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20 魔力
しおりを挟む「イオリ兄様!」
「イオリ!」
「イオリくん!」
執務室の扉を大きな音を立てて開け、勢いそのままに駆け込んできたのは......まさかの、ダリさん、シエルさん、ジェシカちゃんだった!
ダリさんに抱えられて部屋に飛び込んだジェシカちゃんと目が合うやいなや、目をうるうるさせた彼女はダリさんの腕から飛び出て一目散に俺へ走ってくる。
急に現れた三人に心底驚きながらも、駆け寄ってくるジェシカちゃんに向けて腰を下げ両手を広げると、迷わず俺の胸に飛び込んできた。
「わーん!イオリ兄様!いたぁぁぁ!!」
そう泣きながら言うジェシカちゃん。
よく分からなくて冷や汗かいてるけど、とりあえず彼女をしっかり受け止めて頭を撫でてあげる。
貧弱な俺の腰、頑張れ!
そんな俺たちを確認したダリさんは、勇み足でノエルさんの元へ。
「おい、魔術師塔の副所長さんよ。これはあんまりじゃないのか?仕事中の息子を職権濫用で誘拐しやがって!」
そのダリさんのセリフに俺はようやく我に返った。
そうだよ!俺誘拐されてここまで来たんです!
きっとノエルさんはこの国では結構偉い人。
それを分かってても俺のために声を上げてくれるダリさんに胸がジーンとなる。
シエルさんも頷きながら、抱き合い蹲る俺たちに近寄って、二人まとめて守るように抱きしめる。
三人とも、仕事中に連れてかれた俺のことを聞いて、助けに(?)来てくれたんだ......。
なんだか嬉しかったりくすぐったかったりして、こんな状況なのに笑みが零れてしまう。
俺の胸元でぐすぐす泣いているジェシカちゃんをもう一度力を込めて抱きしめ、三人に「ありがとう」と伝えようとした時......。
「初めまして。私はこの国の魔術師塔副所長をつとめるノエル・マーティンという。まずは、イオリを強引に連れてきてしまったこと、謝罪をしたい」
そのまま素直に頭を下げるノエルさんにダリさんはちょっと面食らったようだ。少し固まってから、「お、おぅ...」という消えかかった返事。
「強引に連れてきたのか?」という宰相さんの言葉、ノエルさんはスルー。
「彼について急ぎ確認したいことがあったから、ついてきてもらったんだ。それについてここにいる彼......宰相と打ち合わせ、確認しようとした時に貴殿らが来た」
「急ぎ確認したいこと?」
ノエルさんは軽く頷き、俺と目を合わせた。じーっと目を見つめて...軽く微笑み、またダリさんの方を向く。
「この国、いや世界では、みな微量ながらに魔力を持っている。生まれたての赤子でもそうだ。しかし......イオリは一切魔力を持っていない。こんな人は初めてなんだ」
俺が一切魔力を持っていない?
多分魔力っていうのは、この世界で魔術を行使する際に使う力のことだろ?元の世界の、異世界ものの作品でよくあった、『魔力の大きさは魔法の強さに直結する!』みたいなやつ。この世界では魔術だけど。
えー、じゃあ俺せっかく異世界来たのに不思議な力とか使えないのかー。ちょっと期待してたのに。
「一切魔力を持っていないって、そんな事あるのか?」
「ないと思っていたが、実際に目の前に事例が現れたからな。魔術師塔の副所長が言うならそうなんだろう」
ダリさんの疑問に宰相さんが答える。
この世界の常識なんも分からないからついていけてなかったけど、ふとわいた疑問は質問しておく。
「他人の魔力の量とかって、だれにでも分かるものなんですか?」
俺の漫画知識で言うなら、予想では人の周りにオーラみたいに見えているのか、はたまたなにか特別なことをしなきゃ見えないのかって感じだ。手をかざしたり、魔法を使ったり......。
「いいや、基本分からない。力比べをしたら肌感で分かったり、修行を詰んだ力のある魔術師はなんとなく分かったりはするんだけどね。俺の場合は......俺自身の特性で、結果的に魔力の有り無しがわかるという感じかな。だてにも魔術師塔の副所長だから、魔力量も、全くわからないわけではないけれど」
そう説明してくれたシエルさん。
なるほど。だからダリさんたちは、初めて会った時に俺の魔力がないってことに気付かなくて、今聞いて驚いてたんだ。
そして......ノエルさん。多分、何も分からない俺にもわかるように明るく、分かりやすく説明してくれたんだと思うけど、彼の瞳と声色は、どこか寂しそうな色をしていたのが不思議だった。
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感想失礼します!めっちゃ面白いです!
お姫様抱っこをやめたくないノエルとそれに困惑するイオリの図、すごい好きです♡
受けに激甘な攻めの話めっちゃ好きなんで、この話すごい刺さります!
これからも更新楽しみにしています!!