聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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みょんみょん

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「ワウワウワウ (ここら辺でいいだろ)」

 シロ君が前足でカキカキしながら指した場所は、広場のど真ん中。
 お花たちが、とってもはっちゃけて、ヒャッハーしているど真ん中である。シロ君はお花ちゃん達に囲まれて、とってもメルヘンチックな光景となっております。
 
「ここ?周りが花がだらけだけど、どうかな?」

「ワウワウわふ、ワフワフ (どうせ枯れるだろうが、しょうがないだろう)」

「そだね」

 二人(?)で納得し合っていたが、外野はそうではなかった。
  シロ君の「枯れるだろう」に、周りが敏感に反応した。
 
 わかり易く「えっえっマジ!?」「うそやろ!?」「冗談だよね」と言わんばかりに、風に揺れていたはずの花が、お天道様に向くがごとく、一斉にこちらにぐぃんと向いた。この花達さっき、風に吹かれてゆらゆら普通に揺れてたよね?なんで当たり前みたいに、こっちに関心をむけてくるのか。
 ─────めっちゃホラーな光景なんだけど‥‥‥‥もう自分もいいかげんビビらないよ。 アンタたちも普通じゃなかったって事なのね‥‥‥‥。まあ、『五年は満開のまま』ってナビに言われてから、うっすらそうじゃないかと思ってたが‥‥‥‥。やっぱり普通の花じゃなかったか、そっか。

「元々あったわけじゃないしね」

 今度は私の一言に、ががーんとなり、しおしおと一斉に項垂れる。

 そのうちの一つが、みょんみょんみょんみょんと左右に激しく揺れ出した。

「─────うわっ何これ」

 思わず一歩下がると、みょんみょん揺れていた花は、おもむろに「よっこいせ」と言わんばかりに、ボコッボコッと根っこごと土から抜け出た。

 ‥‥‥‥あ、まさか。

 自分の予想は外れることなく、抜け出た一株の花は根っこを足の様に動かし、ててんっててんっててんっと不器用な人の様なスキップをかまし、ある程度離れた場所に行くと「ここか?ここらへんか?」ときょろきょろ周りを見渡してから、むいむいと無理やり根っこをめり込ませる。
 ててーん「できた~。これイイっしょ~イイっしょ~」どやぁ、とばかりに周りの仲間たちに見せびらかすように、葉っぱをぴよんぴよんさせる。

 皆(?)の注目を集める一株のみょんみょん花。─────一瞬の静寂の後、残りの花達が一斉にみょんみょんし始める。やだ、なんか懐かしのフ○ワーロックみたい。

 ボコッボコボコボコボコボコ。集団で自ら根っこを引き抜き、テコテコ歩く部類とぴゃんびゃん飛ぶ奴ら。びょ─────んと高跳びする個体までいる‥‥‥‥。

 各々新しい大地に、これまたむいむいと根をねじ込み「おっし、俺等やったぜっ!どう?どう?」とばかりに、こちらに葉っぱをフリフリする‥‥‥‥。   

 ─────結果。 私とシロ君の周りは、何もない元の広場の大地が広り、その代わりに、ウィル少年の周りが花畑と変わった‥‥‥‥。

「‥‥‥‥描こうか‥‥‥‥」
「わう‥‥‥‥ (そうだな)」

 ─────何事もなかったかのように、私は『杖』を使いながら、地味にゴリゴリ『陣』の制作に取り掛かったのだ。
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