没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友

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1章

第58話 キッチン造り

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 わたくしたちは家の中に戻り、右奥……ララの部屋より更に右奥側に移動する。

「さて、それではここに作って行きたいと思いますわ」
「うむ。と言っても、俺たちはさっきからいるだけで何もしていないが、いいのか?」
「ええ、実は今から作るのは普通にキッチンを作るだけですので、わたくし1人でも問題ないのですわ」
「そうか……俺は適当に見ている」
「僕は適当に寝てるねー」

 と、ティエラは近くに座り込み、マーレはゴロンと転がった。

「では、早速作って行きますわ」

 まずはL字で作る。
 火を使ったり水を多量に使うので、木のままではいけない。
 そのために作る辺りの壁と床を耐熱耐水性を持つアクアブロックだ。
 これは当然マーレに採ってもらったものだ。

 そして、ララの家側にコンロを設置する。
 そのためにマーレに採ってもらった耐熱性の石を【加工】し、その上にヒートマグマプレートを並べていく。
 その合計は8個! これで様々な下ごしらえなどをしながら調理も出来るのだ。
 しかし、このままではずっと熱を放ち続けてしまうことになるし、火力の調整もできない。
 なので、ヒートマグマプレートと耐熱網の間に耐熱性の石をおく。
 この石を手元のハンドルを回して位置をずらし、火力調整をする。
 
「これでコンロに関しては問題ありませんわね」

 次はこの上だ。
 コンロから出る毒霧も換気できる……とララは言っていた。
 毒……霧……? と思ってしまうけれど、まぁ、それくらい強力なのが欲しい。
 ということであろう。

 わたくしはレンジフードという換気扇のカバー的なあれを作った。
 その奥にホーリーストーンという浄化する効力を持つ石をコンロの上に仕込む。
 あとはホーリーストーンが仕込まれた換気扇の扉を開ければ換気ができるという寸法だ。

「これで毒霧が発生しても問題ありませんわね」

 1人で納得したあと、次の部分を作る。
 L字のカウンター……正確にはワークトップと呼ばれる調理台を作る。
 ここは耐水性、耐火性ももちろん大事だけれど、良く触る部分になる。
 だから、ある程度の手触りも必要になるので、わたくしは風呂場の床に使った大理石を使う。

 耐水性は当然あるし、手触りも問題ない。
 石なので耐火性も十分にあるので問題ないだろう。

 加工に関してはスキルでできるので、問題もない。
 完璧すぎて自分が恐ろしくなる。

「さて、ではあとはシンクを作って行きましょう」

 ということで、シンクも大理石を使って作る。
 水が出るようの穴も開け、シンクの平さもララが入れるくらいには広く作ってある。

 あとは、シンクの横に適当な冷蔵庫っぽいものを作り、付与魔法で中を拡張するだけ。
 最後の仕上げにララの身長がちょうどいいように長方形の足場を作った。

「これで中は終了ですわね」
「外に行くのか?」
「ええ。外に水やお湯を出すための装置を作っておかないといけませんから」
「確かに、水が出ないとコンロを作っただけになるからな」
「その通りです」

 ということで、わたくしはティエラを連れて外に出て、キッチンと浴場の境い目辺りに行く。

「ここに、魔力を通すと水が湧き出るアクアオーブをおくようにいたします」

 【倉庫】から水色の漬物石くらいの綺麗な石を取り出す。

「魔力を通すと水が湧き出る……? それは普通にかなり貴重な物ではないのか?」

 わたくしはアクアオーブを入れる入れ物を木で作りながら答える。

「そうですわねぇ。マーレと一緒に海底都市に行って、都市長の娘を助けた時のお礼にもらったものですわ」
「なんだそのエピソードは!? 俺がいない間にどんな冒険をしてきたのだ!?」
「大したことではありませんわ。それよりもこれをお湯に変えるにはどうして行くのがいいでしょうか……」
「いやそんな流していいことか!?」
「いいのですわ。あ、そうですわね。キッチンに流れる水と浴場に流れる水を分けて、キッチンには水、浴場にはお湯になるように作ればいいんですわね」

 ということで、わたくしは水が分割で流れるようにして、とりあえずはキッチンに。
 そして、浴場に行くものは一度ヒートマグマプレートを小さくしてそこに少し流れたあとに浴場に行くようにする。

「温度を変えられないで少し残念ですが、必要であれば後々修正していけばいいのですわ」
「海底都市……」
「本当にさっき言った通りですわよ? わたくしは海底都市に入っていませんし、ほとんどマーレが解決したので、わたくしはただ近くの海底を採掘していただけです」
「なんでそこまで言って海底都市に行ってないんだ。採掘を優先するとか……」
「ティエラも一緒に行きたいでしょう?」
「……まあ、そうだな」
「ということで、中には入っていません。チラッと見た程度ですから。と、あとはお湯をシャワーと浴場に流し込めるようにして……完成ですわ!」

 これでフィーネとララの要望には答えられているはず。
 後は……2人が帰ってくるのを待つだけ。

 時刻は夜になっているので、そろそろだろう。

「ただいまー。帰ったわよー」
「戻った」
「今行きますわ!」

 わたくしは駆け足でフィーネとララの元に向かう。
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