34 / 59
俺から見た君は
修正
しおりを挟むさよなら俺の恋心。
さよなら、スナ
スナにとって偽物の思い出だったとしても、お前と過ごした時間は、
俺の宝物だったよーー。
「わかった。修正するから時間をくれ。」
「‥?‥へ?
し、修正?」
ガバッと肩を掴まれて、俺はスナの目の前で硬直した。真顔のスナが俺を見つめていて、予想外の言葉に俺はポカンと口を開ける。
「勉強し直す。もっと本を読む。ドラマを観て学び直すから。早川が、苦しまずに俺の側にいられるようにする。
だから、泣くな。笑ってこうやって側にいろ。あと、夏樹と別れろ。」
額通しをこつりと合わせられて、その距離の近さに俺は戸惑う。スナの瞳の中に俺が見えて、ドクドクと心臓が高鳴った。
「す、スナ‥近い‥、なに、ど、どういうこと‥?」
「熱が高え‥目が腫れてる‥ずっと泣いてたのか?八谷に何か言われた?」
急にゴシゴシと顔面を無造作に袖で拭われる。
少し苛立ったような手つきに、俺は抵抗するが、目眩やらダルさやらでうまく振り払えない。
「ゔ‥触んな‥ふぐ!や、やめろよ‥自分で拭くからッ」
「早川は俺のしたいことをしろと言ったけれど、昨日言ったとおり、俺には″何もない。空っぽなんだ。」
なんでもないようにスラスラと話す出すスナはどこか違和感があって、まるで人間じゃないみたいなそんな不安定な空気を纏っている。
でも不思議とそんなスナは怖くなくて、むしろ‥。
「ふぐ‥え‥?」
ふとスナの言葉にひっかかって、俺は思考を変える。
空っぽーー。聞き覚えのある言葉だ。
そう、昨日夢で聞いた。
まて、昨日のあれは夢じゃなかったのか?
まさか‥俺の醜態も全部‥
「俺にはやりたい事とか、好きな事がよく分からない。でも、″永遠に早川が俺の側にいる″って当たり前のようにずっと考えてた。それは、たぶん俺の望む事に入るよな。」
「は、え?」
俺は困惑して開いた口のまま、プロポーズのようなスナの言葉に目を丸くする。さっきから情報量が多すぎて頭が回らない。
スナは俺に何を伝えようとしてるんだ。
「は、八谷のことはどうするんだよっ、お前告白したんだろ‥まだ、好きなんだろッ」
俺はハッとする。
いつものパターンだっ、期待させて落とされる。もう、そんな思いはしたくない。
さっき八谷から全部聞いたんだから‥
きっと、俺がスナの家を出た後に、八谷と何かあったんじゃないのか‥?それでまた俺を代わりに
「あぁ、八谷のことは恋愛感情として好きだ。だから一番大事に扱う。一番に尊重する。」
「っ、」
やっぱりっ‥。
また俺は涙が溢れてきて、それを止めようと必死で堪える。
まだ好きなんだ‥。
俺はどう足掻いても2番目ってことだよな‥?なんだよそれ‥期待させてずりいよ‥
「それが正しいことなんだって‥思ってたんだけどな‥って、おい、話を最後まで聞け泣き虫っ。最近どうも恋愛と親友との区別がつかねえ。なにか見誤ってる気がして。教材を間違えたんだろうか?俺は正しく恋してるように見えるか?」
俺の頬を両手で伸ばし、真顔で首を傾げるスナ。その目の奥は真っ暗で。まるで感情の無いロボットみたいだ。
あぁ、だめだ、俺
「なんだか、俺‥熱で幻覚見てる?変だよ‥スナお前‥。俺、宇宙人と話してるみたいだ‥」
「誰が地球外生命体だ。はぁ、お前が言ったんだろ?どんな俺でも愛してくれるって」
「あ、あいっ、」
「あれ?違った‥?むずいんだよな‥人の言葉ってさ‥まじで‥心の声とか翻訳できたらいいなって思うよ。あぁ、でも、
涙止まったなーー。」
頬に冷たい体温が触れて、
ロボってたスナがふいに俺に微笑みかける。それはすごく優しい笑顔で、俺はすぐに頬が赤くなった。
なに、ファンシーなこと言ってんだよ‥ふざけんなよ‥
変なスナ。変だよほんとに。それなのに
俺はなんでこんなに安心してるんだ?
「泣かせるようなことして悪かった。この胸の違和感も全部‥分かるように俺努力するから。少しだけ待っていてほしい。もう早川を泣かせるようなことはしない。約束する。」
「い、意味‥わかんねぇ‥よ。もう、理解できなくて、泣いてるわ馬鹿‥」
「うん、だよな。ごめん。でも、この言葉は俺の本心だから。受け取ってくれたら‥嬉しい」
目元をなぞる指にくすぐったくて目を細める。
「うん‥」
なんともないような顔をしているのに、子どもみたいに震えるその手。不安って体が言ってるみたいだ。
俺は頬にあるスナの手をギュッと握りしめる。目の前で目を見開く彼に、そっとその身を預けた。
206
あなたにおすすめの小説
『聖クロノア学院恋愛譚 』記憶を失ったベータと王族アルファ、封印された過去が愛を試すまで
るみ乃。
BL
聖クロノア学院で、記憶と感情が静かに交差する。
「君の中の、まだ知らない“俺”に、触れたかった」
記憶を失ったベータの少年・ユリス。
彼の前に現れたのは、王族の血を引くアルファ・レオンだった。
封じられた記憶。
拭いきれない心の傷。
噛み合わない言葉と、すれ違う想い。
謎に包まれた聖クロノア学院のなかで、
ふたりの距離は、近づいては揺れ、また離れていく。
触れたいのに、触れられない。
心を開けば、過去が崩れてしまう。
それでも彼らは、確かめずにはいられなかった。
――やがて、学院の奥底に眠る真実が、静かに目を覚ます。
過去と向き合い、誰かと繋がることでしか見えない未来がある。
許し、選びなおし、そしてささやかな祈り。
孤独だった少年たちは、いつしか「願い」を知っていく。
これは、ふたりの愛の物語であると同時に、
誰かの傷が、誰かの救いへと変わっていく物語。
運命に抗うのは、誰か。
未来を選ぶのは、誰なのか。
優しさと痛みが交差する場所で、物語は紡がれる。
素直になれなくて、ごめんね
舞々
BL
――こんなのただの罰ゲームだ。だから、好きになったほうが負け。
友人との、くだらない賭けに負けた俺が受けた罰ゲームは……大嫌いな転校生、武内章人に告白すること。
上手くいくはずなんてないと思っていたのに、「付き合うからには大切にする」とOKをもらってしまった。
罰ゲームと知らない章人は、俺をとても大切にしてくれる。
……でも、本当のことなんて言えない。
俺は優しい章人にどんどん惹かれていった。
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
息の仕方を教えてよ。
15
BL
コポコポ、コポコポ。
海の中から空を見上げる。
ああ、やっと終わるんだと思っていた。
人間は酸素がないと生きていけないのに、どうしてか僕はこの海の中にいる方が苦しくない。
そうか、もしかしたら僕は人魚だったのかもしれない。
いや、人魚なんて大それたものではなくただの魚?
そんなことを沈みながら考えていた。
そしてそのまま目を閉じる。
次に目が覚めた時、そこはふわふわのベッドの上だった。
話自体は書き終えています。
12日まで一日一話短いですが更新されます。
ぎゅっと詰め込んでしまったので駆け足です。
幸せのかたち
すずかけあおい
BL
家にいづらいときに藍斗が逃げる場所は、隣家に住む幼馴染の春海のところ。でも藍斗の友人の詠心は、それを良く思っていない。遊び人の春海のそばにいることで藍斗が影響を受けないか心配しているらしい。
〔攻め〕荻 詠心
〔受け〕千種 藍斗
*三角関係ではありません。
*外部サイトでも同作品を投稿しています。
○○過敏症な小鳥遊君
渡辺 佐倉
BL
オメガバース設定の様な何かです。
短い話が書きたかったのでサクッと終わります。
受けは多分アホの子よりです。
アルファで美形の小鳥遊君はオメガのフェロモンの匂いを過剰に感じてしまう病気になってしまったらしく、毎日眼鏡とマスクをしている。
大変だなあと思っていただけだったけど……。
あなたに捧ぐ愛の花
とうこ
BL
余命宣告を受けた青年はある日、風変わりな花屋に迷い込む。
そこにあったのは「心残りの種」から芽吹き咲いたという見たこともない花々。店主は言う。
「心残りの種を育てて下さい」
遺していく恋人への、彼の最後の希いとは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる