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体育大会(9)
しおりを挟む今からすべき事といえば、
実際は特にない。
何故かといえば、既に防犯カメラの解析が終了しており、怪しい人の割り出しも済んでいるからだ。
問題はどう白状させるかという事である。私とお兄様は実行犯に話をつけに行く予定だ。
指示をした犯人達は自分では手を汚さないので大丈夫だとは思うが、少々煽ってしまった気がするので周囲に気をつけてもらい海里達と一緒にいてもらっている。
「中田 清子さん。少しお話しよろしいでしょうか?」
「・・・。はい。」
人目につかない場所に移動し話しをする。
「私達が言いたいことはわかっていらっしゃいますよね。」
「はい。私が里中 恵子さんの衣装を切り刻みました。」
「そうですか。でも6組のあなたが1組の控室に入ることは無理ですよね。あと貴方には里中 恵子さんに危害を加えても何も得することはないですよね。お兄様のファンクラブに入っていると思うのですが。どうしてこんな事をしたのですか?」
「言えません。」
頑なに実行犯は口を開こうとしなかった。困り果てた私はお兄様をみる。お兄様も困り顔をしているが話し出した。
「貴方の父親は、1組の清瀬 華さんの父親の経営する会社の下請け会社の社長だそうですね。貴方はここの取引が無くなれば自分達家族だけでなく、その社員達も路頭に迷わせてしまうと不安に思っているかもしれません。しかし、貴方の父親の会社は長年の研究結果の末宇宙開発に必要なネジを開発し、今度から受注を受ける事になるそうですよ。だから貴方が心配することは何もないと思います。ここで貴方が何か話してくれると、貴方と同じように権力に逆らえなかった人達の勇気になったり、助かることがあるかもしれません。」
「・・・・・・。本当に大丈夫なんですね?
・・・・・・。私にわかることであれば何でも話します。」
泣きながらであるが実行犯の中田 清子さんは全て話してくれた。
前日の放課後清瀬 華さんから1組の控室へ呼び出しがあった。そこに到着すると清瀬 華さんと他6名がおり、ハサミを渡されたという。
6名のうちの3名は中田さんと似たような境遇の人達で、一緒に衣装を切り刻んだという。
指示を出した4人は1組が1人、2組が3人ということだった。なんでも清瀬さんはもともと2組におり仲がよかった4人組だったという。その4人組は海里のファンクラブに入っており、嫉妬の末の行動だと思うとのこと。
終わった後は解放してくれたので、それ以降のことはわからないとのこと。
なるほど。監視カメラで音声を拾っていたのですが、部屋の中までは取り付けていなかったので詳しくはわからなかったのだ。処分については後ほど通達することを伝えた。
その時凛先輩から連絡があり、主人公ちゃんが指示を出していた4人組に襲われたとのことだった。
私とお兄様は急いで現場に向かった。
到着する前に響き渡っていた怒声でどんな状況なのか想像ができ、引き返したくなった。が、そうもいってられないので向かう。
そこには抑えられている海里と抑えている隼人。座り込んでいる犯人4人組。主人公ちゃんの側についてあげている里見先輩と凛先輩。それを少し離れた位置で見ている連夜先輩といった状況だった。
主人公ちゃんを見ると片頬が腫れ、服が濡れている。
どこから手をつければ良いのかと思っていると、お兄様が話し出した。
「どういうことか私に話してもらっても良いかな?遠坂さんと吉村くんは里中さんを保健室に連れて行ってもらってもいいかな?」
「「わかりました。」」
主人公ちゃんは震えているようだった。が、立ち去る前に私が念のためにと渡しておいたボイスレコーダーを渡してくれ保健室へ向かっていった。
海里が怒る気持ちもわかるが話しができないので、
「お兄様座って、落ち着いてお話ししましょう。
海里。気持ちは痛いほどわかるけど話しができないので、冷静になれないのであれば席を外してください。私は腹が立って仕方ありませんが、この人達の言い分を聞くまでは席を外すつもりはないので、気持ちを落ち着かせて同席します。」
と言い捨てて空き部屋へ移る。
犯人達は一斉に自分は悪くない。主人公ちゃんが海里に近づくのが悪い。自分は何もしていないと話すばかりであった。1人ずつ話しを聞いた際も同じことの繰り返しで、罪のなすりつけ合いで終わってしまった。
最後に。お兄様はため息をつき、
「貴方達のしたことは、勇気ある協力者から情報を得て知っています。実際に衣装を切り刻んでいなくても、そうするように命令したのは貴方達ですよね?そして今回は里中さんがトイレに入ったのを見計らって水をかけ、出てきた所を頬を殴ったようですね。近くに海里がいたのでそれだけで済んだようですが。一体どういうつもりだったんですか?バレなければ何をしても良いんですか?
この問題は生徒会だけでは処理しきれませんので、学校側とも話し合い処分を決めさせてもらいます。処分が決まるまでは家で反省していてください。学校に登校できないようにブロックしておきますので、入ることもできません。」
とひとまずは決着がついた。
落ち着いた海里が学園長に話してくれ、その結果主犯の4人組は裁判沙汰にしない代わりに退学処分を言い渡された。実行犯の子達は主人公ちゃんの意向に任せるという事になった。
主人公ちゃんは実行犯の子達からは十分なほど謝罪をされたらしく、衣装も私のおかげで無事に着ることが出来たので何もしなくて良いという事になった。しかし、絶対に二度と同じことはしないことと約束をした。学校側はそれに反省文5万字の記入を命じ、この事件は解決したのであった。
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