【完結】恋した君は別の誰かが好きだから

海月 ぴけ

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俺から見た君は

友達

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「あんな展開なるなんて予想外だよ!」

「ほんとに‥まさかあそこで主人公が‥」

映画を見終わって、夏樹と俺は辛め料理が絶品と有名な飲食店で映画の感想を熱く語り合っていた。

展開のスピード感がよくて、前作よりもアクションシーンに迫力があった。
しかも、予想外の結末には驚かされて、話に熱が入る。

「そうそう‥くう、パンフレット買おうかな」

「いいね!飯食ったらグッズコーナー行くか!」

「え、いいの?」

「うん!俺も見たかったし」

「早川、いい子すぎる‥」

「いやん、照れる」

夏樹が爆笑して、俺もつられて笑う。少しは気が紛れたかな。

夏樹は思っていたよりもサバサバしていて一緒にいて心地いい。

ツンデレなお嬢様ってイメージとはかけ離れていて、どちらかというと男前だ。

「‥スナ達どうしてるかな?」

「ゲホッ‥あーと、鈴鹿がなんとかしてそうじゃね?」

ふいに夏樹の一言に水をむせそうになる。急にくるな‥

「ふふ、確かに。はぁ、僕もかっこいい彼氏が欲しいよ。」

切り替えが早いというか、オープンな態度の夏樹に驚かされる。怯えていた子猫が心を許してくれたって感じだ。

「うゔ、タイムリーだな。夏樹は可愛いから大丈夫だよ。」

「優しい‥けど、複雑‥。早川はどうするの?スナを諦めるの?」

「あー‥まぁ、あれをずっと見せられちゃ‥



って、は?なんで‥」

「好きなんでしょ?スナのこと。」

突然、

投下された俺の秘密に固まる。

なんでもないように夏樹がそう告げて、俺は冷や汗をかく。いやなんで?どうしてバレた?


「い、いやいや俺は‥」

「大丈夫だよ、誰にも言わないから。」

確信めいた夏樹の表情に俺はさらに焦る。
誤魔化しが効かない。そんな雰囲気に、俺はゆっくりと口を開いた。

「‥ほんとになんで?いつ?」

「今日‥八谷のことすごく怖い顔で睨んでたからなんでかって考えたけど、そこまで話したこともない俺のためじゃないだろうし、ならそうかなって。」

「うわ‥まじか、はず‥てか、探偵じゃん‥」

「もっと褒めていいぞよ」

「夏樹‥あのさ」

「誰にも言うつもりなんてないよ。てか、言える友達いないし‥心配しないで。で?早川はどうするのか俺は気になるんだけど?」

ぼっち発言‥確かに入学してまだ1ヶ月だし、鈴鹿や八谷、スナと交流しているとはいえ、友人ではなくライバルと想い人だもんな。俺だってそんな感じだけど、ストレートな夏樹の言葉に少し笑ってしまう。

「‥諦めようとは努力してる‥」

「‥いつから好きなの?」

茶色い目が細められて、俺は居た堪れない気持ちになる。逃がさないといった夏樹の態度に、俺はしぶしぶ中学時代の話をした。




「なにそれ!?すごいムカつく!?」

頬っぺたを膨らましてぷんぷんと怒る夏樹。
俺は苦笑いで夏樹をなだめる。

「腹立つよな。俺もあの時、告って振られとけばよかったよ。」

「‥早川は絶対幸せになりなよね‥じゃないと俺、許さないから。」

「え、夏樹様、急に何怖い」

「だって‥悔しいじゃん‥」

うるうると涙を溜まっていく夏樹の瞳。
今日の出来事を思い出したんだろうか。余計なことを話してしまったかもしれない。

「あー!もうまた泣きそうになってるし!俺は慣れてるから大丈夫だって!あ!そうだ。ほらこれ!最近ゲイマチアプリはじめてみたんだよ!そしたら会いませんかって連絡来てさ!俺だってやる時はやる男だから心配すんな!な?」

「ゔう‥へえ‥そんなアプリあるんだ‥というか、まだ気持ちの整理もできてないのに、見ず知らずの人と会って大丈夫なの‥?ノリでそういう関係とかはやめなよ」

「ぐ、ゔ、夏樹お母さんじゃん」

「だって‥」

「気持ちはありがたいけどさ、実際問題、出会うのってかなり難しいじゃん‥?なら、試してみてもいいかなって‥」

「‥」

長い沈黙。何か考え込む夏樹に俺はなぜか緊張して水の入ったコップを口に流し込む。

「ならさ、俺と付き合ってみる?」

「ゴホッゴホッ!?‥へ?」

何言ってるの夏樹さん?

「ほら、おしぼり。正確にいうと、付き合ったふりしてくれたらありがたいなって‥その、今日明日であの輪に入るの気まずいから‥」

「あぁ‥ありがとう。まぁ確かに‥俺も正直、きつかったから‥。お互い利があるし、少しの間付き合ってるふりをするのも悪くないね。」

「む‥なんか冷たい。もっと愛が欲しい」

「ぷっ、大好きだよ夏樹。」

「ふふ、俺も愛してるよ早川!」

「仮面夫婦か‥」

「作戦考えないとだね。」


2人で顎に手を置き顔を見合わせて、またぷはっとお互い吹き出す。なんだか楽しくて、こんなに笑ったのはいつぶりだろうか?

戦友‥いや、本当の友達ができた気がした。
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