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34話
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建物の中に入ってしまえば、想像以上にスムーズにことは運んだ。
地上1階部分はカウンターなどがある、酒を提供するバーのような場所である。店の奥には隠し扉があり、そこの階段から地下闘技場まで行くことができるようになっている。
本日は店が休みだったため、ドアには鍵が掛かっていた。
が、そんなことは関係ない。
コウがドアをを蹴り破ると、そこで休憩中だったらしい騎士のような格好をした警備の男たちが唖然としていた。
当然、そこからは大乱闘だ。
カズユキとコウは当然ながら、セイゴウを筆頭に近衛騎士たちも日々訓練を欠かさない精鋭たちだ。ゴロツキに毛が生えた程度の私設騎士もどきに遅れをとることはない。
「誘拐した子どもたちはどこだ。」
襲ってきた中にいた1人の男の胸ぐらをつかんで、コウが締め上げる。男は圧倒的な力の差に、すでに戦意喪失している様子だ。
なんとか唇を動かして、質問にだけは答えた。
「闘技場の下にいる。」
地下闘技場はその名の通り、建物の地下にあることが多い。ここの闘技場も例に漏れず地下にあるのだが、更に下があるのだと言う。
敵はどこからともなく湧いて出てきては、多勢に無勢で襲いかかってくる。その残りは、セイゴウの部下に任せることにした。
じきに応援も来るらしい。
カズユキ、コウ、セイゴウの3人は、男の示した通りの場所にあった階段を駆け降りる。
下に進めば進むほど、空気が冷たくなっていく気がする。気温が低くなっているわけではなく、これまでに培われてきた勘が感覚的に伝えてくる。
(何かいるのか?)
足を動かしながら無意識に隣を走るコウを見上げる。
コウはそれに気がついて視線を合わせてくる。
それは一瞬の出来事だったが、そのまま何も言わずにスピードを上げて先頭を走り始めた。
「いや、そういう意味じゃ…」
まるで、先に行って確認してくれと頼んだかのようになってしまった。
おそらく「何かいる」と感じたのは同じで、「ソレ」からカズユキを守ろうと先に行ったのだろう。
守られる立場というのはむず痒い。
カズユキはただ、この先は危険そうだということを確認し合いたかっただけなのだ。
「意外だな。」
しんがりを務めていたセイゴウが、急に言葉を発した。走っているのに息を乱す様子がないのは流石だ。内心では大いに驚いたが、カズユキは足を滑らせないようにしながらぶっきらぼうな声を出す。
「ああ?」
「お前は、常に守る立場でいたいものだと思っていた。」
揶揄うわけでもなく、心の底からそう感じているのだとわかる生真面目な声。
それは、コウに寄せる自分の信頼や甘えを指摘されているようで。
「あいつは俺より強い上に俺に惚れてるからなぁ…」
本心が見えないように敢えて軽い口調で誤魔化すことにした。
しかし、セイゴウには全く通じなかった。
「まるで、向こうだけに気があるような言い方だな。」
「珍しく突っ込んでくんじゃねぇか。なんだ、俺はそんなに分かりやすいか。」
トーマのように、流してくれるつもりはないらしい。相手に聞こえるように舌打ちすると、あくまでも直球の言葉が返ってくる。
「分からない奴がいるのか? 昨日の様子だけで、殿下やトーマも気づいているぞ。素直に認めて年貢を納めたらどうだ。」
「ミナトとまっっったく同じこと言いやがって!」
同じ人間に育てられたから言葉回しが似ているのだろうか。
カズユキは性格の穏やかそうな院長の雰囲気を思い出す。ミナトやセイゴウのような、不躾な態度を取るとは思えない。
「敵意を向けられるこちらの身にもなれ。」
「…そこは謝っとく…」
人の恋路にやたらと突っかかってくる理由は、最後の一言に集約されているのだろう。
純粋に応援の気持ちも込めていたミナトとは違う。
嫉妬を煽った覚えのあるカズユキは、素直に苦笑する羽目になった。
地上1階部分はカウンターなどがある、酒を提供するバーのような場所である。店の奥には隠し扉があり、そこの階段から地下闘技場まで行くことができるようになっている。
本日は店が休みだったため、ドアには鍵が掛かっていた。
が、そんなことは関係ない。
コウがドアをを蹴り破ると、そこで休憩中だったらしい騎士のような格好をした警備の男たちが唖然としていた。
当然、そこからは大乱闘だ。
カズユキとコウは当然ながら、セイゴウを筆頭に近衛騎士たちも日々訓練を欠かさない精鋭たちだ。ゴロツキに毛が生えた程度の私設騎士もどきに遅れをとることはない。
「誘拐した子どもたちはどこだ。」
襲ってきた中にいた1人の男の胸ぐらをつかんで、コウが締め上げる。男は圧倒的な力の差に、すでに戦意喪失している様子だ。
なんとか唇を動かして、質問にだけは答えた。
「闘技場の下にいる。」
地下闘技場はその名の通り、建物の地下にあることが多い。ここの闘技場も例に漏れず地下にあるのだが、更に下があるのだと言う。
敵はどこからともなく湧いて出てきては、多勢に無勢で襲いかかってくる。その残りは、セイゴウの部下に任せることにした。
じきに応援も来るらしい。
カズユキ、コウ、セイゴウの3人は、男の示した通りの場所にあった階段を駆け降りる。
下に進めば進むほど、空気が冷たくなっていく気がする。気温が低くなっているわけではなく、これまでに培われてきた勘が感覚的に伝えてくる。
(何かいるのか?)
足を動かしながら無意識に隣を走るコウを見上げる。
コウはそれに気がついて視線を合わせてくる。
それは一瞬の出来事だったが、そのまま何も言わずにスピードを上げて先頭を走り始めた。
「いや、そういう意味じゃ…」
まるで、先に行って確認してくれと頼んだかのようになってしまった。
おそらく「何かいる」と感じたのは同じで、「ソレ」からカズユキを守ろうと先に行ったのだろう。
守られる立場というのはむず痒い。
カズユキはただ、この先は危険そうだということを確認し合いたかっただけなのだ。
「意外だな。」
しんがりを務めていたセイゴウが、急に言葉を発した。走っているのに息を乱す様子がないのは流石だ。内心では大いに驚いたが、カズユキは足を滑らせないようにしながらぶっきらぼうな声を出す。
「ああ?」
「お前は、常に守る立場でいたいものだと思っていた。」
揶揄うわけでもなく、心の底からそう感じているのだとわかる生真面目な声。
それは、コウに寄せる自分の信頼や甘えを指摘されているようで。
「あいつは俺より強い上に俺に惚れてるからなぁ…」
本心が見えないように敢えて軽い口調で誤魔化すことにした。
しかし、セイゴウには全く通じなかった。
「まるで、向こうだけに気があるような言い方だな。」
「珍しく突っ込んでくんじゃねぇか。なんだ、俺はそんなに分かりやすいか。」
トーマのように、流してくれるつもりはないらしい。相手に聞こえるように舌打ちすると、あくまでも直球の言葉が返ってくる。
「分からない奴がいるのか? 昨日の様子だけで、殿下やトーマも気づいているぞ。素直に認めて年貢を納めたらどうだ。」
「ミナトとまっっったく同じこと言いやがって!」
同じ人間に育てられたから言葉回しが似ているのだろうか。
カズユキは性格の穏やかそうな院長の雰囲気を思い出す。ミナトやセイゴウのような、不躾な態度を取るとは思えない。
「敵意を向けられるこちらの身にもなれ。」
「…そこは謝っとく…」
人の恋路にやたらと突っかかってくる理由は、最後の一言に集約されているのだろう。
純粋に応援の気持ちも込めていたミナトとは違う。
嫉妬を煽った覚えのあるカズユキは、素直に苦笑する羽目になった。
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