聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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やっぱコレよね

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「‥‥‥‥リオさんまだですか‥‥‥‥?」

「まだよ、まだ。ここは焦っちゃだめ」

 中庭で屈みこむ二人の前には、即席で作成した『七輪モドキ』。
 花畑と化した中庭で、周りにあった土を集め『土魔法』とやらで固めて出来た代物だ。
 『火魔法』と、初めて使うであろう『土魔法』とやらを駆使して、『七輪モドキ』を作り上げた事になんのためらいもない。なぜならこれは必然であるからっ!

 『七輪モドキ』に厨房から借りてきた焼き肉用の網。そしてその上には、焼きあがるのを今か今かと待ち望んでいる『走るキノコ』事『松茸』ちゃん。

 一度はやってみたかった憧れの、手で『松茸』を割くという工程を経て、今はジリジリ焼き上がりを待つばかりである。

「‥‥‥‥七輪作ってる時のリオさん、すごい勢いでめっちゃビビりましたけど」

「作った事なんかないし。それに、ほら、‥‥‥‥失敗したくないじゃない‥‥‥‥」

 失敗したくないので『土魔法』と『火魔法』をゴリゴリに使いまくった結果。中庭にはどデカい穴が出来てしまった。お花達は身の危険を感じたのか、穴の周辺からは自ら退避していた。
 君達逃げ足早くなったよね‥‥‥‥。

「‥‥‥‥後で埋めといてくださいね」

「‥‥‥‥はい」

 開けてしまった穴はやはり大きかったらしい‥‥‥‥。
そんな事を考えていると、『松茸』からいい感じの匂いが漂いだした。 
 
「よっしゃぁ!ここだぁぁぁぁ─────」

 その瞬間を待っていた!とばかりに取り出したる『一升瓶』。
  そこから数滴の 醤油が浮かび上がり、『松茸』にかけられる。

『そこは「魔術」を使わなくても‥‥‥‥』

 『ナビ』ちゃんからピロっと小言が出てきたが、なにを言っているのだ!貴重な『高級醤油』だぞぅっ! 出し過ぎたら勿体ないでしょ!

 そうこうしているうちに、火に当てられて『七輪モドキ』から懐かしの香りが漂い出す。

 コレよこれっ!たまらんわ~と堪能していたが、姫さんに急かされて網からおろし、二人同時にパクついた。

 「「 ふぉぉォォォォ───── !!」」

 二人興奮気味にハイタッチを交わしていると「何してんだ‥‥‥‥」といつの間にかおっさんを含めた隊長さん達が呆れた顔で中庭の入り口に立っていた。


「え、帰城ですか?」

「はい。陛下からの知らせが来ました」

 ほほう、姫さんにパパさんから「帰っておいで」と。
  先刻到着したピーちゃんがお手紙を運んで来たんだな。
  まあ、お姫さんは『呪詛』をかけられて人目もあるから、この砦に避難してきたと言っていたしな。
 ピンク教の心配がまだあるとはいえ、『呪詛』がなくなったとなれば、帰っておいでと言いたくなるわな。
 もっきゅもっきゅと『松茸』ちゃんをいただきながら、隊長さんが説明するのを聞いていた。
 
 ちなみに今は『七輪モドキ』が二つとなり、『松茸』以外にも肉が追加され、焼肉パーティー状態だ。中庭で焼肉しながらの会議?という異様な光景に、近寄ってくる隊員はいない。大穴も二つ開いているので、余計に避けられている感があるが‥‥‥‥。
 犬魔獣達は、朝の『パンケーキ戦争』の姿が嘘のようにシロ君と一緒に並んでお座りをし、焼き上げられたお肉が飛んでくるのをちゃんと待っている。君達、熱いの大丈夫なんだね‥‥‥‥。

 『松茸』? 自分はケチじゃないので出し惜しみはしませんよ?『高級醤油』はしますが─────何か?

「それと、両陛下がどうしてもリオとシロ君に会いたいと‥‥‥‥とくに王妃様が‥‥‥‥」

─────ほ?自分、ご指名ですか?

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