99 / 241
邪魔しないの
しおりを挟む
─────何よ何よ何よっコイツっっ!!! モブのくせにッ!
なんでこの私が、縛られなきゃなんないのよっ!! おかしいじゃないッ!
女神から『チート』を与えられ、絶対優位であるはずの自分が、不利な立場に立たせられるはずがないじゃないッ!
自ら作った杖に喉元を突きつけられ、威圧をかけられる目の前の人物が信じられない。
「これアンタが作ったんでしょ~~?返してあげるわ~」
─────グッと喉に痛みが走る。 そんな馬鹿な!? なんであの場にいない自分にダメージを与えられるわけ!? ─────こんなの認めないっ!
視界の端に、自分の聖騎士であるジークが地面に倒れているのに気づく。
─────そもそもなんでジークがヤラれているわけ!? アイツはこの世界の最強枠じゃなかったの!?
─────まだ私と『糸』が繋がっている。死んでるわけじゃなさそうよね?
「いつまでも寝てんじゃないわよっ!私を『助けなさい』よッ!!」
叫ぶと同時に、ビクリとジークの体が揺れる。
「さっさとコイツを『やりなさいよ』ッ!」
倒れていたジークが立ち上がり、剣を構え直すのが見えた。─────やったわ。これで私の勝ちよ!
背後で延びていた奴の意識が、戻る気配を察知した。
─────なんで今起きるかな?今絶賛お楽しみ中なんだけど?
─────ざっと剣先が向かってくる。
かなりの速度だろうが、フェンリル母さんのブートキャンプを乗り越えた自分にはそのスピードは
「 遅い 」
─────十分に避けられる。
奴が剣を振り抜いた瞬間、何かが『切れる』気配がした。─────なんだ?今の。まあいいいや
「全く。─────邪魔するんじゃないよッ!」
─────ドコっ!
二つに折った杖の片方を放り出し、もう片方で野球のバットの様にフルスイングをかました。
また骨が粉砕される音がしたようだが、剣を向ける君が悪いんだからね?
肋骨折りました?身長が高い君が悪い。頭部でないことに感謝して欲しいくらいだわ。
地面に投げ出された男は、今度はまだ意識があるようで、再度立ち上がろうとするが、今度は違う力によって、ドンっと地面に押さえつけられた。
「─────な、まさか。フェンリル‥‥‥‥?」
男は、自分を押さえつけている者の存在が信じられないように瞠目した。
「わ、シロ君大きい‥‥‥‥」
等身大の白陽の前足に押さえ込まれていた男は、呆けたように白いフェンリルを見上げていた。
「シロ君そのまま踏んでてね~。逃げようとしたら『ぐっ』てしちゃっていいよ~」
さながら飼っているペットが、家の中で『頭〇字D』を踏んでいる図に見えなくもないが、これ以上カサカサするなら、姫さん達が何といおうが、『ぐっ』てしてもいいと思うんだよね。
いや、シロ君がやるなら─────プチ。かな?
なんでこの私が、縛られなきゃなんないのよっ!! おかしいじゃないッ!
女神から『チート』を与えられ、絶対優位であるはずの自分が、不利な立場に立たせられるはずがないじゃないッ!
自ら作った杖に喉元を突きつけられ、威圧をかけられる目の前の人物が信じられない。
「これアンタが作ったんでしょ~~?返してあげるわ~」
─────グッと喉に痛みが走る。 そんな馬鹿な!? なんであの場にいない自分にダメージを与えられるわけ!? ─────こんなの認めないっ!
視界の端に、自分の聖騎士であるジークが地面に倒れているのに気づく。
─────そもそもなんでジークがヤラれているわけ!? アイツはこの世界の最強枠じゃなかったの!?
─────まだ私と『糸』が繋がっている。死んでるわけじゃなさそうよね?
「いつまでも寝てんじゃないわよっ!私を『助けなさい』よッ!!」
叫ぶと同時に、ビクリとジークの体が揺れる。
「さっさとコイツを『やりなさいよ』ッ!」
倒れていたジークが立ち上がり、剣を構え直すのが見えた。─────やったわ。これで私の勝ちよ!
背後で延びていた奴の意識が、戻る気配を察知した。
─────なんで今起きるかな?今絶賛お楽しみ中なんだけど?
─────ざっと剣先が向かってくる。
かなりの速度だろうが、フェンリル母さんのブートキャンプを乗り越えた自分にはそのスピードは
「 遅い 」
─────十分に避けられる。
奴が剣を振り抜いた瞬間、何かが『切れる』気配がした。─────なんだ?今の。まあいいいや
「全く。─────邪魔するんじゃないよッ!」
─────ドコっ!
二つに折った杖の片方を放り出し、もう片方で野球のバットの様にフルスイングをかました。
また骨が粉砕される音がしたようだが、剣を向ける君が悪いんだからね?
肋骨折りました?身長が高い君が悪い。頭部でないことに感謝して欲しいくらいだわ。
地面に投げ出された男は、今度はまだ意識があるようで、再度立ち上がろうとするが、今度は違う力によって、ドンっと地面に押さえつけられた。
「─────な、まさか。フェンリル‥‥‥‥?」
男は、自分を押さえつけている者の存在が信じられないように瞠目した。
「わ、シロ君大きい‥‥‥‥」
等身大の白陽の前足に押さえ込まれていた男は、呆けたように白いフェンリルを見上げていた。
「シロ君そのまま踏んでてね~。逃げようとしたら『ぐっ』てしちゃっていいよ~」
さながら飼っているペットが、家の中で『頭〇字D』を踏んでいる図に見えなくもないが、これ以上カサカサするなら、姫さん達が何といおうが、『ぐっ』てしてもいいと思うんだよね。
いや、シロ君がやるなら─────プチ。かな?
298
あなたにおすすめの小説
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる