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15章 聖王国 前編
211、聖王国ゼノクルフ
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聖王国ゼノクルフ。
エデン教を主とする宗教国家。
特に首都の国民は皆信心深く、教皇を頂点に置く教会派である。
整備が行き届いた白を基調とした街並み、夜でもくっきりと目立つ天を衝く塔のような城が建っていて、陽の光を浴びて輝くほどに見事な白い国は清廉という言葉がピタリと当てはまる。
様々な人々にとっては良き目印であり、魔の者たちにとっては震えあがるシンボルとなっていた。
しかし、順風満帆だった王国の安寧はここに来て大きく揺れることとなる。
史上最強の魔族、デザイア=オルべリウスの帰還だ。
聖王国にもかつてない危機が訪れようとしていた。
*
「感じた? 今の」
少女は目を丸くして周りを見渡す。肩口まで伸ばしたオレンジ色の髪、もみあげだけ鎖骨まで伸ばしている。
海のように青い瞳、チラリと犬歯が覗く口元。日に焼けた肌が元気で活発な印象を与える。
美人よりもかわいいが先行する愛らしい顔。背中に大げさな紋章が縫い込まれた白い清潔な衣装はただ者でないと認識させる。
彼女の名はティオ=フラムベルク。エデン正教が誇る最強部隊『七元徳』所属であり、教皇より七元徳の内の一つ『謙虚』を賜った聖戦騎士だ。
「……す、凄く大きな……それでいて鋭く肉を抉るような殺気。うぅ……怖い……」
ティオの質問に返答するように体を震わせたのは、ホワイトブロンドの長髪に黒のカチューシャが特徴的な少女。
鼻筋が通っていて、たれ目がちの優しい印象を思わせるティオと同じ青い瞳。体はスラッと細く華奢なイメージで、透き通るほどに白い肌と相まって不健康そうにも見えるが、生まれた時からの体質である。
その白い肌を隠すのもまた白い衣装であり、ティオと同じく背中には大げさな紋章が縫い込まれていた。
彼女も『七元徳』の一人であり聖戦騎士。
教皇から賜った名は『純潔』。
リディア=ハルバート。それが彼女の名前だ。
「リディア大丈夫?」
「う、うん」
ティオはリディアの顔を覗き込み、リディアは恥ずかしそうに頷く。
「浮島が落ちたぞ!」
タタッと部屋に走り込んできた金髪碧眼の男性はハキハキと大声で報せる。ウェーブの長い金髪を遊ばせ、芝居掛かった口調の大声はまるで舞台俳優のようだ。
少し大きめの背中に紋章を縫い付けた制服と思しき白い衣装にアクセサリーで身を飾り、ゆったりと余裕のある服装で緩急を際立たせたおしゃれな印象を持たせる。
『勤勉』のクレイ=グラディウス。教皇を守る盾であり剣である聖戦騎士。
「方角は? まさか我らの頭上の奴ではあるまい?」
興奮気味のクレイに返答するのは『忍耐』のオーウェン=ロンパイア。
冗談のような肩幅に強靭な筋肉が搭載された逞しい体つき。焦げ茶色の癖毛と口髭の生えた赤銅色の肌を持つ屈強な男性。瞳の色は橙色で、顔の堀が深く角ばった顎を持ったモンクである。
筋肉によってパンパンに張った体は、巨岩を丁寧に掘って人を象ったかのように見える。
白いピチピチのシャツの背中に紋章をあしらった特別な衣装を身にまとい、両腕には指先が出る穴あきのアームカバーを着用している。
七元徳で一番年長者であるだけに余裕を持った態度を見せる。
「南西の方角だ。あれは多分ルオドスタ帝国に攻めたんだと思う」
「身を震わせるほどの殺気が消えたことを思えば、剣神辺りが倒したか? それにしては時間が掛かったように思えるが……」
オーウェンは腕を組んで唸る。
「……確かに。時間が掛かり過ぎているように思う。剣神が勿体ぶったか、または遊んだのか。いずれにしても帝国が勝利したことに変わりない」
『節制』のアドニス=グレイブ。オーウェンの言葉に同調しつつ帝国の勝利に言及する。
逆立った青髪で襟足を結び、尻尾のように垂らしている。切れ長の目に赤い瞳を光らせ、誰よりも厳しそうな顔をしている。細身だが、よく引き締められた鋼のような筋肉をしており、凄まじい鍛錬がオーラとなって可視化されている。
白い衣装を羽織るように着ている様は、だらしがない不良のような印象を受けるが、前開きの上着から覗く筋肉を一目見れば侮ることなど出来ない。
アドニスの言葉でティオはグッと両手を握り込み、胸元まで持ち上げた。
「それじゃ次は私たちの番だねっ! 丁度良いタイミングで声を掛けられたんだし、みんなで倒そうってことでしょ多分っ!」
大広間にて教皇たちを待つティオたち。浮島が聖王国の領空を侵犯した時からいつ呼ばれるのかと待っていたが、ようやく声が掛かった。最強の部隊の名に恥じぬよう、全力を出すつもりだ。
「……いや、みんなでってわけにはいかない。ランドルフとクラウディアがまだだ。ローディウス卿の護衛に向かったまま音沙汰がない。奴らに限って魔物にやられるようなヘマをやらかしちゃいないだろうが、今戦うなら5人で対処する必要があるってことに……」
アドニスの危惧にガチャリとドアが開けられる。
「……話は済んだかね?」
タイミングを見計らって話しかけたのは枢機卿の1人、赤色に金糸を縫い付けた豪華な衣装で権威をこれでもかと見せつける。
「いつまで話が続くのかとヒヤヒヤしたよ。時間がないのだぞまったく。賢く立ち回ってもらわねば困るな。それでも七元徳かね?」
「まったく恥ずかしい者どもよな。猊下の到着が遅れていることが唯一の救い」
背後からも連なって嫌味を口にする枢機卿たち。七元徳に小言を発する割にゆっくりのんびりと円卓まで歩いて席に着く。挑発されていることに気付いて苛立ちがこみ上げたが、そこはグッと我慢する。
次の教皇がこの中から出てくるのだと思うだけでストレスがたまるが、ティオはすぐに枢機卿たちに頭を下げる。
「大変申し訳ございませんでしたっ」
「ふん、まったく……謝れば済むという問題でも……」
またチクチクと口撃をしようと口を開きかけたが、次に聞こえた声で閉口を余儀なくされる。
「おやおや、これはいったいどうしたことですかな?」
そこには教皇が立っていた。
ガブリエル=エル=リード=リベルティア。
現教皇にして、歴代で最も偉大な教皇と名高い男。その理由は『魔力識別眼』と呼ばれる特別な目にあった。
この目で他者の才能を見抜き、内部の改革を行ったことで優秀な人材ばかりが集まり、エデン正教を大いに盛り上げた。その上、史上最高で最強の七元徳を組織することに成功し、帝国にも引けを取らない武力まで確保。まさに頂点に相応しい、エデン正教になくてはならない存在になっていた。
「猊下……?!」
「語気が荒いですねぇ。大丈夫ですか?」
「な、何でもございませんよ猊下。ちょっとした戯れにございます。久々に七元徳の方々にお会いしましたので少々おしゃべりが過ぎましてな」
「はははっ、そうですか。それは結構結構」
ガブリエルは従者を引き連れてゆっくりと上座へと向かう。「どっこいしょ」という掛け声とともに上座に座ると七元徳を手招きして呼び込み、席に座るようにやさしく促した。
見ているだけで心が温まるお爺さんだ。嫌味がなく、ストレスもたまらない。むしろストレスが消えていくような気さえする御方。
いつまでもガブリエルに教皇を任せていたいが、既にかなりの年になっている。健康状態も芳しくない昨今、あと数年もすれば退位されてしまうのではないかと思えば気が気でない。
ガブリエルは目が隠れるほどの眉毛を上にクイッと上げてほちほちと瞬きしながら全員に目配せする。招集をかけた全員が無事に来ているのを確認した後、口をむにゃむにゃさせながら話し始めた。
「本日集まっていただいたのは他でもありません。聖王国上空に浮かぶ『浮遊要塞』について情報を共有しておこうと思いましてね?」
浮遊要塞という言葉には聞き馴染みがない。専ら浮島と呼んでいただけに集まった全員が困惑する。しかしこの言葉から察するに浮島の用途を突き止めたのだと考えて良い。
5人の枢機卿の内、一番恰幅の良い男性が一つ咳払いをする。
「なるほど。既にその目で見抜いておられたのですね? 流石は猊下。すると今回はその浮遊要塞とやらを攻める手立てを考えようということですかな?」
「ほほぅ! 弱点までも見つけておられるのですかっ!? 流石は猊下っ!!」
拍手が鳴りそうなほどの太鼓持ちに周りは辟易とする。
枢機卿は次代の教皇候補。ポイント稼ぎに必死なのかもしれないが、教皇は『教皇選挙』の下で選定されるものであって、今の教皇に委ねられるものではない。狙いは組織票だが、ガブリエルのお気に入りはもう決まっていて、ここで褒めちぎっている枢機卿でないことは誰もが知っている。
「……そう結論を焦っても仕方がありませんよ? それに私がここにあなた方を呼んだ理由は他にあります。まず先ほどの浮遊要塞の件ですが、我々があの要塞に関与することはありません。むしろ歓迎し、共に歩むべきなのです」
戦うことを前提とした会議だと思って集まったはずの七元徳は訝しんだ。命を賭して国民のために戦えと言われる覚悟でいたために、ガブリエルの言葉は予想外だという他ない。
一時の沈黙が支配する。全員が言葉を詰まらせる中、何とか枢機卿の一人が声を出した。
「それは……それはつまり……あれは敵ではないと仰っているのですかな?」
「ええ。敵などではありません。我々に幸福と繁栄をもたらします」
「……猊下……もしやあの要塞の主をご存じなのですか?」
ガブリエルは背もたれに体を預け、恍惚とした笑みを浮かべる。
「つい先ほど拝謁致しました。あの御方こそが我らの神。最高にして絶対の存在。ヴァイザー=イビルファイド様なのです」
急に何を言い出すのか。困惑が場を支配する中、パチパチパチッと拍手が鳴る。その音の出どころを確認すると、シルクハットを被った燕尾服の男が楽しげに手を叩いていた。
顔はヒビ割れた仮面に隠れて見えなかったが、手の振り方や笑っているように肩を揺らしている細かい動作がそこはかとなく愉悦を感じさせた。
「素晴らしい素晴らしいっ! なんと感動的なスピーチでしょうかっ!」
不敬にもガブリエルの背後から現れたその男に七元徳はすぐさま攻撃態勢を取る。しかしガブリエルは右手を上げて七元徳の動きを止めた。
「ふふふっ……それでよろしい。ヴァイザー様の直属の部下である私、ベルギルツを攻撃すればどうなるか分かっているのでしょうねぇ?」
「……」
気配すら感じなかった男の存在に驚愕を隠せない。
「……どう思う?」
「……恐らく魔族……凄く強いか、気配を消す能力かのどちらかだと思う……」
ティオとリディアがコソコソと話すのをベルギルツはビッと指を差した。
「内緒話はよくありませんねぇ。私を苛つかせたらヴァイザー様の不興を買いますよぉ?……ようやく静かになりましたねぇ。それではガブリエル君。よろしくお願いしますね」
「はい、よろこんでベルギルツさん」
「『様』とお呼びいただければ幸いです」
「……聖王国ゼノクルフは今日よりヴァイザー様の国となりました。この場でヴァイザー様をみなさんにご紹介出来なかったのは残念です。みなさんも拝謁出来ればきっと私が言っていることが分かるのですが……まぁ今後の楽しみに取っておきましょう。何かご質問は?」
ガブリエルの言葉に誰も質問も反論も出来ず、ただただ呆然とベルギルツとガブリエルを見つめるしかなかった。
*
「くそっ! なんてことだっ!」
男は苛立ちながら壊れた魔動車を蹴る。勢いが良かったのか、魔動車の外壁がべコンッと音を立てて凹み、1トンはありそうな車体を2回転させた。
常人には押すことも難しい鉄くずを難なく蹴飛ばす膂力の秘密はその図体にあった。
身長2m前後、異様に発達した僧帽筋と絞り込まれた筋肉。藍緑色の短髪で丸眼鏡をかけ、その奥にギラリと光る瞳の色は茶色。背中には斧を担ぎ、見た目だけは単なる戦士。しかしその身を包む無垢で清廉な白色の衣服に縫い付けられた紋章が彼の出身と地位を教えてくれる。
聖戦騎士ランドルフ=バルディッシュ。
聖王国の最高戦力『七元徳』の一人であり、『慈悲』のランドルフと名高い男。
「汚い言葉はおよしなさい。死者の前ですよ」
簡素に土葬された聖騎士たちの墓の前で手を組み、「どうか安らかに……」と祈っていた女性は眉間にシワを寄せて振り向く。
プラチナブロンドの長い髪と長い耳を持つとても美しい容姿。瞳の色は碧色。体のラインを隠す様に着込んだ真っ白な衣装だというのに、 服を押しのけるかの様に突き出した豊かな双丘と、くびれの下にあるズシッと重そうな下半身が服の上からでもよく分かった。露出を控えめにしているというのにとても煽情的な肢体をしており、高貴な雰囲気を纏っている。
聖戦騎士クラウディア=ファルシオン
彼女もまた七元徳の一人であり、『救済』のクラウディアとしても有名。最も印象的なのは長い髪をかき分けて出て来た長い耳だ。
彼女は神都パラディスというエルフの国からやって来た由緒正しい純血のエルフ。強制的に国外追放されるハーフエルフとは違い、他国で純血のエルフが活躍するのは稀である。
「……その通りですね。失礼いたしました。……我々の到着が遅れたばかりにローディウス卿が逝去された。どなたか存じ上げませんが、我々の代わりに埋葬して下さったのだけが何よりの救い。……神よ、どうか迷える魂をお救いください」
「少しお待ちになってランドルフ。それにしてはお墓の数がおかしいではありませんか? お一人だけ持ち去られたのでしょうか?」
「ふむ。魔物が巣に持ち帰ることはよくあることですが、確かに一人だけ持ち帰るというのもおかしな話ですね。……とはいえ、全ては後の祭り。万が一にも助けられる可能性があったとしても戦闘特化の我々では追跡はおろか痕跡を見つけるのも至難の業。ともかくこの事実を報告し、次の指示を仰ごうではありませんか」
ランドルフの言葉に下唇を噛みながら腕を組むクラウディア。
「猊下の悲しむお姿を想像するだけで胸が苦しくなりますわ。しかしこの後に及んで報告を怠るなど出来ようはずがありませんもの。仕方ありませんわよね……」
2人は互いに頷き合う。ローディウス卿の警護任務は失敗に終わり、煌びやかな魔動車も鉄くずの砂塗れとなって埋もれる。
ローディウスの死は現在の聖王国には致命の一撃となりかねないことを2人は未だ知らない。
エデン教を主とする宗教国家。
特に首都の国民は皆信心深く、教皇を頂点に置く教会派である。
整備が行き届いた白を基調とした街並み、夜でもくっきりと目立つ天を衝く塔のような城が建っていて、陽の光を浴びて輝くほどに見事な白い国は清廉という言葉がピタリと当てはまる。
様々な人々にとっては良き目印であり、魔の者たちにとっては震えあがるシンボルとなっていた。
しかし、順風満帆だった王国の安寧はここに来て大きく揺れることとなる。
史上最強の魔族、デザイア=オルべリウスの帰還だ。
聖王国にもかつてない危機が訪れようとしていた。
*
「感じた? 今の」
少女は目を丸くして周りを見渡す。肩口まで伸ばしたオレンジ色の髪、もみあげだけ鎖骨まで伸ばしている。
海のように青い瞳、チラリと犬歯が覗く口元。日に焼けた肌が元気で活発な印象を与える。
美人よりもかわいいが先行する愛らしい顔。背中に大げさな紋章が縫い込まれた白い清潔な衣装はただ者でないと認識させる。
彼女の名はティオ=フラムベルク。エデン正教が誇る最強部隊『七元徳』所属であり、教皇より七元徳の内の一つ『謙虚』を賜った聖戦騎士だ。
「……す、凄く大きな……それでいて鋭く肉を抉るような殺気。うぅ……怖い……」
ティオの質問に返答するように体を震わせたのは、ホワイトブロンドの長髪に黒のカチューシャが特徴的な少女。
鼻筋が通っていて、たれ目がちの優しい印象を思わせるティオと同じ青い瞳。体はスラッと細く華奢なイメージで、透き通るほどに白い肌と相まって不健康そうにも見えるが、生まれた時からの体質である。
その白い肌を隠すのもまた白い衣装であり、ティオと同じく背中には大げさな紋章が縫い込まれていた。
彼女も『七元徳』の一人であり聖戦騎士。
教皇から賜った名は『純潔』。
リディア=ハルバート。それが彼女の名前だ。
「リディア大丈夫?」
「う、うん」
ティオはリディアの顔を覗き込み、リディアは恥ずかしそうに頷く。
「浮島が落ちたぞ!」
タタッと部屋に走り込んできた金髪碧眼の男性はハキハキと大声で報せる。ウェーブの長い金髪を遊ばせ、芝居掛かった口調の大声はまるで舞台俳優のようだ。
少し大きめの背中に紋章を縫い付けた制服と思しき白い衣装にアクセサリーで身を飾り、ゆったりと余裕のある服装で緩急を際立たせたおしゃれな印象を持たせる。
『勤勉』のクレイ=グラディウス。教皇を守る盾であり剣である聖戦騎士。
「方角は? まさか我らの頭上の奴ではあるまい?」
興奮気味のクレイに返答するのは『忍耐』のオーウェン=ロンパイア。
冗談のような肩幅に強靭な筋肉が搭載された逞しい体つき。焦げ茶色の癖毛と口髭の生えた赤銅色の肌を持つ屈強な男性。瞳の色は橙色で、顔の堀が深く角ばった顎を持ったモンクである。
筋肉によってパンパンに張った体は、巨岩を丁寧に掘って人を象ったかのように見える。
白いピチピチのシャツの背中に紋章をあしらった特別な衣装を身にまとい、両腕には指先が出る穴あきのアームカバーを着用している。
七元徳で一番年長者であるだけに余裕を持った態度を見せる。
「南西の方角だ。あれは多分ルオドスタ帝国に攻めたんだと思う」
「身を震わせるほどの殺気が消えたことを思えば、剣神辺りが倒したか? それにしては時間が掛かったように思えるが……」
オーウェンは腕を組んで唸る。
「……確かに。時間が掛かり過ぎているように思う。剣神が勿体ぶったか、または遊んだのか。いずれにしても帝国が勝利したことに変わりない」
『節制』のアドニス=グレイブ。オーウェンの言葉に同調しつつ帝国の勝利に言及する。
逆立った青髪で襟足を結び、尻尾のように垂らしている。切れ長の目に赤い瞳を光らせ、誰よりも厳しそうな顔をしている。細身だが、よく引き締められた鋼のような筋肉をしており、凄まじい鍛錬がオーラとなって可視化されている。
白い衣装を羽織るように着ている様は、だらしがない不良のような印象を受けるが、前開きの上着から覗く筋肉を一目見れば侮ることなど出来ない。
アドニスの言葉でティオはグッと両手を握り込み、胸元まで持ち上げた。
「それじゃ次は私たちの番だねっ! 丁度良いタイミングで声を掛けられたんだし、みんなで倒そうってことでしょ多分っ!」
大広間にて教皇たちを待つティオたち。浮島が聖王国の領空を侵犯した時からいつ呼ばれるのかと待っていたが、ようやく声が掛かった。最強の部隊の名に恥じぬよう、全力を出すつもりだ。
「……いや、みんなでってわけにはいかない。ランドルフとクラウディアがまだだ。ローディウス卿の護衛に向かったまま音沙汰がない。奴らに限って魔物にやられるようなヘマをやらかしちゃいないだろうが、今戦うなら5人で対処する必要があるってことに……」
アドニスの危惧にガチャリとドアが開けられる。
「……話は済んだかね?」
タイミングを見計らって話しかけたのは枢機卿の1人、赤色に金糸を縫い付けた豪華な衣装で権威をこれでもかと見せつける。
「いつまで話が続くのかとヒヤヒヤしたよ。時間がないのだぞまったく。賢く立ち回ってもらわねば困るな。それでも七元徳かね?」
「まったく恥ずかしい者どもよな。猊下の到着が遅れていることが唯一の救い」
背後からも連なって嫌味を口にする枢機卿たち。七元徳に小言を発する割にゆっくりのんびりと円卓まで歩いて席に着く。挑発されていることに気付いて苛立ちがこみ上げたが、そこはグッと我慢する。
次の教皇がこの中から出てくるのだと思うだけでストレスがたまるが、ティオはすぐに枢機卿たちに頭を下げる。
「大変申し訳ございませんでしたっ」
「ふん、まったく……謝れば済むという問題でも……」
またチクチクと口撃をしようと口を開きかけたが、次に聞こえた声で閉口を余儀なくされる。
「おやおや、これはいったいどうしたことですかな?」
そこには教皇が立っていた。
ガブリエル=エル=リード=リベルティア。
現教皇にして、歴代で最も偉大な教皇と名高い男。その理由は『魔力識別眼』と呼ばれる特別な目にあった。
この目で他者の才能を見抜き、内部の改革を行ったことで優秀な人材ばかりが集まり、エデン正教を大いに盛り上げた。その上、史上最高で最強の七元徳を組織することに成功し、帝国にも引けを取らない武力まで確保。まさに頂点に相応しい、エデン正教になくてはならない存在になっていた。
「猊下……?!」
「語気が荒いですねぇ。大丈夫ですか?」
「な、何でもございませんよ猊下。ちょっとした戯れにございます。久々に七元徳の方々にお会いしましたので少々おしゃべりが過ぎましてな」
「はははっ、そうですか。それは結構結構」
ガブリエルは従者を引き連れてゆっくりと上座へと向かう。「どっこいしょ」という掛け声とともに上座に座ると七元徳を手招きして呼び込み、席に座るようにやさしく促した。
見ているだけで心が温まるお爺さんだ。嫌味がなく、ストレスもたまらない。むしろストレスが消えていくような気さえする御方。
いつまでもガブリエルに教皇を任せていたいが、既にかなりの年になっている。健康状態も芳しくない昨今、あと数年もすれば退位されてしまうのではないかと思えば気が気でない。
ガブリエルは目が隠れるほどの眉毛を上にクイッと上げてほちほちと瞬きしながら全員に目配せする。招集をかけた全員が無事に来ているのを確認した後、口をむにゃむにゃさせながら話し始めた。
「本日集まっていただいたのは他でもありません。聖王国上空に浮かぶ『浮遊要塞』について情報を共有しておこうと思いましてね?」
浮遊要塞という言葉には聞き馴染みがない。専ら浮島と呼んでいただけに集まった全員が困惑する。しかしこの言葉から察するに浮島の用途を突き止めたのだと考えて良い。
5人の枢機卿の内、一番恰幅の良い男性が一つ咳払いをする。
「なるほど。既にその目で見抜いておられたのですね? 流石は猊下。すると今回はその浮遊要塞とやらを攻める手立てを考えようということですかな?」
「ほほぅ! 弱点までも見つけておられるのですかっ!? 流石は猊下っ!!」
拍手が鳴りそうなほどの太鼓持ちに周りは辟易とする。
枢機卿は次代の教皇候補。ポイント稼ぎに必死なのかもしれないが、教皇は『教皇選挙』の下で選定されるものであって、今の教皇に委ねられるものではない。狙いは組織票だが、ガブリエルのお気に入りはもう決まっていて、ここで褒めちぎっている枢機卿でないことは誰もが知っている。
「……そう結論を焦っても仕方がありませんよ? それに私がここにあなた方を呼んだ理由は他にあります。まず先ほどの浮遊要塞の件ですが、我々があの要塞に関与することはありません。むしろ歓迎し、共に歩むべきなのです」
戦うことを前提とした会議だと思って集まったはずの七元徳は訝しんだ。命を賭して国民のために戦えと言われる覚悟でいたために、ガブリエルの言葉は予想外だという他ない。
一時の沈黙が支配する。全員が言葉を詰まらせる中、何とか枢機卿の一人が声を出した。
「それは……それはつまり……あれは敵ではないと仰っているのですかな?」
「ええ。敵などではありません。我々に幸福と繁栄をもたらします」
「……猊下……もしやあの要塞の主をご存じなのですか?」
ガブリエルは背もたれに体を預け、恍惚とした笑みを浮かべる。
「つい先ほど拝謁致しました。あの御方こそが我らの神。最高にして絶対の存在。ヴァイザー=イビルファイド様なのです」
急に何を言い出すのか。困惑が場を支配する中、パチパチパチッと拍手が鳴る。その音の出どころを確認すると、シルクハットを被った燕尾服の男が楽しげに手を叩いていた。
顔はヒビ割れた仮面に隠れて見えなかったが、手の振り方や笑っているように肩を揺らしている細かい動作がそこはかとなく愉悦を感じさせた。
「素晴らしい素晴らしいっ! なんと感動的なスピーチでしょうかっ!」
不敬にもガブリエルの背後から現れたその男に七元徳はすぐさま攻撃態勢を取る。しかしガブリエルは右手を上げて七元徳の動きを止めた。
「ふふふっ……それでよろしい。ヴァイザー様の直属の部下である私、ベルギルツを攻撃すればどうなるか分かっているのでしょうねぇ?」
「……」
気配すら感じなかった男の存在に驚愕を隠せない。
「……どう思う?」
「……恐らく魔族……凄く強いか、気配を消す能力かのどちらかだと思う……」
ティオとリディアがコソコソと話すのをベルギルツはビッと指を差した。
「内緒話はよくありませんねぇ。私を苛つかせたらヴァイザー様の不興を買いますよぉ?……ようやく静かになりましたねぇ。それではガブリエル君。よろしくお願いしますね」
「はい、よろこんでベルギルツさん」
「『様』とお呼びいただければ幸いです」
「……聖王国ゼノクルフは今日よりヴァイザー様の国となりました。この場でヴァイザー様をみなさんにご紹介出来なかったのは残念です。みなさんも拝謁出来ればきっと私が言っていることが分かるのですが……まぁ今後の楽しみに取っておきましょう。何かご質問は?」
ガブリエルの言葉に誰も質問も反論も出来ず、ただただ呆然とベルギルツとガブリエルを見つめるしかなかった。
*
「くそっ! なんてことだっ!」
男は苛立ちながら壊れた魔動車を蹴る。勢いが良かったのか、魔動車の外壁がべコンッと音を立てて凹み、1トンはありそうな車体を2回転させた。
常人には押すことも難しい鉄くずを難なく蹴飛ばす膂力の秘密はその図体にあった。
身長2m前後、異様に発達した僧帽筋と絞り込まれた筋肉。藍緑色の短髪で丸眼鏡をかけ、その奥にギラリと光る瞳の色は茶色。背中には斧を担ぎ、見た目だけは単なる戦士。しかしその身を包む無垢で清廉な白色の衣服に縫い付けられた紋章が彼の出身と地位を教えてくれる。
聖戦騎士ランドルフ=バルディッシュ。
聖王国の最高戦力『七元徳』の一人であり、『慈悲』のランドルフと名高い男。
「汚い言葉はおよしなさい。死者の前ですよ」
簡素に土葬された聖騎士たちの墓の前で手を組み、「どうか安らかに……」と祈っていた女性は眉間にシワを寄せて振り向く。
プラチナブロンドの長い髪と長い耳を持つとても美しい容姿。瞳の色は碧色。体のラインを隠す様に着込んだ真っ白な衣装だというのに、 服を押しのけるかの様に突き出した豊かな双丘と、くびれの下にあるズシッと重そうな下半身が服の上からでもよく分かった。露出を控えめにしているというのにとても煽情的な肢体をしており、高貴な雰囲気を纏っている。
聖戦騎士クラウディア=ファルシオン
彼女もまた七元徳の一人であり、『救済』のクラウディアとしても有名。最も印象的なのは長い髪をかき分けて出て来た長い耳だ。
彼女は神都パラディスというエルフの国からやって来た由緒正しい純血のエルフ。強制的に国外追放されるハーフエルフとは違い、他国で純血のエルフが活躍するのは稀である。
「……その通りですね。失礼いたしました。……我々の到着が遅れたばかりにローディウス卿が逝去された。どなたか存じ上げませんが、我々の代わりに埋葬して下さったのだけが何よりの救い。……神よ、どうか迷える魂をお救いください」
「少しお待ちになってランドルフ。それにしてはお墓の数がおかしいではありませんか? お一人だけ持ち去られたのでしょうか?」
「ふむ。魔物が巣に持ち帰ることはよくあることですが、確かに一人だけ持ち帰るというのもおかしな話ですね。……とはいえ、全ては後の祭り。万が一にも助けられる可能性があったとしても戦闘特化の我々では追跡はおろか痕跡を見つけるのも至難の業。ともかくこの事実を報告し、次の指示を仰ごうではありませんか」
ランドルフの言葉に下唇を噛みながら腕を組むクラウディア。
「猊下の悲しむお姿を想像するだけで胸が苦しくなりますわ。しかしこの後に及んで報告を怠るなど出来ようはずがありませんもの。仕方ありませんわよね……」
2人は互いに頷き合う。ローディウス卿の警護任務は失敗に終わり、煌びやかな魔動車も鉄くずの砂塗れとなって埋もれる。
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「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
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アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
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剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
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【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】
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