聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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ぷるぷる

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 扉を開けたアルヴァレスは、今見ているものが一瞬何か分からなかった。

「フェンリルここにいたのかよ‥‥‥‥」

 ラングが思わずつぶやく。
 目の前ではフェンリルが何か楽しいのか、ザボザボと湯舟の中を飛沫を立て、泳ぎながら目の前を通過していく。
 それの邪魔をしないように、端の方でフリートが我関せずといった感じで仲良く混浴をしていた。

「フェンリルは風呂に入るのか‥‥‥‥」

「あのフェンリルだけじゃね?」

─────まあ、個体差かな。
 件のフェンリルは、今度は首だけ出してまったりしている。

「アイツは熱くないのかな?」

「それよりも、湯舟に毛が浮かね?」

「ワウワウワウワウワウっ!(俺の毛は簡単に抜けねーよっ!)」

 『大浴場』で盛大に吠えた為、反響により全員が耳をヤラレタ。


「リオ様、こちらのお部屋をお使い下さい」

 通された部屋は、姫様の部屋程広くはないが、一人で使うには十分な広さの部屋だった。なによりベッドがある!ちゃんとした寝台久しぶりっ!それだけでもテンションが上がってしまう。

「こんな広い部屋使ってもいいの?」

「リオ様は大事なお客様ですので」

 キリリと眼鏡を直すメイドさん。

「クリスティーナ様があんなにお笑いになっているのを見るのは久しぶりです。あのお姿になってからは、それはそれは沈んでおられましたので‥‥‥‥宮中のくそゴミ虫ども、全身ハゲ散らかればいいのに‥‥‥‥」

─────あら、失礼。
 ホホホ、と誤魔化すメイドさん。最後の方、呪詛が滲み出てたよ‥‥‥‥。

「リオ様には、是非とも姫様の『呪詛』の解呪を頑張っていただきとう存じます。そして私に、姫様の御髪を再び整える日々をどうぞお与えください」

 ─────いや、後半。自分の願望駄々洩れじゃん。
 
「私は姫様の御髪を整えるのに人生を注いでおりましたので‥‥‥‥」

「‥‥‥‥そこは、お世話じゃないの‥‥‥‥」

「御髪に一点集中です‥‥‥‥」

 ─────何これ。いわゆる髪フェチか? 確めるのも怖いから黙っていよう。

「あ~シロ君~待ってくださ~い」

 廊下に響く少年の声。
 同時に部屋に飛び込んできたシロ君。─────何故に全身びっしょびしょ?あ、ヤバ!イヤな予感と同時に、豪快なプルプルで、私とメイドさんは盛大に水しぶきを浴びた。
 
「ちょっと、シロ君っ!」

 うちの弟がどーもスイマセン。と『乾燥』をかける。
 シロ君も毛が一気に乾いたが、寝ぐせの様に毛があちこちはねまくった。

「私は問題ないです‥‥‥‥ですが、そちら様は御髪を整えねばなりませんね‥‥‥‥んふふふふ」

 すちゃっとどこらから取り出されたブラシ。ビクつくシロ君。

「あ~大丈夫そうですので~僕は失礼しま~す」

 無情にも、唯一の味方であろう少年は去った。

「さ~あ、キレイキレイしましょうね~~いい子ですね~んふふふふふ」

─────許せ、シロ君! 頑張れ、シロ君!お耳がヒコーキだよっ!
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