【完結】王子と結婚するには本人も家族も覚悟が必要です

宇水涼麻

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18 領地の進展具合

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 サビマナの現状についてレンエールは逡巡し、しばらくしてテーブル下の手をギュッと握りしめた。一つ息を吐き頭を上げる。

「サビィ……、サビマナは明日より学園を休ませる。王子妃教育を徹底させる」

「殿下。失礼ながら、王子妃教育ではなく、まだ貴族一般教育以前です。
それはともかく……。
そうなさると、学園をご卒業できませんよ?」

「王子妃は卒業が条件ではない。外に出さず勉強させる。王子妃教育には語学も含まれるのだ。国外へ留学していたと言えばいい。履修後、一週間ほど留学すればいいだろう」

「殿下はどうなさりますか?」

「私も一緒でないとやらぬだろうな……。一緒に留学していたことにするしかないな」

「ネイベット大臣を呼んで参ります」

 バロームはすぐにネイベット侯爵と帰ってきた。ネイベット侯爵は座るなり話を始める。

「殿下。よいご判断であると思います。それならば、離宮でお過ごしください。使用人として口の固い者だけを手配しましょう。
明日の朝、出立できます」

 レンエールはネイベット侯爵がレンエールの判断を予想していたかのような周到さに内心驚いたが、ネイベット侯爵の優秀さはレンエールが子供の頃からわかっていた。

「それはいいな。それなら留学との説明も無理がなくなる。
サビマナには勉強のために離宮へ行くことは内密にせよ。あちらに到着してから説明する」

「それがよろしいかと存じます」

 レンエールはネイベット侯爵が全面的に賛同してくれたことにホッとした。

 翌朝、数名の騎馬騎士とともに五台の馬車が王城から早朝に出立した。

〰️ 〰️ 〰️


 二人が離宮へ出発してから、さらに二月後、ネイベット侯爵は文官とともにボーラン男爵領にいた。

「これをどう思う?」

 ネイベット侯爵は馬車内から見える風景を目を細めて見ながら文官に問うた。

「何の変化も見られません……」

 侯爵家の高級な馬車にも関わらず、頻繁に大きく揺れ、時にはぬかるみで止まることもあった。それほどに、街道は穴やら石やらがたくさんあり、全く整備されていなかった。

〰️ 〰️ 〰️


 レンエールとサビマナが離宮に行く半月前。

 王都にあるボーラン男爵邸を訪れたネイベット侯爵は驚愕したが顔には出さない。応接室へと案内されるまでの調度品などもチェックしていった。
 ボーラン男爵邸は改装され豪勢な屋敷になっていた。

 応接室で待っていたボーラン一家は大変豪華な衣装であった。両陛下御用達の仕立て屋を充分に使っているようだ。

 簡単な挨拶の後、ソファに座る。ネイベット侯爵の後ろには文官が二人立っている。

「早速ですが、領地の開発はどの程度進んでおりますか?」

「それが……。なかなか予算が組めず苦慮しております」

 文官二人は目を見開いた。ネイベット侯爵は平然と対応する。

「そうでしたか。しかし、ご予算がないようにはお見受けしませんが?」

 ネイベット侯爵がボーラン夫人の胸元に光るネックレスやボーラン男爵の太い腕に食い込むブレスレットを見やる。

「こ、これは王子妃の家族として恥ずかしくない装いでいるだけです」

「それは社交の場だけでいいのでは?」

「ネイベット侯爵がいらしてくださりこうしてお話をできるのは、社交の一環です」

「我々はボーラン殿の実情を知っておりますので普段通りでいいですよ。
社交に行かれる時や王宮へ行かれる時などでしたら、二着もあれば事足りるのでは?」

 ネイベット侯爵は領地の開発についての相談のためボーラン男爵邸に何度も赴いている文官から、ボーラン一家は毎回違う豪華な衣装を着ていると聞いていた。

「それほど枚数を持っているわけではありませんよ」

 ボーラン一家は引きつり笑いで誤魔化した。
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