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俺から見た君は
アピール
しおりを挟むふいに真っ赤な顔でギロリっと睨まれて、俺は心臓を震わせる。
まるで獲物を狩る目だ。
「俺‥今年で身長3センチも伸びたんだから‥絶賛成長期中だよ‥」
「う、うん」
「俺の両親どっちもモデルで背が高いから、たぶん、風太より大きくなるよ‥」
「そ、そうなんだ。」
「‥風太」
「な、なに」
「俺じゃ、嫌なの?」
夏樹の真剣な眼差しに、どきりと心臓が跳ねる。
どうしてここまで俺にしてくれようとするんだろうか。ただの興味本位?それとも
「嫌とかではなくて‥」
「じゃあ何が駄目なのっ、」
「友達、だと思ってたから‥その、急で感情がついていかないと言うか‥あのさ、
海は‥俺のことが好きなの?」
目を見開いた海。俺は返答を待つ。
だってもし前者じゃなければ、そうとしか考えられないから。
「、そう、なのかな‥っ、うゔ、まって、そうなの、かも‥だって‥最近風太が世界一可愛く見えたり‥他の人のこと考えてる風太見ると、胸が苦しくなったり‥何か助けになりたいって思ってそれで‥俺‥風太が他の人とするぐらいなら、自分がしたいって‥どうしよう‥俺、
風太の事、好きになっちゃったの‥?」
動揺しているのが分かるほど情けなく下がる眉。初めて気づいたかのような反応。今自覚したのだと、張本人である夏樹が助けを求めるように縋った目をして俺を見つめる。
俺は夏樹の言葉に恥ずかしくなって、顔が熱くなるのを感じた。
「っ、えっと‥お、お、落ち着こう海‥」
「‥落ち着くのは風太の方だよ‥さっきから通知、うるさいんだけど‥この後何か用事でもあるのかな?」
笑ってるのに目が笑っていない。ピコンピコンと嫌なタイミングで元気よく鳴り響く通知音をすぐさまオフにする。
「えっと‥少し‥」
俺は視線を逸らす。今絶対に画面を見られた‥。
真っ赤な顔が真っ暗になって俯く夏樹。心なしかドス黒いオーラが出ている気がする。
「へぇ、今日男と会うんだ‥?だから俺に聞いたんでしょ?」
「‥ゔ、はい‥」
「‥俺も行く‥」
「、いやいやいや」
どんな修羅場‥っ
「っ、ムカつく!絶対に行くから!」
俺は目の前まで乗り出す夏樹に圧倒されて、後ろに倒れそうになるのを堪えた。
どうしたらいいのか頭も心も整理がつかない。スナの事で心が張り裂けそうなほど辛くて、その気持ちのまま夏樹に今ほぼ告白まがいなことをされている。
人生波がありすぎるってば。
スマホの画面が明るくなって、そろそろ約束の時間に近づいていることが分かる。
あぁ、もうどうしたら、、
俺は有無を言わせない夏樹の表情に頭を抱えた。
◇
「それで?どこで待ち合わせなの?」
後ろを当然のように着いてくる夏樹にため息をつく。
結局、約束は申し訳なくて断れず。口論の末遠くから見るだけという条件で同行を許した。
見ると言うか監視というか‥。
「そこのカフェだよ。個室があるから落ち着いて話しやすいって」
「ふん、いかにも大学生って感じだね。お金持ってなさそう。」
腕を組んで機嫌が悪そうに頬を膨らませる海さん。
どうしても行くなら相手のことを教えろとスマホを強奪されて、トーク履歴から導き出した海のプロファイリングは平凡貧乏大学生らしい。
確かに登録された年齢的にも学生かもしくは新人社員とかだろうけど。自分と比較してはドヤ顔で俺の勝ち宣言してくるものだから、俺は呆れて笑う。
「俺達だってそんなもんだろ」
「言ってなかった?俺、これでもモデルの仕事でお金はたんまり稼いでるんだ」
「へ、へえ‥初耳。」
「ちょっとは俺のこと好きになった‥?」
海は切り替えと開き直るのが早いことは知っていたけれど、そうキラキラした目でアピールされるとなんだか慣れなくてそわそわする。
「海‥俺は金の亡者か」
「そのくらい単純なら嬉しいけど」
「‥」
そうこうしているうちにカフェの前について、俺は緊張で脈打つ胸を落ち着かせるため深呼吸をした。
「‥それじゃ俺は、っ、‥」
「俺も別の席に‥って、どうしたの風太?」
容姿を確認しようと店内のガラス窓を見て、俺は固まる。
奥の方の席。ニコニコと笑う青年と、遠くからでも目を惹く容姿の学生2人の姿。
「‥嘘でしょ。こんな偶然ある‥?」
俺は昼のことを思い出して、またキリキリと痛む胃を押さえつけた。
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