろう? あんまり強くないと良いけどなぁ……」
レッドはぼんやり空を眺めながら呟く。
「確かにその通りだ。先に飛び出したグルガンやライトたちが心配になるな」
「ま、まぁそれもあるけどさ。俺たちだけで大丈夫かなって思うところも……あったり?」
「ん? 何が心配なんだ? レッドなら心配することは何もないだろう?」
オリー=ハルコンは長い髪を耳にかけながら当然といった顔でレッドに疑問をぶつける。レッドが困った顔をした直後、スロウ=オルベリウスは目を輝かせた。
「えぇ~? レッドってそんなに強いの~? えっへへっ!頼りにしてるよ~」
「ちょっ……スロウさんまで……困ったなぁ……」
レッドは後頭部を掻きながら焦りを抑えられない。期待してくれるのは嬉しいことだが、過度な期待はプレッシャーとなってレッドに襲いかかる。
戦い以外はからっきしダメなレッドだが、得意なはずの剣を自分の身の丈以上に褒められるとたまったものではない。
「おい……こっちだレッド=カーマイン……何を遊んでいる……ボーッとしていないで遅れずについてこい……」
「あ、はい……」
そこに追い討ちをかけるように皇魔貴族のナンバー3とも目されるレイラ=伯爵=ロータスから叱責を受けた。
海を目指す一行。レッドは方向音痴ゆえに道なき道を歩けば明後日の方角に歩いていってしまう。それを見越してレッドの仲間であるライト=クローラーから事前に案内役をつけるようにお願いされていた。
部下のデーモンにでも案内させようと思っていたロータスだったが、支配者であるアルルート=女王=フィニアスの命令により、レッドの案内役に抜擢される。
ロータスは面倒事を押し付けられた苛立ちや、先日まで敵だった奴らへの警戒心から余裕がなくなっていた。
そのピリピリした空気に当てられたレッドは頭を下げて怒られないようにビクビクしている。
「おいロータス。そんな言い方はないだろう。レッドに対して失礼だぞ」
「……私は伯爵だ。お前こそ男爵の従者のくせに偉そうな奴だ……」
「ケンカはダメだよ~」
「その通り。喧嘩している場合じゃないでしょ。これは姫様が正しいな」
「そうだそうだっ!姫様は正しいんだぞ!」
「チッ……」
オリーの苦言とロータスの喧嘩腰をスロウとスロウのマフラー兼従者の極戒双縄がなだめる。
ロータスが強い口調で牽制しているのは未だレッドが怖いからだ。強いがゆえに側にいたらいつ殺されるかもしれぬ恐怖に怯えなければならない。ロータスに警戒されてしゅんっとしているところを見れば急に斬ってくるような無茶はしないと何となく思えるが、まだレッドの性格を把握し切れていないので油断は出来ない。
(……だが頼れるのもこいつだけだ……もしもやってきた化け物が3体ともフィニアス以上の力を持っていたら……そう考えるとここ以外は足止め程度にしかならないかもしれないな……レッドなら確実に倒せるとして、グルガンは危なくなったら逃げて情報を持って帰ってくると思う。後の人間は……死ぬだろうな……)
頭で状況を整理しながら冷静に分析する。とりあえず各個撃破を狙っていくしかないだろう。無理は禁物だ。
(……万が一にも女神以上なら?……その時は世界の滅亡だろうか……?)
詮無い事を考えながらもロータスは自分に出来ることに従事する。たとえ世界が滅亡することになったとしても、抗わずに死んでいくなど絶対にお断りである。
とはいえ命がけになるのは最後の最後で良いという気持ちもある。
情けない話だが、弱い気持ちに押しつぶされそうな今こそ、レッドという規格外の存在に頼る他ないのだ。
*
3魔将の内、海に飛び込んだ怪物は海の支配者を探して方々を泳ぎ回っていた。
だが、ただだだっ広い海を泳ぎ回っても見つかるはずもない。そこで怪物は海の魔物に対し片っ端から攻撃を仕掛けた。
生態系が破壊され、海の秩序が著しく乱れたのを悟った支配者たる2名。怪物を倒すべく立ち上がった水の精霊王と水竜王。
最も得意とする海域に怪物をおびき寄せ、水竜たちと共に攻撃を仕掛けたが──。
「ふぉーっふぉっふぉっふぉっ!なんともか弱き攻撃でおじゃるなぁ。そんなことでは朕を倒すことなど永久に不可能でおじゃる」
怪物は雅な口調で煽りながら海の軍勢を相手に一歩も引くことなく勝利を収める。
怪物の力は水を操る力であり、その力は同じく水を操る水帝と水竜王の力の上位互換。最も得意な攻撃が封じられている上に、接近戦や魔法攻撃も怪物に劣る。唯一勝っているのは数だけだが、強力な個体の前に勝率は無いに等しい。
その上で怪物も召喚魔法を用いて戦力を増強し、数だけの海の魔物を蹴散らしてしまう。
最終的には水帝も水竜王も敗北を喫した。
海の支配者たる2人は怪物に囚われ、海の魔物たちは異世界の怪物に屈してしまった。
「ここから朕の覇業が始まるでおじゃる!手始めに浜辺を制圧して海路を完全に遮断するでおじゃるよ!」
怪物の召喚獣は命令に従い、すぐさま行動を開始した。
「ふぉーっふぉっふぉっ!この世界は朕のものでおじゃる!そなたたちは朕の趣味ではないがこの海の元支配者だったことを認め、朕のお嫁さんにしてやっても良いでおじゃるよ? この世界の第一王妃、第二王妃は早いもの順でおじゃる」
「くっ……誰がお前のような豚などとっ!辱めるくらいならいっそ殺せっ!」
水で作られた牢獄の中でも水竜王は気高く吠える。水帝は縮こまって声を出さない。
「勇ましい限りでおじゃるなぁ……無理にとは言わないでおじゃる。先も言ったが朕の趣味ではないので別に良いでおじゃるよ? でももし、妃になりたいというのであれば……この先何があっても命は保証するでおじゃる」
「うるさいっ!貴様のような豚の子を孕みたいと思うか!? 間違っても妾に手を出そうなんて思わないことだ!いっそ殺せっ!!」
「話の通じないおバカは嫌いでおじゃる。そっちはどうでおじゃる?」
「こなたも彼女に賛成よ。力で女をねじ伏せ、その身を差し出せなど蛮族の所業。こなたはそなたのような不細工であろうとも、ときめくことが出来るならば一生添い遂げることも考えよう。しかしながらこなたをよりによって水牢に閉じ込めるなど……まるで手足を押さえつけて無防備にした女に無抵抗だからと嘯き手籠めにするかのような悪辣な行為。これではときめきようがない。許されざる暴挙よな」
「おじゃ? 言いがかりも甚だしい。2人がかりで朕の能力をねじ伏せられれば簡単に出てこられるでおじゃる。さらに選択肢もつけてやってるでおじゃるよ? 出血大サービスといって過言ではない状況にケチをつけるとは贅沢な話でおじゃる。……まぁまぁ、目的が達成した時までは生かしてやるでおじゃるよ。その間よぉく考えるでおじゃるな」
怪物は唸る水竜王と斜に構える水帝を放置し、水で作った玉座に座る。
召喚獣が世界全土で暴れるさまを幻視しながら1人ほくそ笑んだ。
10
あなたにおすすめの小説
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。
永礼 経
ファンタジー
特性「本の虫」を選んで転生し、3度目の人生を歩むことになったキール・ヴァイス。
17歳を迎えた彼は王立大学へ進学。
その書庫「王立大学書庫」で、一冊の不思議な本と出会う。
その本こそ、『真魔術式総覧』。
かつて、大魔導士ロバート・エルダー・ボウンが記した書であった。
伝説の大魔導士の手による書物を手にしたキールは、現在では失われたボウン独自の魔術式を身に付けていくとともに、
自身の生前の記憶や前々世の自分との邂逅を果たしながら、仲間たちと共に、様々な試練を乗り越えてゆく。
彼の周囲に続々と集まってくる様々な人々との関わり合いを経て、ただの素人魔術師は伝説の大魔導士への道を歩む。
魔法戦あり、恋愛要素?ありの冒険譚です。
【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる