没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友

文字の大きさ
57 / 60
1章

第57話 浴室造り

しおりを挟む
 翌朝、わたくしが目覚めるとララが出発するところだった。
 フィーネはいつの間にか仕事に向かったらしく、姿はない。
 ララはキッチンを楽しみにしていると言い残して、キラキラした何かを残しながら仕事に向かった。

「さて……それでは早速作りますか」
「ああ、手伝えることがあったら言うといい」
「僕もやるよー」
「ありがとうございますわ。それでは、まずはお風呂から作って行こうと思います」
「ええ! キッチンからじゃないの!?」

 驚くマーレにわたくしは説明する。

「マーレ。2人が帰ってくるまでにどちらも作る予定です。なので問題はなくってよ!」
「やったぜ! 流石僕たちのクレアだ!」
「ふふ、憧れてもいいんですのよ」
「いや、それはないけど」

 はしごを外されてこけそうになりながらも、わたくしはフィーネと話し合った場所に決める。

 その場所は元々決めていて、家に入って右側の壁の真ん中辺りに作ろうと思う。
 ちなみにその奥にキッチンのあれやこれやを作る予定だ。

「ということで、まずは外の間取りを決めますわ」
「脱衣場も外に作るの?」
「いえ、それはこちら側に作り、扉を開けてすぐに浴室という風にしたいですわ」
「なるほど、了解」

 わたくしたちは外に出ると、建物の右側に周り、扉の位置を決めて浴室の大きさを決める。

「なぁ、これ広くないか?」
「ざっと20畳ほどありますわ!」
「広いだろ!? 一体何人で入る気だ!?」
「皆ですわ!」
「皆って……それでも広すぎるだろ」
「ティエラやマーレ、それにシエロも入れたらそこまでではないと思いますわ」
「それは……」
「さ、ということで、早速作っていきますわよ」

 ということで、場所を決めたらあとはまた地面を叩いて固めていく。
 それからササッと建物を建てる、この時にちゃんと家の扉を作っておく。

「そんなササッと建てるものじゃないと思うんだけど……」
「前に作ったことがあるので、その通りに作るだけですわー」

 ということで、木製の浴室を作っていく。
 ただ、このままだと痛んでしまうので、床や内壁は海底から採掘した大理石で作り上げていく。

 模様は白い中に黒い線が入ったもの。
 これを浴槽以外の床一面と、床から高さ1mくらいの所までを作る。
 それより上は木製で作るのだけれど、アクアピュアウッドではなく普通の木材で作ることにした。

 理由としては、いざ浴槽を作ろうとしたら、結構アクアピュアウッドを使うみたいで、天井までまわせそうになかった。
 それに、床一面と壁一面全部が真っ白というのはちょっと見にくいだろうと思ったからだ。

「それで、浴槽はいいけど、水の通り道はどうするの?」

 マーレの質問にわたくしはちゃんと答える。

「まずは、北の家側、今いるここからララの部屋の壁際に浴槽を設置します」
「それはどうして?」
「その方がキッチンの水場と近くて作りやすいからですわ。火も使いますし、ちょうどいいかと思いますわ」
「なるほど」
「それと、シャワーもせっかくなので作りたいのです」
「シャワー?」
「ええ、ホースからお湯を出して、それで身体を洗うのですわ」
「そんなのがあるんだ」
「はい。最初はそれで身体を洗い、それからお湯に入るのです」
「へえ~それは、楽しみだね」
「身体を洗う必要等俺たちにはないだろう」

 シャワーの説明中にティエラがそう言ってきたので、わたくしはにこやかに笑う。

「それは実際に使ってからにいたしましょう。さ、作っていきますわよ」

 浴室を上から正方形で見て北側を上にした場合、左上に正方形の浴槽を置き、その右側の壁にシャワーを並べる。
 数としては3つを想定しているけれど、広さ的にはもっと置けるようにしておく。
 
 下の方は桶を置く場所だったり、通り道としておく。

「それではまずは【倉庫】からアクアピュアウッドを取り出しまして、【加工】を使って行きますわ」

 まずは木の皮をスキルで取り、それを同じサイズの板状に切り分けていく。
 そして、それをまずは浴槽の底に敷き詰める。
 この時、絶対に水漏れがしないように丁寧に、1㎜も漏れがないようにしなければならない。
 敷き詰め終わったら外枠を積み、こちらも絶対に水漏れがないようにはめ込み式で組み上げていく。

「ということで、これで浴槽が完成ですわ!」
「え? 防水処理とかいらないの?」
「アクアピュアウッド自体がその辺り問題ない素材ですので必要ないんですわ」
「なるほど、それは便利でいいね」
「はい。それでは、次はシャワーを作って行きますわ。こっちは掘ってきた金属を……【加工】!」

 わたくしは【加工】スキルを使ってシャワーを通すようの鉄パイプを作る。
 
「え? 金属の加工も出来るの?」
「ええ、家に関する品物でしたらなんでも作れるっぽいですわ」
「普通にぶっ壊れてるスキルじゃないかな……」
「そうですの? いえ、確かにそうかもしれませんわね。さて、それでは次の加工は……」

 次は鉄パイプに穴を開けていき、必要な分を開ける。
 そこに更に新しい鉱石を出して、お湯が出るか出ないかの簡単なのを作った。

「それがシャワー?」
「ええ、この取っ手をひねるとお湯が出るのですわ」
「へー。それから?」
「それからこの穴に……シーサーペントの血管を繋げますわ」
「シーサーペントの血管!?」

 マーレがビックリしていて、その後ろではティエラも頭に? を10個以上浮かべている。

「そうですわ。シーサーペントは水流を出して攻撃する性質上、その血管から水を抜き取り、圧力に対してかなりの耐性があるのですわ。ですので、このホースを作る都合上それなりにいい感じでの素材になります」

 シーサーペントの血管は乳白色で結構長い。
 それを適度な長さに切り、それをシャワーの鉄パイプに繋げ、反対側にはアクアピュアウッドを使ったシャワーヘッドだ。

 それを3個作り、あとは水……というか、お湯を出す様の穴を開ける。

 北側の壁にシャワー用の穴を1つ、浴槽の方にもお湯を入れる穴を一つ作る。
 そして、浴槽の下と、シャワーの真ん中辺りに排水用の穴を作った。

 あとはフィーネに言っていた仕掛けを少し作るために浴槽に穴を開けて細工をする。

「これで浴室は終わりですわ」
「お湯を入れるのはいいの?」
「キッチンの時にやるので、その時に確認をしますわ」
「なるほど、じゃあ次は……」
「ええ、キッチンを作って行きますわ!」

 ということで、次はいざキッチン作りですわ!
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

公爵閣下のご息女は、華麗に変身する

下菊みこと
ファンタジー
公爵家に突然引き取られた少女が幸せになるだけ。ただのほのぼの。 ニノンは孤児院の前に捨てられていた孤児。服にニノンと刺繍が施されていたので、ニノンと呼ばれ育てられる。そんな彼女の前に突然父が現れて…。 小説家になろう様でも投稿しています。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』

とびぃ
ファンタジー
追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~ -第二部(11章~20章)追加しました- 【あらすじ】 「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」 王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。 彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。 追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった! 石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。 【主な登場人物】 ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。 ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。 アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。 リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。 ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。 【読みどころ】 「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾
ファンタジー
 子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。  女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。 「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」 「その願い叶えて差し上げましょう!」 「えっ、いいの?」  転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。 「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」  思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。

処理中です...