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文化祭(11)
しおりを挟む男の人達、警備の人達は直ぐに出ていった。
私はしばらく隼人に抱きつき泣き続けた。最近どうも涙腺が弱い・・・。
外からは陽気な音楽が流れ出した。後夜祭が始まったのだろう。
しばらくして落ち着いてきた。
隼人も私といるよりも外で楽しんできた方が良いだろう思い、
「隼人、ありがとう。もう大丈夫だよ。」
と隼人から離れながら精一杯の笑顔で答える。しかし、言葉とは裏腹に離れたくない気持ちがあった。
それを察したのか、私の不安な気持ちを見越したように
「気にしなくていいから。別にダンス踊るの面倒だったし、出し物も特に興味ないし。こんな時ぐらい俺に頼ってくれればいいから。」
とまた抱きしめてくれる。最近は人に叩かれたり、好きな人の告白現場を見てしまったり、知らない男の人に襲われそうになったり、散々だった。今迄辛かったのだから、今日だけ、今日だけ隼人を独占させてもらおう。
と甘えて、思う存分隼人を堪能した。
そういえば、どうして隼人は私の居場所が分かったのだろうか?なんでも、しばらく経っても来ないから生徒の証言などを頼りに探しにきてくれていたらしい。そしたら途中で変わった動きをしているGPSの反応があるとのことで、警備員さん達が探している所に合流したらしい。
そしたら防犯グッズが近くで使われたので、その現場に向かったわけ。そしたら俺があげたイヤリングも落ちてて有紗に何かあったって確信した。
そして詳しく教えてくれなかったのだが、隼人がくれたイヤリングには両耳についている時には何もないけど、強引にとったり、片方取れたりした時にわかるように不思議な工夫をしているらしい。GPSではないといっていたが、それならどうして私の位置が正確に分かったのだろうか?
そのイヤリングのおかげで私のいる教室まで分かったということだ。
ちゃんとこれからもつけとけよ。と隼人のポケットから出てきた、落としてしまっていたであろうイヤリングを着けてくれたのであった。
嬉しくって、嬉しくって、心躍るような気分だった。
隼人はずっと背中をさすってくれているし、人肌に安心してしまったのだろう。
眠たくなってきた。ああ。眠ってしまう。と思った時、隼人にお礼を言おうと思ったのは覚えている。
「隼人ありがとう。大好きだよ。」
「俺も愛してる。おやすみ。」
という夢を見た。なんとも幸せな夢だ。夢の中では自分が主人公なのだから、少しぐらいは大目に見てください。
幸せな夢から覚めたくなかったのだが、誰かが私を呼んでいる声が聞こえた気がして目が覚めた。
起きた時には家のベッドの上にいた。あれ?空き教室にいたはずなのに・・・。
メイドの歌恋に聞くと、隼人が私を車で家まで送ってくれたらしい。車からベッドまでもだそうだ。昨日はまだ顔を隠してくれていたし、知り合いに見られていなかったが、今日は家の人達に見られている。そう思うと顔から火が出そうであった。
その後、学校に置いてきた荷物があることを思い出した。急いでお兄様に連絡しようとしたら、丁度お兄様が帰ってきた。大量のお見舞いの品と、私の鞄や制服達と共に。
帰ってきてお兄様は直ぐに私の部屋に入ってきて、私の無事を確認して安心してくれた。荷物などは私のクラスメイト達が車まで運ぶのを手伝ってくれたとのことだ。
週明けに皆にお礼を言わないと!
きっと私1人では生きていけなかっただろう。こうして周りの人達が支えてくれているおかげだなと改めて感じた。
こうして文化祭は幕を閉じた。隼人と後夜祭でダンスを踊れなかったのは残念だったが、最後が幸せだったので全て良しだろう。
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