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第2章 魔術師アレイスの望み
第55話 迷惑な訪問者・2
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「あの……失礼ですが、あなたは?」
ギルドにやってきた身なりのいい女性は、私の質問に答えず、腰に手を当ててこちらを睨むように見た。
「いいから早く部屋を用意して」
リリアはあからさまにムッとした顔を浮かべ、女性の前に立った。
「どなたか分からないと、こちらも対応できません!」
「何? 私は長旅で疲れているの」
女性はリリアを睨みつけ、二人は向かい合ったまま険悪な雰囲気になる。慌てて間に入ろうとしたその時、もう一人の女性が「ルシェラ様!」とたしなめるように声を上げた。
ルシェラ様? 私はその名前に聞き覚えがある。そうだ、思い出した。アレイスさんが以前『アインフォルド』のギルドにいた頃、彼に一目惚れして結婚を迫っていた人の名前だ。結婚の約束をしていると言い張り、アレイスさんの古い友人のジュストさんに頼み込んで、ミルデンまで探しに来させていた。だが結局、結婚話そのものが嘘だと分かり、ジュストさんはそのまま帰っていった。騒ぎはそれで終わったはずだった。
まさか、そのルシェラ嬢がミルデンのギルドにわざわざ乗り込んでくるなんて。
「突然の訪問をお許しください。私はルシェラ様の侍女、マーニーと申します」
リリアと睨み合うルシェラ嬢をよそに、侍女のマーニーさんは丁寧に自己紹介をした。
「受付嬢のエルナ・サンドラです……あの、こちらの方は……」
私がちらりとルシェラ嬢に視線を移すと、マーニーさんはますます慌てて「ルシェラ様!」と彼女の腕を掴む。ルシェラ嬢は「なぜ私が?」とでも言いたげな顔をしながら、ようやく自己紹介をした。
「私はアインフォルド支団長の娘であり、ドレイクバーグ伯爵家のルシェラ・ドレイクバーグよ。ここのギルドにアレイス様がいらっしゃるでしょう? 彼が来るまでここで待たせてもらうから、今すぐに部屋を用意して」
「どういうこと……?」
リリアはポカンとした顔でルシェラ嬢を見ている。事情を何も知らないのだから、困惑するのも当然だ。
ルシェラ嬢は艶のある青い髪をハーフアップにまとめ、銀の髪飾りをつけていた。耳元で揺れるピアスも、首元に光るネックレスも、指に輝く指輪も、どれも宝石がきらきらしていて豪華なものばかり。靴は華奢で少しの汚れもない。顔立ちは可愛らしく、幼さの残る雰囲気がある。確かアレイスさんの話では、まだ十八歳のはずだ。
アレイスさんは討伐依頼を受けて北の『龍の牙』へ行っていて、帰るのがいつになるか分からない。そろそろ戻るかもしれないし、現地の状況次第ではあと数日かかる可能性もある。とにかく、いくらアインフォルド支団長の娘でも、勝手にギルドの中に通すわけにはいかない。
「分かりました。一度確認して参りますので、少しお待ちいただけますか?」
「確認なんて必要ないわ。私はアインフォルド支団長の娘だと言ったのだけど、聞こえなかったのかしら? あなた、人の話を聞くのが苦手なの?」
ルシェラ嬢は私を馬鹿にするような顔で見た。心に怒りが沸き上がったけれど、挑発に乗ってはいけない。
「存じておりますが、私では勝手に判断できませんので」
声が震えそうになるのを必死に抑えながら、私は穏やかにお願いした。
「……あら、そう。なら早くして」
「かしこまりました」
私はそう返すと、リリアに「行こう」と目で合図を送り、一緒にその場を離れた。
「――何、あの女? めちゃめちゃ失礼ね! 私たちが受付嬢だからって見下してるのよ!」
廊下を歩きながら、リリアは我慢できないといった様子で吐き出した。
「まさかルシェラ嬢があんな人だったなんて」
「ちょっとエルナ、彼女を知ってるの?」
驚くリリアに、私はアレイスさんとルシェラ嬢のトラブルを簡単に説明した。もちろん、彼の正体のことは隠して。
「――だからさっきから、アレイス様って呼んでたのね。私てっきり、ちょっとおかしい彼のファンが押しかけてきたのかと思ってた」
「それならまだ良かったかもね……」
私は苦笑いで返した。このあと私たちは、ミルデン支団副長であるベケット副長に相談へ向かった。ベケット副長の部屋は支団長室の隣にある。普段、何か小さな問題が起こったときは副長の判断を仰ぐことになるんだけど、正直言って副長はあまり頼りにならない人だ。穏やかな人だけど事なかれ主義で、面倒ごとをとにかく嫌がる。
「――なるほど、ドレイクバーグ支団長のご令嬢が我がギルドで休息を取りたいと」
「はい。どうしましょうか?」
ベケット副長は大きな椅子にゆったりと腰かけ、顎のあたりにたっぷりとついた肉を撫でながら何やら思案しているような仕草だ。
「どうするも何も、ルシェラ嬢が休みたいと仰っているんだ。すぐに部屋を用意して差し上げなさい」
「いいんですか?」
私が思わず聞き返すと、ベケット副長は目を丸くした。
「いいに決まってるだろう。すぐに戻って、部屋を用意して! ルシェラ嬢が気を悪くされたらどうするんだ」
「はい……分かりました」
私は返事をしながら隣のリリアと目を合わせる。リリアは「やっぱりね」と小声で漏らし、呆れ顔だ。アインフォルドのような大きな街のギルドで、ギルド長を務めるルシェラ嬢の父親は、詳しく知らないけど有力な貴族なはず。ベケット副長はルシェラ嬢を怒らせてはならないと思っているのだ。
副長室を出た後、私とリリアは大急ぎで部屋の用意をした。普段来客用に使う部屋に座り心地のいい椅子を運び込み、料理人に一番いい紅茶を用意してもらった。あの紅茶はアメリアさんのお気に入りで、私みたいな普通の職員は飲むことができないもの。いいなあ、さぞかし美味しいだろうな。
バタバタと用意を済ませてルシェラ嬢とマーニーさんを部屋に案内し、ようやく私たちは仕事に戻れた。おかげで受付開始がいつもよりも遅くなってしまい、待っていた討伐者さんに嫌味を言われ、朝から私たちはぐったりと疲れてしまった。
ルシェラ嬢はアレイスさんをここで待つと言うけど、いつ戻るかも分からないのに、まさかずっとここで待つつもりなんだろうか。アレイスさんは彼女から逃げてミルデンに移って来たのだ。ルシェラ嬢が待ち構えていたら、驚くに決まっているはず。このあと起こることを想像したら気が重い。
窓の外はどんよりと暗く、雨足は段々強くなっていた。雨のせいか、私の心もどんよりと沈んでいった。
ギルドにやってきた身なりのいい女性は、私の質問に答えず、腰に手を当ててこちらを睨むように見た。
「いいから早く部屋を用意して」
リリアはあからさまにムッとした顔を浮かべ、女性の前に立った。
「どなたか分からないと、こちらも対応できません!」
「何? 私は長旅で疲れているの」
女性はリリアを睨みつけ、二人は向かい合ったまま険悪な雰囲気になる。慌てて間に入ろうとしたその時、もう一人の女性が「ルシェラ様!」とたしなめるように声を上げた。
ルシェラ様? 私はその名前に聞き覚えがある。そうだ、思い出した。アレイスさんが以前『アインフォルド』のギルドにいた頃、彼に一目惚れして結婚を迫っていた人の名前だ。結婚の約束をしていると言い張り、アレイスさんの古い友人のジュストさんに頼み込んで、ミルデンまで探しに来させていた。だが結局、結婚話そのものが嘘だと分かり、ジュストさんはそのまま帰っていった。騒ぎはそれで終わったはずだった。
まさか、そのルシェラ嬢がミルデンのギルドにわざわざ乗り込んでくるなんて。
「突然の訪問をお許しください。私はルシェラ様の侍女、マーニーと申します」
リリアと睨み合うルシェラ嬢をよそに、侍女のマーニーさんは丁寧に自己紹介をした。
「受付嬢のエルナ・サンドラです……あの、こちらの方は……」
私がちらりとルシェラ嬢に視線を移すと、マーニーさんはますます慌てて「ルシェラ様!」と彼女の腕を掴む。ルシェラ嬢は「なぜ私が?」とでも言いたげな顔をしながら、ようやく自己紹介をした。
「私はアインフォルド支団長の娘であり、ドレイクバーグ伯爵家のルシェラ・ドレイクバーグよ。ここのギルドにアレイス様がいらっしゃるでしょう? 彼が来るまでここで待たせてもらうから、今すぐに部屋を用意して」
「どういうこと……?」
リリアはポカンとした顔でルシェラ嬢を見ている。事情を何も知らないのだから、困惑するのも当然だ。
ルシェラ嬢は艶のある青い髪をハーフアップにまとめ、銀の髪飾りをつけていた。耳元で揺れるピアスも、首元に光るネックレスも、指に輝く指輪も、どれも宝石がきらきらしていて豪華なものばかり。靴は華奢で少しの汚れもない。顔立ちは可愛らしく、幼さの残る雰囲気がある。確かアレイスさんの話では、まだ十八歳のはずだ。
アレイスさんは討伐依頼を受けて北の『龍の牙』へ行っていて、帰るのがいつになるか分からない。そろそろ戻るかもしれないし、現地の状況次第ではあと数日かかる可能性もある。とにかく、いくらアインフォルド支団長の娘でも、勝手にギルドの中に通すわけにはいかない。
「分かりました。一度確認して参りますので、少しお待ちいただけますか?」
「確認なんて必要ないわ。私はアインフォルド支団長の娘だと言ったのだけど、聞こえなかったのかしら? あなた、人の話を聞くのが苦手なの?」
ルシェラ嬢は私を馬鹿にするような顔で見た。心に怒りが沸き上がったけれど、挑発に乗ってはいけない。
「存じておりますが、私では勝手に判断できませんので」
声が震えそうになるのを必死に抑えながら、私は穏やかにお願いした。
「……あら、そう。なら早くして」
「かしこまりました」
私はそう返すと、リリアに「行こう」と目で合図を送り、一緒にその場を離れた。
「――何、あの女? めちゃめちゃ失礼ね! 私たちが受付嬢だからって見下してるのよ!」
廊下を歩きながら、リリアは我慢できないといった様子で吐き出した。
「まさかルシェラ嬢があんな人だったなんて」
「ちょっとエルナ、彼女を知ってるの?」
驚くリリアに、私はアレイスさんとルシェラ嬢のトラブルを簡単に説明した。もちろん、彼の正体のことは隠して。
「――だからさっきから、アレイス様って呼んでたのね。私てっきり、ちょっとおかしい彼のファンが押しかけてきたのかと思ってた」
「それならまだ良かったかもね……」
私は苦笑いで返した。このあと私たちは、ミルデン支団副長であるベケット副長に相談へ向かった。ベケット副長の部屋は支団長室の隣にある。普段、何か小さな問題が起こったときは副長の判断を仰ぐことになるんだけど、正直言って副長はあまり頼りにならない人だ。穏やかな人だけど事なかれ主義で、面倒ごとをとにかく嫌がる。
「――なるほど、ドレイクバーグ支団長のご令嬢が我がギルドで休息を取りたいと」
「はい。どうしましょうか?」
ベケット副長は大きな椅子にゆったりと腰かけ、顎のあたりにたっぷりとついた肉を撫でながら何やら思案しているような仕草だ。
「どうするも何も、ルシェラ嬢が休みたいと仰っているんだ。すぐに部屋を用意して差し上げなさい」
「いいんですか?」
私が思わず聞き返すと、ベケット副長は目を丸くした。
「いいに決まってるだろう。すぐに戻って、部屋を用意して! ルシェラ嬢が気を悪くされたらどうするんだ」
「はい……分かりました」
私は返事をしながら隣のリリアと目を合わせる。リリアは「やっぱりね」と小声で漏らし、呆れ顔だ。アインフォルドのような大きな街のギルドで、ギルド長を務めるルシェラ嬢の父親は、詳しく知らないけど有力な貴族なはず。ベケット副長はルシェラ嬢を怒らせてはならないと思っているのだ。
副長室を出た後、私とリリアは大急ぎで部屋の用意をした。普段来客用に使う部屋に座り心地のいい椅子を運び込み、料理人に一番いい紅茶を用意してもらった。あの紅茶はアメリアさんのお気に入りで、私みたいな普通の職員は飲むことができないもの。いいなあ、さぞかし美味しいだろうな。
バタバタと用意を済ませてルシェラ嬢とマーニーさんを部屋に案内し、ようやく私たちは仕事に戻れた。おかげで受付開始がいつもよりも遅くなってしまい、待っていた討伐者さんに嫌味を言われ、朝から私たちはぐったりと疲れてしまった。
ルシェラ嬢はアレイスさんをここで待つと言うけど、いつ戻るかも分からないのに、まさかずっとここで待つつもりなんだろうか。アレイスさんは彼女から逃げてミルデンに移って来たのだ。ルシェラ嬢が待ち構えていたら、驚くに決まっているはず。このあと起こることを想像したら気が重い。
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