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第9話 運が良いという言葉は、時に人を傷つけるのかもしれない
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「はっはっは、いやぁ~・・・マジかよ」
俺の目の前には高い鉄格子に囲まれた大きな建物の前に立っていた。空を見るくらい首を上げなきゃ頂上が見えない建物がキラキラと輝いて見えた。門の前には、警備をしている人達が立っていて、中に入る人達を1人1人調べていた。
「俺、来る場所間違えたかな?」
「いえ、この場所であっていますよ。マスターが今日から通われる学園は」
「何故だ、親父。俺はちゃんと良い子で過ごしていたじゃないか」
「良い子でいたからこそでは無いですか? マスターには未だ同じ歳の友と呼べる者はいません。それに学園で様々な事を学んで欲しいと思ったのでは?」
「友達ならルビーがいるし、勉強はアルファが教えてくれるもん!」
「ルビーは人間ではありません、学ぶというのは勉強をすることではありませんよ」
「くそ~、せめて理由がもう少しマシだったら良かったのに」
俺が学園に入学することになった理由は、親父がクエスト先である人物にあったことから始まる。クエストが終わって帰ろうとしていた親父は、何か困っている人がいたので助けてあげたんだそうだ。すると、その人から何かお礼をさせて欲しいと言われ、特に何かして欲しい事は無かった。しかし、親父の家族にしてあげたいことでも良いという事で冗談まじりに「息子に同年代の友達を作ってやりたい」と親父は言ったらしい。その人は、それを了承し後日、家に手紙と学園への招待状が届いたそうだ。
「良いお話ではありませんか。お父様の善行によって、マスターは学園に入学出来るのですから」
「そうだね、良いお話だよね。でも、貴族や王族が学園に試験も何も無しに入学って」
「本当に運が良く入学出来ましたね」
「俺の運が良いわけじゃないよね!」
「ちきしょう~、結局こうなるのかよ」
「どうしますか? 今からでも控えしますか?」
「いや、通うよ。親父に悪い気がするしな」
「お優しいですね」
「まさか、ただの自己満足だよ」
覚悟を決めて、学園に入って行く。門の人達には持ち物を調べられ、異常が無い事を確認された。制服は、手紙などと一緒に送られて来ていて長さの調整は母さんにしてもらった。
学園の中は大勢の貴族達で溢れていた。
「凄いな、貴族達がたくさん、何かキラキラしているように見える」
「そうですか? 私には、何か黒い者がうようよしているように見えます」
アルファの言うように、よく見てみると従者を物のように扱っている奴らがいるのがすうに分かった。
空気が悪く感じた俺は、その場を離れ人気が少ない所に移動した。
移動した先には、花壇があって様々な花が咲いていて綺麗だった。
「へぇ、こういう所もあるのか」
「どの花も綺麗な咲き方をしています。手入れがきちんとされている証拠ですね」
「良かった、汚い貴族ばかりだったらどうしようかと思ったが、綺麗な花を咲かせられる人がいると思うだけで救われる」
天気も良く、心地良い風が吹き、花の良い香りもしてくる。深呼吸をしてリラックスしていると、誰かが近くに来るのを感じた。
「あ、すみません、お邪魔してしまいましたか?」
「いえ、そんなことは無いですけど」
そこに現れたのは、金色の髪に綺麗なエメラルド色の目をした少女だった。少女は、何処か落ち着きが無く、おどおどしていたので、俺から話しかけてみた。
「あの、どうかしましたか?」
「あ、えっと、私、今日入学式なんですけど、何処に行ったら良いのか分からなくて迷ってしまって」
「俺も入学式に出るので、一緒に行きますか?」
「良いんですか?」
「もちろん、これからこの学園で頑張る者同士ですからね」
「ありがとうございます!」
「俺は、レイン・ローズヴェルク」
「私は、リーゼ・ミリアーデです」
「ん? ミリアーデさん?」
「はい、ミリアーデです」
可愛い笑顔と共に自己紹介をしてくれた彼女を俺は知っている。そう、知っているのだ。今、俺の目の間にいるのは説明書に書かれていたメインヒロインである、リーゼ・ミリアーデだった。
あまりの衝撃に俺は心の叫びが、誰かにきこえていそうな程だった。
俺の目の前には高い鉄格子に囲まれた大きな建物の前に立っていた。空を見るくらい首を上げなきゃ頂上が見えない建物がキラキラと輝いて見えた。門の前には、警備をしている人達が立っていて、中に入る人達を1人1人調べていた。
「俺、来る場所間違えたかな?」
「いえ、この場所であっていますよ。マスターが今日から通われる学園は」
「何故だ、親父。俺はちゃんと良い子で過ごしていたじゃないか」
「良い子でいたからこそでは無いですか? マスターには未だ同じ歳の友と呼べる者はいません。それに学園で様々な事を学んで欲しいと思ったのでは?」
「友達ならルビーがいるし、勉強はアルファが教えてくれるもん!」
「ルビーは人間ではありません、学ぶというのは勉強をすることではありませんよ」
「くそ~、せめて理由がもう少しマシだったら良かったのに」
俺が学園に入学することになった理由は、親父がクエスト先である人物にあったことから始まる。クエストが終わって帰ろうとしていた親父は、何か困っている人がいたので助けてあげたんだそうだ。すると、その人から何かお礼をさせて欲しいと言われ、特に何かして欲しい事は無かった。しかし、親父の家族にしてあげたいことでも良いという事で冗談まじりに「息子に同年代の友達を作ってやりたい」と親父は言ったらしい。その人は、それを了承し後日、家に手紙と学園への招待状が届いたそうだ。
「良いお話ではありませんか。お父様の善行によって、マスターは学園に入学出来るのですから」
「そうだね、良いお話だよね。でも、貴族や王族が学園に試験も何も無しに入学って」
「本当に運が良く入学出来ましたね」
「俺の運が良いわけじゃないよね!」
「ちきしょう~、結局こうなるのかよ」
「どうしますか? 今からでも控えしますか?」
「いや、通うよ。親父に悪い気がするしな」
「お優しいですね」
「まさか、ただの自己満足だよ」
覚悟を決めて、学園に入って行く。門の人達には持ち物を調べられ、異常が無い事を確認された。制服は、手紙などと一緒に送られて来ていて長さの調整は母さんにしてもらった。
学園の中は大勢の貴族達で溢れていた。
「凄いな、貴族達がたくさん、何かキラキラしているように見える」
「そうですか? 私には、何か黒い者がうようよしているように見えます」
アルファの言うように、よく見てみると従者を物のように扱っている奴らがいるのがすうに分かった。
空気が悪く感じた俺は、その場を離れ人気が少ない所に移動した。
移動した先には、花壇があって様々な花が咲いていて綺麗だった。
「へぇ、こういう所もあるのか」
「どの花も綺麗な咲き方をしています。手入れがきちんとされている証拠ですね」
「良かった、汚い貴族ばかりだったらどうしようかと思ったが、綺麗な花を咲かせられる人がいると思うだけで救われる」
天気も良く、心地良い風が吹き、花の良い香りもしてくる。深呼吸をしてリラックスしていると、誰かが近くに来るのを感じた。
「あ、すみません、お邪魔してしまいましたか?」
「いえ、そんなことは無いですけど」
そこに現れたのは、金色の髪に綺麗なエメラルド色の目をした少女だった。少女は、何処か落ち着きが無く、おどおどしていたので、俺から話しかけてみた。
「あの、どうかしましたか?」
「あ、えっと、私、今日入学式なんですけど、何処に行ったら良いのか分からなくて迷ってしまって」
「俺も入学式に出るので、一緒に行きますか?」
「良いんですか?」
「もちろん、これからこの学園で頑張る者同士ですからね」
「ありがとうございます!」
「俺は、レイン・ローズヴェルク」
「私は、リーゼ・ミリアーデです」
「ん? ミリアーデさん?」
「はい、ミリアーデです」
可愛い笑顔と共に自己紹介をしてくれた彼女を俺は知っている。そう、知っているのだ。今、俺の目の間にいるのは説明書に書かれていたメインヒロインである、リーゼ・ミリアーデだった。
あまりの衝撃に俺は心の叫びが、誰かにきこえていそうな程だった。
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