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蜂蜜の吐息
03 ー はじまりの森
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しばらくして、ようやく立ち直った誠はとにかく川を下ろうと決意し直した。
手早く片付け、早歩きでこの場を後にする。余計なことは考えず、ひたすら足を進めるのみだ。
辺りがオレンジ色に染まり始める頃、誠はやっと歩みを止めた。夜通し歩けるくらいの体力はあるが、少しゆっくり休みたいし、統括の神にお供えもしなければならない。
誠は川から少し離れた場所にテントを張り、夕飯の準備を始めた。
仕事中は兄の動きや進行状況、次々に追加されるオーダーのことを考えるだけだが、自分のためだけの調理は頭をほとんど空っぽにできる。
誠は飯盒で米を炊いている間に無心で野菜を刻み、挽き肉のドライカレーを作っていた。いつもなら風でみじん切りにするところだが、今回は手動だ。
無心で調理をしていくと、頭が冴えていく感じがする。
誠はこの地に来てからの考えを纏めていた。
「もう良いかな?」
ルーを溶かすための水分がほとんど飛んだことを確認すると、誠はカレー皿に米とドライカレーを盛りつけた。
ゴミはそのままマジックバッグに入れると、自動で実家のゴミ箱に転送されるので安心だ。
カエサルの物はカエサルに。地球の技術の粋を他世界に捨てることはご法度らしい。
今度トレーか紙パックに手紙でも貼って、バッグに入れてみようと誠は思った。スーパーに持って行く前に、きっと家の誰かが家族宛の手紙に気付くだろう。
椅子に座り、狸の爺様が作ったトマトとタッパーを取り出した。中身は兄特製のかぼちゃサラダだ。
火も水もいくらでも使いたい放題なので、トマトをざっと水洗いしてからそのまま齧り付く。しっかりと作ったトマトは味も濃いし甘酸っぱい。品種改良して甘味を全面に押し出したミニトマトも好きだが、こういった昔ながらの路地物の大きなトマトも好きだ。
トマトを食べ終える頃には、ドライカレーは食べ頃の温度になっていた。ほとんど湯気が上っていないカレー皿に手を伸ばそうとした時、誠は森の奥からこちらに向かって来る気配を感じ取っていた。
「…デジャブか?」
首を傾げたが、手元を見て気が付いた。鼻腔を刺激するスパイスの塊が、ここにある。
「しまった…またか」
ムシャクシャして作った、反省はしてない。キャンプにカレーは付き物だ。
昼頃に出会った気配とは違うそれは、どこかピリピリする嫌な気配だ。狐火をいくつか自分の周りに配置し、何が来ても良いように構える。そしてそっと雷を地面に這わせ、トラップも仕掛けた。
こちらの出方を警戒しているのか、あちらさんの移動速度は段々とゆっくりになっている。
誠は森の中を警戒しながら、ドライカレーを食べていた。
来るなら早く来いよ。
一向にこちらに来る気配が無いので、イライラする。上手く木に隠れているようだが、その汚い気配で丸分かりだ。
「ったく…ゆっくり飯食わせろってんだよ、クソが」
口が悪いのはご愛嬌だ。誠はまだ森を睨みながら、バッグから牛乳を取り出して飲む。自分しか飲まないので、牛乳パックから直飲みだ。これが実家なら母にしこたま怒られるだろう。
かぼちゃサラダもたいらげ、高圧スチームを作って皿やフライパンを綺麗にして片付けた後、誠はこちらから仕掛けてやろうと動いた。
地に這わせている雷を、対象に向かって伸ばす。狐火以外の力は、諏訪から受け継いでいるものだ。
諏訪の力は兄の方が上手く扱えるが、一か百かしかない狐火よりは使い勝手が良いので、こういう時は重宝している。実家付近で神使に後をつけられた時も、こうして警告したものだ。
相手の元まで一直線に伸びた雷は、そのまま対象の足元から上半身に向かって絡み付き、拘束する。捕まえた瞬間に死なない程度に痺れさせるので、抵抗されることもない。
ドサッという音が聞こえ、対象が倒れたことを確認すると、誠はその音に向かって歩き出した。
倒れていたのは、豚だった。いや、二足歩行する豚だろうか。しかも軽武装をしている。皮の鎧なんそ、漫画やゲームでしか見たことがない。
「何だコイツ」
自分の食事の邪魔をすることは、何人たりとも許されない。
誠は足元の豚を風で高く浮かせると、そのまま遠くに飛ばしてしまった。
「ったくよぉ…余計な手間かけさせんじゃねぇっつーの」
若干座った目で戻ると手早くテーブルと椅子を片付け、勢いそのままにテントの中に籠った。その際にはしっかりと結界を張ることは忘れない。これ以上、変な生物に絡まれたくない。
「あれも魔獣とかかな。獣人とは違ったし。ヨーロッパの狼男みたいな種族とかだったら…いや、絶対違うな。変な気配だったし、何より俺の食事の邪魔をした罪は重い」
誠はブツブツと文句を言いながらバッグからペンとメモ用紙を取り出して、相模宛にメッセージを書いた。
そしてお供え用の皿に、こちらに来る前に作っておいた焼き菓子セットと、その横にメモを乗せてから携帯鳥居を取り出す。
「統括の神様、お供えです。ご賞味ください」
深呼吸をしてから柏手を打つと、皿の上の物が淡く光った鳥居の中に吸い込まれていった。どうやらメモも菓子の一部として認識され、統括の神の神域に転送されたようだ。
「よし。これでそのうち相模さんから連絡が来んだろ」
皿を片付けてから寝袋の上に寝転がり、タブレットで読書をしていると、携帯鳥居がまた光り出した。
誠が鳥居に軽く触れると、相模の声が聞こえてきた。
『誠君、相模です。無事ですか?』
少し焦った様子の相模に、誠は苦笑する。
「こんばんは、相模さん。とりあえずは無事です」
『良かった…。先程メモを見たんですが…』
「あー…書いた通りです。俺が転移した後、どうなりました?」
別に毎日の報告を義務付けられているわけではない。しかし、親身になってくれた相模には、到着とその時の状況は報告しなければならないだろう。
『どうもこうも…統括の神が詰問したら、ヘラヘラして誤魔化してそちらに帰りやがりましたよ。もしかしたら誠君に何か影響があったのではと、転移時の状況は、ご実家と出雲の温泉宿にしっかり伝えておきました』
「お手数おかけしました…」
『いえ。無事に送り届けるという契約でしたし。繋ぎ役の統括の神の胃は、牡丹さんと諏訪様の殺気で穴が空きかけかけましたけどね。それで、これからどうしますか?神も、ルシリューリク様に連絡だけは取れるので、神託の出し直しを要求させましょうか』
「そうですね…ちょっと相談なんですけど」
誠は道中考えていたことを相模に伝えた。
このまま王都の大神殿に行って事情を伝えても、神託の人物と誠がイコールであると信じて貰えないかもしれない。
神託の出し直しは誠も少し考えたが、それによってルシリューリクがこの件は貸しだと思うことも嫌だし、仕事以外で関わりたくない。
要らぬ心配かもしれないが、ルシリューリクと神殿、そして国家権力との関係が今のところ不透明なので、国に取り込まれるのを誠は嫌ったのだ。とどのつまり、もういろいろ面倒臭いの一言だ。
そして転移する前とその後の状況も、誠のルシリューリクの株を大暴落させた一因だった。
衣食住の心配は殆ど無いので、この世界を旅しながら見て周りたいという思いもある。
『大丈夫でしょう』
誠の話を聞き終えた相模は、しっかりした声で太鼓判を押した。
『どっかのお馬鹿さんの依頼は、君が料理を供えることだけです。他の制限は全く無いので、自由に移動したって良いのです。何か面白そうな物が見つかりましたか?』
「うーん…見つかったと言うか、出会った…ですかね。俺よりも大きな狼に会いました。多分友達になったから、また会いたいなって」
『そうですか。もしかしたら、良い魔獣なのかもしれませんね。…誠君、本当にすみません。私が同行できてさえいれば…』
異世界に転移する場合、陰陽省の職員は事前にその世界に訪れ、安全面と生活面の調査を行うことが慣例となっている。
そして派遣される「神様の料理番」は、本来なら陰陽省職員と異世界に転移し、一週間くらいは日本との差異に慣れるために現地でサポートを受ける。
しかし誠の場合は、こちらの世界が不安定なために、安全面を考慮して陰陽省から相模の事前調査と同行の許可が下りなかったので、殆ど行き当たりばったりになってしまっている。
少しはルシリューリクから世界観の説明を受けているが、あのクソガキのことだ。どこまで信じて良いのか分からないし、説明漏れも多分にあると誠も相模も思っている。
「気にしないでください、相模さんのせいじゃないですし」
『いえ、それでも…』
余程気にしているのか、相模からはいつもの覇気が無い。
付き合いが長いのもあってか、相模は誠のことを可愛がられている。誠は相模の気分を軽くさせるためにも、わざといつもより明るく話した。
「安全第一ですからね。ま、何とか頑張りますよ。相模さん、ちゃんと食べて、しっかり寝てくださいね」
『ありがとうございます、誠君も。…君は強いですけど、くれぐれも道中気をつけて』
「はーい。とりあえず、こまめに報告しますね」
『ええ、待ってます。それでは』
「はい。おやすみなさい」
通話を終えると、鳥居の光りは消えた。
統括の神も大変だろうが、現場と上とで挟まれている相模は特に大変だ。彼の仕事に対して、間違っていなければ誠が怒ることはない。
何より、自分が生まれてからの付き合いなので、相模のことは親戚のお兄ちゃんくらいの立ち位置になっている。
「相模さん、疲れてそうだったなー…。今度相模さんにも料理届けよう」
誠は携帯鳥居をバッグにしまいながら、そう考えていた。
しばらくゴロゴロした後、誠はテントから出た。風呂に入るためだ。
辺りはもう、真っ暗になっていた。灯りはつけず周辺の気配を確認すると、誠は川の近くで水を出した。実家の湯船の大きさの直方体にした水の中に、狐火を放り込む。即席風呂のできあがりだ。
日本でのキャンプ中でも、こうして風呂を作っていたので慣れたものだ。もっとも、兄と一緒に行く時は完全にお任せだったが。
湯が適温になったのを確認してから椅子を出して、その上に服を脱ぎ捨てる。
体を洗ってから湯に浸かった。
「おー…凄い星」
この世界は地球と同じく惑星なのかは知らないが、夜空には満点の星が輝いていた。
「…入浴剤、入れたい」
せっかくのロケーションだ。気分くらいは露天風呂を味わいたい。しかし肝心の入浴剤を買っていないことに、今更ながら気が付いた。
環境に優しいシャンプーもボディソープも用意しているのに、何たる失態だ。
明日はハーブを探しながら村に行こうと考えながら、誠はテントに戻って眠りについた。
「誠…おい、誠!」
パン、と頭を叩かれて目が覚めた。
目を開けると、また知らない空間に来ていた。
「え…何、どこ!?」
急いで体を起こして辺りを見回すと、隣には牡丹が立っていた。
「まったく…いくつになっても寝起きが悪ぃな」
「牡丹さん…?」
日本に居るはずの牡丹が、どうしてここに居るんだろう。ああ、きっと夢だ。
誠は溜息を吐いてまた寝直そうとしたが、首根っこを掴まれて無理やり立たされた。
「いってー!ちょっと待って、息が…」
「だったらシャキッとしな」
「分かったから、離して」
少しボケただけなのに、酷い扱いだ。
牡丹は手を離すと、着物の懐から煙管を取り出す。誠は服をなおしながら、自分が置かれている状況を理解していた。
ここは誠の夢の中だが、一部の妖怪や神が使えるという夢渡りの術で、精神の一部が牡丹と繋がっている状態だ。
異世界なのにその術が使えるというのは、牡丹の力がそれほど強いのか、遠野一族という血がなせる技なのかは不明だが、誠は牡丹に会えたことで安心できたことだけは確かだった。
「もう少し子孫を労わろうって気は無いのかよ」
「バーカ。俺の子孫だから丈夫なんだろうが。しっかしよぉ、あんなクソガキが作った世界だから何か問題が起きると思ってはいたが…初っ端からかよ」
牡丹は誠と同じ色の九本の尾をバサバサと揺らしながら、煙管の煙を吐き出した。その姿さえも、牡丹をあしらった着物と相まって妖艶さが増している。
口は悪いが、所作は綺麗。それが牡丹だ。
「やっぱ、何かあったんだよね?」
「あったっつーか、お前を転移させた後の対応が無かったっつーか。統括のと相模は頭下げに来たが、クソガキの姿は見えなかったなぁ。誠、お前よぉ…契約を反故にしたのはクソガキだ。諏訪の野郎はいつでもお前を日本に帰す気だ。むしろ統括の奴の話を聞いて、すぐ帰そうとしていた」
「え…大丈夫だったの?統括の神様…」
「ああ。俺が止めてやったよ」
誠は統括の神よりも、牡丹に止められた諏訪の容態を心配した。おそらく…いや、絶対に口ではなく物理で止められている。
そんな諏訪は、一族の中で牡丹に最も似ている誠を溺愛していると言っても過言ではない。誠としては、あまり似ていないし牡丹の方が艶やかだと思っているが。
「で?どうするよ」
「どうするってもさぁ…アイツに対して腹は立ってるしクソ野郎とは思ってるけど、何か癪じゃん。このまま帰るのって」
「そうか…お前なら、そう言うと思ったわ」
牡丹はフワフワの尾で、誠の頭を撫でた。いい歳なのでこういうのは止めてほしいが、避けても自分が満足するまで撫でるのが牡丹だ。体力、気力の無駄なのは身に染みて理解しているので、誠はおとなしくしていた。
「それに…」
言いながら、牡丹は誠の頸を尾の先でなぞる。
「ひっ…何?くすぐったいんだけど」
「お前、面白いもん首に付けてんじゃねぇか。これは…狼か?」
狼と言われると、思い当たる節は一つだけだ。湖畔で会った、あの銀狼。
誠は銀狼に首元を噛まれたことを思い出し、頬を染めた。
「んー?まぁ、お前自身が受け入れたんなら、俺は何も言わねぇけどよ」
「牡丹さん…」
「お前は俺に似て、警戒心もプライドも高いからよ。でも、たまには素直になんな。俺ら妖狐は貪欲なんだ。欲しいなら欲しいって、手を伸ばしても良いんだぜ」
牡丹は誠の胸元にとん、と指を突きつける。
キリストが生まれる前から生きているらしい牡丹は、生粋の妖狐だ。
人間社会で育った誠の思考はかなり人間寄りだが、妖狐としての本能がそれを脅かす。酷くアンバランスな心を何とか沈めているのは、牡丹と諏訪の子孫で「神様の料理番」という誇りだ。
「真面目だな、誠は」
「別に…俺は『神様の料理番』だし。統括の神様と相模さんから頼まれたから、彼らの面子を潰すわけにはいかないだろ」
「まぁ、そうだな。それに、お前は半妖だっつっても、もう半分は諏訪のだからな。はー…どうしてアイツの力も出てきちまったかねぇ、出しゃばり過ぎだろ、アイツ」
「うん…」
力が強ければ強いほど、それを使う者は強い心を持たなければならない。力に飲まれる者は、いくら一族の者だと言えども諏訪に消される。
それが人間社会に溶け込むための、遠野一族の掟だ。
誠も兄も、幼い頃からその掟を言い聞かされていた。
「けど…俺は謝んねぇからな。諏訪を伴侶に選んだのは、俺だ」
「うん、分かってる。俺は『遠野』だよ。アンタらの子孫だ。遠野のプライドは、ちゃんと持ってる」
「誠…」
牡丹は誠をぎゅっと抱きしめた。
きっとこの二人も、結ばれるまでにかなりの葛藤があったのだろう。そして、自分達にどんな子供が生まれるかも。
誠は家族も始祖も好きだからこそ、彼らの子孫で良かったと心から思っている。
「まぁ見ててよ、半妖の底力っつーの?」
「ああ。出雲から祈ってる。それに、お前を半妖だ半妖だってうるさい奴が居たら、しっかりヤるんだぞ」
「う…うん…」
恐らく「ヤる」は「殺ル」と変換するのが正しい。
一瞬妖気と殺気を高めた牡丹は、誠の背中をぽんぽんと優しく叩いてから離れた。
「じゃあ、そろそろ帰るわ。諏訪の野郎も五月蝿ぇしよ」
「分かった。諏訪さんに、俺は元気だし旅も楽しみたいから見ててって言っといて」
「おう」
牡丹は軽く片手を上げてから、フワリと消えていった。
手早く片付け、早歩きでこの場を後にする。余計なことは考えず、ひたすら足を進めるのみだ。
辺りがオレンジ色に染まり始める頃、誠はやっと歩みを止めた。夜通し歩けるくらいの体力はあるが、少しゆっくり休みたいし、統括の神にお供えもしなければならない。
誠は川から少し離れた場所にテントを張り、夕飯の準備を始めた。
仕事中は兄の動きや進行状況、次々に追加されるオーダーのことを考えるだけだが、自分のためだけの調理は頭をほとんど空っぽにできる。
誠は飯盒で米を炊いている間に無心で野菜を刻み、挽き肉のドライカレーを作っていた。いつもなら風でみじん切りにするところだが、今回は手動だ。
無心で調理をしていくと、頭が冴えていく感じがする。
誠はこの地に来てからの考えを纏めていた。
「もう良いかな?」
ルーを溶かすための水分がほとんど飛んだことを確認すると、誠はカレー皿に米とドライカレーを盛りつけた。
ゴミはそのままマジックバッグに入れると、自動で実家のゴミ箱に転送されるので安心だ。
カエサルの物はカエサルに。地球の技術の粋を他世界に捨てることはご法度らしい。
今度トレーか紙パックに手紙でも貼って、バッグに入れてみようと誠は思った。スーパーに持って行く前に、きっと家の誰かが家族宛の手紙に気付くだろう。
椅子に座り、狸の爺様が作ったトマトとタッパーを取り出した。中身は兄特製のかぼちゃサラダだ。
火も水もいくらでも使いたい放題なので、トマトをざっと水洗いしてからそのまま齧り付く。しっかりと作ったトマトは味も濃いし甘酸っぱい。品種改良して甘味を全面に押し出したミニトマトも好きだが、こういった昔ながらの路地物の大きなトマトも好きだ。
トマトを食べ終える頃には、ドライカレーは食べ頃の温度になっていた。ほとんど湯気が上っていないカレー皿に手を伸ばそうとした時、誠は森の奥からこちらに向かって来る気配を感じ取っていた。
「…デジャブか?」
首を傾げたが、手元を見て気が付いた。鼻腔を刺激するスパイスの塊が、ここにある。
「しまった…またか」
ムシャクシャして作った、反省はしてない。キャンプにカレーは付き物だ。
昼頃に出会った気配とは違うそれは、どこかピリピリする嫌な気配だ。狐火をいくつか自分の周りに配置し、何が来ても良いように構える。そしてそっと雷を地面に這わせ、トラップも仕掛けた。
こちらの出方を警戒しているのか、あちらさんの移動速度は段々とゆっくりになっている。
誠は森の中を警戒しながら、ドライカレーを食べていた。
来るなら早く来いよ。
一向にこちらに来る気配が無いので、イライラする。上手く木に隠れているようだが、その汚い気配で丸分かりだ。
「ったく…ゆっくり飯食わせろってんだよ、クソが」
口が悪いのはご愛嬌だ。誠はまだ森を睨みながら、バッグから牛乳を取り出して飲む。自分しか飲まないので、牛乳パックから直飲みだ。これが実家なら母にしこたま怒られるだろう。
かぼちゃサラダもたいらげ、高圧スチームを作って皿やフライパンを綺麗にして片付けた後、誠はこちらから仕掛けてやろうと動いた。
地に這わせている雷を、対象に向かって伸ばす。狐火以外の力は、諏訪から受け継いでいるものだ。
諏訪の力は兄の方が上手く扱えるが、一か百かしかない狐火よりは使い勝手が良いので、こういう時は重宝している。実家付近で神使に後をつけられた時も、こうして警告したものだ。
相手の元まで一直線に伸びた雷は、そのまま対象の足元から上半身に向かって絡み付き、拘束する。捕まえた瞬間に死なない程度に痺れさせるので、抵抗されることもない。
ドサッという音が聞こえ、対象が倒れたことを確認すると、誠はその音に向かって歩き出した。
倒れていたのは、豚だった。いや、二足歩行する豚だろうか。しかも軽武装をしている。皮の鎧なんそ、漫画やゲームでしか見たことがない。
「何だコイツ」
自分の食事の邪魔をすることは、何人たりとも許されない。
誠は足元の豚を風で高く浮かせると、そのまま遠くに飛ばしてしまった。
「ったくよぉ…余計な手間かけさせんじゃねぇっつーの」
若干座った目で戻ると手早くテーブルと椅子を片付け、勢いそのままにテントの中に籠った。その際にはしっかりと結界を張ることは忘れない。これ以上、変な生物に絡まれたくない。
「あれも魔獣とかかな。獣人とは違ったし。ヨーロッパの狼男みたいな種族とかだったら…いや、絶対違うな。変な気配だったし、何より俺の食事の邪魔をした罪は重い」
誠はブツブツと文句を言いながらバッグからペンとメモ用紙を取り出して、相模宛にメッセージを書いた。
そしてお供え用の皿に、こちらに来る前に作っておいた焼き菓子セットと、その横にメモを乗せてから携帯鳥居を取り出す。
「統括の神様、お供えです。ご賞味ください」
深呼吸をしてから柏手を打つと、皿の上の物が淡く光った鳥居の中に吸い込まれていった。どうやらメモも菓子の一部として認識され、統括の神の神域に転送されたようだ。
「よし。これでそのうち相模さんから連絡が来んだろ」
皿を片付けてから寝袋の上に寝転がり、タブレットで読書をしていると、携帯鳥居がまた光り出した。
誠が鳥居に軽く触れると、相模の声が聞こえてきた。
『誠君、相模です。無事ですか?』
少し焦った様子の相模に、誠は苦笑する。
「こんばんは、相模さん。とりあえずは無事です」
『良かった…。先程メモを見たんですが…』
「あー…書いた通りです。俺が転移した後、どうなりました?」
別に毎日の報告を義務付けられているわけではない。しかし、親身になってくれた相模には、到着とその時の状況は報告しなければならないだろう。
『どうもこうも…統括の神が詰問したら、ヘラヘラして誤魔化してそちらに帰りやがりましたよ。もしかしたら誠君に何か影響があったのではと、転移時の状況は、ご実家と出雲の温泉宿にしっかり伝えておきました』
「お手数おかけしました…」
『いえ。無事に送り届けるという契約でしたし。繋ぎ役の統括の神の胃は、牡丹さんと諏訪様の殺気で穴が空きかけかけましたけどね。それで、これからどうしますか?神も、ルシリューリク様に連絡だけは取れるので、神託の出し直しを要求させましょうか』
「そうですね…ちょっと相談なんですけど」
誠は道中考えていたことを相模に伝えた。
このまま王都の大神殿に行って事情を伝えても、神託の人物と誠がイコールであると信じて貰えないかもしれない。
神託の出し直しは誠も少し考えたが、それによってルシリューリクがこの件は貸しだと思うことも嫌だし、仕事以外で関わりたくない。
要らぬ心配かもしれないが、ルシリューリクと神殿、そして国家権力との関係が今のところ不透明なので、国に取り込まれるのを誠は嫌ったのだ。とどのつまり、もういろいろ面倒臭いの一言だ。
そして転移する前とその後の状況も、誠のルシリューリクの株を大暴落させた一因だった。
衣食住の心配は殆ど無いので、この世界を旅しながら見て周りたいという思いもある。
『大丈夫でしょう』
誠の話を聞き終えた相模は、しっかりした声で太鼓判を押した。
『どっかのお馬鹿さんの依頼は、君が料理を供えることだけです。他の制限は全く無いので、自由に移動したって良いのです。何か面白そうな物が見つかりましたか?』
「うーん…見つかったと言うか、出会った…ですかね。俺よりも大きな狼に会いました。多分友達になったから、また会いたいなって」
『そうですか。もしかしたら、良い魔獣なのかもしれませんね。…誠君、本当にすみません。私が同行できてさえいれば…』
異世界に転移する場合、陰陽省の職員は事前にその世界に訪れ、安全面と生活面の調査を行うことが慣例となっている。
そして派遣される「神様の料理番」は、本来なら陰陽省職員と異世界に転移し、一週間くらいは日本との差異に慣れるために現地でサポートを受ける。
しかし誠の場合は、こちらの世界が不安定なために、安全面を考慮して陰陽省から相模の事前調査と同行の許可が下りなかったので、殆ど行き当たりばったりになってしまっている。
少しはルシリューリクから世界観の説明を受けているが、あのクソガキのことだ。どこまで信じて良いのか分からないし、説明漏れも多分にあると誠も相模も思っている。
「気にしないでください、相模さんのせいじゃないですし」
『いえ、それでも…』
余程気にしているのか、相模からはいつもの覇気が無い。
付き合いが長いのもあってか、相模は誠のことを可愛がられている。誠は相模の気分を軽くさせるためにも、わざといつもより明るく話した。
「安全第一ですからね。ま、何とか頑張りますよ。相模さん、ちゃんと食べて、しっかり寝てくださいね」
『ありがとうございます、誠君も。…君は強いですけど、くれぐれも道中気をつけて』
「はーい。とりあえず、こまめに報告しますね」
『ええ、待ってます。それでは』
「はい。おやすみなさい」
通話を終えると、鳥居の光りは消えた。
統括の神も大変だろうが、現場と上とで挟まれている相模は特に大変だ。彼の仕事に対して、間違っていなければ誠が怒ることはない。
何より、自分が生まれてからの付き合いなので、相模のことは親戚のお兄ちゃんくらいの立ち位置になっている。
「相模さん、疲れてそうだったなー…。今度相模さんにも料理届けよう」
誠は携帯鳥居をバッグにしまいながら、そう考えていた。
しばらくゴロゴロした後、誠はテントから出た。風呂に入るためだ。
辺りはもう、真っ暗になっていた。灯りはつけず周辺の気配を確認すると、誠は川の近くで水を出した。実家の湯船の大きさの直方体にした水の中に、狐火を放り込む。即席風呂のできあがりだ。
日本でのキャンプ中でも、こうして風呂を作っていたので慣れたものだ。もっとも、兄と一緒に行く時は完全にお任せだったが。
湯が適温になったのを確認してから椅子を出して、その上に服を脱ぎ捨てる。
体を洗ってから湯に浸かった。
「おー…凄い星」
この世界は地球と同じく惑星なのかは知らないが、夜空には満点の星が輝いていた。
「…入浴剤、入れたい」
せっかくのロケーションだ。気分くらいは露天風呂を味わいたい。しかし肝心の入浴剤を買っていないことに、今更ながら気が付いた。
環境に優しいシャンプーもボディソープも用意しているのに、何たる失態だ。
明日はハーブを探しながら村に行こうと考えながら、誠はテントに戻って眠りについた。
「誠…おい、誠!」
パン、と頭を叩かれて目が覚めた。
目を開けると、また知らない空間に来ていた。
「え…何、どこ!?」
急いで体を起こして辺りを見回すと、隣には牡丹が立っていた。
「まったく…いくつになっても寝起きが悪ぃな」
「牡丹さん…?」
日本に居るはずの牡丹が、どうしてここに居るんだろう。ああ、きっと夢だ。
誠は溜息を吐いてまた寝直そうとしたが、首根っこを掴まれて無理やり立たされた。
「いってー!ちょっと待って、息が…」
「だったらシャキッとしな」
「分かったから、離して」
少しボケただけなのに、酷い扱いだ。
牡丹は手を離すと、着物の懐から煙管を取り出す。誠は服をなおしながら、自分が置かれている状況を理解していた。
ここは誠の夢の中だが、一部の妖怪や神が使えるという夢渡りの術で、精神の一部が牡丹と繋がっている状態だ。
異世界なのにその術が使えるというのは、牡丹の力がそれほど強いのか、遠野一族という血がなせる技なのかは不明だが、誠は牡丹に会えたことで安心できたことだけは確かだった。
「もう少し子孫を労わろうって気は無いのかよ」
「バーカ。俺の子孫だから丈夫なんだろうが。しっかしよぉ、あんなクソガキが作った世界だから何か問題が起きると思ってはいたが…初っ端からかよ」
牡丹は誠と同じ色の九本の尾をバサバサと揺らしながら、煙管の煙を吐き出した。その姿さえも、牡丹をあしらった着物と相まって妖艶さが増している。
口は悪いが、所作は綺麗。それが牡丹だ。
「やっぱ、何かあったんだよね?」
「あったっつーか、お前を転移させた後の対応が無かったっつーか。統括のと相模は頭下げに来たが、クソガキの姿は見えなかったなぁ。誠、お前よぉ…契約を反故にしたのはクソガキだ。諏訪の野郎はいつでもお前を日本に帰す気だ。むしろ統括の奴の話を聞いて、すぐ帰そうとしていた」
「え…大丈夫だったの?統括の神様…」
「ああ。俺が止めてやったよ」
誠は統括の神よりも、牡丹に止められた諏訪の容態を心配した。おそらく…いや、絶対に口ではなく物理で止められている。
そんな諏訪は、一族の中で牡丹に最も似ている誠を溺愛していると言っても過言ではない。誠としては、あまり似ていないし牡丹の方が艶やかだと思っているが。
「で?どうするよ」
「どうするってもさぁ…アイツに対して腹は立ってるしクソ野郎とは思ってるけど、何か癪じゃん。このまま帰るのって」
「そうか…お前なら、そう言うと思ったわ」
牡丹はフワフワの尾で、誠の頭を撫でた。いい歳なのでこういうのは止めてほしいが、避けても自分が満足するまで撫でるのが牡丹だ。体力、気力の無駄なのは身に染みて理解しているので、誠はおとなしくしていた。
「それに…」
言いながら、牡丹は誠の頸を尾の先でなぞる。
「ひっ…何?くすぐったいんだけど」
「お前、面白いもん首に付けてんじゃねぇか。これは…狼か?」
狼と言われると、思い当たる節は一つだけだ。湖畔で会った、あの銀狼。
誠は銀狼に首元を噛まれたことを思い出し、頬を染めた。
「んー?まぁ、お前自身が受け入れたんなら、俺は何も言わねぇけどよ」
「牡丹さん…」
「お前は俺に似て、警戒心もプライドも高いからよ。でも、たまには素直になんな。俺ら妖狐は貪欲なんだ。欲しいなら欲しいって、手を伸ばしても良いんだぜ」
牡丹は誠の胸元にとん、と指を突きつける。
キリストが生まれる前から生きているらしい牡丹は、生粋の妖狐だ。
人間社会で育った誠の思考はかなり人間寄りだが、妖狐としての本能がそれを脅かす。酷くアンバランスな心を何とか沈めているのは、牡丹と諏訪の子孫で「神様の料理番」という誇りだ。
「真面目だな、誠は」
「別に…俺は『神様の料理番』だし。統括の神様と相模さんから頼まれたから、彼らの面子を潰すわけにはいかないだろ」
「まぁ、そうだな。それに、お前は半妖だっつっても、もう半分は諏訪のだからな。はー…どうしてアイツの力も出てきちまったかねぇ、出しゃばり過ぎだろ、アイツ」
「うん…」
力が強ければ強いほど、それを使う者は強い心を持たなければならない。力に飲まれる者は、いくら一族の者だと言えども諏訪に消される。
それが人間社会に溶け込むための、遠野一族の掟だ。
誠も兄も、幼い頃からその掟を言い聞かされていた。
「けど…俺は謝んねぇからな。諏訪を伴侶に選んだのは、俺だ」
「うん、分かってる。俺は『遠野』だよ。アンタらの子孫だ。遠野のプライドは、ちゃんと持ってる」
「誠…」
牡丹は誠をぎゅっと抱きしめた。
きっとこの二人も、結ばれるまでにかなりの葛藤があったのだろう。そして、自分達にどんな子供が生まれるかも。
誠は家族も始祖も好きだからこそ、彼らの子孫で良かったと心から思っている。
「まぁ見ててよ、半妖の底力っつーの?」
「ああ。出雲から祈ってる。それに、お前を半妖だ半妖だってうるさい奴が居たら、しっかりヤるんだぞ」
「う…うん…」
恐らく「ヤる」は「殺ル」と変換するのが正しい。
一瞬妖気と殺気を高めた牡丹は、誠の背中をぽんぽんと優しく叩いてから離れた。
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