「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸

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11章 新たなる敵

136、焦土

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 ──バチバチィッ

 暗雲に雷撃が走る。
 見たこともないほどの稲妻が空気を揺らし、世界そのものを感電させるかのように容赦がない。
 稲光が獅子頭と角の生えた骸骨の顔を照らし出す。

 獅子頭は皇魔貴族ナンバー2の権威と至高の実力を持つ魔族グルガン。骸骨は異世界からの来訪者であり侵略者でもある未知の生命体。
 その姿は怪物としか言えない見た目であり、足の無い人型の異形に蜘蛛の足を取り付けたような見た目をしており、触手も生えている。 カマキリとカニを足した様な手をしていて、全身昆虫のような甲殻で覆われている。 骸骨のような顔で、デカイ角が幾つか頭から生えている。
 見た目からして強そうだが、それ以上にその体から滲み出る強者のオーラは単純に比較してもグルガン以上。
 グルガン一人で戦うには心許ない。

 一触即発の空気の中、角の生えた骸骨が口を開いた。

「ふむ……殺す前に一言聞いておきましょうか。あなたのお名前は?」
「それを聞いてどうする?」
「この世界で最初に私に逆らった方ですからねぇ。記念ということで一つ」
「ふんっ……良かろう。我が名はゴライアス。ゴライアス=大公グランデューク=グルガンだ」
「ゴライアスさんですか?」
「ファーストネームで呼ばないでくれ。呼ぶならばグルガンと。貴公は?」
「いやいや、あなたが聞いても仕方ありませんよ。何故ならここで死ぬのですから」

 ──ドォンッ

 怪物がスッと手を上にあげたその時、一度に無数の雷がグルガンに降り注ぐ。生き物ならば黒焦げどころか消滅するのではないかと思われる一撃。そんな一撃を防御する間も無く直撃したのを目の当たりにした怪物は興味なさげに鼻を鳴らした。
 が、次の瞬間、怪物は己の目を疑った。先程の凄まじい一撃を受けたはずのグルガンが何事もなく健在だったからだ。

「っ!……ほぅ? あれを掻い潜りますか……しかし一体どうやって?」
「聞き出してみろ。そう簡単じゃないぞ?」
「ふっ……ふふふっ……この私に意趣返しですか? なかなかに豪気な方ですねぇ……よろしい。お教えしましょう、私の高貴なる名を。私の名前はアナンシ=ドライシュリッテと申します。ああそうだ。アナンシで結構ですよ。以後お見知り置きを……」
「そうか。では遠慮なくアナンシと呼ばせてもらおう。……次は何で口を滑らすかな?」



 グルガンとアナンシの戦いが始まった頃、アナンシと共にやって来た強力な存在の一人であるアルマジロとトカゲを合体させたような奇妙な怪物は空を駆け、辺境の町『エクスルト』に降り立った。

「うわぁっ!!」
「おいっ!なんだありゃっ!?」

 町民は驚き戸惑い、突如現れた存在に恐怖で萎縮する。
 急なことで避難指示も出せずにもたもたしていると、奇妙な怪物はマグマのように煌々と輝く口から目が潰れるほどの高温の炎を吐き出した。

 ──ゴオオォッ

 瞬時に焦土と化すエクスルト。
 炎に当てられた人間は消滅し、炎に当たらなかった人間は喉が焼けるほどの熱で体の自由を奪われバタバタと倒れ始めた。

「グハハハッ!弱いっ!!弱すぎるぞ虫ケラどもっ!!」

 ズシンッズシンッと重量を感じさせる音でエクスルトに侵入する。その間常に燃え盛る怪物の熱に近寄られた人間が急にボッと発火する。超高温に当てられた衣服が耐え切れずに燃え出し、人間を炭に変えていった。

「この程度の熱で死ぬとは俺様の世界の生き物よりもずっと脆いっ!!こんな繊細な世界を支配したいとはの者は何を考えているのだっ?!このような世界など俺様の灼熱で滅ぼしてくれるっ!!」

 怪物は全身からメラメラと炎を立ち上らせながら世界に対し宣戦布告を高らかに宣言する。
 辛うじて生き残った町民は怪物から少しでも遠くに逃げようとするが、怪物はその巨躯に似合わない速度で先回りし、手を両側に目一杯広げて威嚇した。
 絶対に逃さないとする意志を感じ取った町民たちは頭が真っ白になりながら地面にへたり込み、何も出来ぬまま怪物という死を見つめるしかなかった。



 エクスルトに飛んで行った巨大な怪物を追うライトを含めた4人は、その中の一人である風帝フローラの力で空を飛んでいた。

「んだよこれっ!精霊ってのはこんなに凄ぇのかよっ!!」
「ったり前じゃんっ!あたいなんかよりずっと強いんだからっ!!」

 ディロン=ディザスターと地竜王ウルラドリスはキャッキャッとはしゃぎながら風に乗る。ライトも目まぐるしく流れる景色とあっという間に目標に到着するだろう状況に驚愕する。表に出さないように表情筋に力を入れているが、心なしか口元が緩んでいる。

『もうすぐ到着じゃ。……気を引き締めてから行くんじゃよ』

 ライトの耳元にこそっとフローラが囁く。気持ちを読まれたような気になり、口元をキュッとしめた。

 ──ヒュパッ……ドゴォンッ

 ライトは予めフローラからの助言もあって着地に成功したが、ディロンとウルラドリスは地面に頭から突っ込んだ。

「っ!? 大丈夫か2人とも!」
「大丈夫なわけねーだろっ!!」
「死ぬかと思ったっ!!」
『無事みたいじゃの』
「ああ」

 怒りをその身で目一杯表すディロンとウルラドリス。しかし2人が無事であることが分かってフローラもライトも既にそっちに意識はなく、目の前に広がるエクスルトの惨状に放心していた。
 それに気づいたディロンとウルラドリスも振り返って顔をしかめる。その光景は見るに耐えないものだった。

 記憶にあったエクスルトは今まさに全てが消し炭に変わっていく寸前だった。

「なんてことだ……」
「えぇ……」
「おいおい……なんだよこの……」

 もう既に破壊の限りを尽くした後といった様相にライトたちは憤慨した。
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